映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「フィフティ・シェイズ・ダーカー」「ハクソー・リッジ」「結婚」「ありがとう、トニ・エルドマン」etc.

サクラダ リセット 後篇



特殊能力を持つ人々が住むサクラダ(咲良田)の街では、過去のすべての出来事を記憶する浅井ケイらが暮らしていた。ケイは、自らの記憶保持の能力と、時間をリセットする春埼の能力とを組み合わせて、死んだ同級生・菫を蘇らせようと奮闘する。一方で、サクラダでは、いたるところで能力の暴発事件が発生していた。強大な権力を持つ管理局が、サクラダの能力を一掃するという重大な計画をひそかに進めていることを知ったケイは、仲間の能力を組み合わせて、何とかそれを阻止しようとする…。

特殊能力を持つ者たちが暮らす街で繰り広げられる攻防を描く青春ミステリー2部作の完結篇「サクラダ リセット 後篇」。命を救えなかった菫を蘇らせようと奔走するケイは、仲間が持つ、ものを消す能力や、声を届ける能力、記憶操作、さらに、過去に体験したすべての記憶を保持する自らの能力と、リセットで世界を最大3日分巻き戻せる春埼の能力を使って、サクラダの能力を一掃しようとする管理局の計画の阻止を図る。この計画が複雑すぎて、混乱するのだが、そこは能力者である少年少女たちの奮闘として理解しておこう。ケイを巡っての菫と春埼のマイルドな三角関係や、ケイと母親との関係性など、この後篇では、心理描写もそこそこ描かれる。だが問題は、後篇こそは、彼らの特殊能力のパワーがさく裂するのかと思いきや、管理局の室長や彼の補佐であるキーパーソンとのバトルが、実際はバトルでもなんでもなく、話し合い…というより説得…というより会話になってしまっていることだ。無論、ハリウッド大作などに匹敵する迫力など期待してはいないが、単なる言葉のやりとりでは、特殊能力者である必要性も薄くなる。ストーリーとは関係ないが、前篇の不評からか、後篇の公開日を変更する劇場まであったと聞くと、そもそも、2部作という公開スタイルが間違っていたのでは…と思ってしまう。物語の性質上、かなりややこしい展開なので、一気に見る方がスッキリするはずだ。「泣いている人を見たらリセットしてしまう」という優しさの本質の是非と、悲しみや後悔があるのが人生だということを、彼らが本当に学んでいくのは、年齢を重ねてから。サクラダで生きると決めた主人公ケイに、静かな覚悟を感じた後篇だった。
【50点】
(原題「サクラダ リセット 後篇」)
(日本/深川栄洋監督/野村周平、黒島結菜、平祐奈、他)
(複雑度:★★★★★)
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トンネル 闇に鎖された男



自動車ディーラーのジョンスは、大きな契約を無事に済ませ、妻セヒョンと娘が待つ家へ帰るために、車を走らせていた。山中のトンネルに差し掛かった時、突如トンネルが崩落し、ジョンスは車ごと生き埋めになってしまう。目覚めると、周囲はコンクリートの瓦礫の山。車中には水のペットボトルと娘への誕生日ケーキ、そしてバッテリー残量78パーセントの携帯電話だけ。やがてトンネル崩落のニュースが国内を駆け巡り、救助隊のキムらが現場にかけつける。だが惨状は予想をはるかに超えるもので、次々に問題が発生する…。

