映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
アメリカ映画「シェイプ・オブ・ウォーター」

シカゴ

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◆プチレビュー◆
キャサゼタ姐御のド迫力には恐れ入った。さすがはM.ダグラスのヨメさんなだけある。このお話はなんと実話がベースで、過去に2度ほど映画化されている。チョイ役で特別出演するルーシー・リューが大暴れするのが楽しい。

1920年代のシカゴ。スキャンダル好きで飽きっぽいこの街で、またしても殺人が。舞台スターを夢見るロキシーが不倫相手を殺して逮捕されたのだ。獄中の先客で大スターのヴェルマも同じく殺人罪だが、敏腕かつ金権弁護士のビリーを雇って刑務所の中で脚光を浴びている。彼女を見て刺激されたロキシーは、同じくビリーと手を組んで一躍スターダムにのしあがろうとするが、世間の注目を奪われたヴェルマが黙っているはずはない…。

元は75年に故ボブ・フォッシーが手がけた大ヒット舞台劇。映画「キャバレー」でも有名なフォッシーの演出なだけあって、当然テイストはダークで退廃的だ。スキャンダルを利用してショウビジネス界でのしあがろうとする二人の歌姫と、名声を操るやり手の弁護士の思惑が交錯する物語は、家族愛や人間愛というモラルとはいっさい無縁の世界。しかし、この映画にはそんなものはなくとも圧倒的な魅力がある。

大きな目のアップの導入部から、階段を駆け上るスピーディなショット。名曲「オール・ザット・ジャズ」で始まるオープニングは、文句なくかっこいい。粋なステージを最初からたっぷり見せられたら、もう誰もがこの作品のとりこになってしまう。舞台でキャリアを積んだR.マーシャルは本作が初監督ながら、その手腕は非常に高い。エネルギッシュなパワーが大スクリーンに炸裂、ゴージャスなドラマの幕開けだ。

唐突に歌いだし、不自然に明るいミュージカルを苦手とする人は案外多い。しかし、本作の演出の特徴は、登場人物の空想部分をショウ形式で表現していること。本来、留置所という地味な場所ながら、心象風景を歌と踊りで華麗に演出、華やかなステージとサスペンスフルな裁判を同時進行させる。不自然さは皆無で、その切り替えが実に巧みなのだ。更にこの映画の最大の魅力はブラックさ。なにしろ素材は“美人妻の不倫殺人”。獄中にいる人物が茶番劇の裁判で時代の寵児になり代わるというから、相当にクレージーではないか。さぁ、最後に笑うのはいったい誰か。

出演俳優の達者なパフォーマンスも見逃せない。聞けばキャサリンとギアは経験者。初挑戦のレニーは、二人に比べてやはりちょっと拙い。舌たらずな歌い方はハラハラさせられるが、それが、少し頭は弱いがしたたかでコずるいロキシーというキャラにピッタリ合っていて、結果的に成功しているからたいしたものだ。ギアはタップがもっぱら話題だが、腹話術で人形を操るシーンがアイロニカルで出色の出来。グラミー賞歌手Q.ラティファの上手さは言うまでもないが、気弱で哀れな、ロキシーの夫役のジョン.C.ライリーの歌の意外な味わい深さも捨て難い。

ミュージカル映画のオスカー受賞は60年代の「オリバー!」以来の快挙だ。全員が悪いヤツ。したたかに生き抜く彼らの姿は、なんと痛快なことか。悪の魅力に満ちた男女の原動力は、名声への欲望だ。きらびやかで猥雑、甘美な陶酔感がたまらない。久しぶりに“極上”という言葉が思い浮ぶ、大人のためのエンターテイメント映画の誕生だ。

□2002年 アメリカ映画  原題「CHICAGO」
□監督:ロブ・マーシャル
□出演:レニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギア、他

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過去のない男

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◆プチレビュー◆
音楽ツウのカウリスマキ。本作でもフィンランドのムード歌謡の“イスケルマ”がたっぷり聴ける。我ら日本人には、クレイジーケンバンドの「ハワイの夜」が大ウケ。何とも笑える選曲だが、歌詞と男の心情がぴったり合っていて、非常に効果的。ところで、フィンランドのビュッフェって、本当にお寿司と日本酒が出るの?

