映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「カフェ・ソサエティ」「ノーエスケイプ」「追憶」「赤毛のアン」etc.

「T2」前に「トレインスポッティング」で予習を!

ひとりごと「T2 トレインスポッティング」が公開されるに当たり、久しぶりに「トレインスポッティング」を再見しました。
ウン、やっぱり面白い!

「トレインスポッティング」は、1996年製作のイギリス映画。スタイリッシュな映像と音楽で90年代を代表する青春映画のヒット作となりました。

トレインスポッティング [Blu-ray]
ユアン・マクレガー
角川書店
2011-11-25




それにしても、ユアン・マクレガーが若い!まさかこのジャンキーを演じたスキンヘッドの若者が、ハリウッド超大作「スター・ウォーズ」でオビ・ワン・ケノービを演じることになろうとは、夢にも思いませんでした。マクレガーは、イギリスでもハリウッドでもコンスタントに映画出演し、今や演技派として英国を代表する俳優です(ちなみに、もうすぐ公開の「美女と野獣」にも出演してます)。

そして今やオスカー監督のダニー・ボイル監督の感性の豊かさと鋭さに、改めて敬服です。90年代という、何だか輪郭がはっきりしない(?)時代の空気を、こんなにもポップに切り取った作品はなかなかお目にかかれません。オレンジ色を印象的に使ったメインポスターもおしゃれでした。映画関係だけでなく、女性誌も含めた雑誌で特集が沢山組まれ、サントラも大ヒットしましたっけ。

トレインスポッティング
サントラ
EMIミュージック・ジャパン
1996-05-22

←イギー・ポップ、ニュー・オーダー、アンダーワールドと聴きどころ満載


物語はといえば、不況にあえぐスコットランド・エジンバラでウダウダしているジャンキーの若者たちの日常生活を描くもの。彼らは、ヘロイン中毒、アルコール中毒、喧嘩中毒…と、もうどうしようもない奴らばかりで、犯罪といっても窃盗、詐欺、万引きといった小悪党レベル。ドラッグ断ちを決意し、何とかまっとうに生きていこうとしても、仲間と状況と運命(?)がそれを許さない。ハチャメチャな彼らの日常の中には、死という悲しみや刹那的な愛があって…。そんな彼らが選ぶ未来とは? といった内容です。英国の映画というと、何らかの形で階級闘争が必ず盛り込まれていますが、本作は、決してしめっぽくも説教臭くもないところが何よりも秀逸。社会の底辺で生きる若者たちの、陽気で悲惨という矛盾だらけの青春模様と、現実と幻覚の間にあるほとばしる生命力を、疾走感あふれる映像で活写しています。

初めてみたときはただファッショナブルな青春映画という印象しかなかったけれど、改めてみると、決してそれだけではありません。自分の未来は自分で選ぶ。たとえそれがどんな選択でも、それは自分が決めたこと。このテーマは今見ても普遍的でブレてません。

「T2  トレインスポッティング」は、単体で見ても楽しめる作品ですが、やはりここは前作「トレインスポッティング」を予習してから見てほしい。名作です、是非!


トレインスポッティング〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV)
アーヴィン・ウェルシュ
早川書房
2015-08-21

←原作はこちら。ブッカー賞を受賞してます。


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

T2 トレインスポッティング

T2 トレインスポッティング -オリジナル・サウンド・トラック
麻薬の売買でつかんだ大金を仲間たちと山分けせずに逃亡したレントンは、20年ぶりにオランダから故郷のスコットランド・エジンバラに舞い戻る。実家では、母親はすでに亡くなり、父親が一人で暮らしていた。悪友たちのその後が気になったレントンは彼らを訪ねる。表向きはパブを経営しながら、売春、ゆすりを稼業とするシック・ボーイ。家族に愛想を尽かされ、孤独に絶望しているジャンキーのスパッド。刑務所に服役中のベグビーは、脱走を画策中。モノ分かりの良い大人になれずに荒んだ人生を送る彼らは20年の時を経て再会するが…。

