サイン [DVD]サイン [DVD]
◆プチレビュー◆
思わせぶりなこのサインだがその正体は…。巨額の費用をかけた、とうもろこしのCM映画か?!

妻の事故死以来、信仰心を失った元牧師グラハムのとうもろこし畑に、突如として奇怪なミステリー・サークルが現れる。同時に、家族の周りで、そして全世界で不可思議な出来事が起こり始めた。人間とは違うと思われる不気味な生物を目撃したグラハムは、家族を守るために、立ち上がるが…。

こういうのを確信犯というんじゃないのか?!絶対秘密主義の脚本、全世界試写会禁止、映画公開まではノベライズ本も発行できない。このように、期待感を煽り、映画前半もジワジワと出し惜しみしながら、衝撃の結末で、“あらら…なんじゃこりゃ”というオチをつける。観終わった観客のブーイングまで計算してかますハッタリは超一流で、やはりこの目で謎を確かめねば!と思わせる。判っててやってるに違いない!

信仰を失った元牧師が体験する超常現象の数々。なぜ、彼と家族の周りに出現したのか。世界の終わりなのか。神の啓示なのか。絶望の予感に脅かされるグラハムとその家族。子供達は予知能力に目覚め、ついに家は何者かに侵略されてしまう。物事には偶然はなく、全て予兆があるというのが、シャマラン監督の世界感。

SF、スリラー、恐怖映画…といった方向で宣伝がなされたため、誤解しがちだが、実は一人の男が家族の絆と愛で、信仰を取り戻すお話だ。かといって、特に作品に深みがあるわけではない。むしろ恐怖の中でのユーモアを上手く利用しながら、観客をひっぱっていく、非常に良くできたB級映画と言える。話の筋やディティールは二流映画のテイストなのに、超一流の俳優の起用でバランスをとっているのもいつものお約束だ。

何でもギブソンは私生活では敬虔なカトリック教徒らしい。このギブソンの弟を演じるのは、何やら顔つきがメルに似ていなくもないホアキン・フェニックス。夭折のアイドルだった兄リバーと、イマイチ暗い妹サマーに挟まれたホアキンは、良質な作品に出演しながら、個性的な演技派俳優としての道をひた進む。本作では、元マイナーリーグでならした打撃の名手である弟メリル役で、ラストに重要な役目を担う。でも、ホアキンが劇中で本当に担っているのは“笑い”の部分。内向的な兄を支え、恐怖に対峙しながら、かなり笑わせてくれる。アルミ箔の帽子や、水着ビデオ、家族で行う最後の晩餐などでは、彼がマジメになればなるほど可笑しい。

監督は天才的なコケオドシの腕で観客を楽しませ、自分の中の宗教観を披露していく。エンターテイメントの術は認めるものの、なぜにド田舎に住む主人公が、個人的な信仰心を取り戻すのに、世界規模、宇宙規模の話にする必要があったのか?!と疑問。別に“そんなもの”に遭遇しなくても、偶然と必然を実感できるチャンスはいくらでもあるんじゃないのか?神サマだって昨今、そんなにヒマじゃないと思うけど。なんてことない物事をここまで思わせぶりに表現できる監督の腕は、どーよ?!

笑撃の…、いや衝撃の瞬間に、“それ”の姿がスクリーンに映った途端、私はスベッた。見えない“何か”を描くことで映画界の寵児となったシャマランの、あからさまな映像。逆光といえども、何ともおマヌケな姿を見せられて力が抜ける。当然、集中力も欠如し、私の頭の中には、「?」と「!」と「@@」だけが残った。全ての謎が解けた代償に味わう脱力感。あぁ、どうしてくれる。

□2002年 アメリカ映画 原題「Signs」
□監督:M.ナイト・シャマラン
□出演:メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス、他

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