映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「カフェ・ソサエティ」「ノーエスケイプ」「追憶」「赤毛のアン」etc.

フレンチ・ラン



革命記念日前日、パリ市街地で爆弾テロが発生する。捜査を担当することになった、CIA捜査官ブライアーは、容疑者に浮上したスリの若者マイケルをとりあえず確保する。マイケルの無実を確信したブライアーは、マイケルのずば抜けたスリのテクニックを見込んで、捜査に協力するように持ち掛ける。はみ出し者のCIA捜査官とスリという“ありえない”コンビは、次に予告された新たなテロを阻止するために真犯人に迫っていくが…。

爆弾テロの危機に瀕したパリを舞台にCIA捜査官とスリの若者がタッグを組んで街を守るために奔走するサスペンス・アクション「フレンチ・ラン」。かつてイラクで命令を無視して行動した過去があるCIA捜査官ブライアーは一匹狼。一方、無実の罪で逮捕された若者マイケルは天才スリ。二人のはみ出し者がコンビを組む本作は、典型的なバディ・ムービーだ。立場が正反対の二人の共通点は、パリで捜査するに当たり、共に異邦人であること。ルールに囚われない一匹オオカミとはいえ、CIAに所属するブライアーにとっては、アメリカの情報機関が海外で活動する際の限界もあって、自由に動けないこともある。そんな難関を、スルリとすり抜けて見せる小悪党のマイケルは、ブライアーにとって手足のような存在となる。二人が大規模テロを阻止するべくパリ中を走り回る様はとにかくスピーディーで、もちろんお約束の絆も生まれる。注目したいのは、この映画が、フランスの、ひいてはヨーロッパの現状を、しっかりと照射していることだ。テロの脅威にさらされた大都会、移民問題、右派と左派の対立。毎日のようにニュースで流れるリアルが映画の中に映り込んでいる。もちろん、本作はあくまでも娯楽作で、堅苦しさなどは皆無なので安心して鑑賞してほしい。「マンデラ 自由への道」での演技で知名度を上げたイドリス・エルバが、身体をはったアクションを披露して楽しませてくれる小品だ。
【65点】
(原題「THE TAKE」)
(英・仏・米/ジェームズ・ワトキンス監督/イドリス・エルバ、リチャード・マッデン、シャルロット・ルボン、他)
(現代性度:★★★★☆)
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エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方

Trainwreck (Blu-ray+ DVD + DIGITAL HD with UltraViolet)
幼い頃、離婚した父親から、一夫一婦制を全否定されてきたエイミーは、その影響で真剣な恋愛ができず、男性とは一夜限りのつきあいと割り切って自由奔放に生きている。NYでゴシップ雑誌のライターをしている彼女は、取材でスポーツ外科医のアーロンと出会う。今までの男性とは違う真面目で誠実なアーロンとのつきあいで、それまでの恋愛観や人生を見つめ直そうとするエイミーだが、過去の自分が邪魔をして、アーロンとの間に亀裂が入ってしまう…。

