映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アトミック・ブロンド」「バリー・シール」「あゝ、荒野 後篇」「我は神なり」etc.

斉木楠雄のΨ難

映画「斉木楠雄のΨ難」オリジナル・サウンドトラック
PK学園に通う高校生、斉木楠雄は、テレパシーやサイコキネシス、透視、テレポートなど多彩な超能力を持ちながら、普通に生きることを望み、その才能を隠して高校生活を送っていた。斉木の周囲は、斉木のことが気になってしかたない自意識過剰の美少女や、バカすぎて思考が読めない同級生など、変な奴ばかり。毎年恒例の一大イベント、文化祭を迎え、同級生たちがトラブルを巻き起こす中、気が付けば、たかが文化祭で地球滅亡の危機が迫っていた…。

超能力を持っているため次々に災難に巻き込まれてしまう高校生・斉木楠雄の高校生活を描く学園コメディ「斉木楠雄のΨ難」。ちなみに、Ψ難は“さいなん”と読む。原作は、独特の世界観でファンが多い麻生周一の人気ギャグ漫画だ。漫画の実写映画化への出演が続く山崎賢人が、予告編ではそれすらも自虐ネタにしながら、ピンクの髪にピンクのアンテナ、緑のサングラスという笑撃のルックスで怪演している。主人公・斉木楠雄は、感情は表に出ず、せりふもほとんどなく(よくしゃべるがほぼ心の声のナレーション)、変人揃いのクラスメイトに手を焼きながら、人知れず地球の危機を救ったりしているのだ。山崎賢人が今まで演じてきた、繊細で心優しい美少年や、ツンデレキャラの学園の王子様とは真逆の役柄だが、福田組初参戦ながら、存在感を示している。

「銀魂」のやりたい放題を見たせいか、福田雄一監督にしては、ギャグのはじけっぷりがおとなしい気がするが、それでも橋本環奈、新井浩文、吉沢亮の“銀魂”参加組のおふざけは健在。特に、天下無敵の美少女・照橋心美の過剰な自意識演出のバカっぷりには、橋本環奈の今後の女優生活が心配になるほどだ。彼女を見た男子が、そのあまりの美しさに思わず発する擬音が「おっふ」。これが繰り返されていちいち爆笑を誘う。誰からも干渉されない静かな生活を望むのに、気が付けば宇宙規模の大事件が発生し、地球を救うハメになる斉木楠雄。この無駄なスケール、まったくやれやれ…である。どこまでも笑いだけを追求する福田監督らしい快作コメディだ。
【60点】
(原題「斉木楠雄のΨ難」)
(日本/福田雄一監督/山崎賢人、橋本環奈、新井浩文、他)
(おバカ度:★★★★☆)
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アトミック・ブロンド

Ost: Atomic Blonde
東西冷戦末期の1989年。イギリス諜報機関MI6が誇る美貌の女スパイ、ロレーン・ブロートンは、西ベルリンを訪れる。彼女に課されたミッションは、世界中で暗躍する各国機関のスパイの名が記録された超極秘リストを奪い返すこと。同じくMI6のエージェントで先にベルリンに潜伏している凄腕スパイのパーシヴァルと共に任務に当たるが、彼は不審な行動を連発してロレーンを混乱させる。各国のスパイがリスト争奪戦を繰り広げる中、ロレーンには、MI6内部にいる二重スパイを探し出して始末するというもう一つの任務があった。ベルリンの壁が崩壊する歴史的事件が間近に迫るなか、誰が敵で誰が味方が分からない状況に、ロレーンは絶体絶命の苦境に立たされる…。

MI6の凄腕女スパイが、盗まれた極秘情報の行方と裏切者の存在を追うスパイ・アクション「アトミック・ブロンド」。原作は、アントニー・ジョンストン、サム・ハートによるグラフィックノベル「The Coldest City」だ。英のMI6をはじめ、露のKGB、仏のDGSE、米のCIAまで入り乱れるハイレベルな諜報合戦は、裏切りの気配が濃厚で、敵味方の区別がつかない混乱、そこに隠された驚愕の事実…と、ジョン・ル・カレのスパイ小説さながらである。特筆なのは、主人公が超凄腕の女性エージェントであること。演じるのは演技もアクションも一級のオスカー女優シャーリーズ・セロンで、女性版007、いやそれ以上にクールでタフなヒロインを演じて、ハマリ役だ。男性優位のハリウッドで、これほど惚れ惚れするほどかっこいい女優はめったにお目にかかれない。ボンド風のロマンスもひとひねりした形でしっかり織り込んで、まさに女も惚れるイイ女が、ロレーン・ブロートンなのだ。

