映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ワンダーウーマン」「エル」「関ケ原」「ボブという名の猫」etc.

ギフト 僕がきみに残せるもの

Gleason [DVD] [Import]
アメリカンフットボールの元選手スティーヴ・グリーソンは、ハリケーン・カトリーナの被害で悲しみに沈む市民に奇跡のプレーで勇気と元気を与えた特別なスーパースターだった。引退した彼は2011年に、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)と告知される。その直後に、妻ミシェルの妊娠が判明。やがて生まれてくる息子のために、スティーヴは子どもに残すビデオダイアリーを撮り始める…。

難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症したアメリカンフットボールの元選手スティーヴ・グリーソンのビデオダイアリーを基にしたドキュメンタリー「ギフト 僕がきみに残せるもの」。映画の主な素材は、約4年にわたり撮影した1500時間ものビデオ日記だ。スティーヴ自身が撮影したものと、彼の旧友で介護にも関わった2人の撮影者による映像で構成されているが、スティーヴとその家族のありのままの姿が映し出される。きわめて個人的なビデオ映像が果たして映画になるのだろうかと最初は疑問に思ったが、監督やカメラマン、編集者との確かな信頼関係があるのだろう、このドキュメンタリーは想像以上に興味深く感動的なものに仕上がっている。

ALSのことは「博士と彼女のセオリー」「サヨナラの代わりに」「君がくれたグッドライフ」など、多くの映画で描かれていて、何となく知っているつもりでいたが、本作では病気の進行の過程と、スティーヴや家族、友人ら、周囲の人々の心の揺れの両方が、克明にカメラに収められていて、驚かされる。息子へのビデオメッセージといえば美談のように聞こえるが、妻との喧嘩や心が萎える姿、介護の経済的・物質的・精神的負担、スティーヴが設立した財団の活動と家族と過ごす時間とのバランスなど、映し出されることは生々しく、つらくなることも多かった。同時にそれは、見ている私たちに様々な問いを投げかけるものばかりなのだ。スティーヴ自身が語る「生きるのがつらすぎて“別の選択を”と思ってしまう。それが何よりも怖い」は、あまりにも重い言葉である。絶望や怒りといったむき出しの真実があるからこそ、それでも息子のため家族のために生きると決心したスティーヴの姿に尊敬の念を禁じ得ない。本作は、単なる闘病記録ではない。生きることに挑み続ける姿は、すべての観客への贈り物であり、すべての人間が持つ才能なのだと教えられた。
【65点】
(原題「GLEASON」)
(アメリカ/クレイ・トゥイール監督/スティーヴ・グリーソン、マイク・グリーソン、、他)
(生命力度:★★★★★)
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隠された時間



母親が他界し、義父と共に離島に引っ越してきた少女スリンは、家にも学校にもなじめず、孤独な毎日を送っていた。そんなある日、ソンミンという少年と出会う。親がおらず施設で暮らすソンミンと次第に心を通わせるようになったスリンは、ソンミンと彼の友人らと一緒に、立入禁止区域にある洞窟に足を踏み入れることに。だが、ソンミンを含む少年3人が一瞬にして姿を消す謎の失踪事件が発生する。手掛かりもなく捜査は難航するが、ある日、スリンの前にソンミンと名乗る見知らぬ青年が現れる…。

孤独な少女と、満月の夜に行方不明になり突如大人の姿になって現れた少年の交流を描くラブ・ファンタジー「隠された時間」。神隠しやパラレルワールドなどの不思議要素を含むが、違う姿で現れた少年を、孤独な少女が唯一の理解者として守ろうとするピュアな初恋の物語だ。謎めいた洞窟と卵型の不思議な物体は、異世界への入り口なのだが、行った先は時間が止まった世界。なぜ3人の少年たちが選ばれたのか、時間経過に気付く月の変化がなぜ起こったのか、などの理由は曖昧なまま。スリンとソンミンという、共に孤独な子どもたちの淡い初恋を際立たせるために、ご都合主義の設定が続いていく。

