ラブ・アクチュアリー [DVD]ラブ・アクチュアリー [DVD]
◆プチレビュー◆
この映画、クリスマス・シーズンに公開できなかったのが実に惜しい。R.カーティスは監督は初めてだが脚本家としては一流の人。どうりで名人芸だ。

クリスマス目前のロンドン。独身の英国首相とお茶汲み秘書。傷心の作家とポルトガル人のメイド。熟年夫婦や義理の父子。皆が片思いや不倫の恋に悩む毎日を過ごしていた。そんな中、クリスマスを愛に包まれて過ごすため、それぞれが精一杯の勇気を出して行動を始める…。

英国の国家プロジェクトかと思うほどの実力派豪華キャストは、総勢19名。気合が入りまくっているだけあって、群像劇ながら、話がゴチャつくことはない。良く練られた脚本に感心してしまった。シェークスピアを産んだ国が総力をあげて作り上げた自信作は、妙に大仰な歴史ものや社会派問題作ではなく、ウィットの効いたラブ・ストーリー。ハリウッド一人勝ち状態の現在の映画界に一石を投じるには、こういう作品が不可欠なのだ。イギリスのワーキング・タイトルは「ノッティング・ヒルの恋人」や「ブリジット・ジョーンズの日記」を送り出したスタジオ。お洒落で茶目っ気のある恋愛映画を作るのが実に上手い。

群像劇のお楽しみのひとつは、登場人物たちが意外な形の関係で結ばれていること。彼らがすれ違うたびに、何かが起こりそうな予感がする。この人とこの人が姉弟?彼女の上司がこの人で…とつながって、いずれは幸福なクリスマスへと収束していく。物語はあくまでテンポ良く、音楽はあくまでノリがいい。いつのまにかすっかりノセられてしまっていた。全ての人に恋愛のハッピーエンドが用意されているわけではないけれど、かわりの愛情は傍らにそっと置いてある。カーティス監督の眼差しはいつも優しい。

贅沢過ぎる顔ぶれのキャストは、皆、個性派ぞろい。よくぞ集まってくれたと思う。英国首相にヒュー・グラント、米国大統領にビリー・ボブ・ソーントンという悪い冗談のようなキャスティングが最高だ。「いじめっ子の友達はいらない。イギリスにはハリー・ポッターとベッカムの右足がある!」と横暴な米国大統領に高らかに宣言する姿に、思わず拍手しそうになった。実際にはこのセリフが言える人物は見つかりそうにない英国のアンチテーゼなのだけれど。

忘れちゃいけないのがこの人、こだわりの宝石店員を演じるMr.ビーンことR.アトキンソン。相変わらず笑わせてくれるが、彼がラストに見せる粋な計らいに期待してほしい。愛すべき楽観主義の本作の仕上げのスパイスは、まさに彼なのだ。人生はままならないが、こんな愛情たっぷりの映画に巡りあえるなら、まんざら捨てたモンじゃないと思いたくなる。劇場を出るときは思わずニッコリだ。

□2003年 イギリス映画  原題「Love actually」
□監督:リチャード・カーティス
□出演:ヒュー・グラント、アラン・リックマン、エマ・トンプソン、他

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