ファインディング・ニモ [DVD]ファインディング・ニモ [DVD]
◆プチレビュー◆
ピンクのクラゲの森には思わず見惚れた。お気に入りキャラは自由を愛するサーファーのカメ親子。名曲“ビヨンド・ザ・シー”が流れるエンドロールにも隠れキャラが大勢登場する。

グレートバリアリーフに住むカクレクマノミのマーリンは学校に行くことになった息子のニモが心配でたまらない。ある時、過保護な父親に反発したニモは危険な外海に出て、人間のダイバーに捕獲されてしまう。なんとしてもニモを救わねば。手がかりを知るナンヨウハギのドリーと一緒に、人間の世界を目指す冒険の旅が始まった。

まずは美しすぎる色彩に酔おう。フルCGで作られた海の世界は夢のようで、実写よりもリアルな色と光に満ちている。澄んだ青い海、赤い珊瑚、ゆらめく海草に、しばし見惚れた。次に魚たちの流れるような動きや表情の豊かさ、更には動いた先で一瞬止まる時の構図の見事さにも感嘆する。CGで表すものの中で最も難しいものが水の表現。技術的には世界最高水準ではなかろうか。

文句のつけようがない視覚効果に、センス溢れるストーリーが加わっているのだからおもしろくないはずがない。いなくなった家族を探す物語は昔から定番だが、魚の父子がそれぞれの場所で互いに成長する姿は、単純なだけに素直な感動を生む。脇に登場するキャラもユニークで魅力的な魚たちばかり。マーリンとともに旅をするのは記憶が数分と続かない極度の健忘症のドリー。このメメントな設定がとぼけた笑いを生む。その他、マーリンが旅する海にも、ニモが閉じ込められた水槽にも、個性的な仲間たちが大勢いて、さながら海のネットワークで親子の距離を縮めていく。

ハリウッドが得意の父と子の物語という構図はここでも健在だが、今回は父子家庭。愛する妻と400匹の子供を一度に失う設定には、9.11テロの影響が見て取れる。子供を想う親の気持ち、わがままな自分に気付く息子、仲間の大切さなどをけれんみなく語り、ユーモアの中に子供の成長や父権の回復を織り込む物語には、スピード感と感動が同居している。“禁魚”に励むサメは禁酒・禁煙などの大人向けのギャグだし、水槽と海の伝達係を担うペリカンや、エサのことしか頭にないカモメなど、脇のキャラもしっかり立っていた。小魚の集合文字で情報を伝えるアイデアも最高に楽しい。

この映画の一番の凄さは、全てオリジナルのストーリーとキャラであること。独創性はいつだって人々をとりこにする。また登場人物が完全無欠ではないところも愛される要因だ。ニモのヒレは片方が極端に小さいが、それをコンプレックスにせずに、幸運の印だと捉えるポジティブな姿勢は見逃せない。個性を尊重するアメリカ気質にも繋がっているのだろう。

欧米のアニメのキャラクターの顔は日本人の好みとはかなり違う。正直言うと可愛くないものの方が多いのだが、英語の発音に基づいた顔の表情の豊かさと、現実社会としっかり重なるストーリーテリングの巧みさで、いつのまにか大好きにさせられてしまうのだ。本作も例外ではない。近頃、妙にあきらめが早くなった大人たちへの上質な応援ムービーである。愛すべきキャラたち、素晴らしいストーリー、ゴージャスな映像。見て損はない。

□2003年 アメリカ映画  原題「Finding Nemo」
□監督:アンドリュー・スタントン
□声の出演:アルバート・ブルックス、ウィレム・デフォー、ジェフリー・ラッシュ、他

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