90年代のポップ・カルチャーをけん引し社会現象を巻き起こした映画「トレインスポッティング」の20年後を描く続編「T2 トレインスポッティング」。監督のダニー・ボイルは今やオスカー監督の名匠。再集結した主要キャストたちも、それぞれ年齢を重ね、ユアン・マクレガーにいたっては「スター・ウォーズ」に出演するほどの大スターになった。一方、物語の中の4人は、誰一人大人になりきれず、悪あがきばかりしている。だが彼らにはそれが似つかわしい。実際、20年という時は、彼ら4人にも観客にも等しく流れた時間であって、そこには変わってしまったものと変わらないものがあって、当然なのだ。両方をきちんと描いてこそ、続編を作る意味があるのである。大金を持ち逃げしたレントンは皆の恨みを買ってはいるが、それでも何かと理由をつけ、仲間とつるんで遊ぶ姿は、シック・ボーイの恋人ベロニカがやきもちをやくほど。このブルガリア娘のベロニカが絶妙にからむストーリーが巧みで、今の時代の空気をしっかりとつかみとっている。ダニー・ボイルの音楽センスや映像センスも冴えわたり、レントンたちが年をくって冴えないオッサンになってしまっても、それなりのスピードでの疾走感を維持してくれているのが、微笑ましい。まっとうではない金を持っていても幸せにはなれなかった。何とかして事業を始めて変わろうとしても、世の中はそう甘くなかった。社会の底辺で生きるクズどもはぶざまにもがくばかり。それでも人は生きていかねばならないのだ。ほろ苦くて懐かしい同窓会に出席したような気分である。
【70点】
(原題「T2 TRAINSPOTTING」)
(イギリス/ダニー・ボイル監督/ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ロバート・カーライル、他)
(疾走感度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
T2 トレインスポッティング|映画情報のぴあ映画生活

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女 オフィシャルガイド
京都。大学のクラブの後輩である“黒髪の乙女”に想いを寄せる“先輩”は、なるべく彼女の目にとまる作戦(頭文字をとってナカメ作戦)を実行し彼女の気を引こうとしている。ある夜、酒豪の乙女は飲み歩き、先輩は、春の先斗町、夏の古本市、秋の学園祭と彼女の姿を追い求めるが、季節はどんどん過ぎていくばかりで乙女との距離はいっこうに縮まらない。さらに先輩は、仲間たちや不思議な老人による珍事件に巻き込まれていく…。

京都を舞台に、大学の後輩の黒髪の乙女に恋する先輩の恋模様を摩訶不思議な世界観で描くアニメーション「夜は短し歩けよ乙女」。原作は「四畳半神話大系」の森見登美彦の同名小説だ。何しろ「MIND GAME(マインド・ゲーム)」の奇才監督・湯浅政明の13年ぶりの新作アニメというだけでワクワクしてしまうが、期待通りの“自由な”作品である。酒好きの乙女が京都の街を飲み歩くが、彼女に恋する先輩はことごとくタイミングが合わない。奇妙なエロおやじ、個性的な大学生、謎の老人と、次々にヘンテコな登場人物が現れるが、乙女は、時に愛あるパンチを繰り出しつつも、すべての人に優しく礼儀正しい。時間や空間の概念が覆される物語もさることながら、のっぺりとしたイラストのような絵柄とカラフルな色彩のビジュアルが非常に新鮮だ。形も色も動きさえも、自由すぎるほど変幻自在に変わるそのテイストは、リアルとは対極にある。今やアニメーションは、いかに実写に近づくかを目指して奮闘している感があるが、本作は、アニメーションの特権である自由奔放さを爆発させている。このマジカルな心地よさは、酒豪の乙女が際限なく飲む酒に酔いしれるかのような、酩酊感とでも言おうか。ゲリラ演劇のミュージカルパートにいたっては、完全に酔いが回って幻覚を見ているような気さえする。そして恋する男女の運命には、最高の着地点を用意しているのだ。先輩の声を担当する星野源が、膨大なセリフをまくしたて、存在感を示す一方、他のキャストは実力派の声優たちで手堅い作りだ。93分、稀有な映像体験が味わえる逸品である。
【75点】
(原題「夜は短し歩けよ乙女」)
(日本/湯浅政明監督/(声)星野源、花澤香菜、神谷浩史、他)
(酩酊感度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
夜は短し歩けよ乙女|映画情報のぴあ映画生活

