映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
アメリカ映画「シェイプ・オブ・ウォーター」

ジャーヘッド

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◆プチレビュー◆
湾岸戦争という“地味”な戦争を素材に、近代戦の盲点を突くストーリーがすばらしい。ノリにノる俳優ジェイク・ギレンホールがいい味を出している。

海兵隊員に憧れる若者スオフォードは、厳しい訓練に耐えた末に、狙撃兵として湾岸戦争に従軍する。希望に燃えて砂漠地帯にやってはきたが、そこには銃を向けるべき敵がいない。当面の任務は、油田を守るという名目の“待つ”任務だった…。

湾岸戦争を背景にした元兵士の回顧録を映画化したこの映画は、極めてユニークな戦争映画だ。狙撃兵となった主人公は、遂に最後まで誰も殺さない。こんな戦争映画、今までに見たことがない。どこか滑稽な戦争の結末も、かつてない演出だ。

湾岸戦争を扱った映画には「スリー・キングス」があるが、本作と共通する演出はMTV的感覚にあふれたグルーヴ感。人命を奪う感覚は極めて薄い。一方、世界中の人々は遠い安全な場所にいながら、テレビで常に流される戦闘を見続ける“観客”だ。生と死を実感できなくなってゆくことに、本当の恐ろしさがある。

イラクのクウェート侵攻は、アメリカにとってハイテク戦争の始まりの合図だった。石油産出地帯に強引に乗り込む米国軍という構図は国家間のかけひき。だが、底辺には名もない兵士たちの真実がある。退屈と孤独が狂気を生み、底知れない虚無へとつながる。人間性を破壊された主人公は、戦争が終わっても決して戦地から逃れられない。誰も殺していない。だが自分自身を殺してしまっていたのだ。

□2005年 アメリカ映画 原題「Jarhead」
□監督:サム・メンデス
□出演:ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ジェイミー・フォックス、他

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ミュンヘン

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◆プチレビュー◆
記録映画やTV映画にもなった手垢のついた事件をいまなぜ映画化なのか?ラストの世界貿易センターの映像は、あまりにも“読める”演出で苦笑。いっそ得意のSFにでもして、未来のイスラエルをシュミレーションするくらいの心意気をみせてほしかった。

1972年ミュンヘン・オリンピック開催中に、パレスチナ・ゲリラによるイスラエル選手団襲撃事件が勃発。これに激怒したイスラエル側は、事件後ひそかに暗殺チームを編成し、報復を企てる。愛国心の強いアヴナーはこのチームのリーダーに任命されるが、任務を遂行するうちに彼の心に恐怖と疑問が沸き起こる…。

物語の軸は、選手団襲撃事件の後の、長い時間と膨大な経費をかけた殺人計画。雇い主はイスラエル国家だ。複雑な政治と歴史がからむ話なので、できれば72年の五輪の前からの中東情勢を予習して見ると、テロと報復の悪循環をより深く理解できる。

妻や子どもを愛し料理が大好きという細やかな面を見せるアヴナー。彼を人間的な好人物にすることで、報復行為のむなしさと極限の緊張からくる心の強迫が際立った。また、爆弾テロによる流血沙汰は、スピルバーグらしく生々しいまでのリアリズム。銃弾の数までも綿密にリサーチして作り上げたというからすごい。この映画にかける意気込みが伝わってくるようだ。

映画のメッセージは、平和の尊さを訴える真面目で素晴らしいものだ。暴力に暴力で応えても殺し合いは永遠に続き、決して平和などない。同じ人間同士、もっと歩み寄ろう。大いに賛成だ。しかし、事件から30年以上たった今もテロの連鎖が止まない現実は世界中が知っている。もつれにもつれた中東情勢は「きれいごと」では解決できないところまできているのではないのか。それを知っているはずのユダヤ人スピルバーグが描く映画なら、もっと違う、驚くような答えがほしかった。私たち観客は、スピルバーグにはより高いレベルのものをいつも要求してしまう。なぜなら、彼にはそれを映像化できる実力も経済力もあるのだから。

