映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「マダム・フローレンス!」「アズミ・ハルコは行方不明」etc.

アズミ・ハルコは行方不明

アズミ・ハルコは行方不明 (幻冬舎文庫)
地方都市に住む28歳、独身のOL・安曇春子は、実家で両親と祖母と暮らしている。祖母の介護で疲弊した家庭、セクハラ三昧の発言がまかり通る会社と、春子の毎日はストレスばかり。そんなある日、春子は突然姿を消す。20歳の愛菜は成人式の会場で、同級生・ユキオと再会。なんとなく会って遊んだり、なんとなく身体の関係を持つ。一方、街では、無差別に男たちをボコる女子高生集団が暗躍している。春子が消えた街では、行方不明のポスターをグラフィック・アートにした落書きが不気味に拡散していった…。

寂れた地方都市を舞台に、アラサー、ハタチ、女子高生の三世代の女性たちの生き方を独特の感性で活写する群像劇「アズミ・ハルコは行方不明」。原作は山内マリコの同名小説だ。独身OL春子が消える前と消えた後の時間が交錯し、男たちが異物のように物語に混入するスタイルが個性的である。劇中で重要な役割を果たしているのが、ポップアートと化した、ハルコの顔とMISSINGの文字を組み合わせた落書きの連作だ。ポップアートといえば、アンディ・ウォーホールなどに代表される都会的な大衆文化が思い浮かぶ。若者文化の代名詞で、現代では、バンクシーなどの覆面アーティストがストリート・カルチャーを引っ張っている。アズミ・ハルコの行方不明のポスターは、愛菜のボーイフレンドらによって、街に拡散し、謎めいたムーブメントになっていくのだが、ハルコのアートが拡散した街は、都会的なムードとはほど遠い、閉塞的でダサい地方都市。このギャップが面白い。本作は、ミステリーとは違う。高らかな成長物語でもなければ社会派でもない。ただ、女性が抱える鬱屈や諦念は、不思議なほど伝わってくるし、垢ぬけない場所で暮らすモヤモヤと未来への不安、それでも生きていく強さが、時系列を崩しエピソードをシャッフルしたぐちゃぐちゃな構成から、フワリと伝わってくる。それはもしかしたら、時代の空気のかけらなのだろうか。どんよりと暗い蒼井優、今までになくチャラい高畑充希と、難しい役を的確に演じた女優たちの魅力が際立っていた。
【70点】
(原題「アズミ・ハルコは行方不明」)
(日本/松居大悟監督/蒼井優、高畑充希、太賀、他)
(ポップ度:★★★★☆)
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ブレア・ウィッチ

Blair Witch
アメリカのメリーランド州にあるブラック・ヒルズの森で、魔女をめぐるブレア・ウィッチ伝説のドキュメンタリーを作ろうとした、ヘザーら大学生のグループが消息を絶つ事件が発生。それから20年後、ジェームズは姉ヘザーが映った映像を、YouTubeで見つける。姉を救い、ブレア・ウィッチの謎を解くために、仲間と共に、森に足を踏み込んだジェームズだったが…。

低予算ながら世界的な大ヒットとなった「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年)の正当な続編「ブレア・ウィッチ」。POV(ポイント・オブ・ビュー、一人称、主観ショット)を駆使した映像やファウンドフッテージ(撮影者が行方不明になったため、埋もれていた映像という設定。モキュメンタリーの一種)という手法は、世界的な大ブームとなった。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」は、映画の「2」やパロディー作品、関連書籍など、幅広い広がりを見せたが、本作は、同じ監督による“正当なる続編”という位置付けだ。なるほど、森という異界、魔女伝説、怪奇現象、疑心暗鬼…と、演出は手堅いし、ドローンやヘッドセットカメラなど、20年後の現代ならではの最新技術もきっちりと取り入れている。森に足を踏み入れるメンバーの動機が違うため、それぞれの心理描写も丁寧な印象だ。だが、正直に言うと、まったく驚きがない。魔女伝説は相変わらず恐るべし!なのだが、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を見た観客は森に“何か”がいることをすでに知っている。しかも20年もたったのに、何も解決していない。これでは、メンバーを変えて、永遠に続編ができてしまうではないか。ファンの期待が大きいだけに、新味がない内容では、がっかり感だけが残ってしまうだろう。ただ、この続編という縛りの中で、前作のテイストを損なわず演出したアダム・ウィンガード監督の挑戦は評価したい。
【50点】
(原題「BLAIR WITCH」)
(アメリカ/アダム・ウィンガード監督/ヴァロリー・カリー、ジェームズ・アレン・マキューン、ウェス・ロビンソン、他)
(新鮮度:★☆☆☆☆)
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マダム・フローレンス! 夢見るふたり

