映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ラ・ラ・ランド」「トリプルX 再起動」「彼らが本気で編むときは、」etc.

スノーデン

SNOWDEN
香港の高級ホテルの一室で、元CIAおよびNSA(アメリカ国家安全保障局)職員だったエドワード・スノーデンが、ドキュメンタリー作家ローラ・ポイトラス、ガーディアン紙の記者グレン・グリーンウォルドのインタビューに答えている。大ケガで軍を除隊したスノーデンは、愛国心の強い理想に燃えた青年だった。CIAに入り抜群に優秀な仕事ぶりで上司からも信頼されるスノーデンだったが、ある時、アメリカ政府が、テロリストだけでなく一般市民をも対象にした、国際的な監視プログラムを作り上げ、不正に使用していることを知り、危機感を募らせる。そしてついに祖国を告発することを決意。ホテルの一室でスノーデンは、なぜ国家を裏切り命がけの行動に出たのかを語り始める…。

2013年にアメリカ政府による国際的な個人情報監視システムを暴露したスノーデン事件の全貌を描く「スノーデン」。エドワード・スノーデンと彼の告発についてはオスカーを受賞したドキュメンタリー映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」があるが、本作で監督を務めるオリバー・ストーンは、香港の高級ホテルでインタビュアーと対面するところからスタートし、なぜスノーデンが祖国を告発するに至ったのかを、分かりやすいドラマで描いている。彼がいかに優秀か、彼を支えた恋人リンゼイとの絆がいかに強いか、そして安全保障という名目で行われる監視プログラムの実態がいかに恐ろしいものかが、十分に把握でき、同時にエンタテインメントとしてもしっかりと成立している点がいい。自ら開発したシステムが、実は悪用されていたと気づいたとき、コンピューターオタクで日本のポップカルチャーを愛する29歳の青年は、自己嫌悪と罪悪感に苛まされたに違いない。世界中を震撼させたスノーデン事件の政治的な側面はすでに多く語られているが、映画は愛国者だったスノーデンが、国家に失望し、ついに祖国を告発するに至る、内面の変化を丁寧に描いている。スノーデン本人の映像がラストに登場し、大きな説得力を与えているが、スノーデン事件はまだ終わっていないのだと、本作は改めて訴えているのだ。スノーデンを完璧にコピーして演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットのなりきりぶりは大きな見所だ。CIA訓練センター時代のスノーデンと心を通わせるオタク風の教官を演じるのはニコラス・ケイジ。出演時間は短いが、後のスノーデンの生き方に大きな影響を与える人物で、強い印象を残している。
【70点】
(原題「SNOWDEN」)
(米・独・仏/オリヴァー・ストーン監督/ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シャイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、他)
(危機感度:★★★★★)
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スノーデン|映画情報のぴあ映画生活

ショコラ 君がいて、僕がいる



19世紀末のフランス。田舎のサーカス団にいたカナンガ、後のショコラを、落ち目の道化師だったフティットがスカウトし、コンビを組む。白人と黒人という前代未聞の組み合わせの芸人コンビは人気を博し、やがてパリの名門ヌーヴォー・シルクの専属となって脚光を浴びる。大金を手にし、派手な生活や賭け事にのめり込むショコラだったが、不法滞在の罪で逮捕され拷問を受けることに。釈放後も、コンビの人気は続くが、根深い人種差別に苦悩するショコラは、ますます酒やアヘン、ギャンブルに溺れ、フティットとの溝が深まっていく…。

19世紀末から20世紀初頭に実在した芸人コンビで、フランス初の黒人芸人ショコラと、相方の白人芸人フティットの軌跡を描く「ショコラ 君がいて、僕がいる」。サーカスの道化師として人気を博したこのコンビだが、もともとすでに実績があったフティットについては多くの資料が残っているのに、ショコラは歴史から忘れ去られていた。本作は、すべてが正反対の二人の芸人の友情の物語であり、芸人コンビの栄光と転落の物語でもある。と同時に、ショコラという黒人が、人種差別や偏見に苦しみ続けた、苦悩を描くものだ。奴隷の子どもとしてハバナで生まれ、スペイン、フランスへとたどり着き、芸人として大成功するショコラは常に向上心を持って生きる強さがある。一方で、酒やアヘン、ギャンブルに溺れる脆さも併せ持つ多面的な人間だ。そんなショコラが人々に愛されながらも、不当な差別を受け、忘れ去られる運命は、サーカスがやがて映画の誕生によって衰退していく運命とも、どこか重なって見える。ショコラは芸名で、本名はラファエル・パディーヤ。陽気で刹那的なショコラ役のオマール・シーと、舞台を降りたら笑顔が消える内向的で孤独なフティットを演じるジェームズ・ティエレ(チャップリンの実孫)のコンビの相性が良く、道化師の哀愁をよく表していた。二人の当たり芸とショコラの存在は、映画の父リュミエール兄弟が撮ったフィルムに刻まれていて、本物の彼らの姿が映画のラストで登場し、感動の余韻を残してくれる。
【65点】
(原題「CHOCOLAT」)
(フランス/ロシュディ・ゼム監督/オマール・シー、ジェームズ・ティエレ、クロティルド・エスム、他)
(コンビ愛度:★★★★☆)
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新宿スワンII