恋愛恐怖症のヒロインが本当の恋を知って人生を見つめ直す恋愛コメディー「エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方」。主演のエイミー・シューマーは、日本での知名度は低いが、全米ではトップクラスの人気のコメディエンヌだ。女優の他に、脚本や製作もこなす知的なエンターテイナーとしても知られている。特別な美人ではないが親しみやすいルックスと、下ネタも含む本音トークが嫌味や下品にならない明るいキャラで、ファンだけでなく、業界内でも大人気なのだ。それはこの決して上品とはいえないラブコメに出演する、豪華俳優の顔ぶれを見てもわかる。女癖の悪い父親に共感するエイミーと違い、結婚し子どもを育てる出来のいい妹役はブリー・ラーソン、エイミーの鬼上司にティルダ・スウィントンとオスカー俳優が並ぶ。その他にもスポーツ界から、本人役でレブロン・ジェームズが出演するのを筆頭に、カメオ出演も超豪華だ。そんなエイミー・シューマーが演じるヒロインは、いろいろとこじらせていて恋愛に臆病になっている。トイレでの女子トークや、決してお泊りしない(させない)ルールで爆笑させ、随所に登場する映画ネタでシネフィルの心をくすぐる。下世話な下ネタも、どこかとぼけた天然のエイミーが言うと可愛らしいから不思議だ。しかもこの映画、ただのおバカコメディーではない。安定的な恋愛ができない女性と、ピュアで真面目な男性が、互いのダメな部分も含めて本当に理解し合い愛を育む物語は、実にいい話で、胸を熱くさせてくれる。クライマックスの、文字通り身体をはったシークエンスは、ありえない!と思いつつ、拍手を送ってしまった。いかにもB級ラブコメ風のタイトルに惑わされてはいけない。なかなかの拾い物の佳作なのである。
【70点】
(原題「TRAINWRECK」)
(アメリカ/ジャド・アパトー監督/エイミー・シューマー、ビル・ヘイダー、ブリー・ラーソン、他)
(女子あるある度:★★★★☆)
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わたしは、ダニエル・ブレイク

I, Daniel Blake (English Edition)
イングランド北東部にある町ニューカッスルに住む、59歳の大工のダニエル・ブレイクは、心臓の病気で医者から仕事を続けることを止められる。国の援助の手続きをしようとするが、複雑な制度に翻弄され支援を受けられない。そんなある日、二人の子どもを抱えるシングルマザーのケイティと知り合い、思わず彼女を助ける。それをきっかけにケイティや子どもたちと交流し、貧しい中でも助け合うことで、疑似家族のような絆が生まれていく。だが、彼らにはさらなる試練が降りかかり、厳しい現実に追い詰められていく…。

社会の片隅で懸命に生きる人々の現実を描くヒューマン・ドラマ「わたしは、ダニエル・ブレイク」。イギリスの巨匠ケン・ローチ監督は、一貫して貧しい労働者階級の現実に焦点を当ててきた。本作は、どこにでもいる一人の実直な初老の男性ダニエルが、国の援助を受けられずに追いつめられていく様を描くが、融通がきかないお役所的な手続きや、フードバンクでのエピソードなど、多くは、実話からヒントを得ているそう。弱者に冷たい官僚的システムに翻弄され耐え難い屈辱を味わっても、ダニエルは尊厳を失わない。そればかりか、本当は自分が助けが必要なのに、より困窮しているケイティ親子を助けるのだから、彼の善意に感動してしまう。弱者が生きられない社会に怒りがこみ上げ、引退宣言を撤回して再びメガホンを手にしたローチ監督だが、決して声高なメッセージなどは発していない。ダニエルとケイティのリアルな日常を丁寧に積み上げ、彼らが観客にとって身近な存在であること、失業や貧困などの問題は、誰にでも起こりうることなのだと訴えることで、静かに問題提起しているのだ。ケイティの子どもたちに木で作った飾りをプレゼントする心優しいダニエルは、人を助けるのに迷いはない。だが、プライドからか、自分が助けられることに無意識のうちに抵抗している。それをケイティの幼い子どもが「お願い、あなたを助けさせて」と訴える場面は、名もない庶民の善意を信じるローチ監督の真骨頂で、涙がこぼれそうだった。だからこそ、ラストの切なさが胸にせまってくる。タイトルは、ダニエルが壁に書く言葉からとられているが、これは全世界の労働者の叫びにほかならない。主人公を演じるデイヴ・ジョーンズは、英国では有名なコメディアンで俳優業は本職ではないが、真面目で不器用、どこかユーモラスなあたたかいダニエルを魅力的に演じている。ケン・ローチに二度目のカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)をもたらした本作は、これまでのキャリアの延長線上にありながら、頂点ともいえる、底辺で生きる人々への力強い応援歌だった。
【75点】
(原題「I, DANIEL BLAKE」)
(英・仏・ベルギー/ケン・ローチ監督/デイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ、ディラン・フィリップ・マキアナン、他)
(問題提起度:★★★★★)
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ひるね姫 知らないワタシの物語

