映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「フィフティ・シェイズ・ダーカー」「ハクソー・リッジ」「結婚」「ありがとう、トニ・エルドマン」etc.

武曲 MUKOKU

武曲 (文春文庫)
鎌倉。矢田部研吾は剣道5段の腕前を持ちながら、剣道の師である父にまつわる、ある出来事によって、生きる気力を失い、酒におぼれ自堕落な日々を送っていた。そんなある時、研吾のもう一人の師匠である光邑師範が、研吾を立ち直らせるため、一人の少年を送り込む。ラップの作詞に夢中な高校生・羽田融は、本人も知らない“天性の剣士”の素質を持っていた。二人は、剣道八段の光邑師範の教えを受け、人間として、剣士として精進していくが…。

古都・鎌倉を舞台に、年齢も境遇も違う二人の男が剣士として高め合い、命懸けでぶつかりあう姿を描く「武曲 MUKOKU」。原作は芥川賞作家・藤沢周の小説「武曲」だ。研吾は厳しすぎる父親が敷いたレールに反発し、かつては“殺人剣の使い手”だった父に対して屈折した愛憎の思いを抱え、もがいている。父とのある事件がきっかけで、進むべき道を見失って剣を捨てた研吾の宿命の相手が、ラップに夢中な高校生という設定がまず意外性がある。どこから見てもイマドキの少年の融だが、実は彼は、過去に台風の洪水で死にかけた経験があり、その臨死体験以来、死に魅入られているのだ。研吾は、融の中に、父と同じ“天性の剣士”を見るが、それ以上に、死を感じながら闘う魂の叫びに共鳴したに違いない。描かれるのは現代の剣道だが、これはまさに時代劇の剣士そのものだ。息詰まるほどの緊張感の中で、自分の、そして相手の心の闇を垣間見て、弱さを克服するには命懸けで戦うしかないことを知るのである。綾野剛の鍛え上げた肉体と狂気のまなざしが素晴らしい。一方で、まだ若い俳優・村上虹郎が演じる融の、思春期特有のナイーブさや傲慢さ、りりしさなどにも魅了される。夜の闇の中、豪雨にうたれながらの死闘は、圧巻だ。剣豪という言葉が、現代劇でこれほどフィットするとは。父と子。剣士と剣士。生と死。闘うことでしか生きられない男たちの異様な気迫が、鮮烈な光のようにスクリーンに焼き付けられている。
【70点】
(原題「武曲 MUKOKU」)
(日本/熊切和嘉監督/綾野剛、村上虹郎、前田敦子、他)
(迫力度:★★★★☆)
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バイオハザード:ヴェンデッタ

バイオハザード ヴェンデッタ (角川ホラー文庫)
対バイオテロ組織BSAAのクリス・レッドフィールドは、武器密売組織の拠点である謎めいた洋館に突入する。国際指名手配犯グレン・アリアスと対峙するが、クリスはそこで信じがたい光景を目にし、アリアスを取り逃がす。一方、かつてラクーン市警の特殊部隊S.T.A.R.S.だった大学教授レベッカ・チェンバースは、死者をよみがえらせる新型ウイルスの治療薬の開発に成功する。だが、その直後に研究所が襲撃され、レベッカは死の危険にさらされるが、駆け付けたクリスに救われる。クリスとレベッカは、新型ウィルスが関わる事件をよく知る、大統領直轄のエージェント組織「DSO」のレオン・S・ケネディを訪ねる。彼らはアリアスの目的がバイオテロだということを知り、その策略を阻止するためにNYへと向かう…。

