パール・ハーバー 特別版 [DVD]パール・ハーバー 特別版 [DVD]
◆プチレビュー◆
延々と続くメロドラマにうんざり。友情か愛に絞れば、まだ救われたか?!

幼馴染みのレイフとダニーは優秀なパイロット。しかしレイフは美しい看護婦の恋人イブリンと親友のダニーを残して英国戦線へ志願。ダニーとイブリンはハワイへ転属。レイフの訃報、イブリンに惹かれていくダニー。過酷で皮肉な運命に翻弄される3人。そして、そこには日本軍の壮絶な奇襲攻撃が目の前に迫っていた…。

どこかで見たような画面のオンパレードは、まるでパロディ。映画前半から、チンケな三角関係メロドラマが冗漫にだらだらと続く。最新のCG技術を駆使して作られた戦闘シーンはさすがに迫力があり、かなりの時間をさいて描かれるが、真珠湾攻撃が終わってからがまた長い。男同士の友情や、引き裂かれる恋人、更に過酷な運命に試されるかのような愛の選択、そして愛国心や命を賭けた闘いと、泣きの要素がてんこもり。総製作費用は200億円と、こちらも桁違いだ。

歴史的に誤った描写はかず知れず。真珠湾攻撃は最近の検証ではアメリカ側は既に情報を入手していたというのが通説になりつつあるが、このことは目をつぶろう。しかし、真珠湾攻撃の司令官が本当は南雲忠一中将なのに山本五十六になっていたり、零戦が史実に反して陸軍病院を襲撃したり、とても時代考証がなされたとは思えない。日本軍が一国の命運をかけて行う作戦会議は、隣で子供が凧上げをしているような野原でオープンに行われているし、迫力の零戦も、真珠湾攻撃当初は機体は灰色だったはずで、濃緑色に塗られたのは日本の敗戦が色濃くなった大戦後半から。映画で完璧な時代考証を再現しろとは言わないが、日本とアメリカでセリフを変えて上映したり、わざわざ、時代考証はしたがこれはエンターティメントと言い訳するところがムシが好かない。

最悪なのは看護婦のイブリンのキャラクターだ。イブリンは初めはレイフを愛し、彼の死を知って親友のダニーに惹かれる。レイフが戻ると「私はダニーを愛しているけど、心はあなたのもの」。何なんだ、これは?!確かにのっぴきならない状況だし、戦争という非常事態でもある。死んだと思った彼が戻るのも悲劇だし、幸せを求める権利は彼女にもある。だが、超大作の悲劇のヒロインとしてとるべき行動ではないのだ。彼女がヤケになってダニーと結ばれたり、逆に本気でダニーに惚れたならまだしも、煮え切らない態度が観客の反感を買うのだ。もう少しスジってもんがあってもいいんじゃないのか。だいたい、奇襲攻撃を受けて病院に駆けつけるのに、ばっちりメイクしてるんじゃないっ!戦争は若者達の愛さえも引き裂いた、などと判り切ったことを今更やるのなら、登場人物のキャラも王道にするべきだ。

日本では批判されながらもヒットしたこの作品。本国アメリカでは観客が入らず不評だったそう。いくら自国を賛美しても映画としての質が悪ければ当然だ。こういう映画を大々的に宣伝して配給してしまう日本の映画産業のあり方に疑問を感じずにはいられない。

□2001年 アメリカ映画 原題「Pearl Harbor」
□監督:マイケル・ベイ
□出演:ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセール、他

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