□2005年 アメリカ映画 原題「Munich」
□監督:スティーヴン・スピルバーグ
□出演:エリック・バナ、ダニエル・クレイグ、ジェフリー・ラッシュ、他

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フライトプラン

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◆プチレビュー◆
人種差別はするわ、他の乗客に迷惑かけまくるわで、かなりハタ迷惑な主人公。それでも役が成り立つのは、ハリウッドきっての知性派のジョディが主役だから。

夫を事故で亡くし傷心のカイルは、6歳の娘ジュリアとベルリンからNY行きの巨大旅客機に乗り込む。うたた寝をして目を覚ますと、隣にいるはずの娘がいない。乗客や乗務員は誰もジュリアを見ていないという。夫の死に加え娘の失踪で、カイルは激しく情緒不安定になり、必死で娘を探し始めるが…。

文学や映画では、屋敷や列車など、そこにいるはずの人物が忽然と消えていなくなるというストーリーは意外にポピュラーなもの。本作では、最新型ハイテク重層ジャンボジェットが舞台だ。空の上の密室で戦うカイルは、その航空機の設計者にして、娘を誰よりも愛する強い母親である。

私服航空保安官やスチュワーデス、乗客まで全員が容疑者。助けてくれる人物は誰もいない状況で奮闘する姿は、同じく娘を守るために戦う「パニック・ルーム」の母親の姿とダブる。密室型ながら、アクション要素もかなり高く、巨大な旅客機のすみずみを見せる映像はおもしろい。飛行機の構造に誰よりも詳しい設計者という設定がここで生きるが、犯人側から見ると不利な点の方が多く、この設定は脚本の弱さにつながってしまった。400人を超える乗客が一人も行動を起こさないのも不自然だ。

荷物やチケットの半券など、娘の痕跡は完全に消され、果ては「娘さんは6日前に亡くなっています」と言われ愕然とする主人公。自分の記憶さえ信じられなくなったとき、娘が残した曇ったガラスに残した絵を見つける。思わずヒッチコックの名作「バルカン超特急」を思い出した。

□2005年 アメリカ映画 原題「Fligtplan」
□監督:ロベルト・シュヴェンケ
□出演:ジョディ・フォスター、ピーター・サースガード、ショーン・ビーン、他

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スタンドアップ

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◆プチレビュー◆
ミネソタ州の寒々とした映像が素晴らしい。この北の国の雪景色は、まるで一人のキャラクターのように物語を引っ張る。でも劇中の女性イジメはヒドすぎ!

子どもを連れて故郷ミネソタにもどったシングル・マザーのジョージー。彼女は生活のために、賃金のいい鉱山で働き始めるが、男の仕事を女が奪うと考える労働者たちは、数少ない女性労働者に対し、時には企業ぐるみで壮絶ないやがらせを行う…。

セクハラやいじめとかいう言葉があるが、この映画のそれはそんな生易しいものではない。もはや虐待だ。実話をベースにしたこの物語の素材は、全米で初めて、企業を相手取って起こした、セクハラの集団訴訟。保守的な田舎町で、伝統や権力に対してNOという難しさは想像してあまりある。見ていてつらい場面も多いが、男女ともに目をそむけてはいけない。

物語は進行中の裁判を中心に、回想を交えて進んでいく。ジョージーが過去に受けた傷や家族との溝も含めて、彼女の過酷な人生とそれに負けない人間性を描くことで観客を映画に引き込んでいく。ニキ・カーロという監督は思った以上に実力者だ。さらに脇を固める“地味”系のオスカー女優たちが見事。この脇役の俳優たちが、フェミニズムの説教くささを消し、女性映画というよりも、全ての不正に対して立ち上がる人間のための物語にしてくれた。

典型的なハリウッド・ビューティーのシャーリーズ・セロンが「モンスター」に勝る熱演で、この汚れ役を演じている。結婚に失敗し実家に戻ったヒロインは、保守的な町では完全な異分子。容姿の良さを全面に出す場面もほとんどない。人生負け組の主人公は、同僚の女性からの協力もなく、孤立無援の中で立ち上がる。この孤独な姿がヒロインの勇気をより崇高なものにしている。