新宿・歌舞伎町を拠点にするスカウト会社バーストは、横浜に勢力を広げることになる。会社のエース格になった白鳥龍彦は、幹部の関玄介と共に横浜に送り込まれる。だがそこは、警察やヤクザとも裏でつながるスカウト会社の横浜ウィザード社長・滝正樹が支配する難攻不落のタキ王国だった。龍彦たちは早々に手洗い洗礼を受け、タキの策略によってバーストは窮地に陥る。バーストの社長は龍彦を破門にすることで事態を回避しようとするが、新宿と横浜は全面戦争に突入。孤立無援の龍彦は、歌舞伎町を守るために立ち上がる…。

和久井健の人気コミックを原作に、新宿・歌舞伎町で生きるスカウトマンの成長を描いた人気作の続編「新宿スワンII」。今回は、原作のエピソードの中でも人気が高い「横浜王国編」をベースに描く。前作からの主要メンバーに加え、今回は、新たに浅野忠信や広瀬アリス、椎名桔平らが出演する。何しろ、登場人物が多いので、133分という長尺の間、どうにもゴチャゴチャしてしまった感は否めない。内容も、いろいろと詰め込みすぎて、交通整理がうまくいってない印象だ。前作で命を落とした南秀吉の死の真相も含めて、すっきりしないのである。クイーンコンテストという派手なイベントも用意されているが、ビジュアル的には華やかだが、これ、必要なのか?!と首をかしげてしまう。横浜ウィザードのタキと新宿バーストの関の間には、実はのっぴきならない因縁が。友情と夢、愛憎入り混じるこの部分の魅力が薄まってしまったのが、何よりも残念である。ただ、アクション監督に「るろうに剣心」シリーズの谷垣健治を迎えたアクションシーンは、素晴らしく、大人数での大乱闘、ガチでの1体1の勝負など、すべてのアクションが、手に汗握る迫力だった。
【55点】
(原題「新宿スワンII」)
(日本/園子温監督/綾野剛、浅野忠信、伊勢谷友介、他)
(すっきり感度:★☆☆☆☆)
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アラビアの女王 愛と宿命の日々



19世紀後半。イギリスの裕福な家庭に生まれ、オックスフォード大学を優秀な成績で卒業した貴族令嬢ガートルード・ベルは、イギリス上流社会の生活に息苦しさを感じ、テヘラン駐在大使である叔父がいるペルシャへと旅立つ。ガートルードはアラビアの砂漠に魅了され、探検家として、考古学者として、時に諜報活動も行うようになる。彼女は、2度の悲恋を経験しながらも、アラビアの和平を目指し活動を続ける。20世紀を迎え、時代の大きなうねりの中で、イラン建国を影で支えた彼女は、いつしか“砂漠の女王”と呼ばれるようになっていた…。