「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」
1940年代のアメリカ、ニューヨーク。社交界のトップとして華やかな毎日を送るマダム・フローレンスは、歌唱力に致命的な欠陥があるにも関わらず、ソプラノ歌手を目指して活動していた。夫のシンクレアは、彼女の夢を、世間の批判や嘲笑から守るため、マスコミを買収したり、ファンだけを集めた小さなコンサートを開くなど、マネージャーとして日々奮闘してた。そんなある日、フローレンスは、世界的な音楽の殿堂カーネギーホールで歌いたいと言い出す。シンクレアの愛情と、尽きない財産を背景に、病を抱えながら頑張るフローレンスの命がけの挑戦が始まった…。

致命的な音痴でありながら、カーネギーホールでコンサートを行った実在の女性フローレンス・フォスター・ジェンキンスの実話を描く「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」。彼女をモデルにした作品には仏映画のフィクション「偉大なるマルグリット」があるが、本作は、あくまでも実話に基づく伝記映画だ。音痴なのにカーネギーホールでのリサイタルを可能にしたのは、フローレンスの莫大な財産があったからだが、実はそれだけではない。どこまでもピュアで一途な性格のフローレンスは、いつ命が尽きてもおかしくない病を抱えていたが、音楽への情熱を支えに前向きに生きていた。周囲が何と言おうと、自分を貫いた精神の尊さは、“ブレない”という普遍的な価値観に通じている。内縁の夫シンクレアの桁外れの献身もあるが、何よりもフローレンス自身が愛すべき人物なのである。才能があると思い込む彼女はなるほど笑いを誘うし、言動は滑稽かもしれないが、決して楽(ラク)ではない人生を送ったフローレンスの純真さに、心打たれるのだ。歌唱力に定評がある名女優ストリープが、一度上手く歌い、その後あえて音をはずして崩して歌う難役をユーモアとペーソスで妙演。“ロマコメの帝王”ことグラントも、フローレンスの突拍子もない夢を守り抜く、受けの演技が絶妙だ。この二人の名演と、名匠スティーヴン・フリアーズ監督の的確な演出が、キワモノにも思える実話を、支え合う風変わりな夫婦の愛の物語に昇華させた。劇中の登場人物がいつのまにかフローレンスを愛してしまったように、観客もまた、この奇妙な歌姫に魅了されるはずだ。
【80点】
(原題「FLORENCE FOSTER JENKINS」)
(イギリス/スティーヴン・フリアーズ監督/メリル・ストリープ、ヒュー・グラント、サイモン・ヘルバーグ、他)
(チャーミング度:★★★★☆)
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試写室だより 16.11月下旬

試写室だより11月も今日でおしまい。2016年も残すところ、あと1ヶ月となりました〜。
ちょっと気が早いけど、来年のオスカーの話題もチラホラと… (;^_^A

最近見た主な映画は以下。

「未来を花束にして」「マギーズ・プラン」「ドクター・ストレンジ」
「古都」「RANMARU」「一週間フレンズ。」
「僕らのごはんは明日で待ってる」「破門」などなど。

