ビューティフル・マインド [DVD]ビューティフル・マインド [DVD]
◆プチレビュー◆
懸命に生きた一組の夫婦。老いたときの2人がまたイイ。実話の重みを感じた。

1947年、冷戦下のアメリカ。天才数学者ジョン・ナッシュは斬新な経済理論を発表し、希望の研究所へ。ずば抜けた頭脳の持ち主である彼に国防総省の諜報員が接近し、極秘任務を依頼するが、ナッシュは危険な任務の重圧で徐々に精神を病んでいく。現実と幻覚の区別が付かなくなってしまう夫を、妻アリシアは懸命に支えるが…。

実在の人物の苦難に満ちた半生を描くとなると、単なる感動作に落ち着くのが普通。しかし、「ビューティフル・マインド」は人間ドラマであると同時に、実に巧妙なサスペンス。組み合わせの妙とでもいうのか、ストーリーとして飽きさせない。

アインシュタイン並の精鋭が集まる名門プリンストン大学の大学院に入学した頃のジョン・ナッシュは、授業など出ても無駄とばかり独自の理論の研究に没頭するが、頭に浮かぶものが形にならず思い悩む。研究所で出会い、生涯ナッシュを支えて共に人生を歩む妻アリシアとの静かで幸せな日々もつかの間、彼の前に謎の諜報員パーチャーと名乗る男が現われる。数学理論は国防に利用され、天才ナッシュは、対ソ防諜活動の一環として、暗号解読の極秘任務につくことに。危険な任務はナッシュの精神を蝕み、ついには精神分裂症と診断される。妄想、幻覚、幻聴…。本人の苦しみはいかばかりか。壊れていく天才の壮絶な姿を熱演するラッセル・クロウが、あまりにも上手い。現実と幻想の境をさまよう主人公という難役を、見事な演技で表現している。

サスペンスタッチの物語が始まるのは、ナッシュの思考に狂気が忍び込んでくるところから。これがどこからか見ている観客はまるで気付かない。観客が主人公と同じ不安を共有する演出は巧み。そして、そこからの軸は、アリシアと二人で病気と闘うナッシュの苦悩の日々だ。妻は夫を信じて支え続ける。夫ナッシュも自分の病気を内包しながら、いつしか自分が修めた学問を何かの役に立てたいと願い、再び大学に足を向ける。夫婦愛と人間の心の葛藤をサスペンス仕立てで展開させるとは!

クライマックスはノーベル賞授賞式。老いた夫婦の姿で、彼らが二人三脚で懸命に生きてきた事を現わす場面には、心から感動だ。何かを求め続ける意志の強さは、どんな困難をも克服する。ラストのナッシュのスピーチは、愛すること、信じることが、人を人生の勝者にしていて、それこそが真理なのだと訴えている。

数をアートとしてとらえ、映画ならではの方法で天才の思考を映像化しながら、人間ドラマとして1本の映画に仕立て上げていた。苦悩の数学者ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニア。辛く長い闘病生活を経てノーベル賞という栄光にたどりつく彼の軌跡と夫婦の物語が感動を呼ぶ。

□2001年 アメリカ映画 原題「A Beautiful Mind」
□監督:ロン・ハワード
□出演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、他

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