本作の主要な見所は、イケメンスターのカン・ドンウォンが、外見は大人だが心は13歳の少年というピュアな難役を演じることで、それはなかなかフィットしていた。子どもが大人になる設定の映画では、名作「ビッグ」がすぐに思い浮かぶ。大人と子ども、男と女、人間と動物が入れ替わるといった、いわゆる“入れ替わりもの”では、そのギャップで笑わせるコメディーが多いのだが、本作はどこまでもシリアスで笑いの要素はない。新人監督のオム・テファは、あくまでも繊細さや純粋さを描こうとしたのだろう。スリンの人生には常にソンミンが寄り添い、時空を超えて二人は共にある。カン・ドンウォンのファンにはたまらないであろう、ロマンティックな作品だ。
【50点】
(原題「VANISHING TIME」)
(韓国/オム・テファ監督/カン・ドンウォン、シン・ウンス、キム・ヒウォン、他)
(ファンタジー度:★★★★★)

☆タグ:映画 隠された時間 オム・テファ  カン・ドンウォン
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ダイバージェント FINAL

The Divergent Series: Allegiant [Blu-ray + DVD + Digital HD]
5つの派閥によって管理された社会がクーデターによって崩壊した近未来。シカゴの街は、新たな支配勢力によって巨大なフェンスで閉鎖されてしまう。どの派閥にも属さない異端者(ダイバージェント)のトリスは、恋人のテオら、仲間たちと共にフェンスの外の世界へ脱出することを決意。だがトリスらは、そこでダイバージェントにまつわる驚愕の真実と、ある組織が人類に対して行おうとしている恐ろしい陰謀を知ることになる…。

ベロニカ・ロスによるベストセラー小説を映画化したSFアクションシリーズの第3弾にして最終章「ダイバージェント FINAL」。人類が【無欲】【平和】【高潔】【勇敢】【博学】の5つの派閥に分類・管理される中、どの派閥にも属さない、危険な異端者(ダイバージェント)であるヒロインが、外の世界へ脱出し戦う様を描いていく。人間を何らかの基準で振り分ける傲慢、組織に属さないはみ出し者を切り捨てる非情、自分は何者かを問い続ける若者の成長、などを主要なテーマとした本シリーズの最終章は、外の世界もまた、決して安住の地ではない事実を突きつける。戦っても戦っても、他者を分類し支配しようとする人間の本質は変わらず、ヒロインの戦いに終わりはない。

遺伝子繁栄推進局という、名前からして怪しすぎる組織から母親のことや自分のことを知らされるトリスが、恋人テオの忠告に耳を貸さないことも解せないが、権力者に取り入ろうとするピーターや、トリスの兄ケイレブらの行動も、数々の修羅場をくぐってきた人間にしては浅はかで、世界をリセットさせる陰謀そのものも不完全。結局このシリーズは、トリスが覚醒する最初の部分が一番面白く、その後は息切れしてしまった感がある。これで平和になったという印象がまったくない完結編は、盛り上がりやカタルシスには欠けるのだが、人間の愚かしさがくっきりと浮き彫りになっていた。
【50点】
(原題「ALLEGIANT」)
(アメリカ/ロベルト・シュヴェンケ 監督/シェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、オクタヴィア・スペンサー、他)
(盛り上がり度:★★☆☆☆)
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ベイビー・ドライバー

Baby Driver (Music From The Motion Picture)
幼い時の事故の後遺症で、耳鳴りが激しい“ベイビー”は、完璧なプレイリストをセットしたiPodで音楽を聴くことで、なぜか驚異のドライビングテクニックを発揮する青年。犯罪組織から逃がし屋の仕事を請け負っているベイビーだったが、偶然出会ったデボラと運命的な恋に落ち、裏社会から足を洗うことを決意する。だがベイビーが組織から抜けることを許さないボスにデボラの存在を知られ、脅迫されたあげく危険な仕事を請け負うことになる…。

