アメリ [DVD]アメリ [DVD]
◆プチレビュー◆
キッチュな映像が魅力で、想像力に富んだ秀作。「幸せになる」。このコピーが最高!

モンマルトルのカフェ・ムーランで働くアメリは空想好きで内向的な女の子。彼女の趣味は、人をちょっとだけ幸せにするイタズラをすること。そんなアメリは、ある日、捨てられたスピード写真のコレクターである青年ニノに出会って恋をするが、現実との対決が最も苦手なアメリは、なかなか恋心を打ち明けられず悩む。人を幸せにするアメリ。今度は自分が幸せになる番だが…。

アメリは夢見がちな少女がそのまま大人になったような、ちょっと変わった女の子。しかし、両親はもちろん、アメリを取り巻く人々は、もっとヘンな人たちばかり。ひとクセある奇妙な面構えの面々が登場し、ジュネ監督の世界を構成している。好きなものと嫌いなものを3つまで挙げて、登場人物を説明するところがユニークだ。観客は思わず微笑むけれど、アメリ自身は劇中はあまり笑顔をみせず、真剣な表情が多い。彼女はいつでもマジなのだ。

徹底して作りこんだ映像が見所。一見レトロなパリの街角の様相は、実は良く見ると非現実的な世界。地下鉄や通りのポスター一枚まで張り替えたという装飾は、全て監督のこだわりと物語の小さな伏線をなしている。観客は気が付いたらアメリと同じ高さの視線を持たされている。くすんだ色彩の映像が特徴の仏映画の常識を翻す鮮やかな色彩とキッチュな感覚。この映画がファッション雑誌で多くとりあげられているのも納得だ。

元々フランスという国は個人主義で世界に名をはせるお国。他人に干渉しない、私のことはほっといて、という国民性がレッテルのその国で、「アメリ」のようなファンタジックな映画が爆発的な人気を博しているのも考えてみたら不思議な話。アメリの行う悪戯や小さな親切は、一歩間違えれば大きなお世話で、偽善に陥りやすい。絵本のような不思議な世界とノスタルジックな感覚が、それを何気なく救っているのだ。ジュネ監督が本来持つグロテスクな方向性が、映画の端々に悪戯のように隠されているのも逆に楽しい。

フランスからやってきた超話題作は、意外なほどこじんまりとした愛らしい作品。ダイアナ妃の死が新聞に載るような現代を時代設定にしながら、携帯電話もパソコンも登場しない。レトロで情緒あふれるモンマルトルの風景が、どこか懐かしい。風変わりな住民たちの暮しや表情に心が和むが、実は細部にまでとことんこだわった手の込んだ作品。フランス人の持ついい部分を集めて作ったような映画だ。日々の暮しのなかの“ちょっとしたお気に入り”を見つけて幸福を感じよう。人が幸せになる映画を作りたかったというジュネ監督の想いが伝わってくるようだ。

□2001年 フランス映画 原題「LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN」
□監督:ジャン・ピエール・ジュネ
□出演:オドレイ・トトゥ、マシュー・カソヴィッツ、他

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