映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
アメリカ映画「シェイプ・オブ・ウォーター」

謹賀新年2018

2018年happynewyear平成30年


明けましておめでとうございます。
映画ライターの渡まち子です。

「映画通信シネマッシモ」は、めでたく12年目に突入しました。
(インターネットで映画評を発信するようになったのは、もっと前からです)
今年も、さまざまな映画情報を提供し、
自由な視点から語り合えるサイトにするべく頑張ります。

大好きな映画、最近見た映画、気になるスターや監督などなど、
映画について気軽にコメントを書き込んでください。

当ブログでは、全ての映画好きを歓迎します。

2018年が皆様にとって良い年になりますように!

★★★ お知らせ ★★★
1/2〜1/7まではブログ更新はお休みします。
1/8〜1/10は、2017年のベスト映画etc、2017年総括と2018年展望など。
1/11より、通常の映画レビュースタートの予定です。


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大晦日2017

ひとりごと2017年も今日で終了。
私は今年もたくさんのすてきな映画に出会いました。

例によって、紹介できなかった作品が沢山残ってしまいました。
あぁ…、ゴメンね、映画たち(特に12月の映画たちよ、ごめん!)。
折を見て紹介できたら…と思います。

2017年も、ブログをちょこちょこ小休止することに。
更新が滞るのは、ちょっと残念だったんですが、無理せず続けていくことが、長く頑張れるコツなので、マイペースでいこうと思います (´・`)

ともあれ、1年間、このブログを愛読してくださった皆様にお礼を言いたいと思います。そして、コメントをくださった方々、ありがとうございました。
来年も、もっともっと映画について語りましょう。

過ぎ行く2017年とともに愛をこめて。 by 映画ライター 渡まち子


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試写室だより 17.12月下旬

試写室だより超絶・繁忙期の修羅場を抜け、ようやくホッと一息 (;^_^A
例によって12月は、更新を激しくサボッたのが悔やまれます…。それでも、全国的なワクチン不足にも負けず、インフルエンザの予防接種もバッチリ済ませ、なんとか平和なお正月を迎えることができそうな予感です(笑)。

最近見た主な映画は以下。

「シェイプ・オブ・ウォーター」「マンハント」「目撃者」
「祈りの幕が下りる時」「不能犯」などなど。

お正月映画の「妖怪ウォッチ」の話題を少し。今年はスター・ウォーズに興収では負けたものの、相変わらず安定の強さです。…でも!新作「シャドウサイド 鬼王の復活」のジバニャンって、どうなんだ?!私が愛する、ラブリーなジバニャンじゃな〜い(涙)。ストーリーもシリアスすぎて乗れな〜い。これが時の流れというものでしょうか…。やっぱり初期のジバニャン、ウィスパー、コマさんのゆるいルックスが好きなんですけどーーー!!あ、でも今回の妖怪ウォッチには、なんとゲゲゲの鬼太郎が登場。親世代も楽しめる内容なのは、楽しい試みでグッドです。



さて、年内の試写も無事に終了。
試写室のスタッフの皆さま、ほんとにお世話になりました。
来年もせっせと通いますので、よろしくお願いします\(^▽^)/


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リュミエール!

1895年12月28日、フランス・パリ。ルイとオーギュストのリュミエール兄弟が発明したシネマトグラフで撮影された映画「工場の出口」などの短編が、世界で初めて有料上映された。映画に施された演出や移動撮影、特殊効果などのテクニックは、人々を魅了し、その後に作られる映画に多大な影響を及ぼすことになる。

映画の父リュミエール兄弟にオマージュを捧げたコラージュ作品である「リュミエール!」。兄弟が残した1422本の作品の中から厳選した108本を4Kデジタル修復して上映した本作は、映画の始まりや初期の歩みといった映画史であると共に、19世紀末から20世紀初頭の人々の暮らしや文化を捉えた貴重な記録でもある。映画史といっても決して堅苦しいものではなく、十分に娯楽性があり、見ていて飽きることがない。さらに、滅多に目にする機会がない貴重な映像に触れる喜びもある。世界中を旅して記録した映像には、1897年に日本で作られた「京都 日本の剣士」も登場。市井の人々の生き生きとした日常をユーモアたっぷりに写した映像の数々は、現代のYouTubeにも通じるワクワク感を感じてしまった。