崩落したトンネルに生き埋めになった男を描く異色のサバイバル劇「トンネル 闇に鎖(とざ)された男」。トンネルや坑道に閉じ込められる映画は過去にもあるが、本作は、主人公がヒロイックな英雄ではなく、マスコミや政府も救助活動に対して微妙な立ち位置であることだ。主人公ジョンスは孤独な闘いを強いられるが、実はトンネルの中では予想外の展開が待っている。彼の実質的な味方は、救助隊の隊長キムだけだ。何とか生還しようと必死のジョンスと、彼を助けようとベストを尽くすキムだったが、マスコミはいたずらに騒ぎ、政府の対応も後手な上に弱腰だ。手抜き工事の実態や、責任感のない女性政治家などの言動には苦笑してしまうが、あまりに韓国の現実に似ていて、笑えないほどリアルなのである。恐ろしいのは、たった一人を救うために税金を無駄使いするな!と救助活動そのものを非難をする大衆のヒステリックな声に政府をはじめ周囲が迎合してしまうことである。これは単なるパニック映画やサバイバル劇ではなく、非常事態に際しての人間の本質を問うドラマなのだ。「お嬢さん」で詐欺師を演じたハ・ジョンウが弱さを併せ持つ普通の男性を誠実に演じ、相変わらずコミカルとシリアスのブレンド具合が絶妙な名脇役の演技派オ・ダルスもいい。ちょっと残念なのは、妻役のペ・ドゥナの印象が薄いことか。トンネルに閉じ込められたジョンスと救助隊のキムの、互いに相手の声だけで育む友情物語としても見応えがある。トンネル崩壊の恐怖、トンネル内外での予想外の展開と、先読み不能のサスペンスの行方に意外なほどハラハラする。経済優先、大衆への迎合、人命軽視、そして生命力。なかなか見応えがある佳作だった。
【70点】
(原題「TUNNEL」)
(韓国/キム・ソンフン監督/ハ・ジョンウ、ペ・ドゥナ、オ・ダルス、他)
(サバイバル度:★★★★★)
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パーソナル・ショッパー



パリで、多忙なセレブのために、服やアクセサリーの買い物を代行するパーソナル・ショッパーとして働くアメリカ人のモウリーンは、数ヶ月前に双子の兄を亡くし、悲しみから立ち直れずにいた。ある時、モウリーンの携帯電話に正体不明の人物から奇妙なメッセージが届き、その人物に誘導されるかのように、依頼主の服を身に着けるというタブーを犯してしまう。同時に彼女の周囲で不可解な出来事が次々に起こり、ついにモウリーンはある事件に巻き込まれる…。

セレブの買い物を代行する女性が、謎めいた事件に巻き込まれるミステリー「パーソナル・ショッパー」。オリヴィエ・アサイヤス監督と主演のクリステン・スチュワートのタッグは「アクトレス〜女たちの舞台〜」に次いで二度目だ。ハリウッド映画とは全然違う顔をみせるスチュワートは、今回もまたセレブの秘書的な地味な役。ただ「アクトレス」と大きく異なるのは、ヒロインが霊能者というスピリチュアルな設定であることだ。モウリーンは、兄の死から立ち直れず、彼が住んでいたパリを離れないのは、生前二人が、先に死んだ方がサインを送ると誓いあっていたから。モウリーンの携帯に次々に届く謎めいたメッセージの送り主は、誰なのか。もしや死後の世界からのものなのか。…と、ミステリーからオカルトへと傾くかに思えたが、終わってみれば、そのどちらでもなかった。依頼主の高価なドレスを身に着けるというタブーは、今より豊かな、別人になりたいというモウリーンの心の欲望だが、物質主義を単純に否定しているわけではない。霊能力があるが、それが事件の解決を助けるわけでも、スピリチュアルな世界を肯定するわけでもない。共に個性的な設定なのに、活かしきれてない印象なのが残念だ。だが、深い孤独と喪失感を抱えたヒロインが、自己を解放する物語としてみれば、なかなか興味深い。雇い主とはほとんど電話で話すだけ。遠いアラビア半島にいる恋人とのやりとりはPCの画面を通して。謎の人物とのミステリアスな会話は携帯のメッセージ。ヒロインはいつも、そこにいない人物と共に生きていた。それは、現世にいない死者を感じる霊能と重なって見える。ファッショナブルかつ不思議なテイストの心理劇だが、別人になりたいと心の奥底で願ったヒロインが、結果的に、アイデンティティーを取り戻すストーリーは、示唆に富んでいて悪くない。
【65点】
(原題「PERSONAL SHOPPER」)
(フランス/オリヴィエ・アサイヤス監督/クリステン・スチュワート、ラース・アイディンガー、シグリッド・ブアジズ、他)
(スピリチュアル度:★★★☆☆)
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試写室だより 5月上旬