実は私、結構料理好きなんですが、先日、本格カレーに挑戦してみました。
といっても、カレーはまぁ、フツー(笑)。頑張ったのは、生まれてはじめて自分でナンを焼いたこと!無印良品の手作りナンの素ですが、これが、作り方も簡単だし、味もなかなかイケました〜!
他にも、簡単キットシリーズでは、トムヤンクンやナシゴレンなんかもあったんで、今度チャレンジしてみようと思います \(^▽^)/

無印良品 フライパンでつくる ナン 200g(4枚分)×6
無印良品

← 意外なほどイケる味。焼きあがったらバターをつけるのがおすすめ。



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ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気

Freeheld / O.S.T.
ニュージャージー州オーシャン郡。20年以上仕事一筋に生きるベテランの女性刑事ローレルは、ステイシーという若い女性と出会う。年齢も環境も違う二人は惹かれあい、郊外の家を購入して一緒に暮らすようになる。だが、幸せな生活は長くは続かず、ローレルにガンが見つかり、余命半年と宣告される。ローレルは自分が死んだ後も、愛するステイシーが思い出がつまったこの家で暮らせるように、遺族年金を残そうとするが、同性のパートナーには法的にそれが認められなかった。病気が進行する中、ローレルは、自分たちの権利を訴えて法制度改正を求める活動をはじめるが…。

同性のパートナーに遺族年金を残すため法制度や世間の偏見に挑んだ女性の実話「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」。本作はドラマ仕立てだが、ベースになっているのは、第80回アカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「フリーヘルド」だ。女性刑事ローレルは、ずっと同性愛者であることを隠してきた。オーシャン郡が保守的な土地柄で、これまた保守的な男性社会である警察組織で、生き残っていくために、やむを得なかった。彼女に好意を持つ相棒のデーンにも打ち明けていない。そのことで自分への信頼を疑うデーンに、ローレルが言う「あなたは、白人で、男性で、ストレート。私とはスタート地点が違う」という言葉が、彼女が置かれた立場の弱さを物語る。女性というだけですでにハンデなのに、さらにLGBT(性的少数者)では、どれほど勤勉で優秀でも、仕事でまっとうな評価は得られないのだ。それでもローレルは戦う。ガンで憔悴しきった彼女の訴えは、次第に影響力を増すが、彼女自身は単に遺族年金を恋人に残すという平等を求めただけ。だが周囲の人々、ゲイの権利を主張する活動家たちによって、社会的ムーブメントになっていく。この時のローレルとステイシーのとまどいがリアルだ。もしもローレルが健康なら、彼女たちはできるだけ静かな人生を送ることが望みだったのかもしれない。LGBTの権利は、先人たちのひとつひとつの努力と勇気と犠牲によって積み重ねられてきたのだ。当たり前のことを当たり前に要求することの難しさが、ローレルとステイシーのカップルの姿から痛いほど伝わってくる。演技派のジュリアン・ムーアは安定の名演、若手のエレン・ペイジはボーイッシュなステイシーを繊細な演技で好演している。終盤、病が悪化し声が出なくなったローレルに代わり、ステイシーが法廷でスピーチするシーンが感動的である。本作はLGBTの映画であると同時にフェミニズムの映画でもあるが、不当に奪われた権利を守るために戦った勇気ある人々の実話として、男女を問わず見てほしい。
【65点】
(原題「FREEHELD」)
(アメリカ/ピーター・ソレット監督/ジュリアン・ムーア、エレン・ペイジ、マイケル・シャノン、他)
(勇気度:★★★★☆)
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疾風ロンド

疾風ロンド (実業之日本社文庫)
大学の研究施設の違法生物兵器「K-55」が盗まれ、犯人から、全国民を人質に、身代3億円を要求するメールが届く。違法なので警察に届けるわけにもいかず、研究所所長は、中間管理職の研究員・栗林和幸に、秘密裏に奪還を命じる。猶予は4日間。栗林はひそかに兵器を探すがそんな時、犯人が死亡するというまさかの事態が起こる。大惨事を回避するため、隠された生物兵器を見つけねばならない。犯人の遺品とわずかな手がかりから、それが日本最大級の規模のスキー場のどこかに隠されたことを突き止める。スキー初心者の栗林は、パトロール隊員の根津やスノーボード選手の千晶らの協力を得ながら生物兵器を捜しはじめるが、そこには思わぬ事態が待ち受けていた…。