ひるね姫 オリジナルサウンドトラック
岡山県倉敷市で父親と二人で暮らす高校生の森川ココネは、最近、一日中眠気に襲われ、どこでもウトウトしてしまう。しかも同じ夢ばかり見ているのだ。2020年の東京オリンピック開幕が迫ったある日、父が突然警察に逮捕され東京に連行されてしまう。無口で不愛想だが犯罪者になるような父ではない。そう信じるココネは幼馴染の大学生・モリオを強引に巻き込んで、東京へ向かう。途中、怪しげな者たちに遭遇しながら、ココネは両親の秘密を知り、この事件解決の鍵は、いつも見る夢の中にあることに気付く…。

のどかな地方都市で暮らすヒロインの冒険と、親子の絆を描くアニメーション「ひるね姫 知らないワタシの物語」。夢と現実がリンクし、夢が事件解決の糸口となるファンタジー・アニメだ。ヒロインは夢と現実を行ったり来たりしながら、家族の秘密や、企業の陰謀に立ち向かうというのが大筋である。アニメーションの魅力のひとつは、非現実をダイナミックに描けることだが、そもそもこの物語、ファンタジーにする必要があるのだろうか? 主人公のココネは、女子高生らしい可愛らしさと元気な性格が魅力の女の子で、家族や友人、進路や将来への不安といった問題を抱えながら、平凡な毎日を送っているという設定は観客のリアルな共感を呼ぶ。父の突然の逮捕から、ココネが知らなかった両親の秘密を知るプロセスも、家族ドラマとして、しっかりとリアルで描くべき題材。現実だけで物語を進めた方がより深い物語になったのでは…と、どうしても思ってしまうのは私だけではないはずだ。比べるわけではないが、メガヒットとなったアニメ「君の名は。」以降、多くの作品が影響を受けすぎて、似たようなファンタジー、似たような色彩に傾きすぎているように思う。もちろん丁寧に描かれたヴィジュアルは魅力的だし、高畑充希の歌も味わい深い(どうしても某コンビニのCMを連想してしまうのが玉にキズだが…)。本編には不満が残るものの、エンドロールで描かれる、父と母のラブストーリーが素敵だったので救われた。
【50点】
(原題「ひるね姫 知らないワタシの物語」)
(日本/神山健治監督/(声)高畑充希、満島真之介、古田新太、他)
(親子愛度:★★★★☆)
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3月のライオン 前編

映画『3月のライオン』オリジナルサウンドトラック
中学生でプロ棋士としてデビューした17歳の桐山零は、東京の下町で一人で暮らしている。幼少期に両親を交通事故で失い、父の友人の棋士・幸田に引き取られたが、自分のせいで幸田家に亀裂が入り、家を出るしかなかったのだ。深い孤独を抱え、すがるように将棋に打ち込む零だったが、ある日、川向こうに住む川本家の三姉妹と出会う。零は、彼女たちのにぎやかな食卓に招かれ、次第の自分の居場所を見出していった。友人でライバルの棋士たち、先輩の棋士、さらに頂点に君臨する天才名人。さまざまな人生や悩みを抱える人々との交流が、零を新たな闘いの場へと導いていく…。

