キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン [DVD]キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン [DVD]
◆プチレビュー◆
30歳に近いディカプリオが28歳のふりをした高校生を演じるというから、ややこしい。でも、ちゃんと16歳に見えるから不思議。実在のアバグネイル本人もフランスでの場面に警官役でカメオ出演している。

1960年代のアメリカ。両親の離婚にショックを受け、家出したフランク・アバグネイルは、まだ高校生だが偽造小切手詐欺を思いつき、パイロットや医者、弁護士に巧みになりすまして大金を手に入れていた。彼を追うFBI捜査官カール・ハンラティはなかなかフランクの手がかりをつかめずにいたが、ふとしたことから、犯人はまだ子供なのではないかと思いつく…。

高校生がパイロットや医者になりすまして、世界中を渡り歩き、小切手詐欺で大金をせしめる。本当か?!と疑いたくなるが、実話だと言われては納得するしかない。60年代初頭というのどかな時代には、人を無条件に信じる空気が満ちていたのだろう。ここには、黒人差別やヒッピー、ベトナム戦争の影も見えない。

若き天才詐欺師と敏腕捜査官の追いかけっこの形をとっているが、実はこの映画、心に傷を負った息子と父の物語が裏テーマだ。フランクが詐欺を繰り返すのは、金の力で、両親の仲が元通りになり家庭の幸せが戻ると信じているから。一方、追う側のカールも離婚した身。フランクを追ううちに、二人は擬似親子的感情を持つようになり奇妙な友情が芽生える。家庭が崩壊し、親から捨てられる子供というのは、スピルバーグの実体験から生まれる毎度十八番の設定なのだ。

レオは19世紀のNYの荒々しさを描いた「ギャング・オブ・ニューヨーク」で、ハンクスは大恐慌時代の殺し屋役「ロード・トゥ・パーディション」で、スピルバーグは暗い近未来SF「マイノリティ・リポート」で、それぞれ深刻な映画をこなした後の本作。肩の力が抜けた、いい意味で軽い作風に仕上がっている。もちろん、M.シーンやN.バイといった脇役の上手さも忘れちゃいけない。特に、息子に詐欺心を植え付けた父親役のC.ウォーケンは、登場するたびに落ちぶれていくが、それでも子供を愛する気持ちと頑張るオヤジの姿を見せる所が泣けてくる。欲を言えば、フランクの詐欺の腕が研ぎ澄まされていく過程の描写が、もっと丁寧であってほしかった。

詐欺の映画の名作といえばすぐに思い浮かぶのは「スティング」。しかし、本作は詐欺の手口や逮捕の捕物帖的要素は二の次だ。その証拠に、本当のクライマックスはフランクが捕らえられた後に用意されていた。逮捕され一度は自由になったフランクの前には2つの選択肢が。自由きままな詐欺師稼業と、堅気の社会人への道。さぁ、どうする。実話だから結果は判っているのに、やっぱりドキドキさせられるのだから、スピルバーグの演出はやっぱりスミにおけない。

ファッションや音楽も明るくノーテンキ。全てのものが、幸せさえもお金で買えると錯覚してしまうような時代には、こんな痛快な犯罪も起こってしまうのか。しかし、憎めない悪党が主人公の映画は実に楽しい。冒頭のタイトルバックのアニメの完成度が、これまた極めて高いのでお見逃しなく。

□2002年 アメリカ映画  原題「Catch me if you can」
□監督:スティーブン・スピルバーグ
□出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス、クリストファー・ウォーケン、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/