ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 [DVD]ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 [DVD]
◆プチレビュー◆
原作が大ベストセラーであるため、主役3人以外の描写はほんの挨拶程度という不親切さ。ポッタリアン(ハリ・ポタの大ファン)の感想は、はたして?!ますます長くなる原作に忠実な映画化が、今後とても心配。

ホグワーツ魔法学校の3年生に進級し、13歳になったハリー・ポッターは、アズカバン刑務所から脱獄したシリウス・ブラックから命を狙われる。物語の鍵を握る新しいキャラクターとともに、いよいよ両親の死の謎と向き合うことになるのだが…。

世界的な大人気シリーズの第3弾だが、今回は2つの大きな変化がある。まず故リチャード・ハリスに変わってマイケル・ガンボンがダンブルドア校長役に。もう一つは監督がアルフォンソ・キュアロンに交代したこと。前2作のクリス・コロンバスはプロデューサーとして参加し、ファンが目を光らせる本作の製作をサポートしている。

ハリー、ハーマイオニー、ロンの3人は心身ともに成長していた。冒頭からハリーは叔父夫婦に敵意をむき出しにし、優等生のハーマイオニーは、授業中に席を無断で立ったり、宿敵ドラコにパンチをくらわせたりとキレまくりだ。明らかに彼らは反抗期なのである。一方でハーマイオニーとロンの間にチラリと恋愛感情が芽生えたりする可愛いひとこまも。見た目も随分大人っぽくなった子役たちはティーンエイジャーの入り口に立っているのだ。

本作が前2作と最も異なるのは、全体を覆うダークな雰囲気。夜の場面の多さと荒れる気象状況だけではない。物語自体が暗いのは最初から主人公の命が狙われているせいだ。嵐や雪の中で戦うハリー。死神犬グリムや半鳥半馬ヒッポグリフなどの、ファンタジーに不可欠なクリーチャーたちも、不気味で奇怪だ。特に印象的だったのは、魂を吸い取る吸魂鬼ディメンターの描写。黒い煙のような浮遊物で、不気味に空を舞う姿は恐ろしくも美しい。魔法の村ホグスミートといい、ビジュアル・センスの素晴らしさは今回も注目だ。

物語のキーとなるのはタイム・スリップ。囚人シリウスと向き合うためにハリーは時間を操作するが、ユニークなのは過去の自分の行動に現在の自分が立ち会うということ。その場には二人のハリーが存在することになる。普通子供は前だけを見て生きているもの。過去に立ち戻り、自分の行いを検証して人生を反省とは。こんなマネをするのは、年月を踏み越えて生きている人間だけ。第3章は大人への入り口なのだ。

数多くの恐怖と対峙することを強いる本作。ディメンターが、相手の辛い記憶を探り出しそれを糧にするという発想が秀逸だ。非常にメンタルな部分に作用するところが深い。ファンタジーにありがちな見た目のおもしろさに加えて精神面での新しさを醸しだしている。劇中でダンブルドア校長が言う「暗闇のなかでも幸せを見つけることができる。灯りをともすことさえ忘れなければ」というセリフが、今回の冒険物語を象徴しているようだ。

□2004年 アメリカ映画  原題「Harry Potter and the Prisoner of Azkaban」
□監督:アルフォンソ・キュアロン
□出演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント、他

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