イラク建国の立役者となった英国人女性ガートルード・ベルの半生を描いた「アラビアの女王 愛と宿命の日々」。アラブの民を支援した英国人といえば“アラビアのロレンス”ことT.E.ロレンスが有名だが、彼よりも少し年上で、アラビアの地に情熱を注いだのが、英国人の貴族令嬢ガートルード・ベルだ。ロレンスに比べて知名度が低いこの女性は、自由な旅行者、探検家、冒険家、登山家、考古学者、詩人、作家、そしてアラビア語を解し部族や民族問題にも精通したアラビア通として諜報活動も行ったという、多面的な女性だ。劇中には若きロレンスも登場するが、本作はガートルードの政治的な側面は重視せず、砂漠に魅せられた女性の2度の悲恋が中心になっている。イラク建国の母と言われながらも、現在までも続く中東紛争の原点という解釈もある人物を描くに当たって、メロドラマのような描き方でいいのか?!という意見もあるだろう。だが、ヴェルナー・ヘルツォーク監督が見据えたのは、政治や恋愛ではなく、人間の力を超えた、砂漠という大自然そのものの魅力だったに違いない。思えばヘルツォーク監督は、南米の秘境や険しい山岳、オーストラリアの大自然など、決して人間に“飼いならされない”圧倒的な自然を背景に多くの映画を作ってきた人だ。ヴィクトリア朝時代、上流社会から飛び出した貴族の令嬢ガートルード・ベルの生き様は破天荒そのもので、まさに砂漠に魅入られた人生だった。ヘルツォーク監督の作品で初となる女性主人公を演じるニコール・キッドマンのたたずまいが気高く美しい。そして彼女の美貌を上回るほど官能的な美しさを見せる砂漠の映像が、何よりも心に残る。
【60点】
(原題「QUEEN OF THE DESERT」)
(アメリカ、モロッコ/ヴェルナー・ヘルツォーク監督/ニコール・キッドマン、ジェームズ・フランコ、ロバート・パティンソン、他)
(歴史秘話度:★★★★☆)
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マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ

Maggie's Plan
NYの大学でアーティスト・コーディネーターとして働く30代のマギーは、半年と恋愛が続かない体質。大学時代の友人から精子をもらい一人で出産・子育てをしようと考えていたが、ある日、既婚の文化人類学者ジョンと出会い恋に落ちる。ジョンの妻ジョーゼットはキャリウーマンで、家庭を顧みない妻に疲れたジョンは、離婚して、マギーと結婚する。娘も生まれ幸せに見えた二人だったが、マギーは、仕事を辞めて小説家の夢を追うジョンとの結婚生活に不安を感じていた。そんな中、マギーはジョーゼットと親しくなり、知的で魅力的な彼女が鬼嫁ではなく今もジョンを深く愛していることを知る。ジョンはジョーゼットと一緒にいた方が幸せになれると確信したマギーは“夫を前妻に返す”というトンデモナイ計画を思いつくが…。

現代のNYを舞台に、離婚や再婚でこじれた男女の奇妙な三角関係を描くハートフル・コメディ「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」。不倫、離婚、略奪婚…などの言葉でストーリーを説明すると、ドロドロの愛憎劇を想像しそうだが、本作は、ウディ・アレン映画にも通じる、のほほんとした恋愛劇だ。主要登場人物のマギー、ジョン、ジョーゼットは、いい大人なのに、皆、自分勝手で不器用な人たちだし、現妻が前妻と一緒に、夫を返す作戦を練るという展開は、オペレッタや艶笑喜劇のよう。聡明だがドジでヘマばかりやってる主人公マギーは、恋愛下手のこじらせ女子なのだが、いつだって一生懸命で最善を尽くしている。マギーは、劇中にジョーゼットが彼女を評して言うせりふの通り、純粋でちょっとおバカなキャラクターなのだ。「フランシス・ハ」ですっかりNYを体現する女優になった感があるグレタ・ガーウィグは、大柄でもっさりとした体格や、端正だけど美人過ぎない北欧系の顔立ちのためか、そんなとぼけたヒロインが実に良く似合う。冬のNYの風景、ダサ可愛いファッション、北欧風のインテリア、アーティスティックなグリニッジ・ビレッジのライフ・スタイルなど、女性誌が喜んで特集しそうなアイテムにあふれているインディーズ映画だが、よくみると、イーサン・ホークやジュリアン・ムーアなど、なかなかの実力派キャストが顔を揃えている。こじれた三角関係と、マギーの人生修復プランの行方は? それは映画を見てぜひ確かめてほしい。人間というのは、持ちつ持たれつで成り立っているんだなぁ…と苦笑してしまうお話だが、何とも憎めない小品だ。
【60点】
(原題「MAGGIE’S PLAN」)
(アメリカ/レベッカ・ミラー監督/グレタ・ガーウィグ、イーサン・ホーク、ジュリアン・ムーア、他)
(ハートフル度:★★★★☆)
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ザ・コンサルタント



田舎町で会計事務所を開いているクリスチャン・ウルフは、ある日、大手企業から財務調査を依頼される。ウルフは15年分の資料を一晩で調査し、不正を見つけるが、なぜか調査は一方的に打ち切られる。それ以来、ウルフは、何者かに命を狙われるようになる。実はウルフは、マフィアや武器カルテル、麻薬組織など、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切る闇の掃除屋で、凄腕の暗殺者でもあった。名前は偽名、本籍、私生活もすべて謎。天才的な頭脳と一級の格闘能力、百発百中の狙撃の腕を持ち、アメリカ政府からも目を付けられているウルフは、謎の組織から逃れながら、危険な戦いに身を投じていく…。

