映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
アメリカ映画「シェイプ・オブ・ウォーター」

勝手にふるえてろ

勝手にふるえてろ (文春文庫)
24歳のOLヨシカは、10年もの間、中学時代の同級生で初恋の相手イチに片思い中。ずっと彼氏がいなかったヨシカだが、会社の同期のニに突然告白され、人生初の経験に舞い上がる。だが、正直、ニはまったくタイプではなく、ノリきれない。そんなある日、ボヤ騒ぎを起こしたヨシカは、死ぬ前にもう一度イチに会いたいと、ありえない嘘をついて同窓会を計画。ついに憧れのイチと再会するのだが…。

中学時代から片想い中の同級生と突然告白してきた会社の同期との間で揺れ動きながら暴走するヒロインの恋の行く末を描く異色のラブコメディー「勝手にふるえてろ」。原作は、19歳で芥川賞作家となった綿矢りさの同名小説だ。ヒロインのヨシカは脳内では夢見がちな暴走女子。リアルではひねくれで自分勝手なこじらせ女子。絶滅危惧種をこよなく愛するヨシカが、どうやって現実に目を向け、理想やプライドから自分自身を解放するのかという、成長物語である。

ニはヨシカにとってはまったくタイプではないのだが、それでも確かに存在するのに対し、10年片想い中のイチはいわばヨシカの脳内で理想化された幻のような王子様だ。主な登場人物はこの3人だが、ヨシカの周囲には個性的な人ばかりが集まっていて、彼らを見ているだけでも面白い。物語にはある仕掛けがあって、それが判明する時、ヨシカのこじらせっぷりの根深さが伝わる仕組みだ。ずっと彼氏がいない役には可愛すぎる松岡茉優が、めんどくさいヒロインを大量のモノローグや、時には歌まで交えて熱演。ロックバンド黒猫チェルシーのボーカリストで監督や俳優としても活躍する渡辺大知が、空気が読めず暑苦しいニを好演している。ぶざまでかっこ悪くても、傷ついても傷つけても、それでも一歩踏み出すこと。そこから人生は動き出すのだ。イタい笑いたっぷりのラブストーリーだが、同時に個性的な味わいの人生讃歌と見た。
【60点】
(原題「勝手にふるえてろ」)
(日本/大九明子監督/松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈、他)
(めんどくさい度:★★★★★)
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カンフー・ヨガ

Kung Fu Yoga [Blu-ray] [Import]
約1000年前、唐(中国)と天竺(インド)との間に争乱が起こり、伝説の秘宝が行方不明になった。現代。中国の名高い考古学者にしてカンフーの達人ジャックは、同じく考古学者でヨガの達人であるインド人美女アスミタらとともに、その宝を探す旅に出る。一行は、唯一の手掛かりである古い地図を片手に、宝の行方を追うが、行く手には宝を狙う謎の一味が。やがて長い間歴史に埋もれていた伝説が人々の前に姿を現すが…。

世界的なアクションスター、ジャッキー・チェン主演のアクション大作「カンフー・ヨガ」。この安直なタイトルから、共に長い歴史を持つ中国のカンフーとインドのヨガを合体した、奇妙奇天烈なアクションが登場するのでは…と、ひそかに期待したのだが、カンフーとヨガはそれぞれの立ち位置で静かに自己主張するのみ。物語は、ジャッキー扮する中国の考古学者が、インディ・ジョーンズばりの宝探しを繰り広げるという、平たんな、だが、安心感満載なお話だ。

高級車のカーチェイス、なぜか車に同乗するライオンとの名(迷)コンビぶり、大道芸人とのバトルと、サービス精神はてんこ盛り。とりわけ、水と氷の洞窟でのアクションは、なかなかの迫力だ。登場人物はそろいもそろって美男美女で、中でもインドの超絶美女(ヨガの達人)は、いちいち華麗な衣装で満面の笑みをたたえていて、それだけでスクリーンがむやみに華やぐ。もしやこれがインドの“秘宝”か?!ストーリーのいいかげんさは、この際スルーして、ジャッキーのハイテンションのアクションとサービス精神をたっぷりと楽しむのが正しい鑑賞法だ。そう腹をくくれば、ラストには本作の一番の見所、楽しすぎるダンス・シーンが待っている。ダンスが予想より少ないのはちょっぴり不満だが、マサラ・ムービーらしい色鮮やかな大群舞の中で、ジャッキーがニコニコと笑いながら踊るその姿は、いかにもエンタテインメンである。とことん楽しむ。それがジャッキー映画の唯一のお約束なのだ。
【65点】
(原題「KUNG FU YOGA」)
(中国・インド/スタンリー・トン監督/ジャッキー・チェン、ディシャ・パタニ、アーリフ・リー、他)
(ダンス度:★★★☆☆)
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ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

