ビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディション [DVD]ビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディション [DVD]
◆プチレビュー◆
バートン監督得意の毒気は薄いが、作品の質が落ちたわけではないので、バートン映画初心者にもおすすめ。

自分の人生をおとぎ話のように語る父親エドワード。子供の頃は楽しかったその話も大人になった息子ウィルには、真実を話そうとしない父親への反発の材料でしかなかった。そんな父が病に倒れ、ウィルは久しぶりに帰郷することになる。相変わらずのホラ話にうんざりするウィルだったが、やがてそのウソの中に真実が隠されていることに気付きはじめる…。

独特の世界観で多くのファンを持つティム・バートン監督。オモチャ箱のような映像の中に、しっかりと毒を含ませてダークな世界を作り上げる。特に原案・製作まで務めた「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」はアニメーター出身の彼の持ち味が十分に活かされていて、大人のファンが多い。

そんなバートンの新作は、従来ほどの毒気はなく、ファンタジーの美しさが前面に出た心あたたまる愛の物語だ。ホラ話で自分の人生を脚色する父親と、堅実な性格で父に反発する息子。映画は父エドワードが語る過去の冒険物語と、現在の物語の2本立てで進行する。おとぎ話の部分の壮大で美しい映像は絶品。厳しい現実との対比で、さらに絶妙に観客の感動を誘う仕掛けになっている。

結婚指輪で巨大な魚を釣った話、洞窟に住む巨人の話、恐ろしい魔女との出会い。どれもワクワクするような“お話”だが、その中にひそむ父の真実の姿を感じはじめるのは、若き日の母と出会ってから。何事にも屈せず前向きに生きていく父の姿は、それが例えホラ話でも胸を打つ。体育会系の容姿のユアン・マクレガーが、楽観的で若きエドワードを演じて魅力的だ。一面の水仙で画面が埋め尽くされるシーンは、特に忘れがたく、バートンならではのぬくもりのある映像で、まさに映画マジックだ。

父の話はウソばかりではないことを知ったとき、父がいかに皆から愛されているか、母との愛情がいかに深いかを観客は理解するだろう。アルバート・フィニーとジェシカ・ラングの名優二人がバスタブにつかって愛情を語るシーンは、この映画随一の名場面だ。そもそも映画というのは想像力が発端で生まれるようなもの。この作品は、人生には“物語”が必要なのだということを教えてくれる。生きてきた年数が違っていても、物語を共有することで気持ちを受け継ぐことができるのだ。

□2003年 アメリカ映画  原題「BIG FISH」
□監督:ティム・バートン
□出演:ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ジェシカ・ラング、他

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