映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」「ベイビードライバー」etc.

カメオ出演、要チェック!

コラムカメオ出演とは、映画の中に、スター俳優や監督、有名人(原作者、伝記映画の本人、スポーツ選手、ミュージシャンetc)が、ほんの少しだけ登場したり、小さな役を演じたりすることを指す用語です。

ブローチやペンダントで使われる装飾品のカメオの浮彫彫刻のように、遠目からでもそれとわかるほど存在感があるため、映画のそのシーンを“浮き立たせる”インパクトと効果があるとされます。

有名なところでは、自分の作品に必ずチラリと顔をみせたアルフレッド・ヒッチコック監督や、マーベル作品にちゃっかり顔を出す原作者のスタン・リーが知られています。最近では「キング・アーサー」に元イングランド代表のサッカー選手デヴィッド・ベッカムが出演して話題になりました(聖剣エクスカリバーを抜く場面の騎士の役。演技はトホホ…でしたが 笑)。

現在、大ヒット公開中のアクション・アドベンチャー・シリーズの最新作「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」には、元ビートルズの、あの大物ミュージシャンがカメオ出演しています。ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウの叔父さんという役どころです。残念ながら歌いませんけどね(笑)。

シリーズ第3作「ワールド・エンド」と第4作「生命の泉」で、ジャック・スパロウの父親ティーグ役として出演してたのが、ローリング・ストーンズの名ギタリスト、キース・リチャーズ。確か、海亀形のギターをちらっと弾いたりしてましたっけ (*^.^*) ん??…ということは、キースと〇ー〇は兄弟なのね!!
ジャックの家族・親族は、やっぱり大物スターじゃなくちゃ!…ということで、このシリーズのカメオ出演、今後も期待大!要チェックです〜!!

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド(期間限定) [Blu-ray]
ジョニー・デップ
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
2017-06-21




パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉(期間限定) [Blu-ray]
ジョニー・デップ
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
2017-06-21


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リベンジ・リスト



自動車整備工のスタンリーは、再就職を目前に前向きな日々を送っていたが、ある日、目の前で強盗に最愛の妻ビビアンを殺害されてしまう。容疑者のチャーリーというチンピラはすぐに捕まるが、裏社会とつながる悪徳刑事ギブソンによって釈放されてしまう。かつて数々の殺しを請け負ってきた特殊部隊の工作員だったスタンリーは、封印していた殺人スキルを総動員し、復讐の鬼と化す。だが、事件は単なる強盗殺人ではなく、そこには汚職政治家や彼の子飼いの悪徳警官がからむ巨大な陰謀が隠されていた…。

最愛の妻を殺された男の復讐を描くクライム・アクション「リベンジ・リスト」。元特殊部隊の男が愛する者を奪われてリベンジに燃えるというストーリーや、妻が調べていた環境問題から政治腐敗に派生する流れなど、手垢がつきまくり、既視感満載のB級犯罪アクションものである。いくら元特殊部隊の凄腕工作員だからって、都合が良すぎる展開が多すぎると苦笑も誘われる。だがこの作品、B級ならではのサクサク進むテンポの良さと、意外な味わいがあるのだ。それはトラボルタ演じる主人公スタンリーを助ける相棒の存在である。同じ元工作員で、表向きは床屋を営みながら情報屋として暮らすデニスのキャラがいいアクセントになっている。デニスは、事件の裏に潜む陰謀の大きさを知っていて、復讐はやめておけと忠告しながらも、いざという時にひょっこり現れてはスタンリーを助ける仲間思いの男なのだ。スタンリーとデニスのバディ・ムービーとしてみれば、B級テイストも含めて、微笑ましいとさえ思えてくる。

上映時間はサックリと91分。それにしてもトラボルタの髪の毛、ヅラなのか?!あまりにも生え際が不自然で、見ている間、そっちの方が気になって仕方がなかった。
【55点】
(原題「I AM WRATH」)
(アメリカ/チャック・ラッセル監督/ジョン・トラヴォルタ、クリストファー・メローニ、、他)
(スピード感度:★★★★☆)
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ディストピア パンドラの少女