世界的な大ヒットアクションホラーゲーム「バイオハザード」シリーズをフルCGで描く長編アニメーション「バイオハザード:ヴェンデッタ」。「ディジェネレーション」「ダムネーション」に続く、フルCGアニメの最新作だ。ゲームファンにはおなじみのキャラクターが勢ぞろいするが、何と言ってもクリスとレオンが共闘するのが本作の最大の魅力である。生き返った凶暴な死者を治療する新薬を開発したレベッカが、バイオテロを目論むアリアスに狙われるが、彼女の命はもちろん、全人類の命をも危険にさらすバイオテロは、アリアスにとっては狂気にも似た復讐なのだ。冒頭の不気味な洋館の雰囲気は、ゲームファンには嬉しいビジュアルだし、田舎町で自らの人生を呪いながら酒におぼれていたレオンが、クリスとレベッカの要請で復活するやいなや、最強の戦士と化すあたりも胸がすくだろう。ストーリーは、正直、ご都合主義が目に付くのだが、何と言っても気合の入ったアクションがスゴイ。とりわけ、接近戦で威力を発揮する戦闘射撃術は、実写では絶対に不可能な、ありえないレベルの強さだ。もうクリスもレオンも笑いが出るほど強いのである。銃とアクションを融合した“ガンフー”は他の実写映画でもおなじみだが、CGレベルだと、やりたい放題のガンアクションになることが改めて確認できた。監督は「THE NEXT GENERATION パトレイバー」シリーズの辻本貴則。音楽も同じくパトレイバーの川合憲次。押井守作品の常連の名前が連なっているのが、アニメファンとしては興味深いところだ。次なる戦いを予感させるラストと共に、次回作を期待したい。
【60点】
(原題「バイオハザード:ヴェンデッタ」)
(日本/辻本貴則監督)
(アクション度:★★★★★)
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ラプチャー 破裂

蜘蛛(クモ)が何よりも嫌いなシングルマザーのレネーは、ある日突然、見知らぬ男たちに拉致される。目覚めるとそこは、不気味な隔離施設。監禁されたレネーは、その人物が最も嫌う物を与え続けるという、異様すぎる人体実験の被験者にされてしまう。拘束され動けないレネーは、執拗なまでの“蜘蛛攻め”を受け続けるが、その果てに、彼女の身体は驚くべき変化を見せ始める…。

最も嫌いなものを与え続けるという謎の人体実験にさらされる女性の運命を描く異色ホラー「ラプチャー 破裂」。ラプチャーとは、副題にある“破裂”を意味するが、本作の場合、人間の中にあるものが、極限状態に達した時、何かを破って外に出てくるという、内部からの圧力による破裂である。大嫌いなものとは、例えば、ヘビだったり、幼少期のトラウマである親の叱咤だったり…とさまざまだが、本作のヒロインの場合は、蜘蛛(クモ)。これは、変質者による嫌がらせレベルなどではなく、目的は極限の恐怖と嫌悪感を引き出すことなのだ。こんな実験で、いったい何をしようとしているのか?という謎が物語を引っ張る。レネーや、他の被験者には共通の特徴があるが、レネーの場合、スカイダイビングをして従来の自分を変えたいという変身願望がある。この変身が、すなわち破裂(ラプチャー)だと考えれば、彼女に“素質”があることは納得できるのだ。拉致、監禁、蜘蛛攻め…。こう聞くと、バカバカしくもB級臭たっぷりの話に思えるが、終盤、物語が、ホラーからSF的要素を帯び始めると、これが宇宙空間ではなく見慣れた地球の日常で起こることに戦慄を覚える。秘めた強さを感じさせるノオミ・ラパスが、不思議なほど適役。それにしてもこの終わり方、あるのか、続編?ともあれ、「セクレタリー」で注目されたスティーヴン・シャインバーグ監督のカルトな感覚には、引き続き注目しておきたい。
【60点】
(原題「RUPTURE」)
(アメリカ/スティーヴン・シャインバーグ監督/ノオミ・ラパス、ピーター・ストーメア、マイケル・チクリス、他)
(不快度:★★★☆☆)
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20センチュリー・ウーマン

20センチュリー・ウーマン
1979年、アメリカ、カリフォルニア。15歳の一人息子ジェイミーを育てるシングルマザーのドロシアは、思春期の少年の育て方で悩んでいる。そこでドロシアは、ルームシェアしているパンクな写真家のアビーと、近所に暮らすジェイミーの幼なじみのジュリーに相談し、ジェイミーの教育と成長を助けてほしいと頼む。多感な15歳の少年が、3人の年上の女性と過ごす、特別なひと夏が始まった…。