□2005年 アメリカ映画 原題「North Country」
□監督:ニキ・カーロ
□出演:シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ウッディ・ハレルソン、他

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そして、ひと粒のひかり

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◆プチレビュー◆
生活のためとはいえ、安易に麻薬に走る姿は激しく苛立ちを誘う。南米諸国は生活の末端まで米国の支配を受ける。だが、その米国に入り込みたくましく生き抜くのもまた巧妙な支配なのだ。

田舎町での貧困と閉塞感に苦しみ、さらに望まない妊娠が発覚してから、衝動的に麻薬の運び屋となった17歳のマリア。麻薬を胃の中に飲み込んで密輸する、極めて危険なこの仕事は、ドラッグ・ミュールと呼ばれていた。5000ドルという想像もつかない大金を提示され、ついに彼女は62粒の麻薬を飲み込んでNY行の飛行機に乗るが…。

麻薬を扱った映画というので、重苦しい社会派ドラマを予想していたが、この作品は少し違う。確かにコロンビアの麻薬問題は日本とは比べ物にならないほど深刻で、危険なものだ。だが物語は一人の少女の心の成長に重点を置いて進んでいく。大人でも子供でもない17歳という微妙な年齢の女性の物語は、普遍的なもので、日本人でもきっと共感する部分があるはずだ。

なんとか無事に税関を通過しNYへたどり着いた彼女だったが恐ろしい出来事を目の当たりにして、麻薬を持ったまま逃げ出してしまう。このあたりはサスペンス風に展開するが、ハリウッド映画のようにアクション寄りの展開には決してならない。言葉も通じぬ異国の地で、わずかなつてだけを頼りに奔走するマリアの姿。ここに見える明確な「生きる意思」。主人公の内面は、ここから変わっていく。

ヒロインのマリアを演じるカタリーナ・サンディノ・モレノは、本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされた。見れば納得の名演技で、将来が期待される逸材だと確信する。特に、ラストの表情は印象的で忘れられない。セリフはなくとも表情だけでマリアが希望を胸に人生の再出発を歩むことが伝わってくる。体内に宿った小さな命の尊さに気付いたとき、まさに彼女は21世紀のマリアになった。

□2004年 コロンビア・アメリカ合作映画 原題「MARIA FULL OF GRACE」
□監督:ジョシュア・マーストン
□出演:カタリーナ・サンディノ・モレノ、イェニー・パオラ・ヴェガ、オーランド・トーボン、他

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SAYURI

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◆プチレビュー◆
ニッポン勘違いムービーを最も楽しめるのは他ならぬ日本人だ。映画を見終わったら、とことんツッコミを入れて遊ぼう。ちなみに原作は10年以上かけて日本の歴史と花柳界を取材した本格的な小説とのこと。

貧しさゆえに置屋に売られた少女千代は、ある日、優しく声をかけてくれた紳士“会長”に恋をする。彼に会いたい気持ちだけを胸に、一流の芸者“さゆり”になった彼女は、再び会長と再会するが、彼女を待つのは過酷な運命と時代の荒波だった…。

この映画を見るときの心得はただひとつ。本当の日本を忘れてしまうことだ。そうすれば、最高にゴージャスでエキゾチックなハリウッド製エンタメ映画を満喫できる。どこか中国と混同した風景描写、箱庭のように美しい日本の花柳界、確信犯的に誤って描く時代考証。数々のおかしな描写を気力で乗り越えて、私はたっぷり楽しんだ。これはハリウッドが思い描く理想の日本の姿だと思っていい。

もっとも、主人公の人物描写がおそまつなのはいただけない。血のにじむ“努力型”でもなく、天賦の才の“天才型”でもないさゆり。たまに小じゃれた会話はするものの、伝説の芸者になるプロセスに説得力がないのが、映画としては致命的だ。彼女の武器は、チョイと可愛いルックスと、強運だけ。激動の半生を描く物語のヒロインとしては少々パンチ不足ではなかろうか。