The Girl With All The Gifts
パンデミックにより、人類の大半が凶暴な捕食者“ハングリーズ”となった近未来。イングランドの田舎町の軍事基地では、生き残った少数の人間によって、ウイルスに感染しながらも思考能力を持つ“セカンド・チルドレン”からワクチンを作るための研究が行われていた。ある日、子どもたちの中に高い知能を持った少女メラニーが現れる。教師、軍曹、科学者らは、壊滅した基地を脱出し、メラニーを連れてロンドンを目指すが…。

人類の大半がゾンビ化した近未来を舞台に、奇跡の少女とともにサバイバルする人類の姿を描くSFスリラー「ディストピア パンドラの少女」。原作は、M・R・ケアリーによるベストセラーSF小説だ。ゾンビによる終末映画にはさまざまなパターンがあるが、本作は自然豊かな田舎町や森を抜け、廃墟のようになった大都会を彷徨い歩くという、静けさが特徴だ。英国らしいどんよりとした大気の中、人類はゆっくりと滅亡へと向かっている。グロテスクな描写は多いが、そこにヒーローはおらず、華々しいバトルも存在しない。

本来ハングリーズは、思考能力は持たず生きた肉のみを食するが、飢えへの欲求を抑えることができるメラニーは、純粋で賢く、特別な少女である。彼女の存在が人類救済への鍵になるのだが、この映画の絶望的なところは、人類が生き残ることが世界を救うことになるわけでもなく、人類が滅びたとしても世界が終わるわけではないという衝撃的な事実を突きつけることだ。ラストは正直、ツッコミどころが多い。だが、ギリシャ神話に登場する、あらゆる災いが詰まったパンドラの箱の底に残った希望とは、子どもたちの存在と教育だというメッセージなのだろう。メラニーを演じる新人のセニア・ナニュアが、素晴らしい存在感だった。
【60点】
(原題「The Girl with All the Gifts」)
(英・米/コーム・マッカーシー監督/セニア・ナニュア、ジェマ・アータートン、パディ・コンシダイン、他)
(グロテスク度:★★★★★)
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兄に愛されすぎて困ってます

映画 兄に愛されすぎて困ってます (小学館文庫)
恋に恋する女子高生・橘せとかは、現在、告白12連敗中。そんな彼女をずっと見守っているのは、ヤンキー系のイケメンの兄・はるかだった。せとかとは血がつながらない兄妹だったが、せとかを想う気持ちが単なる妹愛以上のものだと気付いたはるかは、戸惑いを感じている。そんなはるかの気持ちを知らないせとかに、突如、人生初のモテ期がやってくる。初恋の人で超ドSキャラのセレブ研修医・高嶺、いつもお姫様扱いしてくれる他校の先輩・千秋、さらに教育実習生の英語教師までが、せとかに急接近。せとかはパニックになってしまう…。

突然のモテ期が到来した恋愛体質の女子高生と、彼女をとりまく年上のイケメン男子たちの恋の駆け引きを描く青春ラブストーリー「兄に愛されすぎて困ってます」。原作は夜神里奈の大人気同名コミックで、通称“兄こま”と呼ばれている人気作だ。少女マンガ原作ものには、少なからず女子の妄想が入っているが、ここまであからさまなのは珍しい。ヒロインがなぜ突然モテ期に突入したかがさっぱりわからないのだが、とにかくセレブ系、ホスト系、ヤンキー系…と、タイプの違う3人の年上イケメンにモテまくる。中でも血がつながらない兄との“禁断の愛”にやきもき…というのが主なストーリーだ。夏祭りでのはるか争奪戦や、イケメン二人のそれぞれの弟や妹もからみつつ、本当に自分が好きな人はいったい誰?!と贅沢な悩みにモンモンとするヒロインの姿は、まさに女子のあこがれといったところ。