試写室だよりGWにすっかりサボリ癖(昼寝癖?)がついてしまい、困ってます〜!試写室でうっかり眠りそう…(悩)。

最近見た主な映画は以下(GWのため少ないです…)。

「フィフティ・シェイズ・ダーカー」「光」などなど。

GW中は、特に遠出はせずに淡々と過ごしていたんですが、普段はできない大掃除にうっかり取り掛かって、いつのまにか大規模な断捨離大会になってしまいました(笑)。

ものを持たずにシンプルに生きる。
そんな映画あったなぁ…とふと思い出してみると。
モノを持たずに暮らす実践記を描いたドキュメンタリー映画「365日のシンプルライフ」や、名前も身分証もカードも持たずに荒野を目指す「イントゥ・ザ・ワイルド」、旅行に必要な究極の最小限荷物を披露する場面が印象的な「マイレージ、マイライフ」なんかがありますね。
とりあえず、シンプル・イズ・ベストです (*^.^*)

365日のシンプルライフ [DVD]
ペトリ・ルーッカイネン
ビクターエンタテインメント
2015-05-23




イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]
エミール・ハーシュ
Happinet(SB)(D)
2009-02-27





マイレージ、マイライフ [Blu-ray]
ジョージ・クルーニー
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2012-03-09




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マンチェスター・バイ・ザ・シー

マンチェスター・バイ・ザ・シー
ボストン郊外で便利屋をしているリーは、兄ジョーの突然の死をきっかけに、故郷の町マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。すぐに立ち去る予定だったが、兄が遺言で、16歳の甥パトリックの後見人としてリーを指名したと知って驚く。養育費も準備され、家のローンも返済済だったが、条件はリーがこの町に引っ越してくることだった。弁護士に返事を保留したリーは、やむを得ずしばらく町に滞在することに。リーは、かつて暮らしたこの町で起った悲劇的な過去に向き合うことになる…。

癒えることのない悲しみを抱えた主人公が過去に向き合うヒューマン・ドラマ「マンチェスター・バイ・ザ・シー」。タイトルは主人公リーがかつて暮らした、そして二度と戻ることはないと思っていた故郷の町の名前だ。海辺のその町は、美しいがどこかもの哀しく、空や海にさす淡い光も寂しげである。リーはいったい、過去にどんなことがあったのか。故郷に居場所がなくなったのはなぜなのか。遠巻きにリーを見つめる周囲の人々の短い言葉やリーの回想によって少しずつ過去の出来事が明らかになるプロセスは、ミステリアスで引きこまれる。過去のパートが謎めいている一方で、叔父リーの過去をほとんど知らない現代っ子のパトリックと数日過ごすうちに、リーの頑なな心がほんの少し和らいでくる現在パートは、疑似親子のような関係性を予感させる。だが、監督ケネス・ロナーガンの脚本は、そんな安易な癒しや再生には傾かない。心が壊れ無感覚になってしまったリーは、凡百の慰めなど受け付けないほど、深い喪失感の中にいるのだ。リーに大きな変化や成長がないのが、この物語のリアリティであり最大の個性である。ボソボソと口ごもりながら話し、視線を落として猫背で歩くリーは、まるで自分で自分を罰しているかのように、影が薄い主人公だ。最小限のセリフと、表情や仕草だけでリーの絶望を演じ切ったケイシー・アフレックの抑えた演技が素晴らしい。出番は少ないが元妻を演じるミシェル・ウィリアムズもまた秀逸だ。かつて激しいやりとりがあったであろう夫婦のその時の姿をあえて描かない演出に、脚本の上手さがある。この町で生きるのはあまりにつらすぎる。だが、もう一度誰かのために生きるチャンスを与えられた。決して消えない心の痛みをそのまま抱えながら、それでもリーは、小さな1歩を踏み出そうとしている。青く凪いだ海に垂れる釣り糸の先には、きっと希望があると信じて。暗く重くるしい映画だが、じっくりと向き合ってその滋味を味わってほしい。
【85点】
(原題「MANCHESTER BY THE SEA」)
(アメリカ/ケネス・ロナーガン監督/ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、他)
(喪失感度:★★★★★)
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス オーサム・ミックス・VOL.2(オリジナル・サウンドトラック)
スター・ロードことピーターをリーダーとする落ちこぼれヒーロー軍団“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”は、宇宙の平和を守るために、今日もノリで奮闘中。小遣い稼ぎに引き受けた仕事でトラブルを起こした彼らは、黄金の惑星の無敵艦隊から総攻撃を受け、宇宙船ミラノ号は壊滅寸前になってしまう。間一髪のところで、ピーターの父親を名乗る謎の男エゴに助けられる。仲間からの忠告にも関わらず、ピーターは次第にエゴに魅了されていくが、その姿を目にしたチームの間には、亀裂が生じてしまうのだった。そこへピーターの育ての親ヨンドゥ率いる宇宙海賊の襲撃が始まる。さらに、銀河全体を脅かす恐るべき陰謀が交錯し、ピーターの出生の秘密と共に、チームの絆が試されることになるが…。