70年代の南カリフォルニアを舞台に3人の年上の女性とのさまざまな経験で成長していく少年の姿を描く「20センチュリー・ウーマン」。監督のマイク・ミルズは、秀作「人生はビギナーズ」で、ゲイであることを晩年にカミングアウトした父親を、ユーモアを交えたあたたかなまなざしで描いたが、本作で描くのは自らの母親のこと。ミルズ監督の半自伝的な作品だけに、影響を受けた時代背景やカルチャーなど、彼の少年時代の思い出がたくさん詰まった内容は、もう二度とは戻れない“あの頃”へのノスタルジーが感じられてちょっぴり切ないテイストが特徴的だ。“大恐慌時代の女”こと、55歳のドロシアは、自由な考えを持つシングルマザーだが、自らの保守的な道徳観に屈折したコンプレックスを抱いている。ジェイミーにとっては、この個性的な母親が最も影響力が大きいが、他の2人の女性も負けていない。20代半ばのパンクな写真家のアビーはジェイミーにNY仕込みのポップ・カルチャーとフェミニズムの本質を教える自由奔放な姉貴のようだし、17歳のジュリーは、友達以上恋人未満の存在で、ジェイミーにはリアルな女の子と理想の恋人が混在するファンタジックな美少女だ。ジュリーときたら、添い寝はするが、男女の関係になってジェイミーとの友情が壊れることを恐れているという悩ましい存在でもある。こんな異世代の女性3人を、アネット・ベニング、グレタ・ガーウィグ、エル・ファニングという超強力トリオの女優が演じるのだから、それだけでも引き込まれる。パンクな生き様を見せるガーウィグや小悪魔美少女のファニングもいいが、やはりベニングの貫禄と哀愁が頭ひとつ抜けていた。ティーンエイジャー特有の不安やとまどい、性の悩み、生きることの難しさなどを、女性たちは、時には失敗やとまどいさえさらしながら、導いてくれる。彼女たちが正直で自然体だからこそ、監督のパーソナルな思い出は、普遍的な物語に昇華していくのだ。トーキング・ヘッズをはじめとする70年代を代表す音楽が効果的で、反抗期の少年時代を描く私小説的な映画でありながら、同時に、70年代というフェミニズムの時代を生きる3世代の女性を描く女性映画として、出色の出来栄えとなった。
【70点】
(原題「20TH CENTURY WOMEN」)
(アメリカ/マイク・ミルズ監督/アネット・ベニング、エル・ファニング、グレタ・ガーウィグ、他)
(女性映画度:★★★★☆)
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花戦さ

映画「花戦さ」オフィシャルブック
戦国時代末期。京都の中心、頂法寺六角堂の花僧・池坊専好は、天下統一目前の織田信長の前で見事な生け花を披露し、茶人の千利休らの心をつかむ。直後、思わぬ失態から信長の怒りを買うが、それを救ったのが若き武将・木下藤吉郎、後の豊臣秀吉だった。それから十数年後、秀吉が天下人となるが、愛息・鶴松を亡くして正気を失った秀吉は圧政を敷き、共に美を追い求めた専好の友・利休を自害に追い込む。さらに一般庶民をも粛清する秀吉に対し、専好は、武力ではなく生け花の力で、一世一代の戦いを挑もうと決意する…。

時の天下人・豊臣秀吉に刃ではなく花で戦いを挑んだ華道家元・初代池坊専好の姿を描く歴史劇「花戦さ」。物語の着想を得たのは、鬼塚忠による小説だ。秀吉と茶道は、茶人の千利休との確執が有名で、しばしば映画でも描かれるが、秀吉と華道という組み合わせの作品は非常に珍しい。若き池坊専好は、立花の名手だが、ひょうひょうとした性格の花僧で、戦国の乱世で命を落とした無縁仏の前で手を合わせ小さな花を供えることで、世の平穏を願う心優しい人物である。前半は、信長の前での立花や人々に生け花を教える姿、秀吉の茶会での奮闘や口をきかないワケありの少女とのエピソードなど、ほのぼのとした人情劇のよう。だが、秀吉が、極度の被害妄想のため、敵対する武将だけなく、自分の意のままにならない利休を死に追いやり、ついには冗談半分の陰口をたたいただけの庶民まで、粛清で命を奪うようになる後半の物語はシリアスで悲しみを帯びる。政治とは無縁のはずの専好だったが、狂気の秀吉の暴挙を止めるため、花を使った命がけの“戦い”を挑むクライマックスは、美しくも壮絶だ。終盤には、絵が得意で心を閉ざした少女・れんの存在が効いてくる。出世も名誉も興味がなく、ただひたすらに花を愛した人間が、花を武器に、命を賭けて、権力者に意見する。天下を取ろうとする信長のため、日々の暮らしを楽しむ町衆のため、秀吉から追い詰められた利休の翻意を促すため、幼くして逝った秀吉の子の魂を慰めるため。その時々の花は、すべて大切な人への美しくも強いメッセージとなって画面に現れた。主役級の俳優たちの豪華競演もさることながら、花そのものが主人公のような役割を果たしている。凛と咲く花の中に、生きる願いと平和への祈り、理不尽な権力に立ち向かう勇気が込められている映画だ。
【65点】
(原題「花戦さ」)
(日本/篠原哲雄監督/野村萬斎、森川葵、市川猿之助、他)
(勝負度:★★★★☆)
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ゴールド/金塊の行方