物語は、終わってみれば特に目新しいものではないのだが、裏切り者の存在や意外なつながりなどで飽きさせない。セロンのコスプレ付の超絶アクションによる見せ場もたっぷり用意してある。長身で筋肉質な身体のセロンが、廃ビルで見せる部屋から階段、外に至るまでの接近戦をとらえたワンカットのバトルは、本作の大きな見所だ。メガホンを取るのは「ジョン・ウィック」の共同監督を務めたデヴィッド・リーチ。冷戦末期の混乱したベルリンのデカダンス漂う空気を写し取った映像や、1980年代のヒットナンバーを効果的に活かす音楽など、随所にセンスの良さを感じさせる。荒唐無稽な活劇とリアリティをうまく織り交ぜた、ポップでクールなアクション痛快作だ。
【70点】
(原題「ATOMIC BLONDE」)
(アメリカ/デヴィッド・リーチ監督/シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカヴォイ、ソフィア・ブテラ、他)
(スタイリッシュ度:★★★★★)
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スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険

スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険 [Blu-ray]
遠いどこかの森にある村では、小さな青い妖精スマーフたちが幸せに暮らしていた。スマーフ村で唯一の女の子スマーフェットは、ある日、禁断の森で不思議なスマーフと出会い、その子が落とした帽子から、失われた村が存在することを知る。だが、意地悪な魔法使いガーガメルにその帽子を奪われ、失われた村の存在を知られてしまう。このままでは、禁断の森に住むふしぎなスマーフたちに危険が及んでしまう。スマーフェットは、新しい仲間たちを救うため、仲間たちと一緒に禁断の森へ旅に出る…。

ベルギーの漫画家ペヨが生み出した青い妖精スマーフたちの活躍を描くアニメシーズの最新作「スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険」。スマーフ村唯一の女の子スマーフェットが新しい仲間たちを悪い魔法使いガーガメルの悪だくみから救うため、大冒険を繰り広げる。前2作はラージャ・ゴスネルが監督していたが、今回は「シュレック」などのケリー・アズベリー監督へとバトンタッチ。以前は実写とCGの融合だったが、今回はフルCGのアニメーションとなった。宿敵ガーガメルも実写ではなくアニメなので、動きはますます自由になっている。禁断の森のファンタジックな色彩や、不思議な形状の激流の川を下るシークエンスは、ワクワクさせられた。

本作のテーマはアイデンティティーの確立だろう。スマーフェットは、村で唯一の女の子であること、生まれながらのスマーフではないことが、彼女に疎外感を与えている。他者と違うことが異端ではなく個性であるとのメッセージと共に、生みの親(ガーガメル:悪)と育ての親(パパスマーフ:善)という隠れたテーマも見え隠れしたりする。物語はスマーフェットが冒険を通して、自分自身を肯定していくテッパンのストーリーだ。だが違和感がどうしてもぬぐえない。本作の主なターゲットである幼年期の子どもたちに対して、アイデンティティーについて論じるのは少し早い。それはティーンエイジャーにこそふさわしいテーマだが、それにしては本作はあまりにもお子様向けだ。カラフルでにぎやかなスマーフの世界観は味わえるが、メッセージが伝わりにくいアニメ作品になってしまったのが惜しい。
【50点】
(原題「SMURFS: THE LOST VILLAGE」)
(アメリカ/ケリー・アズベリー監督/(声)デミ・ロヴァート、レイン・ウィルソン、ジョー・マンガニエロ、他)
(カラフル度:★★★★★)
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ポルト



