シャドウ・オブ・ヴァンパイア [DVD]シャドウ・オブ・ヴァンパイア [DVD]
◆プチレビュー◆
狂気が漂うW.デフォー。製作がニコラス・ケイジというのも話題。物語のアイデアが良かった。

1921年、監督ムルナウは映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」に着手する。主演の吸血鬼役のマックス・シュレックは実は本物のヴァンパイアで、出演後の報酬として、主演女優の生き血を監督から約束されていた。しかし、映画にこだわるムルナウと、シュレックのわがままで撮影現場は混乱、スタッフも次々と犠牲になっていく…。果たして映画は完成するのか?

ヴァンパイア、つまり吸血鬼が出てくるからホラー映画と勘違いしそうだが、実はこの映画、ブラックな笑いがつまった業界もの。俳優が本物の吸血鬼だったというアイデアのおもしろさがポイントだ。監督が究極の凝り性なら、俳優は超わがまま、しかもヴァンパイア。監督のムルナウは傑作の吸血鬼映画を撮ろうと固く決意する。リアリティを追及するあまり、本物の吸血鬼を見つけてきて主役に据えるとは。一方、演技派の吸血鬼は、人間離れは仕方ないとしても、撮影中もわがまま放題だが思いがけず熱演する。

監督にとってワガママな俳優ほど扱いにくいものはない。しかし、彼ほどすばらしい役者はいないとなると作品のために我慢するのが映画人。このあたりの葛藤が可笑しい。凝り性監督と吸血鬼俳優の緊迫した攻防が続く中、次々にスタッフが血祭りに上げられる。監督の映画への執念がどういう形で実を結ぶかは見てのお楽しみだ。

無声映画は、今見るとなぜか新鮮。映像的にもなかなかおもしろいものがある。劇中で度々出てくる「アイリス」とは、主にサイレント時代に使われたもので、レンズの前に装着されたもうひとつの絞りのこと。これを開いたり閉じたりすることで、画面の転換を図る。この映画のもととなったドイツ映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」は、1922年のサイレント映画で、今なお吸血鬼映画の傑作とされている。

恐怖と笑いを誘う異色のエンターティメント作品。デフォーの熱演をたっぷりと楽しもう。劇中劇からそのままクライマックスに突入。デフォーVSマルコビッチ、入魂のラストシーンが見ものだ。

□2000年 アメリカ映画 原題「Shadow of the Vampire」
□監督:E.エリアス・マーハイジ
□主演:ジョン・マルコビッチ、ウィレム・デフォー、他

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