さゆりのインパクトは乏しいが、その分、彼女をイビる初桃やさゆりを仕込む豆葉などは魅力的。中国映画界の華とも言えるベテラン女優陣はさすがの美しさだ。ご都合主義の展開や、とってつけたようなハッピーエンドには、もはや私は驚かない。この映画から受け取るべき本当のメッセージは、日本の映画界にハリウッド映画の主役をはれる女優がいないという情けない事実を知ることなのだ。猛省すべきである。

□2005年 アメリカ映画 原題「SAYURI」
□監督:ロブ・マーシャル
□出演:チャン・ツィイー、渡辺謙、ミシェル・ヨー、他

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Mr.&Mrs.スミス

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◆プチレビュー◆
ブラピとアンジーの公私混同演技もまた楽し。こんなに激しい銃撃戦なのに、ご近所は平気なのか?!…と、こういうヤボなことを言うヤツには、お気楽娯楽映画を見る資格はない。

ジョンとジェーンは運命的な出会いを経て電撃結婚。幸せな夫婦生活だが、最近ちょっぴり倦怠期。二人は表面は普通の生活をしているが、実はお互いに裏の顔を隠していて、二人とも凄腕の殺し屋なのだ。だが、そんなスゴい秘密を隠しとおせるわけはない…。

スターがスターらしい役柄を演じ、観客はそれを思う存分楽しむ。ハリウッドに昔から存在する映画のスタイルで本作はまさにそれ。いちいち派手に格好をつけながら、お約束のハッピーエンドへと強引になだれ込む。小難しい映画評論家からは鼻で笑われても大衆はこんな作品が大好きだ。そして映画は大衆のためにある。

小さなヒネリはあるものの、ストーリーはいたって単純明快だ。最初と最後をカウンセリング場面にしたのが上手い。観客は主演二人から秘密を打ち明けられているように感じて、ワクワクするだろう。お互いの正体を知った殺し屋は相手を消さねばならないが、この闘いを夫婦喧嘩の拡大版と解釈しているところがおもしろい。

殴り合い、銃撃、爆発、カーチェイスと何でもありだが、基本は強気のジェーンとひょうひょうとしたジョンのかけあいのおもしろさ。表面はアクション映画だが、中身はロマンチック・ラブコメディなのだ。それをブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーという美男美女が演じるのだから、おもしろくないわけがない。

□2005年 アメリカ映画 原題「Mr.& Mrs. Smith」
□監督:ダグ・リーマン
□出演:ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー、ビンス・ボーン、他

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ハリー・ポッターと炎のゴブレット

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◆プチレビュー◆
おしゃれなフランスチーム、マッチョなブルガリアチームなど、キャラの設定もメリハリがあって楽しい。今回の目玉はもしやハリーの入浴シーン?!マートルに迫られアセる姿はファンには必見だ。

ハリー・ポッターは魔法学校の4年生に。今年は100年ぶりに三大魔法学校対抗試合が行われる。それに伴い、学校の代表選手を選ぶが、立候補した覚えのないハリーの名前がそこにあった。親友ロンとも気まずくなったハリーだったが…。

このシリーズは回を重ねるごとに暗くなる。本作は初めて英国人監督を起用し、全編にイギリスらしさを漂わせ、まるでゴシック・ホラーのようだ。冒頭から大迫力のクィディッチW杯の華麗な映像で魅了し、舞踏会では正装姿を見せるハリー達。そして邪悪な“闇の帝王”が遂に登場する。見せ場の連続で2時間37分はあっという間だ。

第4作は魔法版の青春映画といっていい趣。ハリー、ハーマイオニー、ロンは皆、お年頃で、それぞれの淡い恋が微笑ましい。しかも、恋の行方は結構ややこしいのだ。その分、対抗試合に出場する新キャラの描き方はあっさりとしたものになっていて、もっと活躍してほしいところだが、長尺のシリーズではそうもいかない。

炎のゴブレットに導かれたハリーの運命は、遂に邪悪なヴォルデモート卿の復活へとたどり着く。終盤の展開は極めて悲劇的だ。素晴らしい映像も手伝って映画はいよいよ子供より大人のものへとダークに変貌していく。ハリー・ポッターは、もはや子供ではいられないのだ。

