映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「高慢と偏見とゾンビ」「SCOOP!」「世界一キライなあなたに」」etc.

函館珈琲



北海道・函館にある古い西洋風アパートの翡翠館では、オーナーが夢を追う若者たちにアトリエ兼住居として部屋を貸し出していた。そこに住んでいるのは、装飾ガラス職人、テディベア作家、ピンホールカメラの写真家たち。夏のある日、入居予定だった家具職人・藪下の代わりに桧山英二が翡翠館にやってくる。古本屋を営む予定の英二は、実は小説家だが、昔書いた小説「不完全な月」以降、思うような作品が書けず苦悩していた。英二が仕事の合間に淹れるコーヒーの香りに誘われるように、翡翠館の住人たちが集まり、互いの距離を縮めていくが…。

函館港イルミナシオン映画祭のシナリオ大賞映像化プロジェクト第1弾作品である「函館珈琲」。函館を舞台にするのが条件のオリジナル脚本で、いわゆるご当地映画だが、無理に伝統芸能や特産品、観光地やお祭りなどを盛り込むことはせず、おしゃれな癒し系映画に仕上がっている。その街をただ背景にするだけで、魅力や風情がしっかりと伝わるのだから、函館という街は本当に絵になる街だ。翡翠館のオーナーが住人を選ぶ基準は“翡翠館にふさわしい人物かどうか”。そこに住むアーティストたちは、それぞれ心に傷や悲しみを秘めながらも懸命に前向きに生きていて、新しい住人となる英二にも、それが求められている。珈琲とその香りは、孤独を抱える大人たちをつなぐツールの役割を果たしているのだ。我が子に会えない寂しさ、遠い故郷への想い、人と接することへの恐れなど、それぞれの思いを知った英二が感じ取るのは、何も生み出さない自分への怒りと苛立ち。同時に、逃げ続けていた自分の時間をもう一度動かす勇気だ。傷ついた主人公の再生というストーリーに目新しさはないが、ゆったりと柔らかな時間が流れるこの作品には、確かにちょっと癒される。
【55点】
(原題「函館珈琲」)
(日本/西尾孔志監督/黄川田将也、片岡礼子、Azumi、他)
(癒し度:★★★★☆)
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メカニック:ワールドミッション

Mechanic: Resurrection (Original Motion Picture Soundtrack)
暗殺業から手を引いて、ブラジルで平穏な日々を送っているビショップのもとに、かつてビショップを裏切って逃走し姿を消した兄弟子クレインから殺しの依頼が入る。愛する女性ジーナを人質に取られ、やむなく引き受けることに。依頼の内容は、武器商人として暗躍する巨大フィクサー3人を事故に見せかけ殺すことだった。着々と仕事を進めるビショップだったが、仕事が成功しても失敗しても、クラインが計画遂行後に自分とジーナを殺害することを知る…。

チャールズ・ブロンソン主演の同名作をリメークしたアクション映画「メカニック」の続編「メカニック:ワールドミッション」は、オリジナル脚本で、豪華キャスト、ワールドワイドな活躍と、すべてがスケールアップしている。機械のように正確無比、殺しの痕跡をいっさい残さない完璧な仕事ぶりからメカニックと呼ばれる凄腕の殺し屋ビショップが今回ターゲットにするのは、世界を裏で牛耳る武器商人たち。死んで当然のワルたちなのだが、ターゲットを消すためのビショップのミッション遂行計画が、意外性と創意工夫に満ちていて、なかなか楽しい。50歳に近いステイサムがほとんど自分でこなすアクションは切れ味抜群で、特に、元飛込競技の選手という特性を活かした水中でのシーンがいい。高所からの飛込み、空中のプールでの暗殺、海中を自在に動いてのアクションなど、見せ場もメリハリが効いている。3番目のターゲットを演じるトミー・リー・ジョーンズのぶっ飛んだ悪役ぶりも見所だ。主人公は凄腕暗殺者という設定上、ビショップの強さばかりが際立つのはいいとしても、女性キャラがあまりにもサエないのはいかがなものか。アクションもこなせるミシェル・ヨーはチョイ役に過ぎないし、ビショップが愛するジーナ役のジェシカ・アルバにいたっては、米軍の特殊部隊の元兵士という設定なのに何の役にもたっていないばかりか、ビショップのじゃまになってばかりいるという有様で脱力してしまう。ステイサムありきの作品と割り切って見れば楽しめるアクション映画だ。
【55点】
(原題「MECHANIC:RESURRECTION」)
(アメリカ/デニス・ガンゼル監督/ジェイソン・ステイサム、ジェシカ・アルバ、トミー・リー・ジョーンズ、他)
(暗殺スキル度:★★★★★)
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白い帽子の女

