ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]
◆プチレビュー◆
空想にふける夢の中のセルマは現実を見ていない。パルムドール受賞は理解できない。

チェコ移民のセルマは視力を失うという遺伝性の病気を抱えている。同じ病を受け継ぐ息子にだけは手術を受けさせたいと懸命に働くが、そんな彼女を次々と不幸が襲う。純粋で周りからも愛されるセルマ。母として息子の幸せだけを願う日々。だが、信頼していた隣人の思いがけない裏切りが。そして、ついに誰も望んでいない悲劇が起こる…。

カンヌ映画祭のグランプリであるパルムドール賞と主役のビョークが主演女優賞を受賞。全世界で涙の嵐、感動のロードショーと絶賛されていた本作だが、正直言って大いに疑問符。カンヌに妙に対抗意識を燃やすアカデミー賞は、確か外国語映画賞5作品にもノミネートしなかった。

そもそもミュージカル仕立というのがとっぴな発想だ。てんこもりの不幸と歌と踊りというアンバランスさが売りなのか。アンニュイな美人女優C・ドヌーブがミュージカルというのも結びつかないが、思えば「シェルブールの雨傘」の女優だった。早死にした実姉フランソワーズ・ドルレアックと共演の「ロシュフォールの恋人たち」っていう珍作ミュージカルまである。

だいたい、病気を受け継いだ息子に失明することを知らせると精神的な打撃を受けて、それがショックになると言うが、母親が殺人でおなわになったあげく、死刑になるということの方がよほど病にさわるんじゃないのか?!しかも概ね無実とくれば。かたくなに秘密を守ることの良し悪しの区別もつかず、空想にふけるセルマの熱演を見れば見るほど、冷めていく。あぁ、この2時間余りの長いこと…。

しかし、映画を観る前から自然と耳にしたビョークが歌う「I've seen it all」はとても良い。特に「もう見るべきものは何もない」という歌詞をストーリーを知ってかみしめると、いっそうビョークの熱唱が伝わってくる。殆ど視力をなくしたセルマがキャシーと一緒に映画館でミュージカルを見るシーンも印象的だ。ドヌーブが言葉と指で画面を伝える場面は心に残った。どんな映画にも必ずひとつ、ふたつはいいところがあるものだ。

□2000年 デンマーク映画 原題「Dancer In The Dark」
□監督:ラース・フォン・トリアー
□出演:ビョーク、カトリーヌ・ドヌーブ、ジャン・マルク・ボワール、他

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