ポルトガル北部に位置する港湾都市ポルト。その日暮らしをしている26歳のアメリカ人ジェイクは、この異国の地になじめず孤独を感じていた。32歳のフランス人女性マティは考古学を研究する学生。発掘現場で互いの存在を知り、夜のカフェで偶然出会った時、ジェイクは思い切ってマティに話しかける。マティはジェイクに引っ越しの手伝いを頼み、互いに強く惹かれあった二人は、その夜、一夜を共にする…。

異国の地で出会ったアメリカ人青年とフランス人女性の恋の行方を描くラブストーリー「ポルト」。リスボンに次ぐポルトガル第二の都市ポルトは、ポートワインで有名な港町だ。ポルトガル映画界の巨匠マノエル・デ・オリヴェイラの出身地で、この監督は同地のドウロ川を印象的に取り込んだ美しい映像で綴る作品を多く作っている。そんな古都ポルトの“観光映画風ではない”魅力的な風情が本作の最大の特徴だ。美しい夜景や、霧に煙る古い石畳などの街並は、おしゃれというより、どこか懐かしさを覚えるノスタルジーに満ちている。

生涯で忘れられない情熱的な一夜を過ごした男女の愛を描くが、ストーリーは、あってないようなものだ。3つのパートに分かれていて、最初はジェイク、次にマティ、最後に二人の視点から描かれる。ジェイクには運命だと感じた恋も、マティには通り過ぎた一瞬の愛に過ぎない。それでも、時に厳しい現実を生きるために、あの美しい思い出は二人にとって必要な糧だったのだろう。ドキュメンタリー出身のゲイブ・クリンガー監督は、劇映画はこれが初めてだそう。80分にも満たない短い作品は、映画というよりポートレイトのようで、訴求力は弱いが、製作総指揮を務めるジム・ジャームッシュのテイストにも共通する詩的な美しさは特筆だ。2016年に不幸な事故で27歳の若さで亡くなった俳優アントン・イェルチンに捧げられていることが、すべてのことが移り変わる人生の物悲しさを伝えているかのようだった。起承転結の分かりやすい映画に飽きたら、こんな作品に触れてみるのも悪くない。
【55点】
(原題「PORTO」)
(ポルトガル・仏・米・ポーランド/ゲイブ・クリンガー監督/アントン・イェルチン、リュシー・リュカ、パウロ・カラトレ、他)
(まったり度:★★★★☆)

あなた、そこにいてくれますか

あなた、そこにいてくれますか (潮文庫)
2015年・医療ボランティアでカンボジアを訪れた医師のハン・スヒョンは、手術で赤ん坊を救ったお礼にと、老人から願いがかなうというと不思議な薬を10粒もらう。スヒョンの願いは、30年前に亡くなった当時の恋人ヨナともう一度会うことだった。半信半疑で薬を飲むと、スヒョンは1985年にタイムスリップし、過去の自分に出会う。ヨナの身に起きることを知った若きスヒョンは何とか彼女を救おうとするが、ヨナを助ける未来を選べば、ヨナの死後に生まれた最愛の娘スアの存在が消えてしまう。2015年と1985年、時を超えて出会った2人のスヒョンが選んだ答えとは…?

不思議な薬によってタイムスリップした男性の、時空を超えた愛を描くラブストーリー「あなた、そこにいてくれますか」。フランスの作家ギヨーム・ミュッソの小説「時空を超えて」をベースにしている。タイムスリップものには、本来、いくつかの約束事があって、そのタブーを堂々と破ってくる展開にいささか驚くが、韓国映画がロマンチックに舵を切ったら、もう誰にも止められない。