若き天才ドライバーの恋と活躍を描く犯罪アクション「ベイビー・ドライバー」。音楽を聴くと天才的なドライバーになるという現象の学術的根拠はさておき、今、映画好き、音楽好きの両方から大注目のエドガー・ライト監督の新作である本作は、実に楽しい快作だ。物語は単純で、裏稼業に身を置く青年が恋人のために“最後の仕事”を請け負うという、ありがちなもの。ボーイ・ミーツ・ガールもカーアクションも珍しいわけではないが、ベイビーという役名がぴったりのアンセル・エルゴートとリリー・ジェームズの好演と、劇中の音楽が誰もが知るヒットナンバーを使う“ジュークボックス・ミュージカル”風なので、いつしか観客は気持ちよくノセられてしまう。音楽センスには定評があるライト監督なので、選曲も物語に沿った的確なもので、実にノリがいい。

主人公の脇を、ケヴィン・スペイシーやジェイミー・フォックスら、オスカー俳優が、怪演に近いサポートでがっちり固めるという妙な豪華さも見逃せない。特にフォックス演じる犯罪者のイカレっぷり(と、その末路)は必見だ。ロマンティックでハートウォーミングなエピソードが随所に登場するので、ご都合主義な展開にも素直にうなずける。カーチェイス版「ラ・ラ・ランド」との評判だが、むしろ、iPod風味の「トゥルー・ロマンス」と評したい。コ難しいドラマやド派手なアメコミ映画に疲れたら、こんな楽しい作品で一息入れよう。サントラもおすすめだ。
【70点】
(原題「BABY DRIVER」)
(アメリカ/エドガー・ライト監督/アンセル・エルゴート、リリー・ジェームズ、ケヴィン・スペイシー、他)
(ロマンティック度:★★★★★)
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打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』オリジナル・サウンドトラック
夏休みの登校日。海辺の町に住む中学生の少年たちは、花火大会を前に「打ち上げ花火は横からみたら丸いのか?平べったいのか?」で盛り上がり、それを確かめるために灯台から花火を見る計画を立てていた。そんな中、典道と祐介は、クラスのアイドル的存在の美少女・なずなに遭遇。なずなは母親の再婚で転校することになっていて、典道は彼女に誘われ「かけおち」しようとするが、なずなは母親からあえなく連れ戻されてしまう。それを見ているだけでどうすることもできない典道は、もどかしさから「もしもあの時、俺が…」との気持ちで、海でみつけた不思議な玉を投げると、なぜか連れ戻される前に時間が巻き戻っていた…。

岩井俊二監督の初期の傑作であるテレビドラマを長編アニメーション化した「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」。“もしも、あの時、自分がこうしていたら…”をテーマに、繰り返される夏の1日を描く、ラブ・ファンタジーだ。1993年のオムニバスドラマ「if もしも」は人生の選択の分岐点をテーマに2つのラストの物語を順番に見せていくというユニークな企画で、岩井作品はその1つだった。人生の選択とは、実写でも、アニメでも、非常に奥深いテーマだが、今回のアニメ化の大きな変更点は小学生を中学生に変え、より恋愛要素を強くしたことだろう。オリジナルを知らなくても、しっかりと内容が伝わる上に、不思議な玉によって1日を繰り返し、さまざまな“もしも…”を描くというファンタジーには、アニメという手法は、よりふさわしいように思う。

思えば、大人になればなるほど“if もしも”を考えることが増える。それは今を悔やむことではなく、もしかしたらあったかもしれない人生に、自分の可能性を見出すことを知ると前向きに考えたい。オリジナルの作者でもある岩井監督曰く、「銀河鉄道の夜」がこの物語のモチーフなのだそうだ。みずみずしい夏の1日に写り込む、切なさや残酷さ、諦念の思いが“電車の中”にいるなずなと典道によって伝えられる様は、なるほど銀河鉄道である。花火の刹那の美、青春の危うさときらめきを、アニメーションの世界で見事に再構築している。
【70点】
(原題「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」)
(日本/総監督:新房昭之/(声)広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、他)
(ファンタジー度:★★★★☆)
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フェリシーと夢のトウシューズ

フェリシーと夢のトウシューズ
19世紀末のフランス。ブルターニュ地方の施設で暮らす、踊るのが大好きな少女・フェリシーは、バレエを習ったこともないのに、バレリーナを夢見ていた。ある日、親友のヴィクターと共に、施設を抜け出してパリを目指すことに。大都会パリでヴィクターとはぐれてしまったフェリシーだったが、偶然、憧れのオペラ座にもぐりこむ。元バレリーナの清掃員オデットやライバルのカミーユらに出会い、フェリシーは他人になりすましてバレエ学校に入学。厳しいオーディションを勝ち抜き、舞台に立つことを目指すのだが…。