懐かしい70年代のヒット曲に乗って異色の落ちこぼれヒーローたちが大活躍するSF活劇の続編「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」。チームのメンバーは、リーダーのピーター、銀河一凶暴な毒舌アライグマのロケット、マッチョな巨漢ドラックス、セクシーなツンデレ暗殺者ガモーラなど、刑務所で偶然出会った宇宙のはみ出し者たちだ。彼らの絆はすでに前作で出来上がっているが、今回は、ピーターの父の登場で、SFではテッパンの父と息子のドラマが展開する。父親エゴ役で、神がかるカート・ラッセルもすごいが、育ての親ヨンドゥを演じる、ジェームズ・ガン作品常連のマイケル・ルーカーこそが、本作の影の主役だ。ヨンドゥの男気に思わず涙する人もいるだろう。永遠の思春期を生きるピーターは、生みの親と育ての親の間で苦悩し、葛藤するが、ノリはあくまでも軽い。そしてチームの秘密兵“木”のベビー・グルートが、超絶的にキュートで最高だ。本作は、おバカ映画のふりをしながら、ヒーローの資質を問い、欠点だらけの人間(動物も含む)の存在を全力で肯定するなど、なかなかスミに置けないメッセージを隠し持っている。もっとも、コ難しい理屈抜きにして単純に楽しめる点が何よりも魅力的だ。エンドロールまで、たっぷりと楽しんでほしい。
【70点】
(原題「GUARDIANS OF THE GALAXY VOL. 2」)
(アメリカ/ジェームズ・ガン監督/クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、ヴィン・ディーゼル、他)
(父子愛度:★★★★☆)
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スプリット

スプリット(Blu-ray + DVD + Digital HD)日本のプレイヤーで再生可能 [並行輸入品]
孤独な女子高生ケイシーは、クラスメートのクレアの誕生日パーティにお情けで招待される。その帰り、クレアの親友マルシアと共に家まで車で送ってもらうことになるが、突如見知らぬ男が車に乗り込んで、3人の少女は拉致されてしまう。目覚めるとそこは殺風景な密室だった。やがて彼女たちは、この正体不明の男が“ひとりではない”ことを知る。彼の中には、神経質な男、人当たりのいい青年、9歳の少年、エレガントな女性…と、23人もの人格が潜んでいた。なんとか脱出を試みるケイシーたちだったが、ついに男の中で、驚くべき24番目の人格が誕生してしまう…。

女子高生3人が23人の人格を持つ男に対峙する異色の監禁サスペンス「スプリット」。前作「ヴィジット」でようやく軌道修正したM・ナイト・シャマラン監督の新作だ。23人の多重人格というと突拍子もない設定に思えるが、同様の多重人格者ビリー・ミリガンが実在していることを考えると、絵空事とは言えない。それはさておき、シャマランが確信犯的に描くB級テイストたっぷりのこのスリラーは、とにかく主演のジェームズ・マカヴォイの演技力に圧倒される。衣装は変わるが特殊メイクやCGなしで人格を演じ分けるのだから、たいしたものである。実際、ギャグすれすれのシーンも多く、監禁されている少女たちには気の毒だが、この犯人に魅了されてしまった。だが内向的な性格のケイシーには、優れた観察眼や戦略があった。彼女のトラウマである、過去のシーンをはさみながら、ケイシーが謎の男に対峙する様は、なかなかサスペンスフルである。演じるアニヤ・テイラー=ジョイの意志の強いまなざしが、素晴らしい。精神科の主治医が語る男の過去、少女たちの運命、24人目の人格“ビースト”の衝撃、そして、あのスターが登場する、驚愕のラストまで。単なる多重人格者の恐怖を描くだけではおわらない、シャマラン・マジックとでも言うべき仕掛けは、怖いやら、可笑しいやら。悪ノリにも似たサプライズに、シャマラン復活の確かな証を見た。
【60点】
(原題「SPLIT」)
(アメリカ/M・ナイト・シャマラン監督/ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ベティ・バックリー、他)
(衝撃度:★★★★☆)
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ノー・エスケープ 自由への国境