複数の顔を持つ異色のヒーローの活躍を描くサスペンス・アクション「ザ・コンサルタント」。主人公ウルフは、表の顔はしがない会計士、裏の顔は凄腕の暗殺者。2つの顔を持つということだけなら、主演のベン・アフレックが別シリーズで演じている、悲しい過去を持つ闇のスーパーヒーローに似ていると思うだろう。だが違うのは本作の主人公が背負った過去と特殊能力の質だ。それは、回想シーンや過去のパートが挿入されることで、少しずつ明かされる。人とは違う異形の能力ゆえに苦悩した主人公の人生は、かなり切ないものだ。一方で、終始ウルフに指示を出すパソコン音声の主や謎の組織の正体、危険な仕事に身を投じるウルフの真の目的などが、企業の不正の真実と結びつく終盤は、まるでパズルの最後のピースがはまるような快感を感じる。難を言えば、アナ・ケンドリックやJ・K・シモンズら、実力派俳優が出演しているというのに、彼らの役割と活躍が少ないことだろうか。それでも、インドネシアの格闘技“プンチャック・シラット”の無駄のない美しい動きや、几帳面で無口な主人公が時折みせる、とぼけた優しさが笑いを誘うなど、意外なほど魅力にあふれている。ベン・アフレックの新たなハマリ役になりそうなこのアンチ・ヒーローの次の活躍が見てみたい。個人的に、続編希望!である。
【75点】
(原題「THE ACCOUNTANT」)
(アメリカ/ギャヴィン・オコナー監督/ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、他)
(アンチヒーロー度:★★★★☆)
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沈黙 サイレンス



17世紀、江戸初期。宣教師フェレイラが日本で棄教したと聞き、フェレイラの弟子の若き宣教師ロドリゴとガルペは、日本人キチジローの手引きで、マカオから長崎にたどり着く。幕府による激しいキリシタン弾圧の嵐が吹き荒れる中、ロドリゴらは隠れキリシタンと呼ばれる人々の存在を知る。やがてキチジローの裏切りで捕らえられたロドリゴは、長崎奉行から棄教を迫られる。激しい拷問を受ける信者たちを救うために棄教するべきか、それとも信仰を守り抜き殉教するべきか。ロドリゴは決断を迫られるが…。

キリシタン弾圧下の日本で、ポルトガル人宣教師が体験する苦悩を描く人間ドラマ「沈黙 サイレンス」。原作である遠藤周作の名作小説を、巨匠マーティン・スコセッシ監督が28年越しの願いで映画化した力作だ。何があっても己の信仰を守るべきか、信者たちの命を守るために信仰を捨てるべきかと苦悩する若き宣教師の物語で、棄教は踏み絵という目に見える形で描かれる。だがこの映画のテーマはそれだけではない。スコセッシは聖職者を志した経歴もあり、彼の作品の多くは、信仰と暴力が同居している。本作もまたしかり。キリスト教の布教に情熱を傾けた人々が直面する圧倒的な暴力を背景に、善と悪、赦しと不寛容、さらには布教という名の西欧の植民地主義や、宗教が根付かない沼と例える日本論まで、内包するメッセージは多岐にわたる。決して歴史ものや宗教映画ではなく、この映画のテーマは恐ろしいほど現代的なのだ。ハリウッドの俳優たちの熱演も見事だが、日本人キャストの存在感、演技力は決してひけをとらない。体重を落として壮絶な姿を見せるモキチ役の塚本晋也の命がけの熱演や、狡猾でいながら真実を射抜く目を持ち清濁併せ持つ長崎奉行役のイッセー尾形の深みのある演技には、心を打たれた。残酷すぎる現実の前で、ロドリゴは「神よ、あなたはなぜ何も答えないのですか」と問い、苦悩の末に、ある決断を下すことに。何度もキリスト像を土足で踏む裏切者キチジローは、この物語の中でのユダだ。だがキチジローは裏切っては赦しを求め、心の片隅に信仰を宿し続ける。彼は弱いのか強いのか。卑小にして偉大という矛盾の権化か。キチジローこそ、この映画のキーパーソンである。「こんな自分でも神は赦すでしょうか」というキチジローの問いの答えは、ロドリゴの問いの答えと同じく、沈黙の中にある。そして、何が正しかったのかという答えもまた、見る者それぞれの心の沈黙の中にあるのだ。
【80点】
(原題「SILENCE」)
(アメリカ/マーティン・スコセッシ監督/アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライヴァー、他)
(試練度:★★★★★)
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沈黙−サイレンス−|映画情報のぴあ映画生活

2016年末公開の作品をまとめて寸評!

