2009年07月03日

映画レビュー「ディア・ドクター」

ディア・ドクター オリジナル・サウンドトラックディア・ドクター オリジナル・サウンドトラック
◆プチレビュー◆
嘘と真実が入れ替わる不思議。若手女性監督のエース・西川美和監督の深い心理描写が光る。 【85点】

 山あいの村でただ一人の医者・伊野が失踪する。彼は誰からも慕われ頼りにされていただけに村中が動揺するが、捜査が進み、伊野の生い立ちや職歴などすべてが曖昧であることが分かる。やがてある嘘が浮かび上がり…。

 主人公・伊野はニセ医者だ。ミステリアスな話なのに最初からネタばれするとは!と叱られそうだが、物語のポイントは正体を暴くことではないので、あえて書く。嘘の中にひそむ真実、あるいは真実にくるまった嘘。二つが入れ替わり混ざり合う瞬間を探ることがこの映画の極意である。

 日付改ざんや産地偽装などニセモノ騒ぎは数多いが、医師免許なしの医療行為となると大問題だ。しかし捜査を進めれば進めるほど、伊野がいかに好人物で優秀かが分かってくる。高額の報酬に見合う、本物顔負けの高度な施術だって行なっていたのだ。偶然と必然が重なって、知識を身につけた結果だが、命を救ったことは事実である。しかもそこには、都会の医療現場では望めない、心の触れ合いまで存在した。僻地医療や高齢化の問題が奇麗事ではなく横たわる村にあって、患者が本当に望む生き方と死に方に耳を傾ける。この行為に資格が必要か? にわかに主人公をかばいたくなるが、コトはそう単純ではない。

 その証拠に、伊野がニセ医者だと知ったときの周囲の反応は複雑だ。村人は、伊野を素直に肯定はしないが、否定もしない。彼らにはたとえ無免許でも医者が必要だったのだ。村人よりもやりきれない気持ちを抱いたのは、若い研修医の相馬だろう。惰性の研修で訪れた僻村で充実した日々を過ごし、医者としての自覚が芽生えた彼に「ニセ医者」という事実は、まさに踏み絵だ。裏切られた悔しさとそれを口にしない巧妙さ。彼の曖昧な表情の中には、医療とは何かという、医者が一生かけて探す命題が刻まれた。

 本物と偽者という本作の通奏低音は、キャスティングからも響いてくる。ニセ医者・伊野を演じるのは、柔和な笑顔の笑福亭鶴瓶だ。この人の本職は落語家であって俳優ではないことは、物語に絶妙にリンクする。唸るのは、そこにベテランの八千草薫をぶつけた妙技だ。彼女が演じる老婦人の病はかなり悪いのだが、住み慣れた土地で納得できる死を迎えたいと願う気持ちを、本物の医者である実の娘ではなく、ニセ医者の伊野が受け止める。老婦人は、もしかしたら何もかも知っていたのではないか。そんな思いさえよぎった。「先生、私と一緒に嘘ついてくださいよ」。劇中で、最も切なく凄味のあるセリフだ。こんな言葉を柔らかく言えるのは八千草薫が本物の女優だからに他ならない。

 物語や神話には、身につければ姿を変えることができるグッズが多く登場する。本作では白衣がその役割を果たす。主人公はそれを着て医者に変身したが、元の姿に戻れず、ついには姿を消した。「あんたたちが伊野を本物に仕立て上げたんじゃないのか」。刑事が言うこのセリフは村人に向けられたものだが、日本の医療制度の矛盾への言葉にも聞こえてしまう。人には信じたいものを信じる習癖があるという。映画はニセ医者を糾弾しない。同時に好人物として擁護もしない。単純な二分法では答えは出ないのだ。善と悪。本物と贋物。その間で揺れ続ける人間心理を、医療という切実な問題を通して問いかけ上質な深みへと導いていく。これこそ“本物の映画”のなせる技だ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)問題提起度:★★★★★

□2009年 日本映画
□監督:西川美和
□出演:笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、他

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cinemassimo at 00:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!映画レビュー2009 
2009年07月02日

子供の情景

「自由になりたいなら死ね」。これほど悲痛な言葉があろうか。しかもそれは“戦争ごっこ”という遊びの中で幼い子供の口から出たものだ。やるせないというより背筋が凍る思いである。アフガニスタンに住む6歳の女の子バクタイが、勉強したいと強く願い、男の子の妨害にも負けず、川向こうの学校を目指して奮闘する。ハナ・マフマルバフ監督のまなざしは、無垢な子供の心情を丁寧に描きながら、戦争の悲劇や不条理を照射して、鋭さをみせる。最初と最後に映し出されるバーミヤンの仏像が破壊される映像が象徴的だ。タリバンの残党の暴力は未だに消えない。だが、たとえモニュメントは壊れても、バクタイのように大人にもいじめっ子にも決して屈しないたくましい少女の存在こそが、アフガンという国の希望に思えた。
【70点】
(原題「Buddha Collapsed out of Shame」)
(イラン・フランス/ハナ・マフマルバフ監督/ニクバクト・ノルーズ、アッバス・アリジョメ、他)
(いたいけ度:★★★★☆)