リュミエール研究所ディレクターのティエリー・フレモーの、時に情熱的すぎるナレーションの解説も、楽しめる。「工場の出口」を別バージョンで撮影したものをリメイクの始まりととらえていること、「水をかけられた庭師」のギャグは明らかに演出(やらせ)でカメラ目線、「赤ん坊の初歩行」のサスペンスにハラハラ、ドキドキ(もちろん予想通り、転んでしまう!)。第七芸術である映画の原点は、シンプルで楽しいエンタテインメントだったことがよくわかる。映画の父・リミュエールの「映画は、皆を、世界を楽しませる。これ以上の誇りはない」の言葉に、映画界の片隅にいる私まで、思わず胸が熱くなった。19世紀末の驚きの発明は、間違いなく、映画を愛する思いの出発点なのである。
【75点】
(原題「LUMIERE!」)
(フランス/監督・脚本・編集・ナレーション:ティエリー・フレモー)
(映画愛度:★★★★★)
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希望のかなた



シリア人の青年カーリドは戦乱のアレッポを逃れ、生き別れた妹を探しながらいくつもの国境を越えて、フィンランドの首都ヘルシンキにたどり着く。難民申請をするが受理されず、移民収容施設から逃亡したカーリドは不法滞在者となるが、スキンヘッドのネオナチに襲われゴミ捨て場で寝泊まりしているところを、レストランのオーナーのヴィクストロムに助けられる。人生をやり直そうとしているヴィクストロム、風変わりだが気のいい従業員らは、淡々とカーリドを助け、ついに妹とも再会を果たす。だが、そんなカーリドの前に再びネオナチが現れる…。

シリア難民の青年が壮年のレストランオーナーと出会って絆を育む人間ドラマ「希望のかなた」。フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督が「ル・アーヴルの靴みがき」に続いて難民を描く、難民3部作の第2弾だが、本作はより過酷な現実を描き、反骨を込めた静かな力作に仕上がっている。カウリスマキ作品のトレードマークである、無表情の登場人物たちのとぼけたおかし味は健在。少ないせりふと無駄のない構図、独特の寒色系の色彩に、フィンランドのベテランミュージシャンが奏でるダサかっこいい音楽、毎度おなじみの犬(監督の愛犬ヴァルプ)が、完璧なアンサンブルを構成し、唯一無二のカウリスマキ・ワールドを形作っている。オフビートなエピソードで笑いを提供するのが、今回はヘンテコな寿司だったのが最高にウケた。

ほとんど表情を変えずに過酷な人生を淡々と語るカーリドは誇り高い人間だ。そんな彼を、にこりともせずに助けるヴィクストロムら周囲の人々の優しさが素敵すぎる。彼らがやがて擬似家族のようになる姿に心が温まるが、一方で、官僚主義の塊のような役人や移民排斥の極右ネオナチの存在を描いて、シビアな現実からも目をそらさない。無償の善意と残酷な暴力が同居するのがヨーロッパの“今”なのかもしれない。カウリスマキは、差別や偏見にNOと叫び、つつましく生きる市井の人々の優しさにYESと言っている。私たち観客は、誰かを助けるその勇気に感動する。物語の余韻はビターなものだが、その先にはきっと希望があると信じたくなる作品だ。
【75点】
(原題「TOIVON TUOLLA PUOLEN/THE OTHER SIDE OF HOPE」)
(フィンランド/アキ・カウリスマキ監督/シェルワン・ハジ、サカリ・クオスマネン、イルッカ・コイヴラ、他)
(ビタースウィート度:★★★★★)
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花筐 HANAGATAMI

花 筐 (光文社文庫)
1941年、春。佐賀県唐津に暮らす美しい叔母の元に身を寄せる17歳の俊彦は、美少年の鵜飼、虚無的な吉良、お調子者の阿蘇ら学友と共に“勇気を試す冒険”に熱中している。肺病を患う従妹の美那に恋する一方で、他の女友達とも仲が良く、青春を謳歌していた。しかし彼らの純粋で自由な日常は、次第に戦争の荒波に飲み込まれていく…。