こういう作品にあれこれ言うのも大人げないが「俺物語!!」の河合勇人監督にしては、はじけっぷりが足りないので不満が残る。せとかにアプローチする、勘違い系の教育実習生の存在が、意外にも笑わせてくれた。
【50点】
(原題「兄に愛されすぎて困ってます」)
(日本/河合勇人監督/土屋太鳳、片寄涼太、千葉雄大、他)
(女子妄想度:★★★★★)
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忍びの国

映画「忍びの国」オリジナル・サウンドトラック
戦国時代。伊賀の国は、超人的能力を持つ忍者衆が暮らす忍びの国として恐れられていた。そんな忍者の一人、無門は、伊賀一の腕を誇る忍者だが、妻・お国には頭が上がらない怠け者だった。ある日、織田信長の次男・信雄が、父・信長ですら手出しするのを恐れた伊賀への侵攻を、独断で開始する。無門に弟を殺され伊賀への復讐を企む忍者の平兵衛、伊賀の重鎮・十二家評定衆ら、それぞれの思惑や野望が交錯する中、いつしか無門もこの争いに巻き込まれていく…。

織田の軍勢と伊賀の国との戦いを描く痛快時代劇「忍びの国」。原作は作家・和田竜の同名小説だ。描かれるのは、戦国時代に織田軍が攻略できなかった“天正伊賀の乱”である。主人公は、どんな堅牢な門も彼の前では意味をなさないため無門と呼ばれるほどの凄腕の忍びだが、普段は無類の怠け者で、女房のお国の尻に敷かれる毎日を送っている。彼が巻き込まれる織田勢との戦いは、織田に滅ぼされた北畠家や、偉大な父・信長の威光の前で屈折した次男・信雄、さらに、家族の命さえ粗末に扱う伊賀の考えに疑念を持つ強者の忍び・平兵衛など、単純に武力だけでは割り切れない、さまざまな思惑がからみあっていた。

歴史の真実はさておき、とにかく本作はテンポがいい。忍者ならではのアクロバティックなアクションが、ポップでコミカルな味を加えてくれたからだ。主演の大野智は、飄々としたキャラが良く似合うが、自身が運動神経がいいのだろう、彼のアクションは小気味よく、アクロバット、ワイヤー、ダンスなどをミックスさせた動きは見ていて楽しくなる。人を人とも思わない人でなしの“虎狼の族”と呼ばれた伊賀忍者。無門もまた伊賀の教えに従って生きてきた一人だったのだが、お国への愛が、人でなしを人に変えた。忍びの国ならではの驚くべき秘策で戦うクライマックスは少々ご都合主義がすぎる気がするが、そこは身体能力、頭脳戦に長けた忍者の底力と、無門とお国の夫婦愛に免じて、良しとしよう。
【60点】
(原題「忍びの国」)
(日本/中村義洋監督/大野智、鈴木亮平、知念侑李、他)
(エンタメ度:★★★★☆)
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パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊

パイレーツ・オブ・カリビアン / 最後の海賊 オリジナル・サウンドトラック
かつて海賊討伐に情熱を捧げたスペイン人将校サラザールは、まだ少年だったジャック・スパロウにハメられ、“海の死神”として魔の三角海域に幽閉される。時は流れ、解き放たれたサラザールが死者の軍団を率いてジャックへの復讐を開始。最恐の敵サラザールから逃れるには、すべての呪いを解く“ポセイドンの槍”が必要だった。一方、ヘンリーは、父ウィル・ターナーの呪いを解くため、ポセイドンの槍を探し求めるが、彼の前に槍を探す手がかりを知る女性天文学者カリーナが現れる。それぞれの思惑が交錯する中、ポセイドンの槍を巡り、命懸けの冒険が幕を開ける…。

海賊ジャック・スパロウが活躍する大人気シリーズの第5弾「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」。今回は、すべての呪いを解く力を持つ“ポセイドンの槍”がキーとなって物語が展開する。これでもか!と言うくらい、スピーディかつド派手なアクションを見ていると、この“てんこもり”感とサービス精神こそパイレーツなのだと懐かしさに浸ってしまった。

