アニマトリックス [DVD]アニマトリックス [DVD]
◆プチレビュー◆
脚本が素晴らしい「ワールド・レコード」が一番のお気に入り。アニメでしか不可能だった描写を、実写で可能にしてしまった「マトリックス」シリーズは、やっぱり凄い。

短編アニメ集「アニマトリックス」は全9話構成のオムニバス作品だ。「マトリックス」のサイド・ストーリーとも言える物語で、マトリックス3部作にからむ重要なエピソードも収録。人工知能が作り出したマトリックスという仮想現実世界の実情や、そこに住む様々なキャラクターを、独自の視点とユニークな方法で掘り下げていく。

「マト・リロ」を見に行かれる人は多いと思うが、劇中で“あれ?前作にこんなのあったっけ?”と思う部分がいくつかあるはずだ。その疑問は、この「アニマトリックス」を見れば殆どが解決する

全9話からなるエピソードは、絵柄は全て異なる作風で好みが分かれるだろうし、脚本にもかなり優劣があり、一貫性は殆どない。だが、これはこれでおもしろかったりするのだ。ウォシャウスキー兄弟は、日本のアニメに多大な影響を受けたという。日本とハリウッドのクリエーターのコラボレーションが、こういう形で実現するのも、興味深いことだ。改めて感じたが、日本の技術水準は2Dも3Dも非常に高く、もちろん脚本も凄い。いいぞ!ジャパニーズ・アニメーション!

短くも濃い物語のオンパレードだが、8話は2Dで作成。ざっと解説してみよう。
「セカンド・ルネッサンス パート1&2」は、マトリックスの誕生の背景を説明。「キッズ・ストーリー」は、自力で目覚める少年が主人公で、本編とも関連がある。「プログラム」は、シュミレーションの訓練を和のテイストでけれん味たっぷりに描くもの。「ワールド・レコード」は、思わぬ瞬間にマトリックスの存在に気付いてしまった男の末路のエピソードで出色の出来栄えだ。「ビヨンド」はマトリックスのバグ空間のゆがみの存在を描き、「ディテクティブ・ストーリー」はハード・ボイルドタッチの物語で“鏡の国のアリス”が伏線。ラストの「マトリキュレーテッド」は、さしずめ機械の再構築への試みといったところ。マトリックス誕生に2話を費やし、このシリーズの背景が非常に明快になっている。多彩なエピソードの中で、ネオやトリニティー、エージェント・スミス達にひょっこり出会える嬉しい驚きもある。

第1話にして唯一の3Dアニメは「ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス」。これは「マト・リロ」の冒頭に続く非常に重要なエピソードだ。技術的にも高水準で約11分のフル3DCGアニメーションだが、最初のカンフー・アクションが、ちょっとエロチックで楽しい。りりしい黒人のサディアスと東洋系美女ジュエの日本刀での格闘を中断するのは、危険を警告するベル。地上や仮想空間で活動しているのは、ネオたちだけではなく、オシリス号もまたゲリラ活動で闘っている。ジュエはマトリックスに命懸けで侵入し、人類最後の都市ザイオンへ警告メッセージを投函。はたしてメッセージは届くのか?オシリス号のクルーたちの命は?「マト・リロ」はこの答えから始まるのである。これを事前にきちんと公開しないというのはどうなのよ?!

「マト・リロ」の鑑賞前に前作を見るのも良いが、このビデオ(DVD)を見る方がよほど予習・復習としては効果的。「リローデッド」「レボリューションズ」の前には必ず見るべし!だ。そうすれば、「リローデッド」の華麗な映像に見とれている観客の前に、あまりに唐突にやってくるラストにもきっと耐えられる。

□2003年 アメリカ映画  原題「ANIMATRIX」
□監督:アンディー・ジョーンズ(「ファイナル・ファンタジー」)、前田真宏、川尻義昭、小池健、渡辺信一郎、森本晃司、ピーター・チョン

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