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2009年07月01日

群青 愛が沈んだ海の色

長澤まさみのどんよりとした表情で、この女優の定番である死と病の“泣き”の方向がつかめてしまう。沖縄の離島で暮らす、最愛の妻を病で失った父と、やはり幼馴染の恋人を海の事故で失った娘の、愛の喪失と再生を描く物語だ。少し大人っぽくなった長澤まさみに出会えるが、内容が情けないほど陳腐で、沖縄版「タッチ」のようなストーリーに鮮度は皆無。父と一也はまったく漁師(ウミンチュ)に見えず、幼馴染の3人の友情も愛情も伝わらない。終盤、ヒロインが心の病から立ち直る展開の説得力のなさにはあきれるばかりだ。再生こそがこの物語のテーマなのに、そこが雑でどうするのか。複雑な歴史を持つ沖縄の地の精神風土はもっと力強く魅力的なはず。タイトルである海の群青色の美しさだけが慰めだった。
群青 愛が沈んだ海の色 オリジナル・サウンドトラック【20点】
(日本/中川陽介監督/長澤まさみ、佐々木蔵之介、福士誠治、他)
(マンネリ度:★★★★☆)

群青 愛が沈んだ海の色 オリジナル・サウンドトラック



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2009年06月30日

試写室だより 09.06月下旬

試写室だより 全国的に雨模様。梅雨!って感じです。強い日差しと突然の雨が混合するこの季節、試写室までの道のりで活躍するのが晴雨兼用の日傘。暑さに弱い私には必需品で、今年、新調したのですが、思わぬ機能が付いていました。買うときには気づかなかったその機能とは…。
柄の部分は室内では透明なんですが、屋外で紫外線にあたるとなんと色が変化するんです。透明の柄がみるみる黒く変わっていくじゃありませんか。ビックリしたなぁ、モウ。呪いの日傘か?!と動揺しました。ホラー映画「呪怨」を連想しましたよ。いや、冗談抜きで。
こらぁ〜っ、日傘っ!脅かすんじゃないやいっ!!

最近見た主な映画は以下。
「そんな彼なら捨てちゃえば?」「クヌート」「モンスターVSエイリアン」「湖のほとりで」
「キャデラック・レコード」「ナイト・ミュージアム2」「縞模様のパジャマの少年」
「アマルフィ」「ごくせん」などなど。

6月30日は「ハーフタイムデー」。一年も残す所あと半分という意味だそうです。
上半期、心に残った映画を思いつくままに…。
「チェンジリング」「ベンジャミン・バトン」「スラムドッグ$ミリオネア」「グラン・トリノ」
「レスラー」「愛を読むひと」「チェイサー」「愛のむきだし」「ハゲタカ」「ディア・ドクター」

下半期も、名作・秀作を期待しましょう!

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2009年06月29日

扉をたたく人

地味だが丁寧に作られた人間ドラマだ。60歳を超えて初主演の名脇役リチャード・ジェンキンスの渋い演技が味わい深い。孤独な大学教授ウォルターは、NYでシリア出身の青年タレクと出会い心を通わせるが、タレクが突然不法滞在を理由に拘束されてしまう。9.11以降、米国は、移民や不法滞在者に対して厳しい態度をとっている。移民によって作られた国が扉を閉ざす不寛容は、悲痛なものだ。だが映画は難しい社会派ドラマには寄らず、アフリカン・ドラムのジャンベという楽器の音色に思いを託すクレバーなスタイルをとった。湧き上がるリズムと人との出会いで、主人公は生きる喜びを再び感じ始める。物語の結末は現実を反映した苦いものだが、ウォルターが地下鉄の構内でジャンベを演奏するラストに希望を見出したい。
The Visitor [Original Motion Picture Soundtrack]【70点】
(原題「THE VISITOR」)
(アメリカ/トム・マッカーシー監督/リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス、他)
(不寛容度:★★★★☆)

The Visitor [Original Motion Picture Soundtrack]

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2009年06月28日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