キャプテン・ジャック・スパロウとは浅からぬ因縁がある、海の死神・サラザールは、復讐のためジャックを追うが、どこかで孤高の海賊ジャックに魅せられてもいる。ヘンリーとカリーナの若手コンビは、かつてのウィルとエリザベスの後継者で、フレッシュな魅力がウリだ。そして今回は、2組の親子のドラマが描かれ、特に意外な人物とつながるカリーナの出生の秘密のパートは、思わず感動してしまう。もともとはディズニーランドのアトラクションなのだから、ありえないアクションやご都合主義の展開は「楽しんだ者勝ち」と、最初から承知の上だが、本作はドラマパートまで出来がいいという嬉しい驚き付きだった。

メガホンを取るのは海洋アドベンチャーを得意とする「コンティキ」の監督コンビ。クライマックスの海のシークエンスは目を見張る迫力である。ジョニデ扮するジャック・スパロウは、よく見ると、驚くほど脇役的扱いなのだが、そこは笑いと強運とスターのオーラでカバーだ。もともとジャックは、誰にも、何にも、囚われることのない自由人。心から望むものへと持ち主を導く大切なコンパスをわずかな酒代のために手放そうが、ギロチンで処刑されかけようが、海の死神に追われようが、きっと海と自由を愛する誰かが助けてくれる。それにしても回想シーンに登場する少年ジャック・スパロウは瑞々しい。長い長いエンドロールの後に意味深なワンシーンがあるが、続編の期待とは別に、若きジャックの前日譚も見てみたいものだ。
【70点】
(原題「PIRATES OF THE CARIBBEAN: DEAD MEN TELL NO TALES」)
(アメリカ/ヨアヒム・ローニング / エスペン・サンドベリ監督/ジョニー・デップ、ハビエル・バルデム、ブレントン・スウェイツ、他)
(サービス精神度:★★★★★)
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試写室だより 6月下旬

試写室だより先日、お知らせしました通り、当ブログが利用しているlivedoorのブログシステムの仕様変更により、6月30日より、トラックバック機能が廃止されました。それに伴い、当ブログへのトラックバックは、受けることもお返しすることも出来なくなりましたこと、何卒ご了承ください。なお、過去のトラックバックはそのまま表示されているようです。

ブログがスタートしてから、長く親しんできたトラックバック機能。ネットでの情報発信のスタイルもフェイスブックやツイッター、インタスタグラムなど多岐に渡り変化している今、これもまた時代の流れなのかなぁ…と思います(しみじみ…)。

コメントは従来通りできますので、どうぞご利用ください♪

最近見た主な映画は以下。

「カーズ クロス・ロード」「ギフト」
「心が叫びたがってるんだ。」「関ケ原」「三里塚のイカロス」などなど。

将棋の中学生プロ棋士・藤井四段の新記録や活躍、素晴らしいですね!
将棋の勝負の世界は、映画でも描かれることが多いのですが、最近では「3月のライオン」があります。その他、「聖の青春」「王手」などなど。これを機会にチェックしてみてください〜 (^^)b

聖の青春 [Blu-ray]
松山ケンイチ
KADOKAWA / 角川書店
2017-04-28




王手 デラックス版 [DVD]
赤井英和
ジェネオン エンタテインメント
2007-02-23


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セールスマン

The Salesman
教師のエマッドとその妻ラナは、小さな劇団に所属している。稽古で忙しい日々の中、新居に引っ越すが、そこでラナが侵入者から襲われてしまう事件が発生。ラナは心と身体に深い傷を負ってめっきり口数も少なくなる。一方、エマッドは犯人を捕まえるために「警察に行こう」と妻を説得するが、ラナは頑なに拒否する。立ち直れないラナとやり場のない怒りを持て余すエマッドの心はすれ違い、夫婦仲は険悪に。やがて犯人は前の住人だった女性と関係がある人物だと分かる。残されたトラックから手がかりをつかんだエマッドは、自力で犯人をつかまえようと決心するが…。

