ソードフィッシュ 特別版 [DVD]ソードフィッシュ 特別版 [DVD]
◆プチレビュー◆
悪のカリスマ、トラボルタ。しかし、あの髪型、どうにかならんのか?!

銀行に眠る政府の闇資金をネット回線から奪おうと企てるガブリエル。図らずも彼に協力することになった天才ハッカーのスタンリーは、謎の美女ジンジャーらと銀行のシステム侵入を成功させるが、なぜかガブリエルは人質をとり銀行襲撃を強行する。彼の真の狙いはいったい…。

観客を錯覚させるミスディレクションがうたい文句のこの映画、その割にはなんとなく先が読める展開。それなのに楽しめるのは、冒頭シーンの完成度とミュージックビデオ出身というこの監督のテンポの良さのせいだろうか。ジョン・トラボルタ扮するガブリエルが、アル・パチーノ主演の「狼たちの午後」を痛烈に批判するところから映画は始まる。会話から銀行強盗事件の幕開けのシーンへと突入。さらにはこの映画最大の見せ場ともいえる迫力の爆発シーンへと続く冒頭は、上手いの一言。鋭い映像やノリのいい音楽が一体となって、ゴージャスな爆破シーンに釘付けだ。

注目は、一点を中心にカメラの視点がスローモーションで周囲を移動していくという、独特の表現法“ブレッドタイム”。「マトリックス」で初めて使われた手法だ。時間にすると1.5秒ほどに過ぎない爆破シーンを、約30秒間のスロー映像として表現。銀行を中心に、周囲のカフェの店内やパトカーの車の中を、ゆっくり、そして複雑に通り抜け、弧を描きながら移動するカメラ。空に吹き飛ぶ人間や割れて飛び散るガラスの破片の映像を織り交ぜながら描かれる臨場感あふれる爆破シーンは、まるで自分が爆発の中心にいるかのような錯覚を起こさせる。

映像的にすばらしい分だけ、人物の描き方には穴が目立つ。スタンリーだけは詳しく描かれるが、黒幕と思われる政治家もあっさりおダブツ。せっかくサム・シェパードが演じているのだから、もうちょっと説明してくれても良さそうなのに。悪の権化ガブリエルの背景もほとんど語られない。マジシャンの業界用語で人間の“思い込み”を利用した高等技術ミスディレクション。これも、とりたてて言うほど大した効果はなく、ラストも予想通りなのだ。

冒頭の銀行襲撃シーンから時間がさかのぼる展開がスリリング。短時間に二転三転するストーリーを追っているうちに、観客は細かい欠点はいっさい気にしない思考回路が出来上がっている。劇中に登場するハリウッド映画のリアリティのなさを批判するセリフも、この監督特有のパラドックスに違いない。

□2001年 アメリカ映画 原題「Swordfish」
□監督:ドミニク・セナ
□主演:ジョン・トラボルタ、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、他

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