ゴースト・イン・ザ・シェル



近未来。凄惨な事故に遭って、脳以外は全身義体となった、世界最強の戦士・少佐。彼女が自ら率いるエリート捜査組織・公安9課は、最先端テクノロジー企業のハンカ・ロボティックス社を狙うサイバーテロ組織が引き起こした、ハンカの研究員連続殺人事件を捜査する。テロ組織と対峙するうちに、少佐の脳にわずかに残った記憶が蘇り、やがて彼女は自分の記憶が操作されたという事実に気付く。自分はいったい何者なのか。その答えを求めて奔走する中、少佐の存在を揺るがす衝撃の事実が浮かび上がってくる…。

脳とわずかな記憶を残し、全身サイボーグ化した最強の戦士・少佐が謎のサイバーテロ組織を追う「ゴースト・イン・ザ・シェル」。原作は士郎正宗のSFコミック「攻殻機動隊」で、押井守監督による劇場版アニメなどによって知られている。「攻殻機動隊」が世界の映画作家に与えた影響は計り知れず、その筆頭が「マトリックス」だということもまた、広く知られているところだ。そんな偉大な原作、アニメ映画の実写版となると、期待より心配が先に立った。しかも日本アニメのハリウッド実写版では何度もがっかりさせられている。そして本作は…というと、なかなか健闘しているではないか!アニメ史上最も魅力的なヒロインの一人、少佐(草薙素子)を演じるスカーレット・ヨハンソンはアクションが得意な魅力的な女優で、今のハリウッド・スターの中ではベストな選択に思えた。物語は、サイバーテロ集団のリーダーで、謎のハッカー・クゼの正体を追う少佐が、ハンカ・ロボティックス社の思惑と、予想もしない真実にたどりつくというもの。バトーやトグサ、荒巻ら、おなじみのメンバーが登場するストーリーは、かなり原作(及びアニメ版)に忠実なものだ。その意味で、新鮮味はないのだが、目新しいのは、少佐の過去が明らかになることで、これはなかなか興味深い。香港ロケや、無国籍風ニッポンの描写、最先端CGを使ったスタイリッシュなアクションと、映像的な見所も多い。世界的に熱狂的なファンを持つ「攻殻機動隊」のハリウッド実写映画化には、ファンならずともさまざまな意見があろう。まずは作品を見てほしい。そして、一人の肉体の中で人間と機械がせめぎ合いながら、あくまでも人間であろうとする意味を考えてほしいのだ。テクノロジー主流の世界での人類の役割を問う。そんな未来はそう遠くないところまで来ているのだから。
【65点】
(原題「GHOST IN THE SHELL」)
(アメリカ/ルパート・サンダーズ監督/スカーレット・ヨハンソン、ビートたけし、ジュリエット・ビノシュ、他)
(無国籍度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
ゴースト・イン・ザ・シェル|映画情報のぴあ映画生活

LION/ライオン 25年目のただいま

「LION/ライオン~25年目のただいま~」オリジナル・サウンドトラック
サルーは、5歳の時、インドで迷子になり、孤児と認定されて、オーストラリア、タスマニアに暮らす夫婦に養子として引き取られる。利発な彼は、すぐに夫妻と新しい土地になじむ。だが、成人して本土の大学に進学したサルーは、インドにいて今も自分を探しているであろう本当の母や兄への思いが日に日に募っていた。家族を見つけることを決意したサルーは、わずかな記憶を手掛かりに、Google Earth を駆使して捜索を始める…。