突然の暴行事件を機に心がすれ違っていく夫婦と、現代イラン社会の歪みを描く人間ドラマ「セールスマン」。乱暴な建築工事のせいで引っ越すハメになった夫婦は、冒頭の住宅崩壊場面から不安な表情を浮かべている。妻ラナをレイプ、暴行された夫エマッドの犯人捜しと復讐劇がストーリーの軸となるが、そこで描かれるのは、近代化してもなお、イスラム教の古い価値観やモラルが横行する、矛盾した社会の在り方だ。前の住人の女性はどうやらいかがわしい商売をしていたようで、犯人はその女の常連客との目星がつく。だが被害者であるラナは、不注意からドアを開けたことや、暴行されたことそのものを恥じ世間体を気にして警察に訴えようとしない。それを聞いた隣人は「正しい判断だ。どうせ警察は当てにならない」と言い放つ。一方、夫のエマッドは、犯人を捜して復讐したいのだが、見知らぬ人物を招き入れた妻を心のどこかで責めている。夫婦にアパートを斡旋した劇団仲間は、前の住人が怪しげな仕事をしていたことを故意に黙っていた。皆、それぞれ後ろめたい部分があって、犯人捜しのミステリーというよりも、被害者側の心理サスペンスに傾いていく。単純な正義や善悪では割り切れないこの曖昧さこそがアスガー・ファルハディ監督の持ち味だ。登場人物たちの葛藤を、劇中劇のアーサー・ミラーの傑作戯曲「セールスマンの死」と重ね合わせて描く手法が巧みである。急激な時代の変化に取り残された老セールスマンの心情が、現代イランの社会、特に、自由になったかに見えて、まだまだ抑圧されているイスラム圏の女性の実態と重なって見える。そして終盤、夫婦が対峙する意外な犯人と、その顛末に、言葉を失った。監督と主演女優は、トランプ政権によるアメリカ入国禁止令に抗議して、米アカデミー賞授賞式をボイコットしたが、本作で見事にアカデミー賞外国語映画賞を獲得。政治的な流れが受賞に大きく影響したのは確かだが、それを差し引いても、社会風刺と人間の深層心理を緻密なドラマで描いた秀作であることに間違いない。
【75点】
(原題「FORUSHANDE/THE SALESMAN」)
(イラン・仏/アスガー・ファルハディ監督/シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリシュスティ、ババク・カリミ、他)
(葛藤度:★★★★★)
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ありがとう、トニ・エルドマン



ドイツに住む、悪ふざけが大好きな父ヴィンフリートは、ルーマニア・ブカレストのコンサルタント会社で働く娘イネスが仕事ばかりしていることが心配でしかたない。イネスを驚かそうと、連絡もせず彼女が働く会社を訪ねるが、重要なプロジェクトを前にしたイネスは父親の相手もろくにできないまま、滞在期間が過ぎていった。心配そうにドイツに帰ったヴィンフリートだったが、突如、ダサいスーツを着て、かつらに出っ歯の入れ歯をつけた姿で「私はトニ・エルドマンです」と、別人のふりをして現れる。それからというもの“トニ・エルドマン”はイネスの前に度々現れることに。イネスはイライラを募らせるが、父娘は衝突すればするほど、互いの距離を縮めていった…。

