キル・ビル Vol.1 [DVD]キル・ビル Vol.1 [DVD]
◆プチレビュー◆
「キル・ビル Vol.1」ではラストの「恨み節」で大爆笑!日本刀を機内持ち込みにするいいかげんさも笑えた。オーレン・イシイの生い立ちを語る日本製アニメが出色。故深作欣二監督に捧げられているが、巨匠も草葉の陰で笑いながら楽しんだに違いない。

かつて最強の殺し屋だったザ・ブライドは、自分の結婚式で、夫やおなかの子供、友人まで皆殺しにされ、自らも頭を撃ち抜かれる。一命を取りとめ、4年間の長い昏睡状態から奇跡的に目を覚ました彼女は、かつてのボスであるビルとその手下たちに復讐するため、世界を股にかけた闘いの旅に出る…。

自分の大好きなものを映像化するのは、監督にとって案外難しい作業だと思う。正統派のアプローチで冗長の力作になり観客を疲れさせるか、思い入れが強すぎて自身の力量とバランスがとれず空回りすることが多い。だが、そこは才人タランティーノ。ヘタな色気は出さずに、徹頭徹尾のアクションで押しまくった。既成概念をブチ壊す本作は、ハンパじゃないB級映画への偏愛で、極上の娯楽作となっている。

タイトルが示す通り“ビルを殺(や)る”のが大筋の、いたって単純な話だ。但し、Vol.1とVo.2に分けて公開されるので、まだまだ明かされない部分は多い。タランティーノが得意とする時間軸をバラバラにする語り口で、時と場所を自由に移動する登場人物たちは、誰もがヘンテコで大仰なキャラばかり。ヤクザの女親分、寿司屋と刀鍛冶を兼ねる剣術指南、高校生の殺し屋などなど、まるでマンガだ。まったくリアリティがない分、ヒロインの強い思いが際立ち、様式美に溢れた映像はどこまでもクール。スタイリッシュなトホホ感覚というものが存在するなら、まさにこれだ。

今回の主な舞台はLAと沖縄と東京。予想通り、ニッポン勘違い度炸裂で、我々には2倍は楽しめる。日本のヤクザ映画や時代劇、香港のカンフー、マカロニ・ウェスタン、スパイ映画などのエッセンスを全てごちゃまぜにして映像化。元ネタがあまりにマニアックなので、ほとんど理解不能だが、それを知らなくても、十分にエモーショナルな興奮が味わえる。タランティーノが“日本映画で知るニッポン”がうかがい知れて、非常に興味深い。

映像的には、血の見せ方には並々ならぬこだわりを感じる。青葉屋でのユマの百人斬りは、首が飛び手足が吹き飛ぶ壮絶な血まみれシークエンスだが、残酷というより笑いが漂っていた。“ほがらか”に噴きあがる血の噴水と強引なギャグセンス。匿名性の強い相手を次々に倒す様は、ゲーム感覚だ。その果てのクライマックスは、おかしな日本語を棒読みするユマとルーシーの対決で、舞台は雪の日本庭園。さっきまで晴れていた気象事情はさておき、長身で重心が高くなりがちなユマも、着物姿で長ドスを持つ寄り目のルーシーも、結構サマになっている。けれん味たっぷりのフラメンコの音楽が、巨匠セルジオ・レオーネを彷彿とさせ、興奮必須だ。

デタラメでいいかげんな活劇ワールドを、一流の技術で作ってしまう。一方的な趣味の世界だが、単なるパロディや模倣ではなく、独自性をもって昇華、転生しているので、他に類を見ない躍動感とゴージャスさが生まれた。バイオレンス描写が苦手な人にはお勧めできないが、新感覚のハリウッド流チャンバラで、女性賛美映画と取れなくもない。バカバカしいものに真摯に取り組むタランティーノは、やっぱりスゴい。映画ファンは、結局こういう映画を愛していることを、彼はちゃんと知っている。

□2003年 アメリカ映画  原題「KILL BILL Vol.1」
□監督:クエンティン・タランティーノ
□出演:ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、栗山千明、他


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