5歳の時インドで迷子になりオーストラリアで養子として育ったインド人青年が25年の時を経て本当の家族を探し当てるまでを描く驚きの実話「LION/ライオン 25年目のただいま」。迷子になったのは1986年。その25年後に主人公サルーが家族を探す手助けをしてくれるのはGoogle Earthだ。IT技術が進んだとはいえ、あまりに遠い距離の“ホームカミング”がそんなに簡単に成功するものなのか?!と首をかしげたくなるが、これが実話だというから驚いてしまう。サルーはオーストラリアで幸福に暮らしているのだが、心にぽっかりと空いた穴を埋められない。愛してくれる養父母がいるのに、本当の家族を探すのは、一見身勝手にも思える。しかしそれはDNAレベルでの喪失感に基づく行為なのだ。実話なので彼が本当の家族と巡り合うことは分かっているのだが、それまでのプロセスが非常に面白い。サルーのおぼろげな記憶にあるのは、大好きだった揚げ菓子と、駅のそばの給水塔だけ。列車の中で眠り込んだ時間から距離を割り出す。給水塔のある場所から範囲を絞り込む。数字やデータを使っての検索は徐々に真実への道を照らし出していく。同時にサルーや養母の心情も丁寧に描かれる。インドで迷子になった時期は、よくまあ無事で…と思うほど波乱万丈なのだが、危険な場所や悪い大人を敏感に察知しながらたくましく生き延びる様には、サルーの中に原初的に備わる生命力を感じるし、本当の家族を探すことには自分とはいったい何者なのかを模索する、普遍的な命題が見て取れる。もっとも、養母が語る、サルーを養子にした理由が「神の啓示を受けたから」というのは、無宗教の自分には理解不能なのだが…。それでもこの驚きの実話には素直に感動を覚えた。それはデヴ・パテルやニコール・キッドマンの説得力のある名演技と、子ども時代のサルーを演じるサニー・パワールの圧倒的な存在感があるから。ラストに登場する本物のサルーの映像には思わず涙ぐんだ。そして初めてこの映画のタイトルがなぜ「ライオン」なのかが分かる。壮大な“探し物”には、沢山の奇跡と愛がつまっていた。
【70点】
(原題「LION」)
(オーストラリア/ガース・デイヴィス監督/デヴ・パテル、ルーニー・マーラ、ニコール・キッドマン、他)
(驚きの実話度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
LION/ライオン 〜25年目のただいま〜|映画情報のぴあ映画生活

暗黒女子

映画「暗黒女子」オリジナル・サウンドトラック
裕福な家庭の子どもたちばかりが通う名門女子高・聖母マリア女子高等学院で、学院の経営者の娘で、全校生徒の憧れの的だった白石いつみが屋上から落下して死亡する事件が起こる。彼女の手にはすずらんの花が握られていた。事故なのか自殺なのか謎に包まれる中、いつみは、彼女が主宰していた文学サークルの誰かに殺されたのでは…という噂がたつ。いつみの親友で、いつみに代わってサークルの会長となった澄川小百合は“白石いつみの死”をテーマに自作の物語を披露する、定期朗読会を開催する。会員はそれぞれ犯人を告発する作品を発表するが、物語の内容はすべて異なっていた…。

名門女子高で起こった美少女転落死事件の真相を巡って少女たちの心の闇と意外な真実があぶり出される学園ミステリー「暗黒女子」。原作は秋吉理香子の同名小説で、読後の後味の悪さを感じるイヤミスとして話題の原作だ。ひとつの事件をめぐって、それぞれが違う犯人と犯行の動機を語り、やがてその先にある真実へとたどりつくという展開は、いわゆる「羅生門」スタイルである。同じ場面、同じ登場人物が何度も出てくるので、シーンに工夫が必要なのだが、この作品の場合は、ポップではあるが、ちょっと表層的だ。その分、美少女だらけのビジュアルの魅力でカバーしている。優雅で美しいはずのお嬢様たちの日常は、裏側では、壮絶な嫉妬や策略、秘密やかけひきがくりひろげられていて、そのドロドロ状態は、それなりに見応えがある。スクールカーストのトップにいた、いつみへの愛憎入り乱れる感情は、純粋で残酷、エゴイストでナルシストの10代の少女そのものだ。ミステリーなので詳細と結末は映画を見て確かめてほしいが、キャッチコピーにある“驚愕のラスト24分”は、なるほどブッ飛ぶ。これはもはや、ミステリーというよりホラーである。そもそも、セレブのお嬢様学校の文学サークルの伝統が闇鍋って、何これ?!と違和感を持って見ていたが、それがこんな形で結実するとは。荒唐無稽と言ってしまえばそれまでだが、美少女たちの怪演は一見の価値ありだ。
【55点】
(原題「暗黒女子」)
(日本/耶雲哉治監督/清水富美加、飯豊まりえ、千葉雄大、他)
(残酷度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
暗黒女子|映画情報のぴあ映画生活