夜汽車でヘルシンキにやって来た中年男が、公園で暴漢に襲われ記憶喪失になる。自分の名前すら判らないままに、周囲の人々の支えで貧しいコンテナ暮らしを始めることに。救世軍の女性イルマに恋心を抱いたり、銀行強盗に遭遇したりしながら、つつましくも充実した日々を過ごすが、ふとしたことから、自分の身元が判明する…。

こんなことを言うと失礼だが、アキ・カウリスマキ監督の存在がなかったら、フィンランドでも映画が作られていることに気付かなかったかもしれない。それくらい、この監督はかの国を代表する人物なのだ。しかし、彼の作品の出来には非常に波があり秀作「浮き雲」で唸らせるかと思えば、無声映画に挑戦した「白い花びら」は心底、失望した。要するに当たり外れが大きいわけで、カンヌで賞を取ったからといって油断はならない。

最近、記憶を題材にした映画が多いが、この作品は相当にユニーク。なぜなら、主人公や周囲の人々は、彼の氏素性にまったくこだわらない。男が記憶喪失だからといって、さしたる心配も同情もしてない様子。貧しく、しがない市井の人々は、ただ目の前にいる男をあるがままに受け入れるのだ。そして「人生は前にしか進まない。後ろ向きに進んだら大変だ。」などと、含蓄のあることをさらっと言ってのける。

すっとぼけたユーモアと優しく叙情的なセンチメンタリズムがカウリスマキの持ち味だが、もう一つの特徴は、いつも舞台が都会の片隅であることだ。北欧の映画は、厳しくも美しい自然が効果的に使われることが多いが、彼の映画の舞台はいつも決まって“いなか町”。田舎でも都会でもなく、田舎町というところがミソで、そこには底辺に生きる人々の営みと、ささやかな幸せに注がれる温かい視線がある。

映画には地味ながら個性的で味わい深い人物が多く登場するが、中でも記憶に残るのが、番犬役のタハティ。劇中ではハンニバル(食人鬼)というぶっそうな名前だが、なんとも憎めない。過去のカウリスマキ作品にも出演した犬たちの血を引く由緒正しき名女優犬で、カンヌ映画祭ではパルム・ドッグ賞を受賞しており、要チェックだ!

また、カウリスマキ作品常連の不幸顔の女優カティ・オウティネン扮するイルマが、初めての恋にとまどいながら、デートの前に化粧をする場面がある。慣れない手つきでマスカラをつけるが、普通は見るであろう鏡がない。この設定で彼女がこういうことに縁遠かったのだと判り切ないが、無表情なイルマの不器用な恋に、思いがけないハッピーエンドが訪れるのが、心にしみた。

ユニークで独特のペーソスと共に描く小さな幸福。未来への希望を信じる姿は、今だからこそ貴重な生き方といえはしないか。「この世は、神の慈悲でではなく、自分で生きなければ」。名前や肩書きなどなくとも、一人の人間として2本の足で大地を踏みしめ生きていく。その証拠に、終盤に自分の素性を知った主人公の目線は、過去ではなく未来へ向けられていた。相当に深いテーマなのに、あっさり描くところがすこぶる良い。今回のカウリスマキ映画は、見事に当たりだ。

□2002年 フィンランド映画  原題「mies vailla menneisyytta」
□監督:アキ・カウリスマキ
□出演:マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン、タハティ(女優犬)、他

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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

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◆プチレビュー◆
30歳に近いディカプリオが28歳のふりをした高校生を演じるというから、ややこしい。でも、ちゃんと16歳に見えるから不思議。実在のアバグネイル本人もフランスでの場面に警官役でカメオ出演している。

1960年代のアメリカ。両親の離婚にショックを受け、家出したフランク・アバグネイルは、まだ高校生だが偽造小切手詐欺を思いつき、パイロットや医者、弁護士に巧みになりすまして大金を手に入れていた。彼を追うFBI捜査官カール・ハンラティはなかなかフランクの手がかりをつかめずにいたが、ふとしたことから、犯人はまだ子供なのではないかと思いつく…。

高校生がパイロットや医者になりすまして、世界中を渡り歩き、小切手詐欺で大金をせしめる。本当か?!と疑いたくなるが、実話だと言われては納得するしかない。60年代初頭というのどかな時代には、人を無条件に信じる空気が満ちていたのだろう。ここには、黒人差別やヒッピー、ベトナム戦争の影も見えない。

若き天才詐欺師と敏腕捜査官の追いかけっこの形をとっているが、実はこの映画、心に傷を負った息子と父の物語が裏テーマだ。フランクが詐欺を繰り返すのは、金の力で、両親の仲が元通りになり家庭の幸せが戻ると信じているから。一方、追う側のカールも離婚した身。フランクを追ううちに、二人は擬似親子的感情を持つようになり奇妙な友情が芽生える。家庭が崩壊し、親から捨てられる子供というのは、スピルバーグの実体験から生まれる毎度十八番の設定なのだ。