頼りない研究員が、盗まれた違法生物兵器の行方を追って奮闘するサスペンス「疾風ロンド」。原作は大人気作家・東野圭吾が17年ぶりの文庫描き下ろしとして出版した同名小説だ。多くの作品が映画化・ドラマ化されている東野圭吾だが、シリアスな社会派ドラマと、コミカルな娯楽作に分かれる。本作は後者だ。白銀のスキー場を舞台に、中間管理職のサラリーマンの悲哀、息子と分かり合えない父親の切なさ、さらに無駄にテンションが高い雪上アクションと、なかなかバラエティーに富んでいて飽きさせない。サスペンス・コメディーなので、笑いの部分はユルユルなのだが、父と息子のドラマが実は味がある。いつも貧乏くじを引いてしまう頼りないダメな父親の栗林は、男手ひとつで息子を育てているが、サラリーマンの悲しさからついつい保身に走りがち。それもこれも、大事な息子のためなのだが、息子の方は、父が正義のために頑張る姿と、何でも話せる父子の関係を望んでいるのだ。一方で、スキー場の根津と千晶の関係は、恋愛未満のもどかしさだが、雪上ですべりながらスターウォーズばりのバトルを披露する大島優子の思いがけない頑張りが光る。この人にアクションのイメージはなかったが、9歳からスノーボードをやっているそうで、雪上アクションを見事にこなしていた。監督が「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」の演出を手掛けた吉田照幸と聞いて、本作の脱力系ギャグに大いに納得。緊張と緩和がほどよいウェルメイドな娯楽作だ。
【60点】
(原題「疾風ロンド」)
(日本/吉田照幸監督/阿部寛、大倉忠義、大島優子、他)
(アクション度:★★★★☆)
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イタズラなKiss THE MOVIE ハイスクール編



落ちこぼれのおバカ女子だが明るく前向きな高校3年生の相原琴子は、入学式の日にひとめぼれした、頭脳明晰、スポーツ万能、イケメンの入江直樹に思い切って告白する。だが、冷めた性格の直樹から「頭の悪い女は嫌いなんだ」と、見事にフラれてしまう。そんな時、欠陥住宅だった自宅が崩壊。父と琴子は、父の高校時代からの親友宅に居候することになるが、そこは直樹が住む入江家だった。2年も片想いしてきた相手とひとつ屋根の下で暮らすうちに、琴子は直樹への思いを募らせていく…。

日本のみならずアジア各国でドラマ化・アニメ化されてきた大人気少女コミックを実写映画化した青春ラブ・コメディー「イタズラなKiss THE MOVIE ハイスクール編」。劇場版は全3部作になる予定で、本作が第1作となる。作者の多田かおるの急逝によって未完となった原作を、作者と交流があり、ドラマ化の企画にも携わってきた溝口稔監督が映画化した形だ。ドジだがポジティブな女の子と、イケメンのツンデレ男子との恋模様は、昨今の青春学園ドラマの定番のスタイル。目新しさはまったくない。ただ、伝説的な原作の人気は相当なもので、映画「聖の青春」の主人公が、この少女漫画を愛読していて、作者の急死により入手困難になったコミックの最終巻を探しているという設定があったほどだ。フレッシュな若手俳優が揃うが、彼らの演技が稚拙なのはご愛敬。だが原作のビジュアルにはかなり近いのではないだろうか。今回の映画の演出は、危なげないとはいえ、恋する相手との同居、学園生活でのドタバタや壁ドンなど、既視感があるものばかり。通称「イタキス」と呼ばれ、少女漫画の金字塔である原作コミックが連載されていたのは1990年代なので、21世紀の今、映像化するにはもう少し工夫がほしい。
【20点】
(原題「イタズラなKiss THE MOVIE〜ハイスクール編〜」)
(日本/溝口稔監督/佐藤寛太、美沙玲奈、山口乃々華、他)
(新鮮味度:★☆☆☆☆)
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五日物語 3つの王国と3人の女

