母の眠り [DVD]母の眠り [DVD]
◆プチレビュー◆
あまり好きなタイプの作品じゃないのに泣かされた。やっぱり名女優メリルのせい?

エレンの母の死には、謎があった。検事に証言をするエレンの疲れた表情から映画は始まる。NYでジャーナリストとして多忙な日々を送るエレンは、末期ガンに倒れた母の看病のために、仕方なく帰郷。美人で頭もよく、仕事にも野心的なエレンにとって、大学教授で作家の父は常に偉大な存在だが、母は平凡な専業主婦、小さな町の婦人会がつきあいの全てという、軽い嫌悪さえ感じる存在だ。にわか主婦業と慣れぬ介護に四苦八苦して暮らす日々。都会から取り残される焦燥感。そんな娘の姿を静かに見つめる母。最初は全てに不満だったエレンだが、やがて平凡な専業主婦に見えた母の生き方を改めて見直すことに。母が今まで、報われることのない家事労働を、ただ愛する家族のために行ってきたことに初めて気付く自分。あこがれだった父の身勝手。その父も母を失うことを思って苦しんでいる。父を非難する娘に対して、結婚とは、夫婦とは何かを訴える母。その言葉は、幸せになるには、ないものねだりではなく今を愛せばよいのだと告げていた…。

街のクリスマスツリーは、婦人クラブの一員として母も飾付けに参加したもので、母の人生のささやかな栄光の輝き。そして皆、知っているのだ。これが家族で迎える最後のクリスマスになるということを。遂に衰弱しきった母は、この苦しみに耐えられないと訴える…。

家族という身近なテーマを扱いながら、ストーリーを奥深いものにしているのは、やはりメリル・ストリープの上手さだろう。冒頭で「オズの魔法使い」の仮装で登場するのには正直驚いたが、たとえ、こんなナリをしていても貫禄があるのは大女優ならでは。豊かな愛で家族を包む母親の優しさと繊細さを演じて、本作でアカデミー賞にノミネートされている。

理想通りではないけれど、それら全てを受け入れて新しい人生の一歩を踏み出すエレンの成長がうれしい。家族、親子、夫婦、そして介護など、テーマ的にも見所あり。こういう映画はちょっと苦手なのだが、意外にも良くできた作品だ。

タイトルは、劇中の字幕では“わが心の真実”と訳されていた。

□1998年アメリカ映画 原題「One True Thing」
□監督:カール・フランクリン
□出演:メリル・ストリープ、レニー・ゼルウィガー、ウィリアム・ハート、他

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