The Zookeeper's Wife [Blu-ray](Import)
1939年、ポーランド。ワルシャワで動物園を営むヤンとアントニーナの夫婦は、愛する動物たちと共に暮していたが、迫りくるナチス・ドイツの侵攻に大きな不安を感じていた。やがて動物園の存続も危うくなるが、街でナチスがユダヤ人を弾圧するのを見て、ヤンは動物園にユダヤ人をかくまうことを決め、アントニーナも賛成する。強制居住区域に暮らすユダヤ人たちを救い出しては動物園にかくまう夫婦だったが、ナチスの監視の目は次第に厳しくなり、夫婦も危険にさらされていく…。

ナチス占領下のワルシャワで、300人ものユダヤ人をかくまった動物園オーナー夫婦の実話「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」。ナチスの暴挙に抵抗したレジスタンス映画であると同時に、人間も動物も、生きとし生けるものすべてを愛する夫婦の絆を描くヒューマンドラマでもある。人間が勝手に起こした愚かな戦争の犠牲になって命を落とす動物たちの描写は、見るのもつらいが、だからこそ動物園を使ってユダヤ人を救う行為に大きな意味が立ち上ってくる。理由もなく迫害される者の存在は、いつの時代にも存在するが、その反面、自らの身を危険にさらしてでも正しいことを行おうと奮闘する人間もまた、確かに存在したのだ。本作は、いわゆる美談の感動物語なのだが、特別な能力や武器など持たないヒロインが見せる勇気は、現代を生きる私たちを励ましてくれる。

劇中では、かつてポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督が描いた、ユダヤ人孤児たちを助けようとした小児科医で作家、教育者であるコルチャック先生も登場し、実話の本作にさらに深みを与えている。動物好きで優しく美しいアントニーナは、快活で愛情深い妻・母だが、同時に知的で機転もきく人物。何より信念を持つ素晴らしい女性だ。そんな実在のアントニーナ・ジャビンスカを演じるのが、今、最も旬な演技派女優の一人ジェシカ・チャステイン。パワフルなCIAエージェントや有能なロビイストの力強さとはまた別の、悲しみを内包した繊細な表情を見せてくれる。やはりこの人は上手い。
【70点】
(原題「THE ZOOKEEPER’S WIFE」)
(チェコ・英・米/ニキ・カーロ監督/ジェシカ・チャステイン、ヨハン・ヘルデンベルグ、ダニエル・ブリュール、他)
(勇気度:★★★★★)
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スター・ウォーズ/最後のジェダイ

スター・ウォーズ/最後のジェダイ オリジナル・サウンドトラック
フォースの力に目覚めた孤独な少女レイは、ダース・ベイダーの遺志を継ぐカイロ・レンとの死闘を制し、ついに伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーへとたどり着く。万感の思いを込めてライトセイバーを差し出すが、レイはルークから驚くべき事実を知らされる。一方、レイア率いるレジスタンス軍にも危機が迫っていた。元ストームトルーパーの脱走兵フィン、パイロットのポー、忠実なドロイドBB-8らは、新たなミッションに向かうことになるが…。

人気SFシリーズ新3部作の第2章「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」。全世界待望の最新作は前作「フォースの覚醒」のその後を描くものだ。“衝撃”の連打で、一瞬も目が離せない展開が待っている。スターウォーズ(以下、SW)は、光と闇の両方を描いてきたが、本作ではその二つが分かちがたいものであることが強調されている。それは、特別な力であるフォースや、フォースを守るジェダイの概念を、より深く、より広く解釈することへとつながっていく。年老いたルークの表情に刻まれたシワは、光と闇の両方を知るものゆえの苦悩だ。ジェダイもまた悩み、迷ってきたのである。