孤独な青年が将棋を通して成長していくヒューマン・ドラマ「3月のライオン 前編」。羽海野チカの大人気コミックを、2部作で実写化したドラマの前編だ。内向的な主人公・零には、家族も居場所もない。あるのは将棋だけだが、その将棋への情熱も、本当に将棋が好きなのか、それとも父の友人の棋士の家で生きるため、あるいは孤独を紛らわせるためだけのものなのか、零にはまだわからない。そんな零に、人生のぬくもりを教えてくれるのが、川本家の三姉妹だ。厳しい勝負の世界で共に生きる友人や先輩たちもまた、零にはかけがえのない人々である。もちろん、プロ棋士らがそれぞれ背負う人生も、簡単なものではない。成長著しい神木隆之介演じる零を中心に、さまざまなキャラクターが見事に描き分けられているのがいい。本作では、演じる俳優たちの新しい側面を見ることができるのも楽しみのひとつだ。零の才能の前にプロ棋士の夢を絶たれた幸田家の長女・香子を演じる有村架純は、今までにない闇と毒を秘めた激しい演技を見せるし、友人でライバルの二階堂役の染谷将太に至っては、最初は彼だとわからないほどのルックスの変貌ぶりだ。プロ棋士たちは、実在の棋士をモデルにしているケースも多いので、将棋ファンには特に楽しめるだろう。命がけの決闘ような闘いを繰り広げる対局シーンは将棋に詳しくなかったとしても手に汗を握るはずだ。零の壮絶な闘いは、後編へと続いていく。この前編は、一人の青年が、自分はどう生きていくべきかを模索しながら、厳しくも豊かな勝負の世界に身を投じる入り口のように思える。愛すること、守りたいものを知った主人公の戦いに注目したい。
【70点】
(原題「3月のライオン 前編」)
(日本/大友啓史監督/神木隆之介、有村架純、倉科カナ、他)
(孤独感度:★★★★☆)
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SING/シング

シング-オリジナル・サウンドトラック
動物だけが暮らす、どこか人間世界と似た世界。倒産寸前の劇場支配人でコアラのバスター・ムーンは、何とか劇場の経営を立て直そうと、大規模な歌のオーディションを開催する。予選を勝ち抜いたのは、個性的な6人の候補者たち。ギャング一家の息子で歌への夢を捨てきれないゴリラの青年ジョニー。彼氏の浮気で傷心のパンクロッカー少女のヤマアラシのアッシュ、傲慢で自己チューだが才能はピカイチのジャズ・ミュージシャンのネズミのマイク、ブタのロジータとグンターは、それぞれ、子育てに追われる主婦と、歌って踊れるハイテンションのエンターテイナー。そして歌唱力は抜群なのに、あがり症のゾウの女の子ミーナ。人生を変えるチャンスをつかむため、参加者たちはそれぞれの想いを胸に、歌を披露する…。

動物たちが歌唱コンテストで奮闘する姿を描くアニメーション映画「SING/シング」。このストレートなタイトルが何よりもこの作品の長所を物語っている。歌というのは、こんなにも人を楽しませ、喜ばせ、勇気づけるものなのかと改めて教えてもらった気分だ。ストーリーは単純明快。劇場を再建しようとするコアラの支配人が開催する歌のコンテストに、何とか今の自分を変え、ダメな現状を打破したいと願うワケありの動物たちが集結し、さまざまなピンチを乗り越えて、最高の歌を披露する。それ以上でもそれ以下でもないのだが、この物語がこんなにも愛おしいのは、動物たちがパーソナルな理由で歌い、大切な一歩を踏み出すという身近で前向きな物語に大いに共感できるからだ。もちろん歌の魅力は絶大で、懐かしい名曲から、近年のヒットナンバー、なんと日本の楽曲も含めて、誰もが一度は耳にしたヒットソングが60曲以上流れるのだから、いやがおうでもテンションが上がる。ミュージカルはちょっと…という人も心配ご無用!何しろキャラクターが歌う場面で歌が登場するという、きわめて自然な演出なのだから違和感などまったく感じない。それにしても、演じる実力派俳優たちの歌の上手さには改めて感心させられる。特にスカーレット・ヨハンソンの歌唱力には驚いた。個人的に気に入っているのは、きゃりーぱみゅぱみゅの楽曲を歌うレッサーパンダのアイドルグループ・キューティーズの可愛らしさ。歌の魅力を全面に押し出したシンプルなこの映画には、コ難しいメッセージなどない。笑って、楽しんで、ちょっとだけホロリ。クライマックスの熱唱を聴く頃には、もうこの映画の虜になっているはずだ。映画と音楽の最良な関係を味わいたなら、こんな作品に限る。
【75点】
(原題「SING」)
(アメリカ/ガース・ジェニングス監督/マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、他)
(高揚感度:★★★★★)
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WE ARE X