Ost: By the Sea [12 inch Analog]
1970年代、アメリカ人小説家ローランドと妻ヴァネッサは、バカンスで南仏の海辺のリゾートホテルを訪れる。夫は毎日カフェに通いつめ、妻はほとんどホテルの部屋から出ることはない。ある不幸な出来事から夫婦の間には大きな溝が出来ていて互いに心の傷を抱えていたのだ。そんな時、ハネムーンで若いフランス人カップルが彼らの隣室に滞在する。妻のヴァネッサは自分たちとは何もかも対照的な幸せなカップルを嫉妬のまなざしでみつめるが…。

過去の不幸な出来事から心が離れてしまった夫婦の愛と葛藤、再生までをみつめるドラマ「白い帽子の女」。本作の日本公開を前にして、アンジーとブラピのビッグ・カップルの電撃離婚という大ニュースが飛び込んできて、もっぱら話題はそちらにいってしまった感がある。しかし、彼らのリアルな破局のニュースを知ってこの作品を見ると、ブランジェリーナ最後の夫婦共演、問題を抱えた夫婦がそれぞれの心の傷に向き合う物語、美しいがどこか寂しく世間から忘れられたような海辺の風景と、深読み要素たっぷりの内容に思えるのだ。1970年代の南仏という設定だが、映画そのものも、まるで70年代の仏映画のように、良くも悪くもノスタルジックである。携帯が存在しない時代の海辺のホテルは、世界から隔離された密室のようなもので、どこにも逃げ場がない。ホテル、カフェ、小さな入り江しか登場しないこの映画は舞台の会話劇にも似た濃度があるが、そこに開放感と人生の意味を示すのが、ヴァネッサがホテルの部屋から眺める漁師の存在だ。朝、広い海に毎日小舟で漕ぎ出しては、ほとんど収穫もなく、夕方に戻ってくる。漁師の顔は見えないので普遍的な人間の象徴だろう。人生とは、沖に出てまた戻る行為の繰り返し。しかしそこには、小さな喜びや確かな満足を感じる日がきっとある。同時に、悲しみや痛みに折り合いをつける術も学んでいくのだ。戻る場所があるという幸福をかみしめながら。アンジーの監督作は過去2作とも、戦争(内戦)の悲劇を描いた社会派ドラマだったが、本作は夫婦の危機という非常にパーソナルな内容でまったくテイストが異なる。本作からアンジェリーナ・ジョリー・ピットとクレジットされていること、心がすれ違う夫婦の再生のドラマを描きながら現実では破局へと至ったことなどを考えると、アイロニックなムードが色濃く漂う。映画はいつでも、現実を取り込みながら物語を語るメディアなのだということを痛感してしまった。 
【65点】
(原題「BY THE SEA」)
(アメリカ/アンジェリーナ・ジョリー・ピット監督/ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー・ピット、メラニー・ロラン、他)
(すれ違い度:★★★★☆)
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ハドソン川の奇跡

機長、究極の決断 (静山社文庫)
2009年1月15日、厳冬のニューヨーク。160万人が暮らすマンハッタン上空850メートルで突如、前方からの鳥の衝突が原因で航空機事故が発生する。全エンジンが完全停止し、制御不能となった旅客機が高速で墜落を始める中、ベテランの機長サレンバーガーは、必至の操縦により、70トンの機体を目の前を流れるハドソン川に着水させる。乗客乗員155名全員無事という奇跡を成し遂げたサレンバーガー機長は、たちまち英雄としてマスコミに取り上げられる。だがその裏では、機長の判断を巡って、国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われていた…。