破産寸前の採掘会社ワショー社の経営者ケニー・ウェルスは、全財産をつぎ込んで金発掘のためにインドネシアへと足を運ぶ。協力者は、異端の地質学者マイク・アコスタただ一人。何とか資金を調達しジャングルで発掘作業を進めるが、一向に金鉱は見つからず、ケニーはマラリアで生死の境を彷徨うことに。だが、ついにマイクが過去最大と呼ばれる巨大金脈を発見する。投資銀行や、全世界の金山を牛耳ってきた黄金王までが一攫千金の夢を成し遂げたケニーを称賛し、ケニーは一躍スターとなる。そんな中、ワショー社保有の170億ドルの金塊が一夜にして消えるという衝撃的な事件が発生。「俺は何も知らない!」。ケニーの主張もむなしく、会社の株価は大暴落し、メディアや株主からの厳しい追求が続く。そしてついにFBIによる捜査が始まった…。

実際に起きた金脈偽装詐欺事件にインスパイアされたクライム・サスペンス「ゴールド/金塊の行方」。モデルとなったのは、90年代、カナダのBre-X社が起こした史上最大といわれる金鉱詐欺事件“Bre-X事件”だ。時代を80年代に、場所をアメリカに置き換えて、野心的な探鉱者が一攫千金の夢を追う姿を描く。祖父の代からの会社を継いで鉱山ビジネスに携わるケニーは、いわば夢追い人だ。あるかどうかもわからない金の鉱脈を探し続ける彼は、金(かね)ではなく金(ゴールド)に取りつかれている。だがケニーの周囲が興味があるのは金(かね)の方だ。事業に失敗し破産寸前のケニーが金鉱を狙う話をした時は、バカにしていた大手投資銀行が、金脈を発見した途端、ハイエナのようにケニーの富に群がる。ケニーもまた、彼を献身的に支える恋人ケイの「あなたは利用されているだけ」という助言も聞かず、派手に金をばらまき、享楽的な日々を送る。これが西部開拓時代の話なら、単純な山師の武勇伝だが、時は80年代。格差社会のアメリカで、ジェットコースター並の浮き沈みの人生を生きるケニーは、NYの金融界に挑み、採掘地インドネシアの独裁政権とも渡り合うしたたかさを秘めている。オスカー俳優のマシュー・マコノヒーが、激痩せの「ダラス・バイヤーズクラブ」とは対照的に、体重を増量し、でっぷりとした太鼓腹、落ち武者風のハゲ頭、時には全裸やパンツ一丁の姿で怪演に近い熱演を披露しているのが見所だ。男たちの友情、信頼、裏切り。世紀の詐欺事件の顛末には、驚くべきどんでん返しが用意されている。お世辞にも品があるとはいえない主人公だが、それでも彼のつきないエネルギーと野望、粘り強さには恐れ入る。ケニーのその後は…。きっと懲りずにゴールドの夢を追っているに違いない。
【70点】
(原題「GOLD」)
(アメリカ/スティーヴン・ギャガン監督/マシュー・マコノヒー、エドガー・ラミレス、ブライス・ダラス・ハワード、他)
(一攫千金度:★★★★☆)
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LOGAN/ローガン

Ost: Logan
2029年。すでにミュータントの大半が死滅し、X-MENの存在は人々から忘れられていた。年老いて、かつてのパワーを失ったウルヴァリンは、衰弱しきったプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの世話をしながら、ローガンの名でメキシコ国境の町で身を隠すように生きていた。ある日、ローガンは、一人の看護師から、ローラという謎めいた少女を、カナダ国境の近くのノースダコタまで送り届けてほしいと頼まれ、困惑する。ほとんど言葉を発せず、ローガンに似た特徴とすさまじい戦闘能力を持つその少女は、謎の武装組織から追われ命を狙われていた。その争いに巻き込まれたローガンは、チャールズと共に車に乗り、ローラを連れてノースダコタを目指す旅に出る…。