世界中の熱すぎる期待を背負っている本作は、怒涛のアクションや魅力的な新キャラの登場でファンを魅了することだろう。散りばめられたユーモアも楽しい。鳥型クリーチャーのポーグの愛らしさ、クリスタルのキツネ、ヴァルプテックスの美しさにも目を見張った。実際、善と悪の間を揺れ動く価値観や明かされる秘密の衝撃で、約2時間半の上映時間はあっという間に過ぎる。ストーリーがほとんど進んでいないことにゆっくりと気付くのは、見終わってからだった。確実なのは、世代交代の波の到来と、今後の展開がますます混沌としてきた事実。ただ、レイとカイロ・レンが時空を超えて語り合うその姿に、愛と希望の存在を願うのは、私だけではないだろう。なぜなら、本作で重要な役割を担う新キャラのローズは劇中できっぱりと言うのだ。「愛する人を救うこと。それが勝利よ」と。壮大なSW神話は、新局面を迎えようとしている。
【75点】
(原題「STAR WARS: THE LAST JEDI」)
(アメリカ/ライアン・ジョンソン監督/デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、アダム・ドライヴァー、他)
(世代交代度:★★★★★)
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試写室だより 17.12月上旬

試写室だよりブログ更新、絶賛サボリ中の私ですが(汗)、何とか繁忙期を生きてます。全国的に寒いので、皆さん、風邪などひかれませんように!

最近見た主な映画は以下。

「ザ・リング リバース」「エターナル」「西遊記」「ロング、ロングバケーション」
「パディントン2」「嘘を愛する女」などなど。

「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、いよいよ公開ですね!
お住まいの地域によっては、前夜祭と称して、14日の夜(夕方)に先行上映するので、読者様の中には、すでにご覧になった方もいるかも??
いろいろとネタバレ禁止令が出てるので、語りたくても語れない、やるせないSWなんですが(汗)、とりあえず、衝撃的な内容です。まずは劇場へGO!
あ、シネマッシモでも、もちろんレビュー、出しますよ〜 \(^▽^)/


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12月超繁忙期のため、ボチボチ更新!のお知らせ 2017.12.12

お知らせ「映画通信シネマッシモ」管理人の映画ライター・渡まち子です。
いつも当ブログを訪問していただき、ありがとうございます。

例年通り(?)、12月の超繁忙期を迎えて修羅場中の私です。今年はなぜか、15日締め切りが多くて、今週が一番ヤバいです (T△T)  毎年、12月23日(土・祝)が締め切りのことが多いんだけど、WHY??謎が深まる… (・・;)

…ということで、ほぼ毎日更新しているシネマッシモの映画レビューは、12月23日(土・祝)までの間は、“ボチボチ更新”状態になりますので、ご了承ください。

平日はサボりますが、週末は頑張って更新します。12月23日には、年内の締め切りは、すべて終わっている(はず)なので、それまで何卒ご容赦を m(__)m

気が向いたら、平日もたまーーに何か記事を書くかも?
とりあえず、ボチボチ更新のお知らせでした (;^_^A


スター・ウォーズ ぬいぐるみ S 最後のジェダイ ポーグ 高さ約16cm

← これが欲しい…と真面目に悩む今日この頃。
多忙すぎて現実逃避中(笑)


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ルージュの手紙

Sage femme (Original Motion Picture Soundtrack)
パリ郊外で暮らす助産婦のクレールは、女手一つで息子を育て、真面目に生きてきた。そんなクレールの元に、30年前にふいに姿を消した血のつながらない母親ベアトリスから突然連絡が入る。クレールはベアトリスの失踪後に、父が自殺したことから奔放に生きるベアトリスを許すことができなかった。だが末期ガンを患い、すべてを失って戻ってきたベアトリスを、クレールは放っておくことが出来ない。仕方なく、彼女につきあうちに、今まで知らなかったや古い秘密や思いが明らかになり、性格も生き方も正反対の二人は次第に距離を縮めていく…。

対照的な母と娘が再会し絆を育むヒューマンドラマ「ルージュの手紙」。仏映画界を代表する大女優、カトリーヌ・ドヌーヴとカトリーヌ・フロが初共演する人間ドラマだが、真逆の二人が反発しながら次第に溝を埋めていくストーリーは、まるでバディ・ムービーのようだ。助産婦として堅実に生きてきたクレールは、仕事に誇りは持っているが人生を振り返るヒマもない真面目人間。一方、血のつながらない母ベアトリスは、お酒とギャンブルに目がなく、身勝手で自由奔放。対照的な二人を見た目で表すのが、クレールの“ダザい”コートと、ベアトリスの“肉食系”ヒョウ柄の服だ。水と油のような二人が、触れ合うことで、互いの中に自分にない資質を見出していく様が、繊細に描かれる。