実際に起こった航空機事故とその後の顛末を描く人間ドラマ「ハドソン川の奇跡」。2009年1月15日に起こった航空機事故で、乗客全員が生還した奇跡的な出来事は、当時、日本でも大きく取り上げられた。だが、クリント・イーストウッド監督は、この実話を凡百の感動作には描かない。人命を救った英雄であるはずのサレンバーガー機長が“容疑者”として厳しい追及を受けていたという知られざる事実を描いて、英雄的行為の代償を描くドラマに仕上げた。川に着水したのは本当に正しい判断だったのか。空港に引き返す選択肢もあったのでは。だとしたら、サレンバーガー機長がしたことは、高額の航空機を破損させ、乗客の命を危険にさらしたことになる。航空会社と国家運輸安全委員会が、機長に対してこんな理不尽な追求を行っていたことは、この映画を見るまでまったく知らなかった。名優トム・ハンクス演じる機長は、常に冷静沈着だが、一人になったときや眠ったとき、もし最悪の結果を招き人命を損なったとしたら…という悲惨な悪夢に苛まされていた。さらにプロ意識に徹して誠実に仕事をこなしてきたとはいえ、表舞台にでることがなかった自分が、突然マスコミによって英雄に祭り上げられてしまうとまどいもある。そんなサレンバーガー機長のプレッシャーと苦悩が痛々しい。だがパイロット歴40年のベテラン機長は、航空会社が、コンピューターによるシミュレーションで機長の判断ミスを実証しようとする中、コンピューターの計算では決してはじきだせない人間の感情を武器に戦ってみせるのだ。そこには初めて経験する危機を前にした生身の人間の焦りや逡巡、その中から生まれる最善の選択がある。チェスや囲碁の世界でも機械が、人間の能力に追いつき追い越そうとしている現代社会。名匠イーストウッド監督は、生と死のギリギリの状況の中でこそ、人間らしさが必要で、それは単純な計算では決して生まれない強さなのだと訴えている。いくらでも冗長にできる物語を、約90分にキリリとまとめてみせた編集が潔く、緊張感を持続させてくれる。いい意味での古風な人間讃歌を作るイーストウッド監督らしさが出た良作だ。
【75点】
(原題「SULLY」)
(アメリカ/クリント・イーストウッド監督/トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー、他)
(人間性度:★★★★☆)
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闇金ウシジマくん Part3



派遣の仕事で食いつなぐフリーターの沢村真司は、ひと目ぼれしたモデルのりなが求める理想の男になりたくて“ネットで秒速1億円を稼ぐ”というネット長者の天生翔の広告につられ、人生の一発逆転を狙って無料セミナーに参加するが、情報商材ビジネスの泥沼にハマっていく。一方、大企業のサラリーマンの加茂守は、妻帯者でありながら、不倫とキャバクラ通いを繰り返し、目下の目標は美人のキャバ嬢・花蓮を落とすこと。欲にまみれて闇金を訪れた挙句、転落していく人々の前に、法外な金利で金を貸す闇金、カウカウファイナンスの社長・ウシジマが立ちはだかる…。

非合法な金利で金を貸し付ける金融屋・ウシジマが、金に踊らされる人々の転落を冷酷な目で見つめる人気シリーズの劇場版第3弾「闇金ウシジマくん Part3」は、真鍋昌平による原作コミックの「フリーエージェントくん編」「中年会社員くん編」がベースになっている。うさんくさい情報商材ビジネスに金をつぎ込む若者と、遊ぶ金欲しさに借金を重ねるサラリーマンの2つの物語だ。10日で5割(トゴ)という法外な金利で金を貸す闇金業者・ウシジマくんこと丑嶋馨は、冷酷でありながら、常に1本筋が通っており、彼が追い詰めていく金欲にまみれた人々の転落を通して、現代の日本社会の病巣が浮かび上がる。過去、映画化されたエピソードでは、ウシジマに金を借りた人々はとことん堕ちていくが、今回、ネットビジネスのマネーゲームに巻き込まれた若者・真司のエピソードは、予想外の展開をみせるのが興味深い。負け犬人生からの脱却を目指し、怪しげなビジネスにのめり込むのは確かに浅はかだ。家族や友人、罪のない人までも踏みつけにし、人をだましてつかんだ一時的な成功は、いかにも危うく、真司の転落は容易に予想できる。だが映画は、夢を見るのが難しい時代に生きる若者の目を、最後に開かせ、ささやかだが意味のある希望を与えているのだ。遊ぶ金欲しさに愚行を繰り返す中年サラリーマンの加茂のみじめな運命と対照的なのは、未来の日本を担う若者への期待を込めているのだろう。より深読みするとしたら、ネットやSNSが当たり前のデジタル社会を生きるイマドキの若者が、金に踊らされながらも、どこか他人事のように自分をみつめる、冷めた客観性を持っているからこそ、最後の最後に自分を見失わずにすんだとも考えられる。主人公を演じる山田孝之、情報屋の綾野剛ら、レギュラーメンバーが続投。主人公であるウシジマの登場が少ないのは残念だが、続けて公開されるThe Finalへのウォーミングアップというところだ。
【60点】
(原題「闇金ウシジマくん Part3」)
(日本/山口雅俊監督/山田孝之、綾野剛、本郷奏多、他)
(転落度:★★☆☆☆)
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ある天文学者の恋文

