2006年11月20日

ハリー・ポッターと賢者の石4

ハリー・ポッターと賢者の石

◆プチレビュー◆
さすがは世界的なベストセラー、期待感は200パーセントだ。まずは導入部でウォーミングアップといったところ。

叔母一家に虐げられて育った孤児のハリー・ポッター。11歳の誕生日に届けられた手紙は、魔法学校の入学許可証だった。そこで自分の能力と、自分の両親が邪悪な魔法使いに殺されたことを知る。次第に解き明かされていく謎。友人と共に両親を殺した闇の魔法使いに立ち向かうハリーだったが…。

実は原作を読んでいない。それでも、世界中で1億部を突破した前代未聞のベストセラーであることは知っているし、物語のあらすじもおのずと耳に入ってしまって、すっかり読んだ気になっている。まさに老若男女が今か今かと待っていた、期待度も世界規模のこの映画。シリーズ化も必須だ。

まん丸メガネのラドクリフ少年は、聡明さと愛らしさを兼ね備え、好感度が高い。大ベストセラーの映画化は主人公のイメージが最も大切だ。全編に漂う英国調の雰囲気が、重みと不可思議さを違和感なくかもし出す。また、従来の冒険ものと違い、魔法が身近に感じられるのも特徴だ。つえでモノを宙に浮かせたり、猫に変身してみたり、空飛ぶほうきに乗るなど、昔ながらの魔法使いのイメージを大切にしていてうれしくなる。

魔法の世界に誘う導入部分も実に巧み。階段下の物置でのハリーの日常から、魔法界の商店街ダイアゴン横丁に入った途端に、不思議な世界に引き込まれ、キングス・クロス駅の9と3/4番線からホグワーツ特急の列車に乗れば、もうそこは夢のような魔法の世界。子供達だけでなく大人も一緒に冒険の旅の始まりだ。

本を読んだ人はどう感じたんだろう。自分なりのハリーの世界と違うと感じるのか、それとも想像通りと喜ぶのか。監督のクリス・コロンバスは子供向きの作品に実力を発揮する人だが、あきれるくらい原作に忠実にこの映画を仕上げている。これでは恐らく彼のオリジナリティなど入り込む余地はなかったはずだ。だが、これほどのベストセラー、しかも子供達に愛読されている物語を映像にするのは、とても危険な作業。ヘタに変えるわけにはいかないのだ。無難な仕上がりは製作者側の意図通り。原作を読んでない観客が見てもちゃんと物語を把握できるような、丁寧な作りだが、その分登場人物の顔みせ的な印象と、やや状況説明調になってしまっているのが残念。良くも悪くも定番的な映画作りは、シリーズ第1作のお約束。終わり方もあっさりしたものだった。導入部分に当たる「賢者の石」は映画的にはハリーの冒険とは程遠いオーソドックスな作り方。本当の“冒険”はきっとこれからだ。

□2001年 アメリカ・イギリス合作映画
□監督:クリス・コロンバス(「ホーム・アローン」「ミセス・ダウト」)
□出演:ダニエル・ラドクリフ、リチャード・ハリス、アラン・リックマン、マギー・スミス、他

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