Desierto
メキシコとアメリカの国境地帯。不法入国を試みるモイセスは、15人の仲間と共に国境を越え、自由の国アメリカに入国しようと、灼熱の砂漠地帯を歩き続けていた。だが、突如そこに不法移民たちをライフルで撃ち殺す謎の狙撃者が現れ、仲間は次々に命を落としていく。狙撃者の正体は不明、摂氏50度の砂漠、水も武器も逃げ場もないという極限状況の中、モイセスは何とかして生き延びようと、命懸けで逃走するが…。

不法移民と彼らを狙う謎の狙撃者との攻防を描くサバイバル・スリラー「ノー・エスケープ 自由への国境」。監督は名匠アルフォンソ・キュアロンの息子にして「ゼロ・グラビティ」の脚本家であるホナス・キュアロンだ。本作の製作年は2015年。「ゼロ・グラビティ」より本作の脚本の構想が先だったこと、さらに、今、メキシコ国境との壁建設の問題で揺れているトランプ政権誕生以前の作品ということを思うと、その先見性に感服する。物語はキリリと短い88分で、終始、抜群の緊張感を味わえる。トラックの故障で図らずも徒歩で灼熱の砂漠地帯を横断することになったメキシコ人の移民たちを、人間狩りよろしくライフルで狙い撃ちにするのは、移民を憎悪する謎の白人だ。広大な砂漠は、究極の密室と化し、まったく先読みできないサバイバル劇が繰り広げられる。いきなりの銃撃、獰猛な猟犬による襲撃と、流血のバイオレンス描写は、容赦がない。秀逸なのは、移民たちや、謎の狙撃者の背景をほとんど説明せず、最小限のせりふと小道具、表情のみで描き切ったことである。その潔い演出に、ガエル・ガルシア・ベルナル、ジェフリー・ディーン・モーガンら、実力派がきっちりと演技で応え、只事ではない緊迫感を生み出した。不法移民、差別主義、排他性、行き過ぎた自警に人命軽視。社会派ドラマに傾く要素満載だが、本作に説教臭さは皆無で、サバイバルという娯楽作として成立している。不法移民たちが命懸けで目指すアメリカは、本当に“自由の国”なのだろうか。そして砂漠の向こう側に、希望や未来はあるのだろうか。本作で父アルフォンソは製作にまわり、ホナスは商業映画デビューだ。その才能のDNAは確かに受け継がれている。
【75点】
(原題「DESIERTO」)
(メキシコ・仏/ホナス・キュアロン監督/ガエル・ガルシア・ベルナル、ジェフリー・ディーン・モーガン、アロンドラ・イダルゴ、他)
(タイムリー度:★★★★★)
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赤毛のアン



カナダ、プリンス・エドワード島。春のある日、農場を営む年配の兄マシュウと妹マリラの家に、孤児院から、赤毛でそばかずだらけ、やせっぽっちの少女アン・シャーリーがやってくる。本来は、農場の働き手となる11歳の男の子を引き取るつもりだったのだが、手違いでアンがやってきたのだ。兄妹はとまどうが、むげに追い返すわけにもいかず、別の引き取り手が見つかるまで、アンを家に置くことにする。豊かな想像力のせいでしばしば騒動を起こすアンだったが、兄妹は、夢見がちでおしゃべり好きなアンに次第に魅了されていくのだった…。