1月も半分を過ぎました。年末は更新をサボり、年始はベスワ発表と、何かと気忙しかったので、今日は、年末公開の作品を、少しだけですが、まとめて寸評で紹介しておきます。レビューと呼べるほど詳しくないので、覚書程度ですが、このままだと、どうやらお蔵入りしてしまいそうなので…(汗)。

好きになるその瞬間を。〜告白実行委員会〜」(日本)
憧れの先輩を追って高校に進学した少女の恋を描く青春アニメーション。好評だった「ずっと前から好きでした。〜告白実行委員会〜」の姉妹編のような位置付けの映画です。片想いの切なさ、告白する勇気、すぐそばにいるのに伝えられない想い…と、胸キュン要素満載。「ずっと前から…」の登場人物も顔を出すので、セットで楽しみたい作品です。
好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~ (角川つばさ文庫)
香坂茉里
KADOKAWA
2016-12-05

←ヒロインの雛ちゃんは、「ずっと前から…」の優の妹です。


ヒトラーの忘れもの」(デンマーク、ドイツ)
第2次世界大戦終了後、ドイツ兵捕虜がデンマークで地雷処理に動員されたという史実を描くヒューマン・ドラマ。大人が始めた罪深い戦争の“後始末”を、まだ幼さが残る少年兵たちが背負わされていた事実を、この作品で初めて知りました。憎しみの連鎖や暴力など、戦争が残した傷跡に心が痛みますが、地雷は今も世界中に存在し、悲劇は続いています。重いテーマを扱った作品ですが、現代に通じるメッセージがあります。

ピートと秘密の友達」(アメリカ)
森の中で、一緒に過ごしてきた少年と謎めいた生き物エリオットとの絆と友情を描くファンタジー・アドベンチャー。1977年公開のディズニー作品「ピートとドラゴン」を最新の映像技術でよみがえらせた作品です。ストーリー的にはご都合主義が目立つのですが、映像はとても細やか。実写に、違和感なくとけこむドラゴンのヴィジュアルに魅了されます。
ピートと秘密の友達 オリジナル・サウンドトラック
WALT DISNEY RECORDS
2016-12-21

←緑の映像が目に優しい映画でした(笑)


ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」(イタリア)
イタリア・ミラノにある世界屈指の歌劇場「スカラ座」の全貌に迫るドキュメンタリー。作曲家ヴェルディ、指揮者トスカニーニ、演出家で映画監督のヴィスコンディ、そして伝説のオペラ歌手、マリア・カラス。キラ星のごとく偉大な芸術家の姿と、関係者たちのインタビューが満載です。オペラ好きはもちろん、オペラ初心者にもおすすめ。もちろん、後世に残す貴重な映像資料としても一級品です。

MERU/メルー」(アメリカ)
ナショナルジオグラフィックなどの写真を手掛けてきた山岳写真家で登山家ジミー・チンら3人のトップクライマーが挑んだ、ヒマラヤ・メルー中央峰ダイレクトルート登頂の様子に迫るドキュメンタリー。通称、シャークスフィン(鮫のヒレ)と言われる岸壁だけあって、もう見ているだけで目がくらみそう(笑)。過酷な大自然は、だからこそ壮麗で人々の冒険心をかきたてるのかもしれません。決断、友情、挑戦などのドラマとしても見応えがあります。それにしても、12/31に公開って…(苦笑)。サンダンス映画祭の観客賞受賞作です。
Meru [DVD] [Import]
Music Box Films
2015-11-17

←過酷すぎませんか、この岸壁…


ほんの数本ですが、ざっくりと紹介しました〜\(^▽^)/
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パシフィック・ウォー

USS Indianapolis: Men Of Courage [Blu-ray + Digital HD]
太平洋戦争末期の1945年。マクベイ艦長率いるアメリカ軍の巡洋艦インディアナポリス号は、極秘任務を下される。それは、戦争終結を目的とした原子爆弾をテニアン島に輸送する任務だった。日本軍の猛攻をかいくぐりながら、何とか目的地に到着し任務を終えたマクベイ艦長と兵士たちは、次の任務地へと向かって出航する。だが、橋本少佐率いる日本軍の潜水艦から発射された魚雷が艦を直撃し、インディアナポリス号は沈没。生存者たちは太平洋を漂流することになる…。