「X-MEN」シリーズの人気キャラクター、ウルヴァリンのスピンオフシリーズの最終章「LOGAN/ローガン」。年を取り、傷ついたローガン(ウルヴァリン)の壮絶な生き様を描くものだ。アメコミ映画にして堂々のR指定というだけあって、容赦ないヴァイオレンス描写に凄みがあるが、それ以上に、ウルヴァリンの最後の戦いを描く大人のドラマに仕上がっている。髪やヒゲには白いものが混じり、老眼鏡をかけ、走ると息が切れるウルヴァリンには、往年の猛々しさはない。アダマンチウムの爪の伸びは悪く、治癒能力も衰えた彼は、もはや不死身ではないのだ。生きる気力も目的もなく世捨て人のように暮らすウルヴァリンが、ボケ老人のようになったプロフェッサーXの世話をする様は、老々介護のようで切なくなる。特殊能力を持つヒーローの晩年は、成れの果てという言葉が似あう哀愁が漂うが、そこに過激なカンフル剤のように登場するのが謎めいた少女ローラだ。ウルヴァリンとローラ、プロフェッサーXが車に同乗し北を目指すあたりからロード・ムービーとなり、ジェームズ・マンゴールド監督が偏愛する西部劇へのオマージュが色濃く現れる。思えば2000年に「X-MEN」でウルヴァリンが初登場して以来、私たちファンはずっとウルヴァリンと共に旅をしてきたようなものだ。ミュータントの最後の希望であるローラを守り抜くウルヴァリンの死闘の悲壮感、滅びゆく自分の運命を受け入れたその表情には、あきらめと共に、長く孤独な人生から解放される、かすかな安堵感も見て取れる。愛を失い続けたウルヴァリンが、最後にたどり着く境地は涙なくしては見られない。滅びの美学を体現したこの最終章に、ウルヴァリンを演じ切ったヒュー・ジャックマンの覚悟を感じた。さようなら、ウルヴァリン。「X-MEN」はミュータントを描くシリーズだが、本作は見事なまでに“人間”を描いたドラマになって私たちに別れを告げる。
【85点】
(原題「LOGAN」)
(アメリカ/ジェームズ・マンゴールド監督/ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ダフネ・キーン、他)
(有終の美度:★★★★★)
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試写室だより 5月下旬

試写室だより暑い…。暑いんですけどーーー!
5月だというのに真夏日。暑さに弱い私は、早くもプチ熱中症気味なので、日傘とサングラスで自衛中です。皆さんも、気を付けて〜(;^_^A

最近見た主な映画は以下。

「キング・アーサー」「ジーサンズ」「ライフ」「夜明けの祈り」「歓びのトスカーナ」
「忍びの国」「いつまた、君と」「兄に愛されすぎて困ってます」「こどもつかい」などなど。

カンヌ映画祭の最高賞のパルム・ドールをは、スウェーデン映画「ザ・スクエア(原題)」。皮肉たっぷりの怪作「フレンチアルプスで起きたこと」のリューベン・オストルンド監督の作品です。
日本映画は残念ながら受賞を逃しましたが、これから日本でも公開される作品が待機中。楽しみに待ちましょう(*^m^*)


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単調な毎日を送っていた美佐子は、視覚障害者向けの“映画の音声ガイド”の仕事をすることになり、その仕事がきっかけで、弱視の天才カメラマン・雅哉と出会う。雅哉は無愛想で、美佐子の仕事にも容赦なく厳しい言葉を浴びせるが、雅哉が過去に撮影した夕日の写真に深く感動した美佐子は、いつかその場所に連れ行ってほしいと頼む。だが、命よりも大切なカメラを前にしながらも、雅哉の視力は次第に奪われていった。光を失っていく雅哉の葛藤を見つめるうちに美佐子の中で何かが変わり始める…。