il racconto dei racconti - tale of tales DVD Italian Import by salma hayek
3つの王国が君臨する世界。子どもを熱望するロングトレリス国の女王は、魔法使いの言葉に従い、国王の命を犠牲にして海獣の心臓を手に入れる。それを食べて男児を授かるが、やがて息子は親離れの年齢を迎える。人目を避けて暮らす老姉妹は、その美しい歌声を好色なストロングクリフ国王に気に入られる。姉は不思議な力で若さと美貌を取り戻し妃の座に収まるが、見捨てられた妹もまた若さと美を熱望していた。一方、城で暮らすハイヒルズ国の王女は城の外の世界に憧れていたが、父王の不手際で醜いオーガ(鬼)と結婚することに。断崖の洞窟で過酷な日々を過ごしながら、何とか逃げ出す機会をうかがっていた。3人の女たちの願いは叶えられるが、その果てには、運命の裏切りが待っていた…。

17世紀のナポリで書かれ、世界中のおとぎ話の原点ともいわれるイタリアの民話集“ペンタメローネ(五日物語)”を映画化したダーク・ファンタジー「五日物語 3つの王国と3人の女」。子供と母性、若さと美貌、理想の結婚と、現代にも通じる女性の性(さが)をテーマとする物語だ。おとぎ話は実は残酷なものであるという定説通り、3つの物語は、それぞれの女たちの欲望に比例するかのように皮肉で凄惨な運命が待ち受ける。特に、若い王女が醜い鬼と結婚するパートは「美女と野獣」の形ではあるが、野獣は醜く粗暴で、王女を救うヒーローもいない。ボロボロになりながら自ら運命に抗う彼女は、昨今流行の闘うプリンセスの原型のようで、興味深い。「ゴモラ」「リアリティー」で世界的にも評価が高いマッテオ・ガローネ監督は、もともと画家を志していただけあって、その美意識が突出している。本作は、イタリアに実在する世界遺産の城でロケされていたり、たっぷりと時間をかけたゴージャスかつシュールな美術が圧巻だ。ゴヤの版画集や古典ホラー映画にインスパイアされたその独特の映像は、幻想的で毒気たっぷり。CG全盛の昨今の映画の中で、本物の手触りを感じさせてくれる。サルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル、トビー・ジョーンズら、国際色豊かな名優たちの競演も見所だ。こだわりのアーティストが作った、大人のための濃厚なファンタジーである。
【75点】
(原題「TALE OF TALES/IL RACCONTO DEI RACCONTI」)
(仏・伊/マッテオ・ガローネ監督/サルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、他)
(ダーク度:★★★★☆)
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メン・イン・キャット

NINE LIVES
仕事一筋で家庭を顧みないワンマン社長のトムは、妻のララから、翌日が幼い娘レベッカの誕生日だと言われ、娘がずっと欲しがっていた猫を贈ることを決める。路地裏にあるペットショップで猫を買った帰り、トムは、猫とともにビルから転落してしまう。意識が戻ったトムは、なぜか猫と身体が入れ替わっていた。ペットショップの怪しげな店長が言うには、元の身体に戻るには、家族にふさわしい夫、そして父親にならねばならない。家族にペットとして飼われたトム(猫)は、何とか人間に戻ろうと奮闘するが…。