レオは19世紀のNYの荒々しさを描いた「ギャング・オブ・ニューヨーク」で、ハンクスは大恐慌時代の殺し屋役「ロード・トゥ・パーディション」で、スピルバーグは暗い近未来SF「マイノリティ・リポート」で、それぞれ深刻な映画をこなした後の本作。肩の力が抜けた、いい意味で軽い作風に仕上がっている。もちろん、M.シーンやN.バイといった脇役の上手さも忘れちゃいけない。特に、息子に詐欺心を植え付けた父親役のC.ウォーケンは、登場するたびに落ちぶれていくが、それでも子供を愛する気持ちと頑張るオヤジの姿を見せる所が泣けてくる。欲を言えば、フランクの詐欺の腕が研ぎ澄まされていく過程の描写が、もっと丁寧であってほしかった。

詐欺の映画の名作といえばすぐに思い浮かぶのは「スティング」。しかし、本作は詐欺の手口や逮捕の捕物帖的要素は二の次だ。その証拠に、本当のクライマックスはフランクが捕らえられた後に用意されていた。逮捕され一度は自由になったフランクの前には2つの選択肢が。自由きままな詐欺師稼業と、堅気の社会人への道。さぁ、どうする。実話だから結果は判っているのに、やっぱりドキドキさせられるのだから、スピルバーグの演出はやっぱりスミにおけない。

ファッションや音楽も明るくノーテンキ。全てのものが、幸せさえもお金で買えると錯覚してしまうような時代には、こんな痛快な犯罪も起こってしまうのか。しかし、憎めない悪党が主人公の映画は実に楽しい。冒頭のタイトルバックのアニメの完成度が、これまた極めて高いのでお見逃しなく。

□2002年 アメリカ映画  原題「Catch me if you can」
□監督:スティーブン・スピルバーグ
□出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス、クリストファー・ウォーケン、他

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ピノッキオ

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◆プチレビュー◆
「ウソをついてはいけません」のコピーは「ライフ・イズ・ビューティフル」と矛盾するが、いいのか?!感心したのは、妖精が乗る何百匹ものネズミにひかせた馬車の造形の美しさくらい。思い出のピノキオを返せ〜っ!

ジュゼッペじいさんが1本の丸太から作った人形の名はピノッキオ。青い妖精から命を吹き込まれるが、イタズラばかりしている。やがて自らがまいたタネで様々な災難に見舞われ、父親代わりのジュゼッペじいさんとも離れ離れになってしまう…。

カルロ・コッローディによって書かれたイタリアの童話「ピノッキオの冒険」を故フェリーニはいつか映画化したいと思っていたらしい。彼の遺作「ヴォイス・オブ・ムーン」に主演したR.ベニーニはその遺志を受け継ぎ、イタリア映画としては破格の予算をかけて映画化。巨匠へのオマージュとも言える作品を生み出した。ピノッキオの生誕120周年とも重なり、本国イタリアでは大ヒットを記録している。

物語はディスニー映画「ピノキオ」とは異なり、原作に忠実。けっこうシュールな場面があったりと、ピノッキオの物語はこう展開するのかとかなり驚かせてくれる。海のシーンや親友ルシーニョロの扱いにも注目だ。セットも見事で、芸術の国イタリアらしく色彩が素晴らしい。しかし、子供を演じる若作りの俳優たち、特にピノッキオ役のベニーニの存在が、観客をファンタジーの世界から大きく遠ざける。

冒頭にテロップで「私も50歳。ジュゼッペじいさんを演じられる歳になりました。」との一文が流れるが、じゃあ、どうして無理してピノッキオを演じるの。イタズラ好きのピノッキオの、いやベニーニのテンションは物語を通して限りなく高く、熱演というより怪演だ。頑張りは認めるがベニーニが大はしゃぎすればするほど、こちらは冷めていく。だいたい、ヒゲの剃りあとも青々とした薄らハゲのおっさんを、ピノッキオだと言われても夢も親しみも感じないし、今更、私は受け入れ難いのだ。

オリジナルなのだからしかたがないが、駄々っ子でわがまま放題のピノッキオを、青の妖精が何度も無条件に助けるのも疑問だ。「彼は優しい心を持っているの。私にはそれが分かる。」そりゃ、そうでしょう。演じるN.ブラスキはベニーニの女房だし。人間になりたがるピノッキオに“人間の資格”を説くのが妖精さんの役目だろうが!甘やかしてどうする。悪さをしてもすんでのところでいつも助けてもらえるのは、まるでドラえもんに迷惑をかけては泣いてすがるのび太君と同じじゃないか。それでいいのか、ピノッキオ。世の中そんなに甘くないゾ。