レゴバットマン ザ・ムービー

レゴバットマン ザ・ムービー
ゴッサム・シティーを守る孤独なヒーロー、バットマン。たった一人で自警するバットマンの前に、街をのっとろうと計画する宿敵ジョーカーが現れる。街を救うためには、一匹狼を辞め仲間と共闘しなければならない。バットマンは、お調子者のロビンや新市長のバーバラらとチームを組むがまったく息が合わない。そんな時、ジョーカーが宇宙に閉じ込められている悪者たちを脱走させ、世界を危機に陥れる…。

世界中で人気の玩具・レゴブロックを題材にしたCGアニメーション・シリーズの劇場版第2弾「レゴバットマン ザ・ムービー」。今回は、第1作でヒーロー軍団を率いていたバットマンが主人公だ。ただし、レゴの愛らしい姿にだまされてはいけない。バットマンとはどういう存在なのか?!という大きなテーマを、ギャグを隠れ蓑に、かなり辛口で論じているのだ。歴代のバットマンのパロディはもちろん、悪者軍団には「ハリー・ポッター」「ロード・オブ・ザ・リング」「ドクター・フー」など、アニメやバットマンとは無関係のキャラまで縦横無尽に登場し、お祭り騒ぎ状態。これだけで映画ファンとしてはグッとくる。うぬぼれ屋のくせにさびしがり屋のヒーロー、バットマンのひとりぼっちライフもさることながら、物語で、バットマンとジョーカーの歪んだ愛憎関係をあらわにしてみたり、悪と戦っているバットマンと悪者は表裏一体だと核心を突くあたり、かなり鋭い。大人のバットマンファンには、鑑賞後、大いに論じてもらいたいものだ。とはいえ、アニメの可愛らしさや楽しさ、おバカなギャグが満載なので、難しいことを考える必要はまったくない。個人的には、いつになく表情豊かなジョーカーのうるうる顔に萌えてしまった。何かにつけてバットマンをいじり倒している本作だが、バットマン愛は本物である。
【65点】
(原題「THE LEGO BATMAN MOVIE」)
(アメリカ/クリス・マッケイ監督/(声)ウィル・アーネット、ザック・ガリフィナーキス、マイケル・セラ、他)
(バットマン愛度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
レゴバットマン ザ・ムービー|映画情報のぴあ映画生活

ハードコア

Hardcore Henry (Blu-ray + Digital HD)
見覚えのない研究施設で目覚めたヘンリーは、事故によって身体を激しく損傷していた。研究者で妻のエステルがヘンリーに機械の腕と脚を装着し、声帯を取り戻す手術に取りかかろうとしたその時、謎の組織を率いる男エイカンとその手下に襲撃される。ヘンリーは、エイカンのすさまじいパワーによる襲撃を何とかかわしたものの、エステルをさらわれてしまう。機械の腕と足によって超人的な身体能力を手に入れたヘンリーは、愛する妻エステルをエイカンから取り戻すため、命がけの戦いに挑んでいく…。