Correspondence (La Corrispondenza)
天文学者エドと、教え子のエイミーは、秘密の恋をしていた。その日もホテルの一室で愛しあった後、エドは自宅へと戻っていった。ある日、出張中のエドからエイミーにメールが届く。だが同じ日、大学の講義が始まる前、エドが数日前に亡くなったという衝撃的な訃報が届く。驚くエイミーだが、それからもエドから、次々にメールやプレゼントが届き続けた。エドが残した謎を解き明かそうと、エイミーは、エドが暮らしたスコットランドのエジンバラ、二人で訪れたイタリア湖水地方を訪れる。そこで、エイミーが誰にも言えずに封印してきた過去を、エドが密かに調べていたことを知るのだが…。

死んだはずの恋人から届くメッセージの謎を解き明かすラブ・ストーリー「ある天文学者の恋文」。亡き恋人からの手紙や贈り物の意味は?誰かのいたずらなのか。死者からの不思議なメッセージなのか。もしやエドはまだ生きているのか。ミステリアスなその謎を調べる主人公エイミーの旅は、そのままエイミー自身をみつめる旅になっていく。謎を解くカギのひとつは、天文学者エドと教え子エイミーが星と天空を愛し、その神秘に魅せられていることだ。夜空で美しく輝く星は、その輝きが地球に届く時、もしかしたらもう何年も前に消滅しているかもしれないという不可思議な事実。時間と空間を超えて届く輝きがあるように、本物の愛もまた、時を超えて届けられる。ミステリーの詳細は映画を見て確かめてほしいが、エドの愛情の伝え方は、考えようによっては恋人をいつまでも束縛するエゴイスティックなものともいえる。それでも最愛の人が誰にも言えずに抱えていた苦しみを和らげようと、人知れず心を砕くのは、恋人の愛であると同時に、大人の慈愛のようで胸にしみる。名優のジェレミー・アイアンズが、老天文学者の大きな愛と内に秘める寂寥感を静かに熱演して味わい深い。スコットランド・エジンバラの落ち着いたたたずまいや、イタリア湖水地方のサン・ジュリオ島の美しさが、物語を彩り、少し風変わりなラブストーリーに、エンニオ・モリコーネの美しいメロディーがそっと寄り添っている。ジュゼッペ・トルナトーレ監督が近年得意とするミステリー仕立ての恋愛映画だ。
【60点】
(原題「CORRESPONDENCE/LA CORRISPONDENZA」)
(イタリア/ジュゼッペ・トルナトーレ監督/ジェレミー・アイアンズ、オルガ・キュリレンコ、、他)
(ミステリアス度:★★★★☆)
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真田十勇士

映画『真田十勇士』オリジナル・サウンドトラック
関が原の戦いから約10年、徳川家康は天下統一を目前にしていた。徳川方と、豊臣秀吉の遺児・秀頼と母である淀殿を中心にした豊臣家との対立が深まっていた頃、大阪城には、豊臣方の武将が続々と集結していた。その中心的人物は天下の武将として名をはせる真田幸村と彼が率いる真田十勇士。だが実は幸村は、男前な容貌と、奇跡的な幸運で武功をあげ、周囲から誤解されていただけの平凡な武将だったのだ。そんな時、世の中を面白くしようと抜け忍になった猿飛佐助が、幸村を本当の猛将へと仕立てあげようと提案する。佐助は同じく抜け忍の霧隠才蔵ら10人の仲間を集め、真田十勇士を結成し、大坂冬の陣・夏の陣に挑んでいく…。

