メラニーは行く! [DVD]メラニーは行く! [DVD]
◆プチレビュー◆
突き抜けた爽快感は少なめ。アメリカでは誇張した南部人気質がウケたらしいが、日本人には伝わりにくい。キャンディス・バーゲンが嫌味な悪役を演じて上手いが、かつての知性派女優の面影はいずこ。

NYのカリスマデザイナー、メラニーはショーが大成功したその夜に、市長の息子で大富豪の恋人からプロポーズされる。幸福の頂点にいるかのようなメラニーだが、ひとつ問題が。実は彼女は故郷のアラバマで高校時代に結婚しており、離婚が成立していないのだ。幸せをこの手につかむため、また過去ときっちり決別するために、故郷のアラバマに乗り込むメラニーだったが…。

宣伝コピーによると、ワガママで自己チュウ女だけど自分の幸せのために一生懸命なヒロインの姿に、女性共感度100%、男性不満度100%とある。でも、本当に女性に共感してもらっているのか、このヒロインは。離婚届けにサインさせるために爆走する姿は笑えても、彼女がNYで認められるまでの頑張りは劇中では全く描かれない。これでは観客はメラニーを応援する下ごしらえが出来ない。

彼女にとって故郷アラバマは忘れ去りたいドンくさい田舎町。メラニー自慢のハイセンスなNYファッションもド田舎では浮きまくるばかり。さっさとケリをつけてNYに戻りたいのに、戸籍上の夫はのらりくらりと離婚をはぐらかすので、いやでも長逗留することになるが、その間に彼女の気持ちにも変化が表れ、夫の真の姿を知ることになる。彼女にバカにされまくった町の人たちが、なぜかどこまでもメラニーに優しいのも納得いかない。昔のメラニーはよほどの人格者だったのか?!

原題の「スウィート・ホーム・アラバマ」が示す通り、やっぱり故郷が一番だという結論は明白だ。どこのサヤに収まるのかも見えている。しかし、一見ぐうたら男で田舎者の夫ジェイクと、都会人でリッチな市長の息子アンドリューの両方共が、本気でメラニーを愛しているし、同じくらいイイ人なのだから、彼女にとってどちらが本当に幸せなのかは判断がつきかねる。コメディで、キャラにメリハリがないのはいかがなものか。

先が見えるストーリーと中途半端な人物設定で、スベりそうになるのを救っているのは、ひとえにヒロインを演じるR.ウィザースプーンの魅力だ。この映画、彼女で持っていると言ってもいい。自分の幸せめざして暴走気味の主人公を嫌味なく演じられるのは、彼女の庶民的で清潔感のある持ち味のおかげ。表情が豊かなのも好感度大だ。結婚式を阻止する方法は、昔から「花嫁をさらう」もしくは「花嫁が逃げる」のどちらかが定番だが、慌てて登場する弁護士のひと言は、なかなかウケた。

痛快ラブ・ストーリーで笑える場面も満載だが、落ち着いて考えると、使い古されたパターンの映画だった。メラニーが本音で生きるニュー・ヒロインならば、あっと驚く第三の道を選んで観客をびっくりさせてほしかったのに。まぁ、冒頭とラストを結びつける気の利いたオチに免じて、許すとするか。

□2002年 アメリカ映画  原題「SWEET HOME ALABAMA」
□監督:アンディ・テナント
□出演:リース・ウィザースプーン、ジョシュ・ルーカス、パトリック・デンプシー、他

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