唐津を舞台に太平洋戦争勃発前夜を生きる若者たちの青春群像を描く「花筐 HANAGATAMI」。原作は檀一雄の純文学で、大林宣彦監督が商業映画デビュー作である「HOUSE/ハウス」(1977年)より前に本作の脚本を書いていたというから、念願の映画化ということになる。ガンで余命を宣告されながらも渾身の思いで作り上げた169分の力作は、「この空の花」「野のなななのか」に続く、戦争3部作の最終章。だが、社会派の反戦映画というよりは、昭和カラーが色濃い夢物語のようである。怪奇趣味の幻想ホラー「HOUSE/ハウス」を彷彿とさせる演出が多く見られる本作は、実験的な映像詩のような印象を受けるはずだ。

あえて人工的な特撮や、死や血を意識した鮮烈な色彩は、昭和初期を生きる若者たちの刹那の青春と呼応しているのだろうか。俳優たちの演技も、リアルというより様式美に貫かれていて、観客の好みは分かれそうだ。しかし、どこか受け身の俊彦が叫ぶ「殺されないぞ、戦争なんかに!」や「青春が戦争の消耗品だなんてまっぴらだ」などの台詞を聞けば、まるでセルフオマージュのようなこの幻想絵巻が、実は現代社会をしっかりと照射していることに気付くのだ。「HOUSE/ハウス」で描いた狂乱のブラックユーモアはさすがに封印されているが、その分、豪華な曳山で知られる祭・唐津くんちによって、時代がどれほどきな臭くとも、生きることに執着する人間を肯定するメッセージが焼き付けられている。死を描きながら生をみつめる、まぎれもない“大林ワールド”だ。
【65点】
(原題「花筐 HANAGATAMI」)
(日本/大林宣彦監督/窪塚俊介、満島真之介、矢作穂香、他)
(原点回帰度:★★★★☆)
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わたしは、幸福(フェリシテ)

わたしは、幸福 サウンドトラック+REMIX (解説付き)
コンゴ民主共和国の首都キンシャサ。“幸福”を意味する名前を持つシングルマザーのフェリシテは、バーで歌いながら息子を育てている。ある日、一人息子サモが交通事故に遭い重傷を負ってしまう。病院に駆けつけると、医者から医療費を前払いしないと手術はできないと言われる。フェリシテは、親戚や友人、以前金を貸した男女、見ず知らずの金持ちのボスにまで訴えて、なりふり構わず金策に奔走する。そんな中、誇り高いフェリシテの中で何かが壊れ始め、やがて絶望から歌うことができなくなる…。

コンゴ民主共和国の首都キンシャサを舞台に一人のシングルマザーが直面する厳しい現実を描く人間ドラマ「わたしは、幸福(フェリシテ)」。セネガル系フランス人アラン・ゴミス監督は、現代アフリカ映画界のエースと呼べる存在で、長編第4作となる本作で、2017年ベルリン映画祭で銀熊賞審査員大賞ほか、多くの賞を受賞している。幸福という名前とは裏腹に、ヒロインのフェリシテは、幸福の本当の意味を知らない。金がすべてという容赦ない現実に立ち向かいながら、生き抜いてきた女性だ。堂々とした体格と強いまなざし、無表情に近い顔つきからはふてぶてしさがにじむ。そんなフェリシテが、困窮と絶望の果てに小さな幸福の意味を見出す物語は、圧倒的な音楽の魅力、パワフルなのに摩訶不思議な語り口で、見るものを虜にする。