故フェリーニは虚構の世界が大好きだったが、そのファンタジックな世界感は、あくまでもシニカルでブラックなもの。作り物であることの残酷さと言い換えてもいい。名曲“星に願いを”のメロディと共に、ディズニーアニメのイメージが定着しているのも違和感を感じる大きな理由かもしれないが、どう考えてもフェリーニの意図とは違う気がする。派手な衣装を着て飛び跳ねながら騒いでいれば、子供の人形に見えると考えているのなら、我々観客も随分ナメられたもんだ。

□2002年 イタリア・アメリカ合作映画  原題「PINOCCHIO」
□監督:ロベルト・ベニーニ
□出演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、キム・ロッシ・スチュワート、他

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小さな中国のお針子

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◆プチレビュー◆
文革時代の中国ではお針子が仏文学に啓蒙される。一方、ゴダールの「中国女」は、毛沢東思想に傾倒する仏人学生が主人公。隣の芝生はやっぱり青い。

1971年の中国。文化大革命の嵐が吹き荒れる中、ブルジョアで知識階級の息子のマーとルオの二人は再教育のため、四川省の山奥へ送られ厳しい肉体労働を課せられる。全ての文明から隔離されたようなその場所で、彼らは村で唯一の仕立て屋の孫娘である美しいお針子に出会い、たちまち恋に落ちる。二人は彼女のために、隠してあった禁書であるフロベールやユーゴーなどの西欧文学を読み聞かせることを思い立つ。

都会育ちの二人の青年と、文字も読めない美少女との恋。物語は三角関係に陥りそうだが、実はそうはならない。文革という尋常ならぬ時代を背景にしつつも、時間が止まったような美しい山岳地帯の自然と、そこに暮らす人々の営みが、素朴に、時にはユーモラスにスケッチされる。新しい思想に触れた少女が自由を知る姿を描いた本作は、単なる文革批判とは一線を画した詩情豊かな秀作。美しいお針子を目覚めさせたのは、かの文豪バルザックだった。

知識人が文明から隔離される苦痛はF.ロージの「エボリ」を、本を禁じる設定はF.トリュフォーの「華氏451」を連想するが、この映画の主人公達は若き10代。悲壮感は少なく、むしろ浮世離れした寓話の様な趣を感じさせる。お針子が水から姿を現す場面、水中での官能的なラブシーンなど映像的にも見所が多い。霧に霞み幾重にも重なる緑の山々に響き渡るモーツァルト。バイオリンで奏でるその曲を「毛主席を讃える歌」と村人に説明する機転が笑える。デュマの物語を聞いた仕立て屋の老人が、見た事もない海をイメージしてマリンルックを作ってしまうのも痛快なエピソードだ。

「ゴリオ爺さん」「谷間の百合」等で知られるバルザックがお針子のお気に入り。なぜバルザックかと問われると、女性の美についてとてもよく書かれているからと答える。既に彼女は変わり始めていたのだが、青年たちはその事に気付くのが遅すぎた。

文学に触れて読み書きを学び、自我に目覚めた彼女は、ルオを愛し、更に自由を愛することを学んでいた。ルオとマーの中に無意識にある、都会の知識人の小さな優越感など軽々と飛び越え、夢を抱いた彼女は、強い意志である決断を下す。長い髪を切って未来を見据えるお針子を、誰も止めることはできない。

時が流れ時代は変わり、ルオとマーはフランスと上海で成功しているが、ある日テレビで、青春時代を過ごしたあの村がダム建設で水没することを知る。お針子を愛しながら言い出せなかったマーは再び村を訪れ、紙の船を水に流す幻想的な祭りに参加するが、切ない想いを残して消えたお針子の姿は、無論そこにはない。だが、雲の合い間に見る山の姿はあの頃と少しも変わらず壮麗だ。

お針子を導いたのはバルザックだが、一冊の本が人間の人生を大きく変え、未知の世界へと誘う素晴らしさに無限のパノラマを見た。少女に名前はなく、ただ“お針子”とだけ呼ばれることで、彼女は普遍的な存在となる。ラストシーン、水はミシンと瀟洒な香水のビンをのみ込み、水中では、バイオリンを弾くマーと本を読むルオ、笑顔のお針子の3人の楽しげな姿が見える。湖底に消える村はやがて忘れられるだろう。文明は彼らの青春の日々を暴力的に奪い、かけがえのない美しい記憶は、永遠に水の中に封印されてしまうのだ。

