ブラックホーク・ダウン [DVD]ブラックホーク・ダウン [DVD]
◆プチレビュー◆
ノンストップで繰り広げられる戦闘シーン。爆風を感じさせる映像が続き、すさまじい。

1993年、国連の平和維持活動の一環として、米軍は東アフリカのソマリア内戦鎮圧に参加。その作戦とは、ソマリアの軍事独裁政権の指揮官数名を捕獲するというもので、周到に計画された特別作戦はわずか1時間で終わる予定のものだった。しかし、特命を受けた軍用ヘリ“ブラックホーク”が墜落、作戦に誤算が生じ、兵士たちは敵地に取り残されてしまう。砲火と銃弾の雨にさらされながら決死の脱出を試みるが…。

戦争映画の良し悪しを決めるのは、視点をどこに置くかをしっかりと定め、一度決めたら最後までグラつかせないことだ。あれこれ詰め込むと焦点は必ずボケる。スコット監督は、この映画の視点を戦闘そのものを描くことに定めた。その徹底ぶりは見事で、ソマリアでの15時間に及ぶ壮絶な市街戦を、飛び交う銃弾や吹き飛ぶ人間の体でリアルに再現。戦場の恐怖を情け容赦なく描写する。観ている観客も強引に戦場へ放り込まれ、否が応でも極限状態を体験することになる。

怒涛のように襲い掛かる戦闘シーンは、まさに待ったなし。兵士たちが味わう緊張は人間の限界を完全に超えていて、その熾烈な戦いの間に少年は男になり、兵士たちの心も成長するが、同時に戦争と勇気の本当の意味をも知る。何のために戦うのか?答えは爆風に舞う砂埃の中ではつかみとることができない幻のようなものだった。あられのような銃弾の中に米軍の慟哭が響く悲劇を突きつけられて、胸が痛い。

俳優の顔の印象が極めて薄い。いかなる犠牲を払っても仲間を救うというドラマ性はあれど、やはり、この作品の主役は戦闘そのものだ。事実の再現こそが最も雄弁なメッセージという監督の思いが伝わってきた。

リドリー・スコット監督は、もともとはCM制作からスタートした人。今では、CMやミュージックビデオ出身の監督は珍しくないけれど、彼はいわゆる先駆者的存在だ。美術学校に7年も通ったというだけあって、過去の作品を見てもその美意識は際立っているが、できるだけドキュメンタリータッチの映像を心がけたという本作でも、海岸を飛ぶヘリやこぼれ落ちる銃弾など、随所に彼の美的センスが光っていた。

戦争に勝者はいない。誰もヒーローになることなど望んでいない。時として、結果としてそうなるだけなのだ。命を落とした仲間の亡骸の前でのこの言葉は重い。ソマリア内戦への米国の介入は、客観的に見て完全な失敗。ベトナム戦争以来、アメリカが経験した最大の銃撃戦であったことを付け加えておこう。

□2001年 アメリカ映画 原題「Black Hawk Down」
□監督:リドリー・スコット
□出演:ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガーサム・シェパード、他

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