汚職や犯罪が蔓延し、混沌としたキンシャサではタフでなくては生きていけない。追い詰められていくフェリシテの前に、厳しい現実のリアルがある一方で、ほとんど唐突に夜の森の闇を彷徨う夢のようなシークエンスが挿入される。この虚と実は、生と死、聖と俗、闘いと諦めなどの対比だろうか。そこに覆いかぶさるように流れるサウンドが圧倒的に魅力がある。フェリシテの歌はもちろん、ワールド・ミュージックの雄、カサイ・オールスターズの音楽のグルーヴ感、地元のアマチュア交響楽団が繰り返し演奏する“フラトレス”(エストニアの作曲家アルヴォ・ペルト作)など、すべてがアフリカの大地を思わせるソウルフルなサウンドだ。アフリカの映画を見る機会は、決して多くはない。だが、自然でも社会派でもない、こんなにも生々しいアフリカをスクリーンで見たのはこれが初めて。分かりやすい映画の型にはまらない、むせかえるようなエネルギーを感じてほしい1本だ。
【75点】
(原題「FELICITE」)
(仏・セネガル・ベルギー・独・レバノン/アラン・ゴミス監督/ヴェロ・ツァンダ・ベヤ、ガエン・クラウディア、パピ・ムパカ、他)
(エネルギッシュ度:★★★★★)
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彼女が目覚めるその日まで



憧れのNYで働く21歳の若手新聞記者スザンナは、公私ともに充実した毎日を送っていた。だが突如、物忘れがひどくなり、仕事でも大失態、精神状態も極度に不安定になる。幻覚、幻聴、不眠、悪態に痙攣など、激しい発作を繰り返すが、病院で検査をしても原因が分からず、スザンナは精神病院に送られそうになる。両親や恋人のスティーブは何かが違うと疑問を持ち、医師に訴え続けるが…。

原因不明の病に苦しんだ女性記者の壮絶な闘病と、彼女を支えた家族や恋人の絆を描く「彼女が目覚めるその日まで」。描かれる病気の名前は、抗NMDA受容体脳炎。急性脳炎の一種だそうだ。ニューヨーク・ポスト紙で働くスザンナ・キャハランがこの原因不明の難病にかかり、実態を解明するまでは、精神病や悪魔憑きだと考えられ、ホラー映画の傑作「エクソシスト」の元ネタになった病気だというから、興味深い題材である。知的で明るかったスザンナが、極端なそうとうつを繰り返し、人間性が崩壊したかのような悪態をついて、周囲を困惑させる様は、まるでドキュメンタリーのようにリアルで痛々しい。

闘病の実態とヒロインを支え続けた家族・恋人の姿を事実に基づいて追っていくので、大事件が起こるわけではないドラマは少々盛り上がりに欠けるのは事実。だが過剰なお涙頂戴や感動の押し売りをしない演出は、むしろ好印象を持った。家族や恋人が、精神病なんかじゃない、何かが違うと信じ続け、あきらめずに闘う信念は、愛ゆえだろう。ミュージシャンの卵で何だか頼りなく見えた恋人のスティーブンが、意外なほどの粘り強さと思いやりでスザンナを支え続けるのが頼もしい。スティーブンのスザンナへの愛情に共感できるため、彼が言う何気ない一言が事態を好転させるのも納得だ。壮絶な闘病の末についに人生を取り戻したスザンナを演じるクロエ・グレース・モレッツが熱演だが、周囲の人々の心情も丁寧に描かれている。何より、日本でも年間に1000人が発症しているというこの抗NMDA受容体脳炎の認知に、本作が貢献したことを評価したい。
【60点】
(原題「BRAIN ON FIRE」)
(カナダ、アイルランド/ジェラルド・バレット監督/クロエ・グレース・モレッツ、トーマス・マン、キャリー=アン・モス、他)
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ダンシング・ベートーヴェン



スイス、ローザンヌ。故モーリス・ベジャールが手掛けた舞台「第九交響曲」再演のため、モーリス・ベジャール・バレエ団のダンサーたちは、厳しい練習に励んでいた。才能あるソリストのカテリーナは、第2幕のメインを務める予定だったが、妊娠が発覚し、役を降りることに。一方、共にステージを作る東京バレエ団のダンサーたちもまた、厳しい稽古に励んでいる。人種も国籍も言語も文化的背景も異なるダンサーたちが、ベジャールとベートーヴェンの遺志を継ぐために、ひとつのステージへと向かっていく…。