映画の音声ガイドを作成する女性が視力を失いゆくカメラマンと出会ったことで生きる希望を見出していく人間ドラマ「光」。映画の音声ガイトとは、視覚障害者が映画を楽しめるように、映画の登場人物の動作や情景を言葉で伝える仕事。バリアフリー上映会などで知られているサービスだ。恥ずかしながら私は、映画業界の隅っこにいながら、映画の音声ガイドがこんなにも推敲を重ねて作られていることを、本作で初めて知り、まずその繊細で丁寧な仕事に感動を覚えた。ストーリーは、人間ドラマにしてラブストーリーともいえるものだが、悩みながら音声ガイトの仕事をしている美佐子は人生における道しるべである光を求め、やがて視力を失うカメラマンの雅哉は、文字通り光を失いつつある。光というテーマが非常に象徴的で、物理的な明るさを意味すると共に、生き方を導く光という希望の意味もある。物語は美佐子と雅哉のそれぞれの人間関係を描きながら、二人のコミュニケーションの行方を掘り下げる。映画そのものも光と影の芸術だが、単なる映画論を超えて、人間関係を深く洞察したところが素晴らしい。劇中に登場する映画は難解な作品と称されているが、本作は決して難解ではなく、むしろすうっと心に入り込んでくるような透明感を感じた。永瀬正敏は「あん」に続いての好演で、この難役を真摯に演じているし、河瀬組初参加の水崎綾女の、ちょっとぎこちない感じもまた役柄にフィットしている。主観を排除し事実を正確に描写することで映画の輝きを言葉で伝える音声ガイドの難しさと素晴らしさが印象に残ったが、視覚障害者は目ではなく心で映画を“見る”というスタンスに、襟を正したくなった。暗闇で迷うことはあっても、コミュニケーションによって、きっと希望の光をみつけることができることを教えてくれる作品である。
【70点】
(原題「光」)
(日本/河瀬直美監督/永瀬正敏、水崎綾女、藤竜也、他)
(繊細度:★★★★☆)
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家族はつらいよ2

「家族はつらいよ2」オリジナル・サウンドトラック
平田周造と富子の熟年離婚の危機から数年後。周造は、マイカーでのドライブが趣味だったが、近ごろ、車に凹みや傷がめだつようになった。軽い接触事故を起こしてしまった父に、家族は、高齢者の危険運転を心配し、何とか運転を止めさせようとする。一方、周造は、ドライブの途中で高校時代の友人・丸田と再会。事業に失敗し妻にも逃げられ、わびしい独居老人となった丸田を励まそうと小さな同窓会を開く。酔っぱらって平田家に泊まった丸田だったが、翌朝、彼は息を引き取ってしまった。てんやわんやの大騒ぎとなる平田家だが…。

離婚危機を乗り越えた平田家が、旧友との再会から新たな騒動を巻き起こす「家族はつらいよ2」。一軒家で二世帯三世代同居の生活。何かと問題はあるが、その度に、家を離れた妹夫婦や弟夫婦が集まり、にぎやかな家族会議を開く。核家族化が顕著な現代社会では、これ自体がもはやファンタジーだ。だが、そんな彼らが直面する問題は、ことごとくリアルで、今回は、高齢者の危険運転と独居老人の孤独、無縁社会の現実を描く。次男の庄太は、看護師の憲子と結婚し家を出ているが、憲子の母親が、認知症の祖母と同居している設定で、認知症と介護の問題もちょっぴり盛り込んでいる。憲子は、母子家庭で育ったため、大家族に憧れがあるのだろう、時に身勝手なことばかり言い合う、平田家の家族たちを、いつも口数は少ないが、優しいまなざしで見つめている。一方、二階に泊めた丸田が息を引き取っていると知った時、誰もがうろたえる中、一番、冷静でてきぱきとした対応をみせるのもまた憲子だ。看護師という職業である以上に、人の生死にきちんと向き合う覚悟が日頃からできているのだろう。ただ、平田家は誰もが根っこの部分はいい人ばかり。それが分かるのが、丸田の葬儀の場面だ。たとえ面識はなくても、こうして自分たちと少しだけでも縁があった老人をひとりぼっちで葬(おく)るのは悲しすぎる。丸田が最後に関わった平田家の家族たちが心優しく善良な人であることが、救いとなっている。今回も、前作のメンバーが全員集合。チョイ役にも豪華なキャストが揃うのがさすがは山田組だ。無縁社会の悲哀を体現する丸田役の小林稔侍も味があっていい。いい歳のおやじたちが小料理屋で嬉しそうにバカ騒ぎする様は、小津映画を見ているようだった。
【65点】
(原題「家族はつらいよ2」)
(日本/山田洋次監督/橋爪功、吉行和子、西村雅彦、他)
(悲喜劇度:★★★★☆)
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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