□2005年 アメリカ映画 原題「Harry Potter and the Goblet of Fire」
□監督:マイク・ニューウェル
□出演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、レイフ・ファインズ、他

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銀河ヒッチハイク・ガイド

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◆プチレビュー◆
名作へのオマージュがたっぷりで、映画好きにはたまらないだろう。「さようなら、今までたくさんのお魚をありがとう」。あぁ、冒頭のイルカの歌が耳にこびりついて離れない…。

太陽系の銀河バイパス建設のため、障害となる地球は、あっさりと爆破されて跡形もなくなる。ひょんなことから地球人最後の生き残りになってしまった平凡な英国青年アーサーは、15年来の友人だが実は異星人だったフォードとともに、大ベストセラーの「銀河ヒッチハイク・ガイド」を片手に広大な宇宙へと冒険の旅に出る…。

アメリカ映画ではあるが、テイストは完全にイギリスのそれだ。皮肉なユーモアと風刺に富んだ内容は、幻のSF小説と呼ばれた同名小説の映画化。全編、ナンセンスな設定だが、不思議と哲学的な内容にも思える。

常識では考えられないキャラクターは、銀河系で最も無責任な大統領や、うつ病を患うロボット、限りなくお役所的で融通が利かないヴォゴン星人など、数え切れない。昔、ロンドンのパーティで知り合ったもののフラれてしまった美女トリシアまで加わって、謎に満ちた「42」の真実を求めて波瀾万丈の旅が続く。

主役級の俳優は、ほとんど無名なのに、脇役はアラン・リックマンやジョン・マルコビッチなど超豪華。全世界が長年の悲願であった小説の映画化だけに、すみずみまで気合が入っている。ものすごく才能がある人たちが、超バカバカしいことに、大真面目に取り組むと、こんな愉快な映画が出来るのだ。大作ぞろいの2005年のSF映画群の中で、ひときわ輝いている1本だと思う。

□2005年 アメリカ映画 原題「THE HITCHHIKER'S GUIDE TO THE GALAXY」
□監督:ガーズ・ジェニングス
□出演:サム・ロックウェル、モス・デフ、ズーイー・デシャネル、他

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エリザベスタウン

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◆プチレビュー◆
キルスティン・ダンストは目つきが悪く可愛くない女優だが、おせっかいで変わり者のこの役では、とても魅力的。ただ、業務そっちのけで特定の客の世話をやくスチュワーデスというのは、いかがなものか?!

靴デザイナーのドリューは開発プロジェクトに失敗。想像もできない額の負債の責任をとらされ会社を解雇されてしまう。恋人にも去られ、さらに追い討ちをかけるような父の死の知らせ。自殺も覚悟の失意の彼は、小さな田舎町である故郷エリザベスタウンに向かう。そこで彼が出会ったものは…。

キャメロン・クロウ監督の映画は、いつだって音楽センスが抜群だ。それは彼自身が音楽評論家出身であることとも関係するが、何よりも映像に対する美意識が鋭いのだと思う。みずみずしい感覚は彼の最大の持ち味で、本作でも十分に生かされている。

大仰な役が多かったオーランド・ブルームを、挫折して落ち込んだ現代青年として再構築。本作で、この俳優の資質の素晴らしさが見えるはずだ。天然ボケのコメディセンスさえ感じるのは、独特の雰囲気を持つキルスティン・ダンストとの掛け合いの演技で生まれた魅力だと思う。

都会で生活に疲れ、田舎街の故郷で再生する物語は珍しくないし、展開も少々甘いのだが、その語り口が新しい。この映画は一種のロード・ムービーだが、旅が始まるのはラスト30分からという異例のスタイル。だがその旅はすこぶる内容が濃く、素晴らしくも忘れられないものなのだ。

□2005年 アメリカ映画 原題「ELIZABETH TOWN」
□監督:キャメロン・クロウ
□出演:オーランド・ブルーム、キルスティン・ダンスト、スーザン・サランドン、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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