「WE ARE X」オリジナル・サウンドトラック
1982年の結成以来、ミュージック・シーンのトップを走り続けるロックバンド、X JAPAN。結成、メンバーの交代、脱退、解散、HIDEとTAIJIの死、Toshlの洗脳騒動、2007年の再結成から2014年のアメリカのマディソン・スクエア・ガーデンでの公演成功まで。カメラは、迫力のライブの様子や舞台裏を中心に、バンドの軌跡と音楽性、スキャンダラスな側面まで、切り込んでいく…。

日本が世界に誇るロックバンド、X JAPAN の軌跡に迫った音楽ドキュメンタリー「WE ARE X」。音楽評は専門外だし、X JAPANについても有名なヒット曲を知っている程度。そんな私でも、このバンドの偉業とバンドにふりかかったあまりにも壮絶な問題の数々は、表層的だが知っている。記録映画として興味深いのは、バンドの内面にまで切り込めたのは、監督がアメリカ人で“異邦人の視点”があったという点だ。スティーヴン・キジャック監督はもともと音楽ドキュメンタリーを得意とする監督なので、ライブや舞台裏に密着する手法も巧みである。心身ともにボロボロというリーダーのYOSHIKIを中心に描かれるこの作品では、メンバーの死というこれ以上ない悲劇についても、遠慮なく踏み込んでいく。もちろんファンにとっては周知のことも多いとは思うが、ここまで素顔をさらし、語らせ撮らせたのは、キジャック監督がバンドに信頼されている証だ。圧巻はやはりライブシーンだろう。この映画のサントラも好評だそうだし、ドキュメンタリー映画としてもしっかりと作られている。海外のアーティストにも多大な影響を与え、今もなお走り続けている世界的なバンドを知る意味では、最良の入り口になっている。音楽を楽しむのはもちろん、悲劇と葛藤を乗り越え輝き続ける人間たちの、ヒューマン・ドラマとして見るのもいい。
【70点】
(原題「WE ARE X」)
(アメリカ/スティーヴン・キジャック監督/X JAPAN)
(赤裸々度:★★★☆☆)
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試写室だより 3月上旬

試写室だより3月は、決算(年度末)の月ということもあって、何かと多忙な人が多いんじゃないでしょうか。そんな時こそ映画鑑賞で気分転換を!オスカー関連の秀作も続々と封切られてます。ぜひ劇場でどうぞ〜♪

最近見た主な映画は以下。(少なっ!)

「レゴ バットマン」「光をくれた人」「ひるなかの流星」「ターシャ・テューダー」などなど。

実写版「東京喰種 トーキョーグール」ですが、予定通り7月29日公開と決定したようです。清水富美加さんの芸能界引退のニュースで、混乱(?)したので、ファンの方も心配だったことでしょう。まだ詳細はわからないのですが、ともあれ完成と公開を待ちましょう!



舞台『東京喰種トーキョーグール』 [DVD]
小越勇輝
TCエンタテインメント
2015-11-27



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劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール

劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール- Original Soundtrack
天才プログラマー・茅場晶彦が開発した革新的なフルダイブ専用デバイス“ナーヴギア”が、VR(仮想現実)の世界に無限の可能性をもたらしてから4年。次世代ウェアラブル・マルチデバイス“オーグマー”が開発された。フルダイブ機能は排除されたものの、AR(拡張現実)機能を最大限に広げたオーグマーは、覚醒状態で使用することができ、専用ゲーム“オーディナル・スケール”は、爆発的な人気と広がりを見せた。アスナたちに続き、キリトもゲームに参戦するが、次第にオーディナル・スケールに異変が起り始める…。

