オールド・ルーキー 特別版 [DVD]オールド・ルーキー 特別版 [DVD]
◆プチレビュー◆
実話ならではの説得力があるスポーツ・ドラマ。ジム・モリス本人が審判役でカメオ出演している。

野球少年だったジムは大リーガーへの夢を断念し、今は高校で野球部の監督を務めながら、教師として平穏に暮らしている。成り行き上、チームの子供たちとの約束でプロの入団テストを受けることになるが、肩の故障にも拘わらず剛速球を投げる彼にスカウトの声が。家庭を持つジムは、安定した生活と自分の夢との狭間で躊躇する…。

“なせば成る”はアメリカン・ドリームの基本だ。事実、そうやって夢をつかんだ人々の話は、いつの時代も私達の胸を熱くする。この映画の主人公ジム・モリスも、一度あきらめた夢を35歳にしてつかんだヒーロー。映画は、彼の才能や苦闘と共に、ジムを支えて励ました家族の愛を描いている。野球に無理解な父親と、父であるジムをあこがれの瞳で見つめる幼い息子。野球ものと父子ものというハリウッドの伝統の得意技で、気持ちよく泣かせてくれるのだ。

野球部の子供たちに“あきらめるな。夢を追え”と説くジムに、少年が尋ねる。監督自身はどうなの。あんなスゴイ球を投げることができるのに。彼は自分が夢を封じ込めて生きていることは知っているが、一度挫折した野球にもう一度プロとして挑戦することで生じるリスクを思うと踏み出せない。家庭を持つ大人なら当然の迷いだ。

ジムを演じるのはデニス・クエイド。この人はいい意味でオールド・スタイルだ。古き良きハリウッドスターの雰囲気を持つ役者で、その誠実な風貌から、スポーツ選手の役をやることが多い。本作でも、悩みながらも戦い続ける主人公を、温かさと人間味溢れる演技で好演している。電話で息子の宿題を手伝うシーンは印象的だ。

実力派レイチェル・グリフィスが演じるジムの妻ローリーは、最初は彼が野球に再挑戦することに反対するが、きっぷのいいテキサス女である彼女は、遂には悩む夫の背中を押し「あなたの夢は私たちの願い。」とエールを送るのだ。経済的な不安や離れて暮らす寂しさを押し殺す彼女の献身が涙を誘う。

ジム・モリスは努力の人だ。一度は夢に挑戦したが、挫折した経緯を持つ。過去にマイナー・リーグでプレーし、肩の故障で野球を断念したいきさつが、あまりにも省かれているのが気になった。セリフの端々では判るが、ちょっと説明不足なのでは。回想シーンのひとつも挿入すれば、その後の再挑戦と、リスクを負いながら立ち向かう勇気に、より説得力が出たはずだ。剛速球の秘密も知りたいところ。しかし、モリスがメジャーの投手になったことよりも、へなちょこ弱小野球部が地区優勝したことの方が、実は数倍もすごい奇跡のような気がするが…。

年齢を重ね、社会を知れば、夢を追い続けることの難しさを痛感するもの。勇気を持ってメジャーに再挑戦したモリスは、2シーズン投げたあと静かに去っていった。愛する人と喜びを分かち合うことが、史上最年長ルーキーの真の勝利の瞬間だ。実話の重みを感じる1本。チャレンジャーの姿はいつだって輝いている。

□2002年 アメリカ映画 原題「THE ROOKIE」
□監督:ジョン・リー・ハンコック
□出演:デニス・クエイド、レイチェル・グリフィス、ブライアン・コックス、他

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