故・天才振付家モーリス・ベジャールが手掛けた伝説の舞台「第九交響曲」再演の舞台裏を描くドキュメンタリー「ダンシング・ベートーヴェン」。「第九交響曲」をバレエで表現するというだけで野心的な内容だと分かるが、ベジャール亡き後、長く封印されてきたそのステージが、今、復活するのは、許しあうこと、つながることが異文化への愛と尊敬を生み、融和へと導くという、極めて現代的なメッセージが必要とされているからだ。ダンサー、合唱団ら総勢350名によるビッグプロジェクトが、東京公演に向かって、徐々に盛り上がるプロセスは、見ているこちらも自然と興奮させられる。

ナビゲート役でインタビュアーは、ベジャールの後を継いだ芸術監督ジル・ロマンの娘である女優のマリヤ・ロマン。彼女によって、ダンサーたちの内面の苦悩や喜びに迫っていく構成が上手い。妊娠によって役を降りたカテリーナはキャリアの中断への不安と子どもへの愛情の間で揺れ動き、彼女のパートナーで同じくダンサーのオスカーは良き父親になろうと決心している。またインタビューを行うマリヤの両親もまた、ダンスと結婚、子育てについて語り、バレエへの情熱と共に、人生や幸福についても考察している。だからこそ映画は、「第九交響曲」が持つ友愛というテーマに深くつながっていくのだ。監督を務めるのは、「ベジャール、そしてバレエはつづく」のアランチャ・アギーレ。ラストのステージは圧巻のパフォーマンスで、華やかさと力強さが融合した美に魅了された。名匠ズービン・メータ率いるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の音楽も素晴らしい。この伝説のステージに、日本のダンサーが重要な役割を果たしていることに、誇らしさを感じる。
【70点】
(原題「DANCING BEETHOVEN」)
(スイス・スペイン/アランチャ・アギーレ監督/マリヤ・ロマン、エリザベット・ロス、ズービン・メータ、他)
(洗練度:★★★★★)
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勝手にふるえてろ

勝手にふるえてろ (文春文庫)
24歳のOLヨシカは、10年もの間、中学時代の同級生で初恋の相手イチに片思い中。ずっと彼氏がいなかったヨシカだが、会社の同期のニに突然告白され、人生初の経験に舞い上がる。だが、正直、ニはまったくタイプではなく、ノリきれない。そんなある日、ボヤ騒ぎを起こしたヨシカは、死ぬ前にもう一度イチに会いたいと、ありえない嘘をついて同窓会を計画。ついに憧れのイチと再会するのだが…。

中学時代から片想い中の同級生と突然告白してきた会社の同期との間で揺れ動きながら暴走するヒロインの恋の行く末を描く異色のラブコメディー「勝手にふるえてろ」。原作は、19歳で芥川賞作家となった綿矢りさの同名小説だ。ヒロインのヨシカは脳内では夢見がちな暴走女子。リアルではひねくれで自分勝手なこじらせ女子。絶滅危惧種をこよなく愛するヨシカが、どうやって現実に目を向け、理想やプライドから自分自身を解放するのかという、成長物語である。

ニはヨシカにとってはまったくタイプではないのだが、それでも確かに存在するのに対し、10年片想い中のイチはいわばヨシカの脳内で理想化された幻のような王子様だ。主な登場人物はこの3人だが、ヨシカの周囲には個性的な人ばかりが集まっていて、彼らを見ているだけでも面白い。物語にはある仕掛けがあって、それが判明する時、ヨシカのこじらせっぷりの根深さが伝わる仕組みだ。ずっと彼氏がいない役には可愛すぎる松岡茉優が、めんどくさいヒロインを大量のモノローグや、時には歌まで交えて熱演。ロックバンド黒猫チェルシーのボーカリストで監督や俳優としても活躍する渡辺大知が、空気が読めず暑苦しいニを好演している。ぶざまでかっこ悪くても、傷ついても傷つけても、それでも一歩踏み出すこと。そこから人生は動き出すのだ。イタい笑いたっぷりのラブストーリーだが、同時に個性的な味わいの人生讃歌と見た。
【60点】
(原題「勝手にふるえてろ」)
(日本/大九明子監督/松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈、他)
(めんどくさい度:★★★★★)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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