猫のように自由な母親が、堅物の娘に人生の喜びを教えるという展開は、よくある母娘もののパターンではあるが、いかにもフランス映画らしいのは、個を大切にしていることだ。ベアトリスもクレールも、互いに歩み寄ることで、本来自分の中にあった“才能”に気付く。ベアトリスは他者への思いやりを、クレールは自分を解放することを学び、自分の中に小さな変化を起こしていくのだ。めんどくさいが、やっぱり愛おしい関係。それが母と娘なのである。二人の偉大なカトリーヌの影に隠れがちだが、クレールを愛するシモンを演じるオリヴィエ・グルメがいい味を出している。男も女も一人では生きていけず、誰かと関わり合って存在しているのだと教えてくれる作品だった。、
【65点】
(原題「SAGE FEMME」)
(フランス/マルタン・プロヴォ監督/カトリーヌ・ドヌーヴ、カトリーヌ・フロ、オリヴィエ・グルメ、他)
(女性映画度:★★★★★)
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新世紀、パリ・オペラ座



フランスが誇る芸術の殿堂、パリ・オペラ座。オペラ、バレエにおいて世界トップレベルの伝統を維持してきたが、時代の波は容赦なく押し寄せる。数百年以上守ってきた歴史の継承か、あるいは新しい時代をけん引するリーダーシップか。華々しいステージだけでなく、厳しいリハーサル、キャストの降板や職員のストライキなど、次々に起こるトラブルも含めて、カメラは、パリ・オペラ座の舞台裏に迫っていく…。

世界最高峰のオペラ、バレエ団を誇る総合芸術の殿堂パリ・オペラ座の舞台裏を追ったドキュメンタリー「新世紀、パリ・オペラ座」。オペラ座を扱った記録映画は人気で、過去にいくつも作られた。近年では、フレデリック・ワイズマン監督の「パリ・オペラ座のすべて」が記憶に新しい。

本作は、バレエよりもオペラに重点を置いている作りだが、ステージで脚光を浴びるバレエダンサーやオペラ歌手だけを追うのではなく、苦悩する経営陣や、子どもたちが参加する弦楽クラスの様子など、オペラ座の実態を幅広く描き、興味深い内容に仕上がっている。ナタリー・ポートマンの夫として知られるバンジャマン・ミルピエから元エトワールのオレリー・デュポンへの芸術監督交代の内幕があるかと思えば、新作オペラのステージに巨大な牛を登場させるユーモラスなエピソードも。とりわけ、印象的なのは、ロシアの田舎で生まれ育った若手バリトン歌手ミハイル・ティモシェンコの存在だ。新しい才能を発掘する若手育成プログラム出身の彼は、オーディションに受かり、喜び、とまどい、時に失敗しながら、映画の中で、確実に成長していく。彼の歩みに寄り添うことで、本作がより身近に感じられるはずだ。変化を受け入れる革新性と、オペラ座に求められているものは何か?と常に自問するストイックな姿勢。そんな芸術の殿堂の息吹を感じることができるドキュメンタリーだ。
【60点】
(原題「L'OPERA/THE PARIS OPERA」)
(フランス/ジャン=ステファヌ・ブロン監督/ステファン・リスナー、バンジャマン・ミルピエ、オレリー・デュポン、他)
(芸術愛度:★★★★☆)
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DESTINY 鎌倉ものがたり

映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」オリジナル・サウンドトラック
鎌倉に住むミステリー作家・一色正和のもとに、年若い妻・亜紀子が嫁いでくる。鎌倉は不思議な場所で、人間と、幽霊、妖怪、死神などが仲良く暮らしていた。そんなある日、亜紀子が不慮の事故で亡くなってしまうが、彼女の死を受け入れられない正和は、亜紀子の魂を取り戻すために黄泉の国へと向かうことに。そこで正和は亜紀子を連れ去った魔物たちと出会い、何とか愛する妻を取り戻そうと奮闘するが…。

