トロイ [DVD]トロイ [DVD]
◆プチレビュー◆
地中海を思わせる青を基調とした衣装センスが良かった。ブラピの恋のお相手にはもう少し華のある女優でも良かったのでは。「トロイのヘレン」のヘレンは伊女優のロッサナ・ポデスタだった。

古代ギリシャ。トロイの王子パリスはスパルタの王妃ヘレンに恋し彼女を奪い去る。王妃奪還を口実に、城塞都市トロイを攻めるギリシャ連合軍の中には、自らの名声を望む無敵の戦士アキレスの姿も。ここにトロイ戦争の火ぶたが切って落とされる…。

ホメロスの叙事詩「イリアス」は、絶世の美女ヘレンをめぐる争いを発端に、戦争の悲劇を描く壮大な物語。W.ペーターゼン監督は、この物語を戦士アキレスを軸にした歴史ロマンとして映画化した。肉体改造も見事なブラピを始め共演陣も好演し、CGを駆使したスペクタクル・シーンも見応えたっぷり。物量にモノをいわせる迫力のバトルもあれば、英雄同士の一騎打ちには古代の戦闘らしいゆったりとした間があってメリハリが効いている。娯楽活劇として素晴らしい出来に仕上がった映画だ。

体に粘土でも付けてるのかと思うほどマッチョなブラピと、レゴラス気分が抜けずに弓を引いたりしているオーランド。この人気俳優二人の影に隠れがちだが、映画の隠れ主役とも言えるのは、エリック・バナ演じるトロイの王子ヘクトル。「ハルク」ではワケの判らぬ役柄で困惑していたバナだが、実は史劇も似合う正統派だ。ヘクトルは、妻子や親兄弟、そして何より国と平和を愛する、物語随一の常識人。まっとうな英雄が悲劇に向かうことで、物語は劇的に転がり始める。トラブルメーカーで、へっぴり腰のパリス王子もこの兄の勇姿を見てようやく奮起する。語り部にして知将オデッセウス役のショーン・ビーンも少ない出番ながら渋くて効いていた。有名なトロイの木馬は彼の発案。どう考えても怪しいこの作戦が上手くいくところが古代だ。

神と人間が同居する古代ギリシャの物語を、人間側のドラマに絞ったことで、判りやすくまとまった。体面や不条理で始まる争いの愚かしさや、戦争の空しさも現代に通じる。しかし、この映画にいっさい神が登場しないのがなんとも物足りない。もともとは3人の女神の美しさを競ったことが原因で起こったトロイ戦争。映画では不倫が元での国同士の大喧嘩のような印象だが、人間だけでなく、神々もまたトロイやギリシャ側につき、この長い戦争に参加したのだ。事態は複雑を極め、さらなる局面を生み、その中に真理が隠されている。話がわかりやすくなった分、伝説の持つ歴史ロマンとしてのスケールの幅が奪われた感は否めない。

聖書と共に西欧文明の二大基礎となったギリシャ神話。単純な善悪では塗り分けられないエピソードと、魅力溢れる多くの英雄たちが活躍する、非常に映画的な素材だ。ギリシャ神話というのは、荒唐無稽な物語の集合でありながら実にうまく辻褄があっているのが特徴だ。エンタテインメントとして十分な水準に達している本作だが、そこにきまぐれな神の視点を少しだけ追加してほしかった。

□2004年 アメリカ映画  原題「TROY」
□監督:ウォルフガング・ペーターゼン
□出演:ブラッド・ピット、オーランド・ブルーム、ピーター・オトゥール、他

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