キャリア志向の娘と、そんな娘を心配して一風変わった方法で励ます父親との触れ合いを描く人間ドラマ「ありがとう、トニ・エルドマン」。仕事人間の娘が父親の愛情と荒療治で幸せを取り戻す…という大枠から、心温まる感動作を連想するが(いや、それ自体は間違ってはいないが…)、この作品はそう単純ではない。父ヴィンフリートが、連絡もせず娘のもとを訪ねたのは、たまに家に戻っても話もしない娘が、人生の喜びや大切なものを見失っていると感じたからだ。ちっとも幸せそうじゃない娘を心配するのは親として当然なのだが、その方法がすこぶる変わっている。というか、かなりウザい。もっといえばあまりに空回りしすぎてあっけにとられる。だがイネスを含めた周囲は、どういうわけかこの変装バレバレのトニ・エルドマンのペースに巻き込まれ、いつのまにか心の奥に隠していた本音をさらしてしまうのだから不思議である。上映時間はなんと162分。この長尺は、父のお寒いギャグや度が過ぎた悪ふざけにキレ気味の娘が、少しずつ少しずつ自分の殻を破るために必要な時間なのだ。時に熱唱し、時に衣服を脱ぎすて、最後には自分の人生にしっかりと向き合うイネス。大笑いするコメディでもなければ、大泣きする感動作でもないし、ヒロインの人生の選択が完璧な幸せかというとそうとも言えない。複雑で曖昧、だからこそリアルな、奇妙奇天烈なこの怪作は、オフビートな人生讃歌の物語と言えよう。しかもこの映画、引退していたジャック・ニコルソンを突き動かして、ハリウッド版が作られるという。ハリウッド・リメイクで、どうアレンジするか、恐いもの見たさ半分で期待している。
【65点】
(原題「TONI ERDMAN」)
(独・オーストリア/マーレン・アデ監督/ペーター・シモニシェック、ザンドラ・ヒュラー、ミヒャエル・ヴィッテンボルン、他)
(奇天烈度:★★★★☆)
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ジーサンズ はじめての強盗

ジーサンズ はじめての強盗
ウィリー、ジョー、アルの3人は、慎ましくも幸福な老後生活を送っていたが、長年勤めていた会社から一方的に年金を止めるとの通達を受け、ショックを受ける。愛する家族や仲間たちと、幸せな余生を送りたい。そんなささやかな願いを叶えるため、ジョーはウィリーとアルに「俺たちの年金を取り戻そう!」と銀行強盗を持ちかける。今まで真面目に生きてきた3人は、すべてをかけて人生最大の勝負に挑むが…。

年金を一方的に止められた老人3人が初めての銀行強盗に挑戦するコメディ「ジーサンズ はじめての強盗」。老人の犯罪コメディというよくあるジャンルだが、何しろ演じるのが、モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキン。主演全員がアカデミー賞受賞の名優なのだから、細かいツッコミどころは、ゆったりとかわして、余裕のお芝居で笑わせてくれる。もっとも内容は、弱者に冷たい高齢化社会を照射したもので、笑いごとではないのだが。無論、銀行強盗は犯罪なので手放しで応援するわけにはいかないが、実際に理不尽な理由で年金を奪われても、なす術がない現実を考えると「こんなこと、やってくれちゃったら最高!」と思わせる、一種のファンタジーと考えれば楽しめる。利益優先なのは、長年勤めた会社だけでなく、銀行も同じ。その銀行で偶然、強盗に遭遇したことから「自分たちにもやれるかも」と思って、ワルに弟子入りするという短絡的な思考が苦笑ものだが、そこは、年金なしでは生きてはいけない老人三人組、失うものなどない!というやけっぱちの強みがある。スーパーでの予行練習(万引き)や射撃のレッスン、指南役の強盗の心得のうんちくなど、おとぼけぶりに笑いながらもフムフムと思わずうなずいてしまった。そして、いよいよ本番へ。それは意外なほど綿密な計画で、楽観的なご都合主義の展開には、最後の最後に粋なプレゼントまであって、嬉しくなる。歌手としても活動している往年の美人女優アン=マーグレットは、今も変わらず美しくてキュートだし、名優3人にそれぞれ見せ場がちゃんと用意されていて、ザック・ブラフ監督が彼らをリスペクトしているのが伝わってきた。行け、ジーサンズ!80歳超えはまだまだ“若い”。
【60点】
(原題「GOING IN STYLE」)
(アメリカ/ザック・ブラフ監督/モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキン、他)
(痛快度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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