□2002年 フランス映画(中国語)
□原題「Balzac et La Petite Tailleuse Chinoise」
□監督:ダイ・シージェ
□出演:ジョウ・シュン、チュン・コン、リィウ・イエ、他

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ボウリング・フォー・コロンバイン

ボウリング・フォー・コロンバイン マイケル・ムーア アポなしBOX [DVD]ボウリング・フォー・コロンバイン マイケル・ムーア アポなしBOX [DVD]
◆プチレビュー◆
ドキュメンターは地味だが、大好きなジャンル。中でも本作はアプローチの面白さと今の不穏な社会情勢に合致して無視できない1本。

1999年4月20日、米国コロラド州のコロンバイン高校で、生徒2人が銃を乱射、13人を殺害した後、自身も自殺するという衝撃的な事件が発生した。全米は震撼し、映画やTV、ゲームの暴力的表現が原因だ、家庭の崩壊、高い失業率、建国以来の暴力の歴史のせいだとヒステリックに騒ぎ立てた。だが本当にそうなのか?そもそも、なぜ米国だけが銃犯罪が多発するのか?この疑問を独自のスタンスで追求する男がいた。

その人物の名はマイケル・ムーア。現在、アメリカで最も影響力を持つジャーナリストで、著書も爆発的な売れ行きだ。巨体を包むのはヨレヨレのTシャツにジーンズ、野球帽。この憎めない風貌でアポなし突撃取材を敢行し、企業や個人にインタビューを繰り返す。その様子はまるでゲリラ戦法だが、ムーアの武器は笑いとカメラだ。とぼけたルックスの彼の口調はソフトだが、その内容は非常に知的で鋭い。

多くのインタビューと共に、徐々に病んだ米銃社会の矛盾した姿が浮き彫りになる。先にあげた各メディアが挙げた事件の原因と思われる要因の実態は、ことごとく覆される。ゲームは日本の方が進んでいるし、家庭崩壊は英国の方がひどい。民族の残酷な歴史はドイツが、銃の保有率と失業率はカナダの方が上だ。なのに米国の銃犯罪による死亡率はダントツで世界一。世界で1番はいいが、この数字はいかがなものか。

テーマは極めてシリアスなのに、大いに笑えるのがまず驚く。社会派ドキュメンタリーでありながら娯楽映画としても一級品なのだ。もっともそのユーモアにはたっぷり毒が含まれているから要注意。インタビュー以外にもニュース映像やアニメなどを盛り込んだ構成は、スピーディで飽きさせない。武力行使をまくしたてるブッシュ大統領もここでは一人のタレント扱い。名曲「この素晴らしき世界」の使い方も見事だ。

自らも全米ライフル協会の会員であるムーアは、銃規制にも銃擁護にも一定の理解を示す中立の立場で取材を行うが、ライフル協会の会長にして大物俳優のC.ヘストンの豪邸でのインタビューは見ものだ。先ごろ、自らのアルツハイマー病を公表した彼は名作「ベン・ハー」のポスターを背に座り、ムーアの質問に追い詰められていく。言葉につまり、終いには一方的に席を立つ彼に、戦車を駆り、紅海を二つに割った威厳はどこにもなかった。

最も印象深いのは、犯人が愛聴していたハード・ロック歌手のM.マンソンだ。彼はグロテスクな風貌とパフォーマンスで知られるが、この事件をアメリカ人が互いに抱く恐怖に基づくと分析する。そしてその恐怖が消費と結びつき、大企業の利益を生む社会構造を見抜いているのだ。少年を銃に向かわせた責任の一端を背負わされた形の彼が、これほど冷静で的確に事件を俯瞰しているとは。さらに、もし犯人に会うとすれば?という問いには、彼らに話をするのではなく彼らの言う事に耳を傾けると言う。死や暴力を歌うマンソンのインタビューは、この記録映画の白眉と言えよう。

銃による被害者を引き連れて、大手スーパーでの弾薬の販売を止めさせてしまったムーア。どんなインテリにも成し得なかった快挙で、この作品のパワーの一例だ。不屈のジャーナリスト魂が炸裂する本作は、明快な結論は提示しない。世界最強国を蝕む不寛容と暴力を改めて考える時が来ている。タイトルは犯人が事件の朝、ボウリングを楽しんでいたことに由来する。4月20日。その日はヒトラーの誕生日だ。カンヌ国際映画祭55周年記念特別賞という新しい賞を設置させてしまったほどのリアル・エンターテイメントの力を、その目で確かめてほしい。