サイボーグ化し超人的な能力を持つ主人公が愛する妻を奪還するために戦うSFアクション「ハードコア」。全編を一人称視点(ファースト・パーソン・シューター、以下FPS)で描く、疾走感あふれる映像は、まさにゲーム感覚で、主人公ヘンリーは“あなた自身”となる。ヘンリーが機械の身体を手に入れたという設定なので、走る、跳ぶ、戦う、撃つといった動作は、どれもが人間離れしている。おかげでヘンリーが通った後は、死体と瓦礫の山が出来上がるというワケだ。ヘンリーが一切言葉を発しないという設定がクレバーで、そのことが、主人公の身体と観客の意識が自然とシンクロすることを可能にしている。一人称というとホラー映画でよく使われるPOV(ポイント・オブ・ビュー)の作品で見慣れているものの、本作は怒涛のアクション・ムービーなので、見る前はブレブレのカメラで車酔いならぬ映像酔い状態になるのでは…と心配した。だが、全編をアクションカメラであるゴープロ(GoPro)カメラを使って撮影された映像は、ブレは最小限で、斬新な映像が楽しめた。ヘンリーの案内人で変幻自在の姿で現れる天才科学者ジミーの真意、謎の超人エイカンの目的、終盤に明かされる衝撃的な事実など、一応、ストーリーはあるものの、ゲーマー視点の映像があまりにもブッ飛んでいるので、映像以外はほとんと記憶に残らない。「ロボコップ」と「アルティメット」と「アドレナリン」を足して、まるごとゲーム化したようなFPS映画である本作、映画館の大スクリーンで、体感してみてほしい。
【65点】
(原題「HARDCORE HENRY」)
(ロシア、アメリカ/イリヤ・ナイシュラー監督/シャールト・コプリー、 ダニーラ・コズロフスキー、ヘイリー・ベネット、他)
(疑似体験度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
ハードコア|映画情報のぴあ映画生活

はじまりへの旅

Captain Fantastic (Blu-ray + DVD + Digital HD)
ベン・キャッシュは、アメリカ北西部の森の奥深くに住み、6人の子どもを男手一つで育てている。世間から隔離された子どもたちは、父親ベンの厳格なサバイバル訓練と熱心な英才教育によって、アスリート並の体力と天才的な頭脳を獲得していた。そんなある日、長く入院中だった母の訃報を受けて、一家は葬儀出席と母の遺言である、ある願いを叶えるため、葬儀の行われるニューメキシコまでの2400キロの旅に出る。世間知らずの彼らは行く先々で騒動を起こしながら、目的地を目指すが…。

文明社会から離れて森の奥で暮らす風変わりな一家が、外界と接触しながら旅をするロード・ムービー「はじまりへの旅」。大自然の中で世間から隔離して子どもを育てるのは、インターネットに依存せず、汚れた資本主義に触れさせないため。70年代のヒッピー・カルチャーを引きずったかのような父親は、子どもへの愛情は人一倍だが、その教育方針は激しく偏っていて、洗脳ともいえるものだ。思想家チョムスキーは知っていても、コーラやハンバーガー、ナイキやアディダスも知らない子どもたちは、一般社会で生きていけるのだろうか。初めて森を出て旅をした子どもたちは、それまで絶対だと思っていた父親と彼の考え方に矛盾を感じ始める。外の世界で生きるなら、他者の価値観にも敬意を払うべきだということも学んでいく。子どもたちは、初恋(あっという間に失恋!)や、祖父母の愛情といった“本には載っていない体験”を通して成長していくのだ。幼い末娘を大人扱いし、自ら命を絶った母のことも子どもたちに包み隠さず伝えようとするベンの教育方針には、さまざまな意見があるだろう。それが当然だ。だがスティーブと名付けたバス(キャンピンカー)に乗っての長い旅は、一家に現実に立ち向かう力を与え、それぞれの未来を示してくれた。母の最後の願いを叶えるシークエンスや、チョムスキーに傾倒するベンがヒゲを剃って新しい人生を見据える場面は、ある種の崇高さに満ちている。育児や教育の本質を改めて考えさせられるが、そんな難しいテーマを、ユーモアとペーソスをもって描いた語り口がとてもいい。作り手の優しいまなざしを感じるこの作品を、好きにならずにはいられない。
【75点】
(原題「CAPTAIN FANTASTIC」)
(アメリカ/マット・ロス監督/ヴィゴ・モーテンセン、ジョージ・マッケイ、フランク・ランジェラ、他)
(ユーモア度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
はじまりへの旅|映画情報のぴあ映画生活

ジャッキー ファーストレディ 最後の使命

Jackie
1963年11月22日、テキサス州ダラス。ジョン・F・ケネディ大統領がパレードの最中に群衆の目の前で暗殺された。妻でファーストレディであるジャクリーン、通称ジャッキーは、最愛の夫の死を悲しむ間もなく、リンドン・ジョンソン副大統領の大統領就任式の立ち合い、葬儀の準備、ホワイトハウスからの退去などの業務に追われる。犯人への怒りにかられながら、夫が事件直後からすでに過去の人のように扱われることに憤ったジャッキーは、夫の存在と彼が築いたものを永遠に歴史に残そうと決心する…。

