猟奇的な彼女 [DVD]猟奇的な彼女 [DVD]
◆プチレビュー◆
ヒロインの“彼女”のチョン・ジヒョンはいわゆる美人ではないが、抜群のスタイルと表情の豊かさで好感度大。韓国女優にありがちな厚化粧じゃないのもいい。

大学生のキョヌは、地下鉄で泥酔していた美女を助ける。清楚な外見とは裏腹に、彼女は酒癖が悪く超乱暴、その上、正義感が強い。破天荒な行動に唖然とするキョヌだったが、やがて二人は親しくなる。「ぶっ殺されたい?」が口癖の彼女なのだが、実は悲しい秘密を胸に秘めていた…。

猟奇的と聞くと何やらサイコ・サスペンスを連想するが、この猟奇(ヨプキ)とは、韓国では、個性的で面白くて突拍子もない“ちょっと変わってイケてる”的なプラスのイメージの言葉。従来の韓国映画にない強烈なキャラクターのヒロインを演じるチョン・ジヒョンが、素晴らしく魅力的なのだ。

彼女の凶暴さはすさまじく、殴る、蹴る、脅す、怒鳴り散らすなど日常茶飯事だ。しかし、年寄りに席を譲らない若者に悪態をついたり、援助交際をしているカップルに喧嘩を売ったりとヘンなところで筋をとおす一面も。気弱で人のいいキョヌは振り回されるばかりだが、なぜか彼女を憎めず、いつしか心を奪われる。この二人のキャラの対比がユニークで、映画の魅力の大部分を占めていると言ってもいい。

主役の二人の性格が極端にデフォルメされ、珍妙な恋愛劇が展開する。エピソードが満載な上、シナリオライター志望の彼女の作品の場面が所々に挿入されて、実ににぎやかだ。SF、時代劇、メロドラマと作風もバラエティに富み、それがいちいち可笑しい。だが、ギャグがスピーディな一方で、二人の関係は友達以上、恋人未満。すれ違いも多く、中々進展しないもどかしさも。後半になると徐々に彼女がつらい過去を忘れられずにいることが判るが、物語半ばから韓国人好みのベタな泣けるドラマに転換するのも、強引で可笑しい。しかも、彼女の凶暴な性格は持って生まれたもので、つらい過去とは全く無関係。これが笑わずにいられようか。

典型的なスクリューボール・コメディタッチで描かれる二人の恋物語。映画はサッカーの試合のように、前半戦、後半戦、延長戦という3部構成で進む。前半で笑わせ、後半で泣かせ、延長戦で一度別れた二人のその後を描くが、この部分が少々クドい。サッカーでも、いい試合は90分できっちり決着がつくじゃないか。せっかくユニークなラブ・コメディなのに、ロス・タイムが長いのが残念。しかし、原作とは違う形にした映画の結末は、気の利いたオチを付ける事で観客をハッピーにしてくれるので、後味はさわやかだけれど。

韓国の儒教社会をパロった部分も見逃せない。少し前の香港映画の元気の良さを彷彿とさせる、新しい韓国映画のムーヴメントを感じる作品だ。但し、現実世界では、暴力はいけません!

□2001年 韓国 原題「My Sassy Girl」
□監督:クァク・ジェヨン
□出演:チョン・ジヒョン、チャ・テヒョン、キム・インムン、他

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