30年前にタイムスリップした主人公が両親に出会うなら「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だが、本作は、なんと過去の自分に出会ってしまう。しかも未来と過去の自分がある種の共同作業を行うのだから、かなり型破りだ。愛するヨナの死を何とか防ごうと奮闘し、いろいろな方法を試すが何度も失敗するあたりは「ミッション: 8ミニッツ」を連想する。そして、タイムスリップものの傑作「バタフライ・エフェクト」で起こる悲劇を防ぐため、二人のスヒョンが繰り出す“変化球”は、ちょっと驚いた。このストーリー、むしろコメディーが向いていると思うのだが、本作はあくまでもピュアで泣ける恋愛映画。過去に戻れる薬がなぜ10粒(10回分)なのか、過去に滞在できる時間が20分ではあまりにも短すぎるのでは…などなど、ツッコミはじめたらきりがないが、この際、そういうことは忘れて鑑賞することをおすすめしたい。なぜなら、ラストに思いがけない感動が待っているのだ。ご都合主義と言ってしまえばそれまでだが、ヨナへの愛も娘への愛も譲れないほど強いのである。スヒョンの愛の願いを届けるのに一役買う、友人思いの親友テホの存在が効いていた。
【60点】
(原題「WILL YOU BE THERE?」)
(韓国/ホン・ジヨン監督/キム・ユンソク、ピョン・ヨハン、チェ・ソジン、他)
(型破り度:★★★★☆)
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恋と嘘

恋と嘘 オリジナル・サウンドトラック
超・少子化対策法が制定された近未来の日本。DNA等の各種データに基づいて、政府が各個人に最良の結婚相手を通知していた。優柔不断な性格の女子高生・葵は、16歳の誕生日に結婚相手を知らせる、政府からの通知が来ることを心待ちにしていたが、優しい幼なじみの優翔から、誕生日の前日に「ずっと好きだった」と告白され戸惑う。そんな葵の前に現れたのは、政府通知の結婚相手・蒼佑だった。ぶっきらぼうでミステリアスな蒼佑に、困惑する葵だったが、蒼佑の優しさを知って次第に距離を縮めていく…。

近未来を舞台に、特殊な状況下での三角関係を描く青春ラブストーリー「恋と嘘」。原作は漫画アプリ、マンガボックスで連載されているムサヲのヒット作だが、この実写化では、原作とは男女を逆にしたアナザーストーリーとなっている。国が決めた“最良の相手”か、ずっとそばにいて見守ってくれる優しい幼なじみか。自分が食べたいクレープさえ選べない、優柔不断なヒロインに、酷な選択を迫る恋愛映画だが、内容があまりにも酷い。

まず、最良の相手を政府が強制的に選ぶという未来的設定が面白いのに、それをほとんど活かせていない。通知の拘束力がユルいとはいえ、他者から勝手に相手を決められることへの反発もなく、ヒロインは政府通知を心待ちにしてワクワクしている有様なのだ。青春ラブロマンスでお決まりの描写がダラダラと積み重ねられていき、挙句の果てには、映画ではおなじみの例の大きな障害が登場して、観客を脱力させる。優翔が分析する葵は、他人のことばかり気にかけてしまう優しい女の子ということになるが、彼女の言動は、自己チュー以外の何物でもなく、演じる森川葵の超絶的に拙い演技もあって、このヒロインにまったく共感できないのである。可愛いヒロインにイケメン2人のキャスティングで、明らかにファン向けの映画に文句を言うこと自体、大人げないと分かっていても、基本設定の面白さを活かすこともなく、ヴィジュアル面も含めて、SF的要素を組み込む努力もなく、凡百な青春映画に終始した雑な内容が、あまりにも情けなかった。猛省してほしい。
【20点】
(原題「恋と嘘」)
(日本/古澤健監督/森川葵、北村匠海、佐藤寛太、他)
(共感度:☆☆☆☆☆)
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試写室だより 17.10月上旬

試写室だよりぐっと気温が下がって、秋らしくなりました。
つい年末気分のノリで2018年のカレンダー、買っちゃいました(笑)。

最近見た主な映画は以下。

「ゲット・アウト」「不都合な真実2」「イット」「ネルーダ」
「氷菓」「覆面系ノイズ」「光」「火花」「鋼の錬金術師」
などなど。

先日、ワーナー・ブラザース映画さんのラインナップ発表会に行ってきました。DCの超大作「ジャスティス・リーグ」、面白そう!と期待が膨らんだ矢先、ベン・アフレックにセクハラ疑惑のニュースが  w(゚o゚)w  …ったくモウ、何やってるんでしょーか、バットマンは(憤)。映画にも何らかの形で影響が出そうです。

つい最近も、大物プロデューサーのセクハラ問題が明るみに出て大騒ぎになってましたが、ベン・アフレックも同類とは知らなかったゾ!ハリウッドの内部事情、かなりトホホ…ですねぇ (--;)