2014年に上演され、ヒットを記録した舞台を映画化した痛快時代劇「真田十勇士」。アニメ化もされたというだけあって、映画冒頭の登場人物紹介のパートはすべてアニメーションによって表現されている。歴史を「もし…だったら」と仮定した映画はたくさんあって、どれも、時にコミカル、時にシリアス、現代を照射するストーリーが持ち味だが、この作品もまたしかり。何しろNHKの大河ドラマでも話題の真田幸村を、腰抜けの凡人に描くのだから、かなりの改変である。猿飛佐助のモットーは、面白く生きること。何でもありの彼の周辺では、いったい何が本当で何が嘘なのかわからなくなるほど、突拍子もない出来事が起こる。佐助の強烈な磁場は周囲に広がり、ついに真田幸村その人さえも激変させていくという展開だ。舞台らしさを残したセリフと、いい意味での節操の無い演出は、いかにも、あらゆるジャンルの映画作品を手掛ける堤幸彦監督らしい。主要キャストである猿飛佐助の中村勘九郎と霧隠才蔵の松坂桃李は舞台版に引き続きの出演。ノリで突っ走るような物語だが、冒頭のアニメと共に、エンドクレジットで登場する、真田十勇士たちのその後のワールドワイドな活躍に胸が躍った。ハチャメチャながら、ところどころで歴史に符合するのが楽しい。
【65点】
(原題「真田十勇士」)
(日本/堤幸彦監督/中村勘九郎、松坂桃李、大島優子、他)
(ノリの良さ度:★★★★☆)
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2016年はアニメの当たり年

ひとりごと新海誠監督のアニメーション映画「君の名は。」の勢いが止まりません!爆裂大ヒットは続いていて、100億円突破も確実。というより、どこまで数字が伸びるか楽しみです。

「君の名は。」の勢いに追随するように、9/17から公開されたのが同じくアニメーション映画の「映画 聲の形」。声ではなく“聲”で、漢字が難しいのがちょっと困ったモンですが…(苦笑)。

2つのアニメは「いずれアヤメがカキツバタ」というくらいの秀作なんですが、2本はまったくテイストが異なります。ヴィジュアルもストーリーもメッセージも対局といってもいいほど。ついでに配給会社も別です (;^_^A

「君の名は。」がファンタジーで広大な広がりを見せるのに対し、「映画 聲の形」はリアルな世界の中で、痛ましいまでの深みがある作品。立場上、ネタバレはできないんですが、どちらも、いい意味で、予想を裏切るストーリーです(聲の形は原作があるので、原作ファンはある程度予想できますが…)。

いやはや、日本のアニメが実力あるのはわかっていても、こんなにも近いスパンでこれほどの秀作が2本続けて公開されるとは!もう、鼻血が出そう(笑)。

海外の作品でも「ファインディング・ドリー」や「ズートピア」などの秀作アニメのヒットもありましたし、2016年は、間違いなくアニメの当たり年ですね。喜ばしい!10〜12月公開作のアニメにも期待しましょう♪





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映画「聲の形」

映画 聲の形 オリジナル・サウンドトラック a shape of light[形態A]
ガキ大将だった小学生の石田将也は、聴覚障害を持つ西宮硝子が転校してきたことで退屈な日々から解放される。硝子に対して心無いイジメを繰り返した将也は、ある時を境に自分がイジメの対象になって孤立する。硝子は転校し、将也は自らの殻に閉じこもったまま5年が経ち、二人はそれぞれの場所で高校生になった。将也は伝えたい思いを胸に、硝子のもとを訪れるが…。