ジョン・F・ケネディ元大統領暗殺直後の妻ジャクリーン・ケネディの行動と心の葛藤を描く異色の伝記ドラマ「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」。JFKを描く映画や、JFK暗殺事件を扱った映画は数多いが、本作は、アメリカ史上最も有名なファーストレディ、ジャッキーに焦点を当て、JFKが歴史的な偉人として記憶されたのは、暗殺直後のジャッキーの才覚があったからだというスタンスで描いていて、その解釈は非常に興味深いものだ。裕福な家庭に生まれ、フランス留学や、新聞社で記者として働くなど、知性派のジャッキーは、同時に美術品を好み、流行を左右するファッションアイコンでもあった、才色兼備の女性である。目の前で最愛の夫を殺されるという悲劇の中で、ほぼ本能的にJFK伝説をプロデュースした手腕は、確かになかなかのものだ。犯人のしたことを世界中に見せるため血のついた服を着続ける。安全を考慮する周囲の意見を制して堂々とカメラの前に姿を現す。政府やケネディ家の意向に反してまで、自分が最もふさわしいと考える葬儀のスタイルにこだわる。それらすべてはJFKを過去の人にさせないという強い意志があったからだ。実際は、桁外れの浪費癖や、リンカーン大統領(JFKと同じく暗殺されている)の葬儀スタイルを模倣するなど、俗っぽさも多大にあるのだが、ケネディ伝説を後世に残すためにとった葬儀のイメージ戦略は、見事に成功したのだから、やはりジャッキーという女性は非凡な人物だったと言わざるを得ない。何よりもジャッキーを演じたナタリー・ポートマンのなりきぎぶりが素晴らしい。クローズアップが非常に多いが、人々の前で見せる毅然とした顔と、ホワイトハウス内で一人でいるときの脆く不安な表情など、せりふがなくてもしっかりと物語る丁寧な演技は見事である。稀有な運命を背負ったファーストレディの喪失感を静かに熱演したポートマンの気品が最大の見所だ。
【75点】
(原題「JACKIE」)
(米・チリ・仏/パブロ・ラライン監督/ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、グレタ・ガーウィグ、他)
(歴史秘話度:★★★☆☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命|映画情報のぴあ映画生活
シネマッシモにようこそ
◇ シネマッシモについて ◇

このブログが気に入ったら、ポチッとクリックお願いします♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

映画レビュー用BRバナー
インフォメーション


映画ライター渡まち子が運営するセカンド・ブログ「映画の中に猫がいる」もよろしく!【猫目線】で語る映画評で、のんびり、まったり運営中です(笑)。 猫好きの方、映画好きの方、ぜひ遊びにきてください。相互リンクも募集中!
こちらからどうぞ!
おすすめ情報
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
トラックバック(承認済)
午後8時の訪問者 (映画的・絵画的・音楽的)
午後8時の訪問者
コメント(承認済)
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
カテゴリ
お仕事受注
映画評やコラムの執筆、講演など、映画に関する仕事を承ります。連絡はメールでお気軽にどうぞ。

 メールはこちらから↓
cinemassimo555★jcom.home.ne.jp
(★を@に変更して下さい)

執筆やラジオ出演など、メールと電話で対応可能な場合は、全国から仕事を受注していますので、まずはお問合せください。
プロフィール
プロフィール more
◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
震災には負けない!
リンクシェア・ジャパン 東北地方太平洋沖地震 義援金プロジェクト

犬・猫の総合情報サイト『PEPPY(ペピイ)』

icon icon
おすすめ情報
おすすめ情報

twitterやってます!
おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

Archives
相互リンクについて
相互リンクについて

  ↑ 必ずお読みください。
いいね!もよろしく♪
Facebookをご利用の皆さん、このブログが気に入ったら、ぜひ「いいね!」ボタンをポチッと押してください。 渡まち子の励みになります!
タグクラウド
  • ライブドアブログ