コレリ大尉のマンドリン [DVD]コレリ大尉のマンドリン [DVD]
◆プチレビュー◆
陽気な男性と聡明な女性の恋はマンドリンの調べが味方。ちょっと楽天的すぎるか?

第2次世界大戦のさなかの1941年、ギリシャ。イタリア軍とドイツ軍の両方の占領下にある美しいケファロニア島に、音楽をこよなく愛するイタリア軍大尉アントニオ・コレリがやってくる。ギリシャ語の通訳もこなし、紳士的で陽気なコレリ。やがて、情熱的な島の娘ペラギアと恋に落ちる。しかし、戦況は急変、イタリア軍の撤退でドイツ軍との同盟も不確かなものに。時代の荒波の中で、本来は敵味方であるはずの2人の愛は、決断を迫られ、戦争の嵐は、国境を越えた愛と友情を引き裂き、彼らの人生を狂わせていく…。

音楽をこよなく愛し、マンドリンを背中にしょって島にやってくるコレリ大尉の陽気でのどかな占領軍は、島の人々に憎しみなどみじんも感じていない。ノーテンキな占領軍に、島民も毒気を抜かれ、敵味方であることをしばし忘れてしまうほど。無秩序なイタリア軍兵士をうっすらと軽蔑するドイツ軍将校との間にも友情が芽生え、あたかもひとときのバカンスのようだ。さらに、ペラギアを愛する想いが、コレリの音楽家としての才能をも開花させていく。

この映画で描くのは、ギリシャの孤島という閉鎖的な舞台で、ドイツ軍が、昨日までの同盟国のイタリア軍を惨殺したという、あまり知られていない史実。占領軍のイタリア人と敵のギリシャ人の間に、ほのかな友情が芽生える一方で、同盟国同士が目先の利害を巡って、殺しあう。この残酷で愚かしい場面には、人と人とが争う戦争には、実に様々な側面があるのだと考えさせられた。

人物描写も丁寧で何気なく描かれていて好感が持てる。島の医師であるペラギアの父は、娘が本当に愛するのは島の青年マンドラスではなく、敵であるイタリア人アントニオ・コレリであることを知り、密かに二人の恋を応援する。この父親医師が鋭いのは、まだ、コレリが現れる前から、娘とマンドラスの仲がうまくいかない事を見抜いているところだ。このことを感じているのはマンドラスの母親も同じ。ペラギアに好意は抱いているが、彼女がいずれ別の男に惹かれることを知っている。この母親役を演じるのがギリシャを代表する大女優イレーネ・パパス。久しぶりに見たが、存在感のある演技は健在だ。

戦争という人災にも、戦後、ケファロニア島を襲った大地震という天災にも、希望を失わず、強く前向きに生きる島の人々。どんな悲劇に見舞われようとも、明日も変わらず、海は美しく太陽はまばゆい。イタリアやギリシャのような長く尊い文化を持つ国民は、歴史のうねりの中で抗うことと身を任せることの両方の大切さを、先祖代々身につけている。だからこそ、ラストの幸せも静かにやってくるのだろうか。

□2001年 アメリカ映画 原題「CAPTAIN CORELLI'S MANDOLIN」
□監督:ジョン・マッデン
□出演:ニコラス・ケイジ、ペネロペ・クルス、クリスチャン・ベール、他

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