□2002年 カナダ映画 原題「Bowling for Columbine」
□監督・脚本・主演:マイケル・ムーア
□出演:チャールトン・ヘストン、マリリン・マンソン、ジョージ・W・ブッシュ、他

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SWEET SIXTEEN

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◆プチレビュー◆
少年が主人公であるこの映画は、今までのローチ作品のような、厳しさや辛さより、切なさが強く感じられる。実は私はケン・ローチは貧乏くさくて苦手。偉大な監督だと判っていても、毎回、物語の結末が辛すぎるのもイヤ。なのにどうしても気になって見てしまうのだ。ホントに困った監督である。

もうすぐ16歳の誕生日を迎えるリアムの夢は、恋人の罪を被って服役中の母親と、未婚の母である姉と家族揃って暮らすこと。小さなコテージの購入を計画し、そのために友人と麻薬を売り金を稼ぐが、街の組織が彼らを見逃すはずもなくトラブルを巻き起こし、深みにはまっていく…。

英国労働者階級の人々を描き続けるケン・ローチ監督が、少年を主人公に映画を作るのは「ケス」に続いて二度目だ。主人公リアムを演じるのはスコットランドの下部リーグでプレーしていたプロのサッカー選手M.コムストン。彼の、演技経験がないとは思えない繊細な表情が傷つきやすい内面を雄弁に語り、時折見せる硬い演技は、リアムの置かれたのっぴきならない状況を表すのに効果的でさえある。

映画の背景には、家族の崩壊、失業、貧困、虐待、ドラッグなど様々な深刻な問題が横たわるが、本作では、少年の心情に重点を置き、社会問題よりもドラマ性を重視している。声高に社会批判などせず、登場人物が悲劇に向かうプロセスを一歩ひいた視点で淡々と描き、結果的に、主人公をそうさせる社会構造の矛盾を浮き彫りにする手法がいかにもローチ流だ。

リアムが望むのは暖かい家庭のぬくもり。湖畔の小さなコテージを買って母子水入らずで暮らしたいと願うが、そのささやかな夢を実現させるためには、まず資金が必要だ。金稼ぎのために麻薬売買に手を染める愚かしさが悲しいが、そこが15歳の幼さ。母への一途な思いが間違った形となって悲劇を生む姿が痛ましい。

親友のピンボールとの悲しい別れも印象的だが、姉シャンテルとの価値観の違いが目をひく。リアムの夢は母ジーンと共に暮らすことで、それは彼の考える幸福と一致するが、母親の幸せはそうではない。シャンテルはそのことを知っていて、心の中で完全に母親と離別していた。家族を懸命に取り戻そうともがくリアムには、母親を見限ることなどできない。ここに悲劇がある。いくら聡明でも理解できないことなのだ。なぜなら、彼はまだ16歳にも満たない、母に愛されたいと願う少年なのだから。

映画はリアムをより救われない状況に投げ出して終わる。このラストに込められたかすかな希望を感じ取ることが出来るかどうかで作品の評価が分かれるだろう。少年のヒリヒリするような心の葛藤は、観るもの全てを突き刺す痛みだ。その日は彼の16歳の誕生日。辛く苦い朝にリアムは何を思うのか。決してスウィートではない青春を描く本作。暗くて地味だが手応えのある内容で、本当の映画好きにしか勧めたくないビターな1本だ。

□2002年 イギリス・ドイツ・スペイン合作映画 原題「SWEET SIXTEEN」
□監督:ケン・ローチ
□出演:マーティン・コムストン、ウィリアム・ルアン、ミッシェル・クルター、他

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猟奇的な彼女

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◆プチレビュー◆
ヒロインの“彼女”のチョン・ジヒョンはいわゆる美人ではないが、抜群のスタイルと表情の豊かさで好感度大。韓国女優にありがちな厚化粧じゃないのもいい。

大学生のキョヌは、地下鉄で泥酔していた美女を助ける。清楚な外見とは裏腹に、彼女は酒癖が悪く超乱暴、その上、正義感が強い。破天荒な行動に唖然とするキョヌだったが、やがて二人は親しくなる。「ぶっ殺されたい?」が口癖の彼女なのだが、実は悲しい秘密を胸に秘めていた…。

猟奇的と聞くと何やらサイコ・サスペンスを連想するが、この猟奇(ヨプキ)とは、韓国では、個性的で面白くて突拍子もない“ちょっと変わってイケてる”的なプラスのイメージの言葉。従来の韓国映画にない強烈なキャラクターのヒロインを演じるチョン・ジヒョンが、素晴らしく魅力的なのだ。

