ギター弾きの恋 [DVD]ギター弾きの恋 [DVD]
◆プチレビュー◆
派手な衣装と軽みのある演技が絶妙のショーン・ペン。アレン映画は古き良き時代を背景にすると好感度が上がる。

実在の、そして自分の好きな人物を描くのは難しい。たいていの場合、その人物に思い入れがありすぎて、監督のひとりよがりに走ってしまいがちだが、この作品はそのあたりを逆にうまく利用している。実話とフィクション、逸話や噂話にいたるまで、ユーモアあふれるストーリーに仕立てている。ウッディ・アレン監督の記念すべき30作目だ。

1930年代、ジャズ黄金期のアメリカ。身勝手で派手好きなエメット・レイは、「世界で2番目」を自称する天才ギタリスト。ギターの才能は天才的だけど、飲んだくれで、女遊びが大好き、演奏をすっぽかすのは毎度のこと。自由なアーティストを気取って自堕落な生活をおくっている。そんな彼がふと知り合った口のきけない純真な女性ハッティ。横暴なエメットに献身的につくす彼女に、やがて心をひかれ、一緒に暮らすようになる。しかし、束縛を嫌い、気ままな生活を求めるエメットはハッティを捨て、上流階級出身の女性ブランチと衝動的に結婚。が、共通点は派手な服の趣味だけという、二人の結婚生活はやがて破局を迎え、再びエメットはもとの気まぐれな暮らしに逆戻りする。虚ろな日々で思い出すのは、ハッティの笑顔。もしや自分は大切なものを失ってしまったのかと、気づくのだが…。

冒頭からジプシージャズが流れ、テンポ良くストーリーが進むのが心地よい。ウッディ・アレン特有の洪水のようなセリフの多さがないのは、音楽がもうひとつの主役であることと、ハッティが口がきけないという設定のせいだろう。役柄上セリフはなく、その分、表情やしぐさだけで、感情を見事に表すサマンサ・モートンは、実は英国の演技派女優で、ショーン・ペンと並んで、この作品でアカデミー賞にノミネートされていた。ウッデイ・アレンは1930年代がお気に入りのようで古き良き時代を背景に描く彼の作品は面白いものが多い。

笑えるシーンもたくさんあるけど、ラストは切ない。才能に溢れていても、社会的には不器用な男と純真な心をもった女との恋の行違いを、ジャズの音色にのせて描くこの映画。約1時間半でさらりと終わるのもいい感じだ。

身勝手な男と、彼につくす女の献身的な姿。なくしてしまって初めて気付く大切な愛。ん?このパターンどこかで…。あぁ、往年のイタリア映画の名作「道」と同じか!頭が弱く純真なジェルソミーナを道端におきざりにし、数年後、彼女の死を知って、自分の孤独に、浜辺でむせび泣くザンパノの姿。このパターン、人生の定番なのだ。後悔は先に立たず。今を大切に生きよう。

□1999年アメリカ映画 原題「Sweet and Lowdown」
□監督:ウッディ・アレン
□主演:ショーン・ペン、サマンサ・モートン、ユマ・サーマン、他

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