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アナベル 死霊人形の誕生

Annabelle: Creation - O.S.T.
孤児院の6人の少女たちと若いシスターは、人里離れた場所に建つ、古くて大きな屋敷にやってくる。そこには12年前に愛娘を亡くす悲劇に見舞われた人形師とその妻が暮らしていた。新生活に期待を募らせる少女たちだったが、家の中には不気味な気配が漂っていた。脚が不自由なジャニスは、ある時、鍵がかかっているはずのドアが開いていることに気付く。そこにいたのは、人形職人が作った呪いの人形・アナベルだった。怪奇現象が頻発し、やがてアナベルの呪いが少女たちを襲い始める…。

人気ホラーシリーズ「死霊館」に登場する呪いの人形アナベルの起源に迫るホラー映画「アナベル 死霊人形の誕生」。スピンオフという位置付けだが、「死霊館」や「アナベル 死霊館の人形」に登場する実在する死霊人形の誕生秘話を描く本作は、いわゆる“ビギニング”である。アナベルが生まれた理由や呪われた経緯が明かされ、その後の恐怖にしっかりとつなげたストーリーは、シリーズのファンを納得させ楽しませるものだ。アナベル誕生の背景には、最愛の娘を失くした親の深い悲しみがあって、そのことが判断を狂わせる。決して入ってはいけない領域へ足を踏み入れた代償は、あまりにも大きかった。

本作でメガホンを取るのは「ライト/オフ」のデヴィッド・F・サンドバーグだ。なるほど、暗闇とその効果をうまく使っているが、閉鎖に追い込まれた孤児院から来た少女とシスターという行き場のない人間たちが、逃げ場のない古い屋敷に閉じ込められるという構図が上手い。さらに、いるはずのない何者かの気配や、ひとりでに鳴りだすレコードの音楽、自然に開閉するドアや動き出すエレベーターなど、ホラー映画のテッパンともいえる恐怖演出をジワジワと積み重ねて、シリーズファンには見慣れた呪いの人形・アナベルへと導いていく演出が、巧みだ。邪悪な存在をいち早く察知した脚が悪い少女の運命を見届ければ、これがその後の長い長い惨劇の元凶だったのかと戦慄が走るはず。邪悪な霊は、人間の深い嘆きや弱さを常に狙っているのだ。「私を見つけて」というメモの言葉が、アナべルの強烈な呪いの拡散力を物語っている。
【60点】
(原題「ANNABELLE: CREATION」)
(アメリカ/デヴィッド・F・サンドバーグ監督/ステファニー・シグマン、タリタ・ベイトマン、ルル・ウィルソン、他)
(原点度:★★★★★)
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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)

『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』オリジナル・サウンドトラック
高度な知能を得た猿と人類の全面戦争が始まってから2年。シーザー率いる猿の群れは森の奥深くの砦に身を潜めていた。ある夜、敵の奇襲を受け、シーザーの妻と年長の息子の命が奪われる。シーザーは人類の軍隊のリーダーである大佐に復讐するため、群れの仲間を安全な場所に移動させた後、モーリスやロケットら少数の仲間と共に旅に出る。途中、口がきけない人間の少女ノバや動物園出身のチンパンジーのバッド・エイプも加わり、ついに大佐のいる巨大な要塞にたどり着くが、そこで驚愕の事実を知ることになる…。

名作SFの始まりを描いた新シリーズの第3弾「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」。1968年の「猿の惑星」の前日譚を描く新シリーズは、創世記(ジェネシス)、新世紀(ライジング)と来て、本作の聖戦記(グレート・ウォー)で、ひとまず完結となる。そもそもなぜ猿が人間を支配する世界が出来上がったのか? 人間社会が滅亡に向かい猿社会が繁栄したのはなぜか? などの疑問にもきっちり答えを出している。猿のリーダーのシーザーは、人間の愛も家族の愛も知っている。そんなシーザーが、家族を奪われ望まない戦争に身を投じねばならない運命や心の葛藤は胸が痛くなるほど切ない。一度は復讐の念に取りつかれて自分を見失うが、仲間のために命懸けで行動するシーザーは、誰よりも“人間味”にあふれた頼もしいリーダーなのだ。

