マイ・ビッグ・ファット・ウェディング [DVD]マイ・ビッグ・ファット・ウェディング [DVD]
◆プチビュー◆
大金をかけずともヒット作を生む、ハリウッドの裾野の広さに脱帽。「その男ゾルバ」のギリシャ人のバイタリティを思い出す。

30歳のイケてない独身女性トゥーラ・ポルトカラスはギリシャ系アメリカ人。両親の経営するレストランで働いているが、そこでハンサムなイアンに出会う。一念発起して、美しく変身、仕事も変えた成果か、めでたくイアンと結ばれ、結婚することに。だが、そこにはトゥーラの親族のギリシャ式難題が待ち構えていた…。

アメリカは多民族国家。様々な人種がひしめいて暮らしているが、ギリシャ系がこれほど脚光を浴びるとは。しかも、こんなにオモロイ民族とは!巨額の製作費と豪華スター競演ばかりが話題になる昨今、この映画は殆ど無名に近い俳優ばかり。口こみで人気が広がり、サプライズヒットに繋がったのは、やはり脚本のおもしろさだろう。

ダサいトゥーラが一気に変身するのが何しろ速い。一目惚れのせいとはいえ、美しくて聡明、積極的になる。意中のイアンともあっさり恋仲に。だったら、最初からそうしろよ!とツッコミたくなるが、ここまではいわばこの物語の前奏曲なのだ。本題である、ギリシャ人が非ギリシャ人と結婚する困難さを、カルチャーギャップを織り交ぜたギャグで笑わせながら描いていく。

映画界でギリシャ系といえば、エリア・カザンやジョン・カサデベスが有名だ。決して数は多くないが確実な足跡を残す実力派が揃っている。大家族で大食いでお祭り好きのギリシャ人。でも暖かくて憎めない民族であることが、コミカルに誇張した伝統から伺える。民族の結束は固く、祖国への誇りは人一倍。トゥーラの父のガスがこれを体現する人物で、全ての言葉はギリシャ起源とこじつけるのが可笑しい。何しろギリシャは西欧文明の生みの親のようなもの。お国自慢も世界規模だ。閑静な住宅街でも、ポルトカラス家の住居だけは、パルテノン神殿様式で浮きまくっている。

さえない女性の前に白馬の王子様が現れるという定番の物語だが、この幸せは男性側がひたすら歩み寄ることで成り立っている。これほど何事もこだわりがない人物というのも信じられないが、主演のニア・ヴァルダロスの実話が元になっているそうだ。通常ならば、宗教は最も大きな壁として立ちはだかるはずなのだが、ここではあっさりと改宗。簡単に“ギリシャ人になる”ところが、いかにもアメリカ的だ。どこまでも薄味のイアンとその家族。そもそも彼らは何系なんだ?!

邦題からは削られたグリーク(ギリシャ)という言葉。この最重要キーワードが抜け落ちたのはちょっと残念。しかし、これはたまたまギリシャ人を題材にしただけで、アングロサクソン系白人新教徒が多数のアメリカでの、少数派の奮闘物語と言える。積極的な自己アピールで幸せをゲットするヒロインと、頑固で騒々しいけれど愛情に満ちた家族のギリシャ式結婚狂想曲は、判り易さとハズレのないハッピーエンドがお約束。文化や生活習慣が違う人間との交流を、笑いと涙で描く快作なのだ。

□2002年 アメリカ映画  原題「MY BIG FAT GREEK WEDDING」
□監督:ジョエル・ズウィック
□出演:ニア・ヴァルダロス、マイケル・コンスタンティン、ジョン・コーベット、他

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