バレリーナを夢見る少女が試練を乗り越えて才能を開花させ成長していく姿を描くアニメーション「フェリシーと夢のトウシューズ」。ヒロインのフェリシーは、踊りが大好きな女の子。バレエ初心者、家族も有力なコネも、もちろんお金もないフェリシーが、バレリーナとなってオペラ座で踊るというストーリーは、あまりにも非現実的。だが、子ども向け、ファミリー向けのアニメーションである本作では、リアリティには重きを置かない。

物語は単純だが、バレエシーンの振付をパリ・オペラ座バレエ団芸術監督であるオレリー・デュポンとジェレミー・ベランガールが担当するなど、バレエシーンのこだわりは本物志向である。さらに「マダガスカル」や「カンフーパンダ」シリーズを手がけたスタッフによるアニメーションは、きらびやかな19世紀のパリの街を再現するだけなく、フェリシーらの生き生きとした表情や、アクロバティックなダンスシーンを魅力たっぷりにスクリーンに登場させた。フェリシーは、夢に向かって人一倍努力し、決してあきらめない。元バレリーナのオデットがそんな彼女を助けるのは、フェリシーの夢を応援することで、もう一度バレエと関わり、失ってしまった人生の喜びを取り戻すためなのだ。オデットの存在は、夢を忘れかけた大人の心にも響くだろう。
【50点】
(原題「BALLERINA」)
(仏・カナダ/エリック・サマー、エリック・ヴァリン監督/(声)エル・ファニング、デイン・デハーン、カーリー・レイ・ジェプセン、他)
(リアリティ度:★☆☆☆☆)
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試写室だより 8月下旬

試写室だよりお盆休み、皆さん、ゆっくり休めましたか?
暑さが苦手な私は、あまり外出はせずに家に引きこもって、思い切った断捨離を敢行。商売道具でもある映画グッズをかなり整理しましたが、古いパンフレットを読みふけったりして、さっぱり進みませんでした(苦笑)。

最近見た主な映画は以下。

「猿の惑星:聖戦(グレートウォー)」「スクランブル」
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「散歩する惑星」
「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」どなど。

猫の月刊誌「ねこのきもち」9月号で、秋の夜長に猫を感じるエンタメというコーナーがあり、猫が登場する映画を3本紹介して、簡単なレビューを書きました。ご興味がおありの方、良かったら読んでみてください♪

今や世間は空前の猫ブーム。そういえば、映画の中でも猫が頻繁に登場してる気がします。扱いとしては流行(はやり)ものレベル?!アクセリー感覚?!愛猫家の私としては、ちょっと複雑な気分です〜 (;^_^A


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お盆休みのお知らせ

休暇中「映画通信シネマッシモ」管理人の映画ライター・渡まち子です。
いつも当ブログを訪問していただき、ありがとうございます。

ただ今、お盆休みの真っただ中。
11日から5連休なんていう羨ましい方々もいらっしゃることでしょう。

さて、当ブログもちょっとだけお盆休みモードに入りますのでお知らせします。
8/13から8/15まで、しばしブログ更新小休止します。
復活は、8月16日(水)の「試写室だより」から。
楽しいお休みをお過ごしください  (^▽^)丿♪ 


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少女ファニーと運命の旅

ナチスドイツ支配下の1943年フランス。13歳のユダヤ人少女ファニーは、両親と離れ、二人の幼い妹たちと一緒に協力者による児童施設に匿われていた。密告者の通報でナチスの捜査が迫り、別の施設に移動することになるが、そこもまた危険が迫る。ファニーを含む9人の子どもたちはスイスを目指して移動するが、途中、引率者の大人とはぐれてしまう。リーダー役となったファニーは、子どもたちをまとめながら、数々の困難を、知恵と勇気で乗り越え、スイス国境を目指すのだった…。

