シベリアの理髪師 [DVD]シベリアの理髪師 [DVD]
◆プチレビュー◆
ジュリア・オーモンドはなぜかモテモテの役が多い。この映画では彼女の魅力が十分に生かされている。

ロシアという国の壮大さは、計り知れないものがあり、ちっぽけな島国である日本に住む我々の創造を遥かに超える。それは旧ソ連が崩壊し、数多い国に分裂した今も変わることはない。そんなロシアの帝政時代を背景に描く壮大で繊細な映画が本作。

時は1905年。モーツァルトを悪く言うのを許せず、息苦しいマスクを付け続ける青年。なぜ、そこまでこだわるのか?物語は回想形式で始まる。とある使命を受けてモスクワへ向かうアメリカ人女性ジェーンと士官学校候補生のアンドレイは汽車の中で偶然出会い、アンドレイはジェーンに一目で恋をしてしまう。しかし、アンドレイの上官のラドロフ将軍もジェーンに恋したことから、物語は複雑に。オペラのフィガロの結婚に添うような展開だ。ジェーンの明るくさっぱりとした性格は皆をとりこにするが、次第に、森林伐採の機械の開発費用を得るためにアメリカから呼ばれた彼女の暗い過去が見え隠れする…。

最初はコミカルな展開だが、ストーリーが終盤になるにつれ、スリリングに、そして悲劇的になっていく。たわむれの恋はやがて真実に。初めての愛に気付くジェーン。アンドレイのひたむきな思いはいつしか悲劇を呼び起こし、最後に明かされるジェーンの秘密。はたして、シベリアの地での二人の再会は…。

ロシアを舞台に壮大なスケールで描くラブロマンス。オペラをモチーフに使い、帝政時代の華麗な衣装も見ものだ。仕官学校生たちの美しい友情。春祭りの高揚。冬の広大なロシアの圧倒的な大自然。

本作品で自ら皇帝役で出演している監督のニキータ・ミハルコフは、現代ロシアを代表する監督で、世界中の数々の賞を受賞している。自らも裕福で芸術を愛する環境で育った彼は、帝政時代を好んで描き、優雅で格調高い映画作りが特徴。彼の作品には、ロシアとロシア人への愛情が溢れていて、この作品でも、酔って馬鹿騒ぎをしたり、身の破滅と知りながら暴力に走ったり、無実の人間を有無を言わさずシベリア送りにする残酷な権力等、ロシア人の欠点を多く描くが、それでも欠点だらけのロシアを愛し、そのロシアは最終的には強くさえあると密かに訴えているようだ。その証拠に、この粗野なロシアは、打算で生きるアメリカ女に純粋な恋を選び取らせる力を持っているではないか。

どこまでも広く厳しいタイガの自然が美しい。そこで生きるロシア人のたくましさ。このタフネスが日本人にあるだろうか?

□1999年 ロシア、フランス、イタリア、チェコ合作 原題「The Barber of Siberia」
□監督:ニキータ・ミハルコフ
□主演:ジュリア・オーモンド、オレグ・メンシコフ、他

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