元ガキ大将だった少年と聴覚障害を持つ少女を軸に、少年少女たちの切ない青春を描くアニメーション「映画「聲の形」」。「けいおん」を手掛けた京都アニメーションが作画、「たまこラブストーリー」の山田尚子が監督を務める。ふんわりとしたビジュアルはハートフルなラブストーリーを連想させるが、この作品は予想外の重さと深みがある秀作だ。映画冒頭、小学生の将也が聴覚障害を持つ硝子をイジメ抜くシークエンスは、嫌悪感を感じる。さらに将也のイジメに加担していたはずの級友が、手のひらを返したように将也をイジメて将也が孤立する展開には、さらなる嫌悪感。いきなりのヘビーな物語に驚いてしまったが、本当の驚きはその後にやってくる。過去に硝子をイジメたことを悔いた将也は硝子と友達になろうと奮闘する。当然、ラブストーリーに傾くのだが、この物語はそれだけでは終わらず、将也、硝子、彼らの旧友たちと新しくできた友人たち、それぞれの感情と心理を丹念に救い取る群像劇へと変化していくのだ。友情、恋愛、わだかまり、嫉妬、自己嫌悪に鬱屈。思春期の彼らは、混乱しながらも自分の居場所を探している。物語のテーマはコミュニケーション。耳が不自由な硝子は、懸命に思いを伝えようと奮闘する。だが音や声が聞こえるはずの将也や周囲のものたちもまた、誰かに自分の思いを伝えることの難しさを身をもって知ることになる。「友達になって」「好きです」。これらの言葉を伝える手話、表情、声にならない叫びが、もどかしくも切ない。長い原作を129分の映画にまとめた脚本、京都アニメーションの安定した作画、声優たちの感情表現と、すべてのクオリティが高い。わかりやすいハッピーなラブストーリーを期待すると大きく裏切られるが、アニメーションにして、これほどリアルに青春の陰影を描く作品にはめったにお目にかかれない。この物語の登場人物たちが、自分と他者を受け入れようともがく姿に、生きる決意が屹然と立ち上ってくる。
【85点】
(原題「映画「聲の形」」)
(日本/山田尚子監督/(声)入野自由、早見沙織、悠木碧、他)
(心理描写度:★★★★☆)
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レッドタートル ある島の物語

レッドタートル ある島の物語
荒れ狂う嵐に遭って、九死に一生を得た男が無人島に流れ着く。男はイカダを組み、何度も外海へと漕ぎ出すが、毎回、何者かの妨害にあって、島に引き戻されてしまう。絶望的な状況に陥った男の前に、ある日、一人の女が現れる…。

「岸辺のふたり」でアカデミー短編アニメーション賞を受賞したマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督が放つ詩情豊かなアニメーション「レッドタートル ある島の物語」。ジブリが初めて手掛ける外国人監督の映画であること、名匠・高畑勲が脚本と絵コンテで協力していることなど、アニメファン、ジブリファンの間で話題となっていた作品だが、哲学さえ感じる、大人向けの秀作アニメーションに仕上がっている。本作に感じるのは、圧倒的な情報量の日本のアニメやド派手なハリウッドのアニメーションとはまったく違う、繊細な手触りの、いわば“引き算の美学”。典型的なアート系アニメーションといえよう。簡素な線で描かれた絵柄は、人間の瞳の表情さえも小さな黒丸で表されるだけのシンプルな描写だし、せりふやナレーションもなく、テロップなどの説明もない。無人島に流れ着いた男が、何度も何度も島からの脱出を試みては失敗するのは、人知が及ばない何の力が働いているのではないか。やがて登場する大きな赤い海亀はいったい何を象徴しているのか。男の前に現れる女は、もしや、海、そして自然そのものなのだろうか。さまざまな疑問が胸をよぎるが、情報が削ぎ落されたこのアニメーションは、物語の解釈を観客に委ねて、それぞれの答えをおおらかに受け入れてくれる。誰もが共通に感じるのは、人間もまた大きな自然の一部なのだとのメッセージだ。不思議な赤いカメは、太古から連綿と受け継がれ、これからもつないでいく命の象徴、そして愛と希望そのものに思える。愛らしい赤ちゃん亀や、どこかコミカルなカニたちの姿が微笑ましいアクセントになっているのもいい。孤独になり、家族を持ち、理不尽なまでの不幸を経験しても、懸命に前を向くことができるのが、人間の原初的な力だ。この神話的な物語が、絶妙に現実とリンクしていることに気が付くのは、見終わった後。豊かな物語を見た後だけに感じることができる芳醇な満足感がそこにある。
【85点】
(原題「LA TORTUE ROUGE」)
(日本・フランス/マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)
(ポエティック度:★★★★★)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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