人間と猫の身体が入れ替わり、大切な家族の絆に気付くファンタジー・コメディー「メン・イン・キャット」。軽いコメディーだが、オスカー俳優の名優ケヴィン・スペイシー、同じくオスカー俳優のクリストファー・ウォーケンら、意外なほど豪華な演技派が顔を揃えている。大人と子供、男と女、人間と動物などが入れ替わる話は、演じる役者の演技力が求められるため、実は佳作が多いのだが、本作で入れ替わるのは、中年男性と可愛らしい猫。見た目は可愛いが中身はオッサンという「テッド」系のギャップで笑わせる。空前の猫ブームの今、愛らしい猫が出てくるだけで観客の頬が緩みそうだが、Mr.もこもこパンツという名前の猫(中身はワンマン社長のトム)は、酔っぱらったり、懸垂したり、タブレットで新聞を読んだり…と、おやじ度MAXである。ストーリーは波乱万丈だが、基本的にハートフルな物語なので、安心感は抜群。ゴーマンな仕事人間だった主人公は、猫になったことで、家族の思いやりや優しさに気付き、人知れず悩んでいた息子を助け、会社乗っ取りを企む悪者社員をやっつける。面白いのは、カメラワークや美術で、すべて猫目線、つまり低い位置からの映像で、人間の意外な姿が垣間見える。猫のMr.もこもこパンツを演じるのは6匹の俳優猫で、ロシア産の長毛種のサイベリアンフォレストキャットという種類。ロシアのプーチン大統領が秋田県知事にプレゼントした猫として知られる気品あるシベリア猫だ。他愛無い作品だが、大の猫好きなので、猫が活躍する映画にはどうしても点が甘くなってしまう。我ながら困ったものである。
【60点】
(原題「NINE LIVES」)
(アメリカ/バリー・ソネンフェルド監督/ケヴィン・スペイシー、ジェニファー・ガーナー、クリストファー・ウォーケン、他)
(ニャンだふる度:★★★★☆)
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映画とクラウドファンディング

ひとりごと現在、大ヒット公開中のアニメーション映画「この世界の片隅に」。
封切時は、わずか63スクリーンという小規模上映だったのに、全国映画動員ランキングで初登場10位という結果は、大健闘です(現在は、ヒットを受けて全国100館規模に拡大したようです)。

物語は、戦時中の広島県で、ある一家に嫁いだ18歳の少女・すずが、戦禍の激しくなる中で懸命に生きる姿を描く感動の物語。柔らかなタッチの絵柄も魅力的です。

この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック
『この世界の片隅に』製作委員会
双葉社
2016-10-26
← ビジュアルはこんな感じ。優しいタッチがいいですネ。

実はこの映画、クラウドファンディングで作られていたこと、知ってましたか?
ちなみに、クラウドファンディングとは、ごく簡単に言うと、クリエイターや起業家が、製品やサービスなどの実現のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募ることをいいます。起案者も支援者も双方にメリットがあり、映画以外の分野でも行われるシステムですが、映画の場合は、映画製作のために資金を募集するスタイルということになります。

「この世界の片隅に」は、唯一の被爆国である日本の映画が、反戦のメッセージを直接的に描くのではなく、庶民の日常を丹念に綴りながら平和を訴えた内容ということ、日本が誇る文化であるアニメーションであるということなどで、イギリス、フランス、ドイツ、メキシコ、アメリカなど、世界各国での配給が決定しています。

そんな作品が、2度目のクラウドファンディングを決行!片渕須直監督が、作品をアピールしたり、国際的な映画祭での反応を視察するために、海外に赴くための渡航費用・滞在費用を集めるためのプロジェクトとして、11月22日より、再度、クラウドファンディングを実施したわけですが、目標額の1千万円をわずか1日で達成したとのこと。すごい!映画製作の資金のためのクラウドファンディングなら、さほど驚きませんが、監督が海外に赴くための費用なので、ちょっとビックリ(*_*)。ファンの熱意が感じられます。

資金調達が厳しいけれど志が高い映画や、気に入った映画作家を応援する形として、このクラウドファンディング、ちょっと頭のすみっこに入れておいてください。投資ということ以外に、映画に“参加する”喜びが、味わえます (^^)b

この世界の片隅に 劇場アニメ絵コンテ集
「この世界の片隅に」製作委員会
双葉社
2016-11-02
← これ、個人的にちょっとほしいです(笑)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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