彼女の凶暴さはすさまじく、殴る、蹴る、脅す、怒鳴り散らすなど日常茶飯事だ。しかし、年寄りに席を譲らない若者に悪態をついたり、援助交際をしているカップルに喧嘩を売ったりとヘンなところで筋をとおす一面も。気弱で人のいいキョヌは振り回されるばかりだが、なぜか彼女を憎めず、いつしか心を奪われる。この二人のキャラの対比がユニークで、映画の魅力の大部分を占めていると言ってもいい。

主役の二人の性格が極端にデフォルメされ、珍妙な恋愛劇が展開する。エピソードが満載な上、シナリオライター志望の彼女の作品の場面が所々に挿入されて、実ににぎやかだ。SF、時代劇、メロドラマと作風もバラエティに富み、それがいちいち可笑しい。だが、ギャグがスピーディな一方で、二人の関係は友達以上、恋人未満。すれ違いも多く、中々進展しないもどかしさも。後半になると徐々に彼女がつらい過去を忘れられずにいることが判るが、物語半ばから韓国人好みのベタな泣けるドラマに転換するのも、強引で可笑しい。しかも、彼女の凶暴な性格は持って生まれたもので、つらい過去とは全く無関係。これが笑わずにいられようか。

典型的なスクリューボール・コメディタッチで描かれる二人の恋物語。映画はサッカーの試合のように、前半戦、後半戦、延長戦という3部構成で進む。前半で笑わせ、後半で泣かせ、延長戦で一度別れた二人のその後を描くが、この部分が少々クドい。サッカーでも、いい試合は90分できっちり決着がつくじゃないか。せっかくユニークなラブ・コメディなのに、ロス・タイムが長いのが残念。しかし、原作とは違う形にした映画の結末は、気の利いたオチを付ける事で観客をハッピーにしてくれるので、後味はさわやかだけれど。

韓国の儒教社会をパロった部分も見逃せない。少し前の香港映画の元気の良さを彷彿とさせる、新しい韓国映画のムーヴメントを感じる作品だ。但し、現実世界では、暴力はいけません!

□2001年 韓国 原題「My Sassy Girl」
□監督:クァク・ジェヨン
□出演:チョン・ジヒョン、チャ・テヒョン、キム・インムン、他

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戦場のピアニスト

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◆プチレビュー◆
放置されたピアノの調律は狂っているだろうし、食うや食わずの暮しでは指もなめらかに動かないはず…と、頭では判っていても、あまりに素晴らしい演奏シーンにただただ涙だ。想像上の鍵盤で演奏するシーンが泣ける。

第二次世界大戦下のポーランド。ピアニストのウワディスワフ・シュピルマンとその家族は、ユダヤ人居住区に強制移住させられる。隣人や友人が虐殺され、家族が収容所に送られる中、シュピルマンは奇跡的に救われるが、死と隣り合わせの逃亡生活を続ける彼にも危険が迫る…。

ユダヤ系のポランスキー監督が、ついに自身の過去と向き合い、原体験と重ね合わせたリアリズムで描く本作は、押えた演出ながら説得力と執念がにじみ出て、非常に完成度が高い。出演俳優の演技力と、CGとセットを駆使した光景、深遠な人間描写など、見応えも充分だ。巨匠ポランスキーが満を持して放つ、渾身の一作と呼んでいいだろう。

シュピルマンが生き延びる姿は、捕らわれるも地獄だが、生き残るも地獄と思わせるほどで、ただ一人で身を潜め、逃げ続ける彼の恐怖と孤独が痛いほど伝わってくる。シュピルマンにヒーロー的要素は皆無で、家族に許可証を調達したり、抵抗活動を間接的に助けたりはするが、彼自身は痛々しいほど無力だ。力仕事もこなせず、身を隠すにも不器用すぎる彼には、ピアノを弾く才能以外、何もない。まさに、奇跡的にホロコーストの狂気をかいくぐる。

前半に描かれるナチスの残虐な行為に派手な演出はなく、無表情なのは銃を頭に突きつけるナチスも殺されるユダヤ人も同じだ。あまりにも日常化した死がそこにある。一面廃墟と化したワルシャワの光景は、巨大なセットを使った上にCGを駆使したもので、奥行きといい色彩といい、出色の出来栄えだ。この無慈悲な映像を、美しいと表現するのは不謹慎だろうか。