ナチス支配下のフランスからスイスを目指したユダヤ人の子供たちの逃避行の旅を描くドラマ「少女ファニーと運命の旅」。実在した女性ファニー・ベン=アミの自伝をもとにした実話だ。ナチスの手を逃れるため、子どもたちだけでスイスを目指したサスペンス風味のドラマなのだが、極限状態の中でも、フランスの田舎の風景は牧歌的で美しく、無邪気な子どもの目を通した旅はどこか冒険旅行のような趣さえ感じられる。リーダー役となったファニーは、頑固で勝気だが、同時に心優しい女の子だ。子どもたちの中には、まだ戦争や迫害といった現実を理解できないほど幼い子がいる一方で、複雑な出自をかかえ悩む子もいる。そんな“混合チーム”を率いる小さな指揮官ファニーの、どれほどの逆境でも決してあきらめない意志の強さと健気な姿が感動的だ。ファニーは心の中の不安を封じて皆を引っ張り、旅を通して大きく成長していくことになる。

監督のローラ・ドワイヨンは、「ポネット」などの名匠ジャック・ドワイヨンの娘だそう。才能は確かに受け継がれているようだ。不安な現代に、平和の尊さを訴えるのは、いつだって希望を失わない子どもたちのまっすぐなまなざしだ。子どもたちの生命力と、危険を顧みず正義を行った大人たちの存在が、胸を打つ佳作である。
【70点】
(原題「LE VOYAGE DE FANNY/FANNY’S JOURNEY」)
(仏・ベルギー/ローラ・ドワイヨン監督/セシル・ドゥ・フランス、ステファン・ドログロート、レオニー・スーショー、他)
(健気度:★★★★★)
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スパイダーマン:ホームカミング

「スパイダーマン:ホームカミング」オリジナル・サウンドトラック
スパイダーマンとして活動する15歳のピーター・パーカーは、部活動のノリでご近所の危機を救うヒーロー気取りの高校生。アイアンマンことトニー・スタークは、ピーターの才能を認めて新しいスーツを与え、本当のヒーローとして導こうとする。だが、ピーターはスタークに早く認めてもらいたくて、日々、NYの街を飛び回っては、スタークからの連絡を待っていた。そんなある日、巨大な翼を持った謎の怪物が出現。ピーターは自分の実力を示そうとするが、スタークから「アベンジャーズにまかせろ」と制止される。ピーターは忠告をきかずに怪物と闘おうとするが…。

史上最も若いスパイダーマンの新たな活躍と成長を描くヒーロー・アクション「スパイダーマン:ホームカミング」。スパイダーマンといえば、自らの強大な力と責任に悶々とする悩めるヒーローというイメージが定着していたが、新シリーズである本作の若きスパイダーマンは、イマドキで、ユーモラスで、軽快で、愛らしい。ヒーロー活動も、まるでアルバイトか部活動のような軽いノリ。しかも彼が頑張って活動するのは、憧れのトニー・スタークに認めてもらい、自分にも何か出来る!と証明したいからだ。そう、今回のスパイダーマンはまさに青春の真っただ中にいる。

副題のホームカミングとは、高校の同窓会イベントのこと。そしてリブートとして戻ってきたスパイダーマンの懐かしき“帰郷”でもある。全米学力コンテストに参加するグループで一緒の美少女への淡い恋心、オタク少年との友情、何気ないけれどかけがえのない学園生活などに多くの時間が割かれるが、それこそが、新スパイダーマンを身近に感じるための大切な下ごしらえだ。メインディッシュは、もちろんド派手なアクションシーン。NYの街を軽々と飛翔するおなじみのシーンの爽快さはもちろん、真っ二つに裂けたフェリーを繋ぎとめる場面では、見ているこちらの手にも力が入る。さらにマイケル・キートンが怪演する翼の怪物バルチャーとのバトルは大きな見所だ。スパイダーマンは、やっぱり愛すべき“ご近所のヒーロー”だ。まだ表情に幼さが残る若手俳優トム・ホランドのフレッシュな魅力が、スパイダーマンに新鮮な息吹を吹き込んでくれた。次回作にも大いに期待!である。
【80点】
(原題「SPIDER-MAN:HOMECOMING」)
(アメリカ/ジョン・ワッツ監督/トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファヴロー、他)
(青春映画度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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