世界中の人々に愛され続けるルーシー・モード・モンゴメリの名作児童文学を実写映画化した「赤毛のアン」。アンの物語は、アンの青春、アンの愛情…と次々に続いていくが、本作は、アンがマシュウとマリラと出会い、グリーン・ゲイブルス(緑の切妻)で暮らし始める、いわば“はじまり”の物語。元々はTV用作品というだけあって、分りやすくコンパクトにまとまっている。80年代に「赤毛のアン」で主役を演じたミーガン・フォローズのイメージが強いアンだが、今回のエラ・バレンタイン版のアンは、知的でどこか現代的な魅力があり、とてもいい。寡黙だが心優しいマシュウに、シリアスな役が多い名優マーティン・シーンとはちょっと意外なキャスティングだが、これまた実にぴったりくる。アンは、いつも元気で明るいが、つらい環境で育ったことと、自分の容姿にコンプレックスを持っているため、どこか悲観的なところがあって、それがアンの性格に豊かな陰影を形作っているのだ。悪口への反撃、飲酒や盗み疑惑…。過剰な想像力と自意識から、さまざまな騒動を引き起こすが、それらはいつも微笑ましく、既存の価値観や古い因習を打ち破るアンの行動力に、感心させられる。花が咲き乱れる春から始まり、白銀の冬と、季節がめぐった頃、思いがけない知らせが届く。その時、兄妹、そしてアンを愛するすべての人々は、自分の心に正直に、最善の答えを導き出すことになるのだ。アンはただの夢見がちな女の子ではなく、どんなつらい環境でも決して夢をあきらめない強い意志の持ち主なのである。知り尽くした物語だが、その温かさやユーモアは、いつの時代にも心に響いてくる。
【65点】
(原題「L.M. MONTGOMERY'S ANNE OF GREEN GABLES」)
(カナダ/ジョン・ケント・ハリソン監督/エラ・バレンタイン、サラ・ボッツフォード、マーティン・シーン、他)
(普遍性度:★★★★☆)
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追憶

追憶 オリジナル・サウンドトラック
富山県警捜査一課の四方篤は、漁港で、刺死体となって発見された旧友の川端悟と再会する。捜査が進むにつれ、かつて、篤と悟とともに幼少時代を過ごした田所啓太が容疑者として浮かび上がる。1992年、親に捨てられた境遇の3人は、能登半島の軽食喫茶「ゆきわりそう」を営む仁科涼子、山形光男を慕い、家族のような日々を送っていた。だがある事件をきっかけに二度と会わないと誓い、離れ離れになったのだ。刑事、被害者、容疑者という形で25年ぶりに再会した彼らは、心の奥底に封印してきた過去と向き合うことになるが…。

過去のある秘密を共有し封印してきた幼馴染3人の男たちの運命を描く人間ドラマ「追憶」。1990年代の過去と25年後の現代を交錯させながら、殺人事件の被害者、容疑者、刑事が再会するという展開は「ミスティック・リバー」を思い起こさせる。美しく寒々とした北陸の風景、忌まわしい事件のトラウマ、捜査によって次第に明かされる悲劇的な過去。ドラマそのものは堅実なミステリー仕立てだ。だが、しかし。この何とも古臭いテイストはいかがなものか。スマホ(携帯電話)がなかったら、昭和30年代の話と言っても納得してしまう。いや、むしろ昭和を背景にした方が良かったのでは?とさえ思ってしまう、古色蒼然とした演出で、物語も、音楽も、映画そのものも、あまりに大時代的なので驚いてしまった。ミステリーなので詳細は明かせないが、殺人事件の真犯人とその動機が、唐突すぎて、これまた驚く。犯人を知った登場人物の一人が「なんだ、それ?」と言うが、それはこっちのせりふだ。99分という短さは、何かしばりがあったのかもしれないが、それにしても事件の真相に深みがなさすぎる。役者はいいのだ。主要キャストに若手実力派が揃い、脇役も含めて丁寧な演技をみせてくれているだけに、なおさら惜しい。本作を日本映画の良心的な原点回帰とみるか、時代錯誤とみるかで、評価が分かれるだろう。「俺たちはもっと早く会うべきだった」。この言葉が心に残っている。
【50点】
(原題「追憶」)
(日本/降旗康男監督/岡田准一、小栗旬、柄本佑、他)
(古色蒼然度:★★★★★)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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