戦況が刻々と変わる中、シュピルマンは遂に一人のドイツ人将校に見つかってしまうが、結果的にピアニストであることが幸いする。廃墟に響くショパンの旋律。妙なるピアノの調べは、シュピルマンの命の周辺で流された無数の血を思い起こさせて、言いようのない感動を生む。繊細な主人公を演じるA.ブロディの熱演と共に、ドイツ人将校役のT.クレッチマンも出番は少ないが好演だ。

人間は本来、善と悪を併せ持つ存在。被害者の悲劇や加害者の蛮行だけでなく、物語の視点が公平なのが目を引く。善悪の単純な区分けの民族主義など存在しない。あくどいユダヤ人や、音楽を愛するドイツ人を登場させるのは、ゲットーの非人間性を、実体験として知っているからこそ生まれる深い人間観だろうか。ラスト4分間に及ぶ演奏が胸を打つ、カンヌ映画祭パルム・ドールの名に相応しい傑作だ。

□2002年 ポーランド・フランス合作映画 原題「The Pianist」
□監督:ロマン・ポランスキー
□出演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、フランク・フィンレイ、他

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レッド・ドラゴン

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◆プチレビュー◆
米国の若手実力派E.ノートンも、これだけ優秀な英国人俳優たちに囲まれては、さすがに少し影が薄かった。「羊…」よりも前の出来事を、10歳以上老けたちょっと太めのホプキンスが演じるのは矛盾だが、この役をいったい他に誰が演じられようか。

殺人鬼レクター博士を命懸けで逮捕したFBI捜査官グレアム。心と身体に大きな傷を負い、FBIを引退していたが、新たな連続殺人事件が起こったため、やむなく復帰し再びレクターと対面する。“レッド・ドラゴン”と呼ばれる犯人を追うことになるが、レクターは巧妙な手口でグレアムと彼の家族を危険にさらす…。

ブレッド・ラトナーが監督で大丈夫なのか?!これが今回の最大の懸案事項だった。ジョナサン・デミ、リドリー・スコットと続いて、次が「ラッシュ・アワー」のラトナーとは、誰もが首をかしげただろう。だが、その心配は杞憂に終わってくれた。なかなか良く出来ているではないか。但し、美しき駄作「ハンニバル」に比べてだが。

精神科医レクターはグレアムと刺し違えた後、牢獄に入っているが、新たな事件の解決のために彼の明晰な頭脳が必要とFBIは判断した。よって、時代的には最初に当たるが、みたびサー・アンソニー・ホプキンスの登場となる。オラ、オラ、レクター博士のお通りだい!というわけだ。本作はシリーズ第1作にして完結編とのこと。「羊たちの沈黙」「ハンニバル」の前2作につながる伏線や、見覚えのあるキャストも登場するので、鑑賞前に予習しておくと、より楽しめる。

人間は慣れる動物なのか、シリーズも3作目ともなると怖さは随分薄れるものだ。レクターが出す料理の素材が何なのかということや、彼の並外れた知性を観客は既に知っているし、今回の犯人“レッド・ドラゴン”の正体も早い段階で明かされる。この映画のテーマは謎解きではなく、映画史上、最も魅力的な悪の化身レクターと、聡明な元FBI捜査官グレアム、更に悲しい過去を持つ犯人の三つ巴の物語。それは、同じ思考回路を持つ者たちの、スリリングで愛憎紙一重の駆け引きなのだ。

演技派俳優勢揃いで息が詰まりそうだが、犯人を演じるR.ファインズの鬼気迫る演技が特に凄い。トラウマを背負った複雑な人間心理に加え、盲目の女性との愛という未経験の感情に戸惑う姿が絶妙だ。少年期の背景の描き込みがやや浅いが、この程度にしておかないと、この話の主役がレクターとグレアムから、犯人へと移りかねない。この作品、実は切ない恋愛モノなのかも…と観客に勘違いされては困るのだ。このシリーズはあくまでレクターという超絶な“絶対悪の象徴”が中心なのだから。

カニバリズム(人肉食い)を描いた作品は他にもあったが、それは、生きるためであり、魂を得る精神世界のためだった。ハンニバル・レクターは全く違う。自身の桁違いの美意識に基づいて“好きでやっている”ところが凄いのだ。そんな人知と常識を越えた彼の前では、人間の情愛など何の意味もないが、それでも理解し合える同類を待っている。宿敵であろうと自分と五分に渡り合い、奇妙な親愛の情を共有できる人物。それが、グレアムであり、後に登場するクラリスなのだ。

□2002年 アメリカ映画 原題「RED DRAGON」
□監督:ブレッド・ラトナー
□出演:アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、他

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◆映画ライター、映画評論家
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◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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