シーザーが仲間たちと共に旅をするロード・ムービーの側面を持つ本作は、人間と猿の戦争という狂気に囚われた大佐を殺すために、大佐が作り上げた王国へと向かう旅。この展開はまさしく「地獄の黙示録」そのものだ。途中、人間の行った数々の愚行が描かれ、それはそのまま現代アメリカの病巣を照射することになる。シリーズを通してシーザーを演じ切ったアンディ・サーキスは入魂の名演技で、パフォーマンス・キャプチャーやCGということを忘れて、シーザーに彼そのものが重なって見えるほどだ。壮大なスケールと神話的ストーリーを最先端のテクノロジーで描くこのハリウッド大作は、オリジナルの傑作SF「猿の惑星」への敬意と、過去の数多くの戦争映画へのオマージュにあふれている。「そして、猿の惑星になる」というキャッチコピーの通り、見事に1968年版へとつながった力作だ。
【75点】
(原題「WAR FOR THE PLANET OF THE APES」)
(アメリカ/マット・リーヴス監督/アンディ・サーキス、ジュディ・グリア、ウディ・ハレルソン、他)
(ドラマチック度:★★★★★)
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ブルーム・オブ・イエスタディ



ホロコースト研究所に勤める40歳のトトは、ナチスドイツの戦犯を祖父に持つ出自から、家族の罪と向き合うために研究に人生を捧げていた。だが、精神が不安定な彼は、2年かけて準備したアウシュヴィッツ会議のリーダーからはずされてしまう。最悪な気分のまま、フランスから来るインターンの女性ザジを迎えにいくが、彼女はホロコーストの犠牲になったユダヤ人の祖母の無念を晴らすために研究に打ち込んでいた。目標は同じだが正反対の立場の二人は最初は反発し合うが、やがてお互いに自分にない何かを求めるように強く惹かれていく…。

ナチスの戦犯を祖父に持つ男とホロコーストの犠牲になった祖母を持つユダヤ人女性が恋に落ちる異色のラブストーリー「ブルーム・オブ・イエスタディ」。ナチスやホロコーストを描く作品は、題材が題材だけにシリアスで生真面目に描かれるのが通常だ。だが本作は、新しいアプローチでそんな常識を打ち破る、変化球のような映画である。トトはキレやすい性格で、ナチス親衛隊員の祖父を告発した本を書いたことで家族から勘当され、妻との間には大きな問題を抱えている、精神的に不安定な男性だ。フランスからやってきた若い女性ザジもトトに負けず劣らずエキセントリックな性格で、突発的にトンデモないことをやらかす型破りな性格。祖母をホロコーストで亡くしているのに、ナチスの暴挙を茶化したりする彼女に、トトは激しく反発するが、やがて惹かれあうことになる二人には、共に秘密があって…というストーリーである。

被害者と加害者が極限状態で愛し合う“衝撃”は、名作「愛の嵐」が代表格だ。精神を病んだ者同士が恋に落ちるのは、映画ではもはや定番とも言える設定。本作はナチス映画に新風を吹き込むもので、過去に囚われるばかりではなく、未来を見据えようというメッセージは理解できる。だが、情緒不安定なトトとザジの言動があまりに極端で、共感することが難しい。さらに、二人が抱えるさまざまな問題など、余計な設定が多すぎてまったく交通整理ができていない。トラウマを背負った被害者と加害者の子孫が恋に落ちる様を、あっさりとしたユーモアで描いてくれれば、もっと好感が持てたものを。ラストには光明が見えるが、ただのラブロマンス化した感もある。ホロコーストの歴史的因縁を背負った男女の恋という“素材”は面白いのに、キャラクターの性格やユーモアのセンスなどの“料理法”を間違ってしまったような映画だった。実に惜しい。
【55点】
(原題「THE BLOOM OF YESTERDAY」)
(独・オーストリア/クリス・クラウス監督/ラース・アイディンガー、アデル・エネル、ヤン・ヨーゼフ・リーファース、他)
(ユニーク度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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