前作「序」は復習モードで不満だったが、本作「破」はまずは合格点。迫力のCGはもちろん、新キャラの登場、中学生らしい恋愛感情や大人もニヤリのセクシーショット、さらにはスポンサーに配慮した細部の描写と、実にサービス精神が旺盛だ。物語は、汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオンに乗って戦う14歳の少年シンジが、父との関係や戦うことの意義で悩みながらも、謎の敵・使徒との激戦に巻き込まれていく様を描くもの。エヴァの特徴である抒情性と残酷性の両面がエモーショナルで、ファンならずとも圧倒的な映像美に目を見張るだろう。

メガネっ子というマニアックなルックスの新キャラのマリと、登場時間は少ないが意味深なセリフが気になるカヲルの二人の存在は、本作ではまだ謎めいている。その分、レイとアスカの心理描写は丁寧だ。彼女たちの感情の揺れや他者への思い、シンジとの距離が近くなる展開は、心の底の悲しみがにじむようで胸が詰まる。レイが言う“ポカポカ”する気持ちをみんなが味わう日は来るのだろうか。まだまだ物語は途中だが、混沌から始まるであろう次回作への期待は高まった。ただ、激しい戦闘シーンで流れる有名曲の選曲にビックリ。激しく好みが分かれそうだが、妙に記憶に残るという意味で効果は絶大だ。稀に見る“後ろ向きな性格”の主人公には案外ピッタリかもしれない。例によってエンドロールの後に予告編と重要なシーンがあるので席を立たずに最後まで鑑賞しよう。
エヴァ破
公式サイト
FIGURE魂 新劇場版ヱヴァンゲリヲン(破) マリ【70点】
(日本/(監督)摩砂雪、鶴巻和哉 (総監督)庵野秀明/(声)緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、他)
(ポカポカ度:★★★★☆)

←これが新キャラのマリ。2号機の裏機能をなぜか熟知

FIGURE魂 新劇場版ヱヴァンゲリヲン(破) マリ

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2009年06月27日

映画レビュー「それでも恋するバルセロナ」

Vicky Cristina Barcelona [Motion Picture Soundtrack]Vicky Cristina Barcelona [Motion Picture Soundtrack]
◆プチレビュー◆
人生は貪欲に楽しむべし。バルセロナの街の魅力を堪能できるアレン流のラブ・コメディーだ。 【65点】

 夏のバカンスでバルセロナを訪れた親友同士のヴィッキーとクリスティーナは、セクシーな画家フアン・アントニオと知り合う。積極的なクリスティーナと慎重派のヴィッキーは共に彼に惹かれていくが…。

 いきなりサッカーの話で恐縮だが、08−09シーズンの欧州チャンピオンズ・リーグは、FCバルセロナが制した。勝利至上主義のサッカー界で、このチームが頂点に立ったのは、誰もが魅惑的なフットボールを渇望した帰結ではなかろうか。バルサのファンはたとえ勝ってもつまらない試合は許さない。美しく楽しいサッカー。それがバルセロナの魂だ。前置きが長くなったが、1−0で勝つのがお行儀のよい恋愛だとすると、アレンが描くこの艶笑話は、4−4で引き分けたが、観客も選手も最高に楽しんだ試合によく似ている。

 さて本題の映画だが、舞台は官能の香り漂う夏のバルセロナ。異邦人には、情熱的で少し危険な街だ。そんな場所で繰り広げられるのは、男一人に女二人の三角関係、いや、四角関係。いやいや、正確に言えば3.5角関係の大騒ぎである。男優冥利につきる役を演じるのは、ハビエル・バルデムだ。このデカくて濃い顔のモテ男を奪いあうのはいったいどんな女性たちだろう。

 婚約中のヴィッキーは堅実型。彼女を基準に物語を眺めると、恋愛観の振り幅がよく分かる。出会ったばかりのフアン・アントニオの「旅行に行こう。そして3人でワインを飲んでセックスしよう」の言葉に憤慨しながらも心が揺れる。平穏な人生こそ望みだが、ちょっぴり“罪深さ”に憧れるその気持ち、多くの女性が頷くはずだ。一方、クリスティーナは前述のフアン・アントニオの提案に大喜び。奔放より尻軽という言葉が思い浮かぶが、なぜだか憎めない。親友同士の危険な三角関係になりかけるが、自由なクリスティーナは彼とさっさと同棲してしまい、一応の決着を見たかに思えた。だがそこに、もう一人の女が登場し、別の三角形が出現する。話が俄然面白くなるのはここからだ。

