季節の中で [DVD]季節の中で [DVD]
◆プチレビュー◆
絵画的映像と、ベトナムの民族衣装、アオザイが美しい。主演のハーベイ・カイテルが総指揮、サンダンス映画祭グランプリ、観客賞を受賞。

いくつかの物語が交差する。舞台はベトナムのホーチミン(旧サイゴン)。蓮の花を摘む仕事をする少女と心に傷をおった裕福な老詩人とのふれあいと別れ。ふと知り合った美しい娼婦に恋するシクロ(人力タクシー)の運転手。片隅で生きるストリートチルドレン。現地女性との間に生まれた娘を探す元アメリカ兵。それぞれの人生がすれ違い、美しい季節は流れていく。

4ヶ月に渡る撮影は全てベトナムロケ。画面からは現地の熱さと湿度を感じさせ、映像の美しさには目を見張る。いわゆる群像劇といえるこの作品。これといった大事件もおこらず、物語は淡々と進む。アメリカ映画にありがちな派手な演出やBGMもほとんどなく、登場人物それぞれの人生が、めぐる季節の中で静かに描かれていく。原題のスリー・シーズンズ(3つの季節)とは、雨季と乾季しかないこのベトナムの、“希望”というもうひとつの季節。

早朝にハスの花を摘み、街に売りに行く少女のエピソードがいい。彼女の、決して豊かとはいえない生活とはうらはらにまっすぐで自分の気持ちに正直に生きる姿が胸を打つ。彼女は、絶望に沈む老人の心を動かし、最期を彼に一筋の光を与える。

蓮の花の美しさが心に残る。「泥の中で美しい花をつける蓮はベトナム人そのもの。迫害や戦争に耐えて立ち直り、輝いている。自分の映画では何らかの形で蓮の花を描いていきたい。」とは、監督の談。劇中で歌われる歌の歌詞でも“蓮の花ほど美しいものはない。白い花と緑の葉。泥の中で育っても泥の臭いがしない。”と歌っている。

元米兵に扮したハーベイ・カイテルが画面をひきしめる。飾らずに自分らしく生きる大切さを学びたい。幻想的で美しい花をちりばめたような画面が随所に繊細な演出を感じさせ、心に残る癒しの作品だ。

□1998年 アメリカ映画 原題「THREE SEASONS」
□監督:トニー・ブイ
□出演:ハーベイ・カイテル、他

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