人と人ならざるものが同居する不思議な場所・鎌倉を舞台に一組の夫婦の愛の物語を描くファンタジー「DESTINY 鎌倉ものがたり」。原作は「三丁目の夕日」と並ぶ西岸良平氏のベストセラー漫画で、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの山崎貴監督がメガホンを取っている。犯罪研究や心霊捜査にも通じている主人公・一色は、作家活動の傍ら、鎌倉署の捜査にも協力し怪事件を解決したりしている。何千年も昔から妖気が溜りに溜まっていろいろな怪奇現象が起こる鎌倉は、魔界や黄泉の国の間で、生者と死者の思いが交錯する場所。映画前半は、鎌倉ビギナーの亜紀子の目を通して、不思議スポット・鎌倉での一色夫妻の暮らしぶりが描かれる。

死んだ妻を探して黄泉の国へ…というのは、まるでギリシャ神話のオルフェウスのよう。ミステリー作家・一色は、竪琴こそ弾かないが、魔物から妻を取り戻すべく、アクション全開だ。後半は、ちっとも暗くない黄泉の国を舞台に大冒険…という展開なのだが、前半のほのぼのとした日常描写と、後半のファンタジーがどうもしっくりこない。別々の2本の映画ならきっとより深く描けただろうに…と思うが、不思議な鎌倉が架け橋になって、虚と実をつないでいるということだろう。「千と千尋の神隠し」を思わせる黄泉の国のビジュアルは、精緻に作り込まれていて素晴らしく、さすがはVFXの使い手・山崎貴監督だ。「ALWAYS」組の俳優たちが多く出演し、安定の上手さを見せるが、死神の安藤サクラと貧乏神の田中泯の“神様演技”が意外性があって、物語の上でも、いいアクセントになっている。何度生まれ変わってもやっぱり二人は結ばれる。見終われば、壮大なラブ・ストーリーだったが、レトロ・モダンなファンタジーとして楽しんでもらいたい作品だ。
【65点】
(原題「DESTINY 鎌倉ものがたり」)
(日本/山崎貴監督/堺雅人、高畑充希、堤真一、他)
(レトロ度:★★★★☆)
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オリエント急行殺人事件

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
ヨーロッパ各地を結ぶ豪華寝台列車オリエント急行で、アメリカ人の富豪ラチェットが刺殺される事件が起こる。偶然、この列車に乗り合わせていた世界的名探偵エルキュール・ポアロは、大雪で立ち往生し密室となった列車の、一等車両の乗客に話を聞いていくが、乗客たちには全員アリバイがあった。未亡人、家庭教師、宣教師、公爵夫人、教授、医者、セールスマン…。目的地以外共通点がないように見えた乗客たちだったが、やがて過去に起きた悲劇的な事件との関連性が浮かび上がる…。

アガサ・クリスティの名作ミステリーを豪華キャストで映画化した「オリエント急行殺人事件」。原作は1934年に初版された傑作推理小説。シドニー・ルメット監督によってオールスターキャストで映画化された1974年の映画もまた、名作ミステリーとして名高い。灰色の脳細胞を持つ名探偵ポアロが難事件に挑むストーリーは、基本的には同じだが、ケネス・ブラナー監督は、自らが演じるポアロも含めて、現代的な解釈を施している。訳ありの乗客たちを演じるのは、ほとんどが主役級の俳優だ。犯人を知っていても、結末が分かっていても、十分に楽しめるのは、彼らの演技合戦が素晴らしいからに他ならない。まるで古典芸能を見ているような豊かな気分になる。意外なキャスティングとしては、ダンサーのセルゲイ・ポルーニン。出演時間は少ないが、強烈なインパクトを残してくれた。

贅沢なオリエント急行の列車の中はもちろん豪華で見応えがあるが、今回のポアロは、大雪で立ち往生する列車の外でお茶を飲んだり、列車の屋根の上を走ったり、とにかく“外に出る”。シネスコ映像による広大な風景は、過去作にはなかった魅力だ。この世には善と悪しか存在しないというのがポアロの持論だが、この殺人事件のあまりにも悲しい真相は、ポアロに、真実が持つ別の側面を認めさせる。名探偵もまた事件によって学び、成長しているのだ。舞台で鍛え上げたケネス・ブラナーの存在感は抜群で、神経質でこだわり派、鋭い観察眼と分析力に加え、語学力や幅広い教養も併せ持つポアロを、巨大なヒゲと軽妙なセリフで演じて、ハマリ役である。どうやら次はナイルへ向かう様子。シリーズ化が楽しみになった。
【75点】
(原題「MURDER ON THE ORIENT EXPRESS」)
(アメリカ/ケネス・ブラナー監督/ケネス・ブラナー、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、他)
(豪華キャスト度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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