 その女とはフアン・アントニオの元妻で、激情型の天才画家マリア・エレーナだ。美しくエロティックで、激しくて優しい。まるで竜巻のような彼女の参戦で、修羅場になるかと思いきや、なぜだか落ち着いてしまうから、まったく恋とは異なものだ。3人だとうまくいく。別れた夫婦が愛し合う。女同士でも惹かれあう。いったいこの恋、どうなるの?!それは見てのお楽しみだ。ペネロペ・クルスが、スペイン語でまくしたて、気性が荒い美女をコケティッシュに演じて抜群に魅力的。世界中の女優がアレン作品に出たがるのは、この自意識過剰でインテリの監督が、女優を輝かせる術を熟知しているからに違いない。

 物事の本質を見極めるためには、奇数でなくては。多数決だって偶数ではラチが明かない。このセオリーを恋愛に応用してしまうから洒脱だ。私生活でも不埒な恋愛騒動を演じてきたアレンには、愛する女を一人に決めるなんて所詮無理な相談だろう。だから彼の物語はいつも“地球は女で回ってる”。「僕らは生きている。ステキじゃないか」。「成就しない愛だけがロマンチック」。劇中には印象的なセリフが満載だ。NYからロンドン、そしてバルセロナへ。おしゃべりしながら歩きたくなる美しい街がある限り、アレン節は健在である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)名セリフ度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 原題「Vicky Cristina Barcelona」
□監督:ウディ・アレン
□出演:スカーレット・ヨハンソン、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム、他

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2009年06月26日

夏時間の庭

老いと孤独。家族の崩壊。この物語の穏やかな喪失感は、どこか小津映画を思わせる。パリ郊外の瀟洒な一軒家に住んだ母の死後、家と美術品コレクションを処分することになり、3人の兄妹はそれぞれの思いで人生に向き合うことに。緑あふれる家と庭はすべてが絵画的。それに対し、時代の流れやグローバリズム、遺産分割など、子供たちの現実は決して甘くない。結局残るのは物ではなく共に過ごした時間をいつくしむ心なのだ。美は思い出の中にあるというアイロニカルな視点が仏映画らしい。ちょっぴり問題児で現代っ子の孫娘が、祖母と暮らした家や絵がなくなることに対して悲しむラストが秀逸だ。未来の象徴である彼女の心が本当の財産なのだとこの映画は告げている。オルセー美術館20周年企画の美しい小品だ。
【65点】
(原題「L'Heure d'ete」)
(フランス/オリヴィエ・アサイヤス監督/ジュリエット・ビノシュ、シャルル・ベルリング、ジェレミー・レニエ、他)
(喪失感度:★★★☆☆)

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2009年06月25日

築城せよ!

ブレないと評判の戦国武将が大ブーム。そんな流れにのった快作だ。観光地にもならず工場誘致さえキビしい現代の田舎町に、400年前の戦国武将の亡霊が蘇り、悲願の築城を宣言する。廃材のダンボールでの城作りというムチャな計画に巻き込まれ、いつしか魅了されていく建築学科のナツキや町の人々と、武将の思いがひとつになり、城が出来上がっていくプロセスがすこぶる楽しい。ただ、材料集めの工夫は丁寧だが、城作りの細部の描写が雑なのが残念。特に天守閣としゃちほこの製作はものづくりの喜びを謳う物語のカギだけにきちんと描いてほしかった。すばらしいのは情けない公務員と尊大な武将の二役を演じる歌舞伎役者の片岡愛之助。品格のある声と立ち居振る舞いが美しく、ありえない物語に説得力を与えている。
築城せよ!【65点】
(日本/古波津陽監督/片岡愛之助、海老瀬はな、江守徹、他)
(創意工夫度:★★★★☆)


築城せよ!


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2009年06月24日

人生に乾杯!

老人版「俺たちに明日はない」と呼びたい痛快なハンガリー映画だ。主人公は、年金だけでは暮らしていけず、そおっとやってみた強盗がうっかり成功してしまった老夫婦。ぎっくり腰を気遣いながらの彼らの逃避行は、愛車のクラシックカー“チャイカ”を駆っての、ほのぼのとした旅行のよう。同時に警察側のカップルの恋の行方も活写し、飽きさせない。高齢者福祉はどこの国でも深刻な問題だが、ハンガリーには、共産主義から資本主義へ移行した歪みがある。そんな社会の矛盾に対し、勇気を持って行動した二人が“ボニーとクライド”に見えた。悲劇的なラストの果てのオチが洒落ていて、思わずニッコリ。複雑な歴史とのどかな国民性を持つハンガリー。映画的な小国からこんな快作がやってくるから、世界はやっぱり広いのだ。
【70点】
(原題「KONYEC」)
(ハンガリー/ガーボル・ロホニ監督/エミル・ケレシュ、テリ・フェルディ、ユディト・シェル、他)
(老人パワー度:★★★★☆)

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