ロールプレイングゲームに仕込まれた陰謀を巡る新たな戦いを描くアニメーション「劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール」。原作は、全世界シリーズ累計1900万部発行の大ヒットを記録した川原礫の小説で、TVアニメ、ゲーム、コミカライズ、グッズなど、多彩なメディアミックスで知られる大人気作だ。本作は、原作者・川原礫が自ら書き下ろした完全新作ストーリーで、TVアニメの続編的な位置付けとなり、ファンには嬉しいプレゼントのようである。ソードアート・オンライン(以下、SAO)に関しては、私は“一見さん”なので、えらそうな批評はできないのだが、仮想現実、拡張現実という世界観や、過去に起こったバトルなどは、推察できる作りになっているので、SAO初心者でも何とかOKという内容だ(無論、アニメ既見の方が数倍楽しめる)。かつてSAOゲームをクリアに導いた英雄のキリトが、序盤からなんともグダグダしていて、ゲームにも乗り気ではないので、前半は少しフラストレーションがたまるかもしれない。だが、オーディナル・スケールに異変が起こり、かつてのゲームとの関わりや、ある悲しい理由からの恐ろしい陰謀が明らかになって、キリトが本気をだしてからは、前半との対比で一気に爆発する感がある。クライマックスの大バトルは、鮮やかな色彩設計が素晴らしく、随所に登場する歌とともに大きな魅力になっている。ただストーリー展開が、AIアイドルのユナの力に頼りすぎなのは少し気になった。それにしても、ポケモンGOの登場で、SAOの世界観をぐっと身近に感じる人も多いだろう。この物語は、もはや絵空事ではないのかもしれない。
【60点】
(原題「劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール」)
(日本/伊藤智彦監督/(声)松岡禎丞、戸松遥、伊藤かな恵、他)
(ファンサービス度:★★★★☆)
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哭声/コクソン



警察官のジョングが妻子と暮らすのどかな田舎の村に、得体のしれないよそ者が住み着く。山の中に住むその男が何者かは誰も知らなかった。男について様々な噂が飛び交う中、村人が自身の家族を惨殺する事件が多発する。犯人の村人たちには、虚ろな目と湿疹でただれた肌をして、言葉を発することもできない放心状態で現場にいるという共通点があった。ジョングは事件の捜査を担当するが、ある日、自分の幼い娘ヒョジンに同じ湿疹をみつける。ジョングは娘を救うためによそ者を追い詰めるが、そのことがさらなる混乱を招いていく…。

平和な村で起る連続猟奇殺人事件が予想もできない事態を招く骨太なサスペンス・スリラー「哭声/コクソン」。上映時間156分の長尺だが、まったく長さを感じない。映画は、閉塞的なコミュニティーで発生した事件を巡るサスペンスで始まり、噂と疑心暗鬼の心理劇へ向かう。その後、血まみれの惨殺事件は猟奇殺人あるいはゾンビものに変化。さらに祈祷師の登場でエクソシストばりのオカルトへと舵を切る。時折挿入されるドライな笑いも絶妙だ。もはやジャンルという枠からは完全に離脱しつつ、根底には映画冒頭で引用される聖書の言葉の通り“信じるとはどういうことなのか”という命題を常につきつける。「あなたが見ているものは、本当に真実か?」。この言葉があまりに不穏に響くのは、よそ者を怪演する日本のベテラン俳優・國村隼の狂気の熱演によるところが大きい。山中を転げまわり、滝に打たれ、異様な儀式に身を投じる。決して若くはないこの演技派の、身体をはったアクションと役者魂に感動を覚えるだろう。ナ・ホンジン監督は「チェイサー」や「哀しき獣」でも凄惨な暴力や不条理を通して、非情な現実を描いてきたが、本作での底知れない不気味さはもはや別次元だ。結末はぜひ劇場で確かめてほしいが、得体の知れない恐怖に背筋が凍る。祈祷シーンのワンカットでの長回し、ポツンと街灯がついた村道の光と影の対比など、映像的にも見所が多い。観る者をわしづかみにする超ド級の怪作だ。
【75点】
(原題「THE WAILING」)
(韓国/ナ・ホンジン監督/クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、他)
(疑心暗鬼度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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