夕陽のガンマン アルティメット・エディション [DVD]夕陽のガンマン アルティメット・エディション [DVD]
◆プチレビュー◆
レオーネ監督の早世が本当に悲しい。けれん味あふれる演出が最高だ。

人命が軽視される所では、時には殺人が金になった。そこで賞金稼ぎが生まれた。物語はこんな乾いた口調で始まる。2人の凄腕のガンマンが共通の敵に狙いを定める。その首に高額の賞金がかかった殺人犯インディオ。捕獲は生死を問わず。賞金稼ぎの一人は初老の元軍人で、モーティマー大佐。カロライナ随一のガンマンで、身なりもきちんとした紳士。彼がインディオを狙うのには別の理由がある。もうひとりは、新顔の賞金稼ぎで、現在荒稼ぎ中。目にも止まらぬ早撃ち。この2人が、時には協力し、時には騙しあいながら、インディオとその手下を追いつめる。自分の仲間までも騙して殺しながら悪事を重ねるインディオが、時折うつろな目で思い出すのは、大切にしている時計の裏側にそっと隠した写真の美しい女性。「その時計、大事にしてるが、何か訳でもあるのか?」インディオと手下の首にかけられた賞金を山分けする算段の2人の賞金稼ぎは、徐々に目的に近づくが、やがてインディオにその計画をみやぶられることに。人を殺すときの約束として、時計のオルゴールを鳴らすインディオ。その音色が鳴り止んだとき、2人は万事休すと思われたが…。

この映画、音楽が実に効果的だ。妙に記憶に残る、いかにも西部劇風で単純なメロディー。時にはバロック調の旋律も劇的に響く。さらには哀愁をおびたオルゴールの音色も混じる。「海の上のピアニスト」などで女性ファンの涙を絞り、美しい旋律を生み出す映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネが音楽を担当しているのだ。

190センチを越える長身のクリント・イーストウッドが若い。帽子にポンチョ、無精ひげにくわえタバコと、その後の彼のイメージを決定づける姿で現れる。クールなのにちょっと軽みのある演技が実にいい。

女っ気がほとんどないこの映画で唯一出てくるのはインディオがうつろな瞳で思い出す若い女性。この美しい人が物語のカギを握る。「俺の名はモーティマーだ!」と叫ぶ初老のガンマン。驚くインディオ。2人が大切に持つ、裏側に写真のあるオルゴール付きの時計で、敵のインディオは実は家族同然であることがラストで判る。

敵役インディオですら、この瞬間を待っていたかのようなラストの決闘シーンは、たまらない緊張感が走る。夕陽のガンマンは男の美学だ。「駅馬車」「真昼の決闘」「シェーン」を世界三大西部劇と位置付ける私も、プラスアルファの番外編としてこの「夕陽のガンマン」をランクインさせている。通常、マカロニ・ウェスタンは、西部劇の中でも低く見られていて、バンバン!と銃をぶっぱなし、殺した人数の多さが映画のヒットに比例するなどと言われている。しかし本作は何かが違うのだ。確かに人は沢山死ぬけれど、叙情性があるのが特徴か。特にラストは印象的。

登場人物がヒーロー然としてないところがイイ感じだ。クリント・イーストウッド扮するガンマンには名前すらない。マカロニ・ウェスタンとは日本での名称で、アメリカではスパゲッティ・ウェスタンというそうだ。

□1965年 イタリア映画 英語原題「For a few dollars more」
□監督:セルジオ・レオーネ
□出演:クリント・イーストウッド、リー・バン・クリーフ、ジャン・マリア・ボロンテ、他

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