原子爆弾の材料輸送の極秘任務を遂行した海軍巡洋艦インディアナポリスの艦長と兵士たちの過酷な運命を、史実をベースに描く「パシフィック・ウォー」。太平洋戦争の知られざる事実を描く戦争アクション…といった宣伝文句だが、本作は、アクション映画というより、むしろサバイバル映画。インディアナポリス号は、日本の魚雷によって沈没し多くの兵士が命を落とすが、かろうじて生き残った者たちには、飢えと渇き、そして獰猛な鮫たちが襲い掛かるのだ。もはや鮫映画と言えるほど、その状況はすさまじい。極限状態での人間ドラマ、とりわけ、一人でも多くの部下の命を救おうと奮闘するマクベイ艦長の苦悩のドラマは見応えがある。だがしかし。非常に残念なのは、あまりにもCGがお粗末なのだ。ハリウッド発の映画で久しぶりにこんな粗雑なCGを見たが、低予算映画の悲しさなのだろう。マクベイ艦長を演じるニコラス・ケイジをはじめ、役者陣(日本からは竹内豊が参加)は意外なほど好演している。軍艦インディアナポリスの役割と悲劇は知っているが、その後の軍法会議のいきさつは日本ではあまり知られていないはず。むしろ、裁判劇にすれば面白い作品になったかもしれない。ちなみに鮫映画の金字塔「ジョーズ」では、インディアナポリス号の生き残りという設定のキャラクターがいたことを、付け加えておく。インディアナポリス号の受難は、鮫の恐ろしさを広く知らしめた事件だったのだ。
【50点】
(原題「USS INDIANAPOLIS: MEN OF COURAGE」)
(アメリカ/マリオ・ヴァン・ピーブルズ監督/ニコラス・ケイジ、トム・サイズモア、竹内豊、他)
(サバイバル度:★★★★☆)
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疾風スプリンター



チーム・レディエントは、エース選手のチョン・ジウォンが引っ張る自転車ロードレースの強豪チーム。そこにチウ・ミンとティエンがアシストとして所属することになる。2人は互いにエースの座を目指しながらアシストとして力をつけていき、ジウォンを加えた3人は友情を深めていく。台湾各地で連戦を繰り広げる彼らだったが、ある日、チーム・レディエントは資金難により運営困難に。ジウォン、ミン、ティエンの3人はそれぞれ別のチームに所属することになり、各チームのエースとなって、ライバルとして戦うことになる…。

自転車ロードレースの世界を舞台に、激しく競い合うライバル同士の友情と成長を描くドラマ「疾風スプリンター」。日本でも、自転車競技は、人気漫画の影響もあって注目度を増しているが、迫力の競技シーンをとらえた実写映画である本作もまた、自転車ロードレースの魅力をたっぷりと伝えてくれる。個人戦に見える自転車競技は、実際はチームで戦うスポーツで、ごく簡単に言うと、一人の爆発的なパワーを持つエースを、複数のアシストがさまざまなテクニックでサポートするスタイルだ。ダンデ・ラム監督の演出はスポーツ映画の王道ともいえるもの。タイプの違うライバルたち、同じ女性に想いを寄せる三角関係、栄光、挫折、再起、そして、確かめ合う男の友情と、テッパンの作りで、安心感がある。その分、目新しさはないが、それでもこの物語に胸が熱くなるのは、競技のシーンが並外れて素晴らしいからだ。ラム監督がこだわったレースシーンは、大掛かりな街頭ロケ。俳優たちは山や砂漠を含む過酷な場所での撮影にスタント無しで挑んでいる。そのおかげで、レースの迫力はスクリーンのすみずみまであふれている。天性爛漫な性格で野心家の天才型チウ・ミン、身体に問題を抱えながらも真面目な努力型のティエン、クールなエースのジウォンと、キャラクターのメリハリも効いている。演じる俳優のイケメンぶりがそれぞれタイプが違うので、ストーリーを追いやすいのもいい。ラム監督にしてはさわやかすぎるのがちょっと意外だが、タイトル通り、疾風のようなレースに魅了されるスポ根映画だった。
【65点】
(原題「TO THE FORE」)
(香港、中国/ダンテ・ラム監督/エディ・ポン、チェ・シウォン、ショーン・ドウ、他)
(臨場感度:★★★★☆)
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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