アバウト・ア・ボーイ [DVD]アバウト・ア・ボーイ [DVD]
◆プチレビュー◆
子供嫌いを克服しようと思う人におすすめ。しかし、スタ・トレのMr.スポックみたいな、マーカス君の眉が気になってしょうがなかった。

親の遺産で自由気ままな生活を送る、38歳の独身男ウィル。あとくされのないシングル・マザーをナンパすべく毎日努力の日々だが、ある日、デート相手の友達の自殺未遂を阻止したことから、その息子のマーカスと知り合う。大人びた少年マーカスはぐうたら男ウィルを慕い、彼のアパートへ毎日通うようになる。最初は迷惑顔だったウィルだったが、いつしか自分がマーカスと過ごす時間を楽しんでいる事に気づく。そんな彼の変化は、新しい恋を呼び込むことになるのだが…。

この映画、「ハイ・フィデリティ」のニック・ホーンビィの世界的ベストセラーが原作。「ブリジット・ジョーンズの日記」の男性版と、各種メディアで紹介されているが、タイプは全然違う。ブリジットは人を騙してナンパしたりしないし、むしろ騙されるタイプ。こちらのウィルは女好きではあるけれど人との関わりを煩わしいものとしか思っていないから、女性との関係は別れが前提。だって彼のモットーは「人間は孤島だ。僕はイピサ島だ!」なのだもの。共演者と噂にならなかったのは本作が始めて!とマジメな顔して言っていたグラントが、まさにハマリ役だ。

12歳の少年と、38歳の独身男のモノローグのセリフには、本音と建前のギャップが満載で大いに笑える。同時に、さりげなく二人の過去や背景も説明するので展開もスムーズで、脚本の上手さを感じる。世の中をナナメに見ていて、他人と上手く関われないけど人恋しいなど、実は似ている部分がある二人。お互いに知り合うことで、自分の考えの間違いに次第に気付いていく。

軽妙な笑いの中に、ホロリとさせる仕掛けを隠し、ベタじゃない演出が巧みで、ウェイツ兄弟監督のセンスを感じさせる。あくまでウィルとマーカスの男二人に焦点を絞ってストーリーを展開させたのもいい。ラスト近くに二人が力を合わせて自らの自信を取り戻すイベントが用意されているけど、ここも普通だったら涙の盛り上がり場面になるところをサラりと流す。ブリジットのように抱き合って終わったりはしないけど、彼らの人生観や恋愛感が確実に変わったことが、観客にはちゃんと伝わるのだ。

財産あり、家庭なし、責任なしの気楽な暮らし。ウィルのような生活は都会ならば、ある程度可能だし、正直言うと世の男性の理想の形だったりするのかも。でも、人間関係の煩わしさと素晴らしさを計りにかけたとき、どちらが重い?他人との関わりを面倒に思う時はあっても、やっぱり人恋しいのが本音。イピサ島が魅力的なのは、無人島ではなく、皆が集まる楽しいリゾートだからだし、ウィルが責任ある大人に、マーカスが明るい少年に変わるのもお互いに補いあったから。他人と真剣に関わることが社会参加ができるパスポートなのかもしれない。

それにしても大人っていったい何?家庭を持つことイコール大人という安易な考えは、今の世の中では賛成できない。でも、他人との関わりを避け、無責任に生きることイコール大人失格というのは大賛成だ。主人公はヒーローにならず、少年の家庭環境も変わらないけど、友情を糧に一皮むける二人の男たちの周りには、楽しげで小さなコミュニティが生まれていた。単なるコメディや安易なハッピーエンドとして終わらせることなく、孤独や愛情、そして家族といった深いテーマをチラリと見せて、それをユーモアでくるんだ本作。絶妙なのは、大人になりきれないとコドモ大人と、世の中に背をむけたオトナ子供のコンビだった。

□2002年 アメリカ映画 原題「About A Boy」
□監督:ポール&クリス・ウェイツ兄弟
□出演:ヒュー・グラント、ニコラス・ホルト、トニ・コレット、他

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