僕の妻はシャルロット・ゲンズブール [DVD]僕の妻はシャルロット・ゲンズブール [DVD]
◆プチレビュー◆
大作、続編、リメイクで胃がもたれたら、こんな洒落た小品がお勧め。パートナーが有名女優というと「ノッティング・ヒルの恋人」を思い出す。他の有名人で「ぼくの妻は〜〜」シリーズを作ると楽しいだろうな。

スポーツ記者イヴァンの妻シャルロットは人気女優。当然、社会的知名度は妻の方が上である。プライバシーのない生活と妻の共演相手への嫉妬などで少々疲れ気味だ。そんなある日、パリを離れて英国での長期間の撮影の話が決まる。さらに共演者がプレイボーイのジョンと聞き、イヴァンは心配と嫉妬にかられてしまう…。

歌手のセルジュ・ゲンズブールと女優のジェーン・バーキンを両親に持つシャルロット・ゲンズブールと、夫で俳優のイヴァン・アタルがなんともユーモラスでおしゃれな映画を作った。実生活とは微妙に設定を変えて自虐的要素を加え、セルフ・パロディよろしく楽しんでいるのが好感が持てる。

有名女優を妻に持つ平凡な男が遭遇する苦悩と葛藤。二人で街を歩けば妻はサイン責めに遭い、レストランの予約も自分ではNGなのに妻だとOK。共演相手とのラブ・シーンにやきもきし、さらには長期のロケで別居同然の寂しさだ。夫役のイヴァンは実は妻同様俳優なので、エピソードはフィクションだろうが、さもありなんの場面の連続に見ている側も苦笑する。シャルロットとの記念写真を撮るファンにシャッターを押す役を仰せつかる場面は気の毒で笑ってしまった。

イヴァン・アタルの監督デビュー作となるが、なかなかのセンスの持ち主と見た。ぶっきらぼうな印象のシャルロットの活き活きとした表情が新鮮で、映画の大きな魅力になっている。彼女の何気ないファッションもいい。極めつけは共演相手で嫉妬の対象のジョン役にテレンス・スタンプをもってくる感覚だ。このオヤジは、年をとったとはいえ、相当アブナい雰囲気だもの。かなり鋭いキャスティングである。

夫の喜怒哀楽とともにシャルロットの女優業の苦労も語られる。ベッドシーンの撮影のために、撮影スタッフ全員がヌードになる場面が笑えた。「ヌードはいや!スタッフ全員が脱ぐなら考えるけど」と言ったら、本当にそうしたというエピソードは彼女のものではないが、別の映画での実話だそう。フランスの映画撮影現場って、ほんとにこんなにクレイジーなのか?!

シャルロット・ゲンズブールは自分自身を演じる役や現実に近い役柄に印象的なものが多く、子役時代の「なまいきシャルロット」や、ミシェル・ブランの「他人のそら似」でも上手い演技をみせている。少年っぽさが魅力の女優と思っていたが、いつの間にかまろやかな大人の女性へと変身していた。本作では気心の知れたイヴァンの監督ということもあるのか、驚くほどよく笑う。

ドキュメンタリーブームの中にあって、この映画もジャンルではノン・フィクションに入るだろうか。仏映画らしいエスプリが効いていて、セレブの実生活、ことに夫婦生活を垣間見るおもしろさを味わえるが、軽妙なテンポで作り手側のセンスを大いに感じる1本。ジャズを中心にした音楽も心地よい。さらりとした一筆書きのように、さわやかさが漂う好編に仕上がった。

□2001年 フランス映画  仏語原題「Ma Femme est une Actrice」
□監督:イヴァン・アタル
□出演:シャルロット・ゲンズブール、イヴァン・アタル、テレンス・スタンプ、他

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