ピノッキオ [DVD]ピノッキオ [DVD]
◆プチレビュー◆
「ウソをついてはいけません」のコピーは「ライフ・イズ・ビューティフル」と矛盾するが、いいのか?!感心したのは、妖精が乗る何百匹ものネズミにひかせた馬車の造形の美しさくらい。思い出のピノキオを返せ〜っ!

ジュゼッペじいさんが1本の丸太から作った人形の名はピノッキオ。青い妖精から命を吹き込まれるが、イタズラばかりしている。やがて自らがまいたタネで様々な災難に見舞われ、父親代わりのジュゼッペじいさんとも離れ離れになってしまう…。

カルロ・コッローディによって書かれたイタリアの童話「ピノッキオの冒険」を故フェリーニはいつか映画化したいと思っていたらしい。彼の遺作「ヴォイス・オブ・ムーン」に主演したR.ベニーニはその遺志を受け継ぎ、イタリア映画としては破格の予算をかけて映画化。巨匠へのオマージュとも言える作品を生み出した。ピノッキオの生誕120周年とも重なり、本国イタリアでは大ヒットを記録している。

物語はディスニー映画「ピノキオ」とは異なり、原作に忠実。けっこうシュールな場面があったりと、ピノッキオの物語はこう展開するのかとかなり驚かせてくれる。海のシーンや親友ルシーニョロの扱いにも注目だ。セットも見事で、芸術の国イタリアらしく色彩が素晴らしい。しかし、子供を演じる若作りの俳優たち、特にピノッキオ役のベニーニの存在が、観客をファンタジーの世界から大きく遠ざける。

冒頭にテロップで「私も50歳。ジュゼッペじいさんを演じられる歳になりました。」との一文が流れるが、じゃあ、どうして無理してピノッキオを演じるの。イタズラ好きのピノッキオの、いやベニーニのテンションは物語を通して限りなく高く、熱演というより怪演だ。頑張りは認めるがベニーニが大はしゃぎすればするほど、こちらは冷めていく。だいたい、ヒゲの剃りあとも青々とした薄らハゲのおっさんを、ピノッキオだと言われても夢も親しみも感じないし、今更、私は受け入れ難いのだ。

オリジナルなのだからしかたがないが、駄々っ子でわがまま放題のピノッキオを、青の妖精が何度も無条件に助けるのも疑問だ。「彼は優しい心を持っているの。私にはそれが分かる。」そりゃ、そうでしょう。演じるN.ブラスキはベニーニの女房だし。人間になりたがるピノッキオに“人間の資格”を説くのが妖精さんの役目だろうが!甘やかしてどうする。悪さをしてもすんでのところでいつも助けてもらえるのは、まるでドラえもんに迷惑をかけては泣いてすがるのび太君と同じじゃないか。それでいいのか、ピノッキオ。世の中そんなに甘くないゾ。

故フェリーニは虚構の世界が大好きだったが、そのファンタジックな世界感は、あくまでもシニカルでブラックなもの。作り物であることの残酷さと言い換えてもいい。名曲“星に願いを”のメロディと共に、ディズニーアニメのイメージが定着しているのも違和感を感じる大きな理由かもしれないが、どう考えてもフェリーニの意図とは違う気がする。派手な衣装を着て飛び跳ねながら騒いでいれば、子供の人形に見えると考えているのなら、我々観客も随分ナメられたもんだ。

□2002年 イタリア・アメリカ合作映画  原題「PINOCCHIO」
□監督:ロベルト・ベニーニ
□出演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、キム・ロッシ・スチュワート、他

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