ブラザーフッド プレミアム・エディション [DVD]ブラザーフッド プレミアム・エディション [DVD]
◆プチレビュー◆
美形人気スターのチャン・ドンゴンとウォンビンのファンには目の保養。こんなメロドラマで観客動員数の記録を塗り替える韓国という国の、ワケの判らぬ底力には感動すら覚える。

1950年。突如勃発した朝鮮戦争に強制徴収されたジンテとジンソクの兄弟。弟ジンソクを想う兄ジンテは、いかなる犠牲を払っても弟を故郷へ還そうと決心する。戦場での兄の豹変ぶりにジンソクは兄への不信感を募らせるが、二人の兄弟にはさらなる過酷な運命が待ち受けていた…。

韓国映画を世界中に印象付けたといっても過言じゃない作品「シュリ」は、ストーリーのおもしろさの中に、人気俳優の共演、南北分断の悲劇、サスペンスなどの要素を盛り込んだ誰もが認める娯楽作品。その「シュリ」を作ったカン・ジェギュ監督の久しぶりの監督作が本作なのだが、韓国では観客動員数の新記録を打ち立てたいう。朝鮮戦争によって運命を弄ばれる兄弟の物語は、見ている方が恥ずかしくなるほどコテコテのメロドラマだ。さすがは韓国映画!とヘンに納得してしまう。

冒頭から惜しげもなく流れる叙情的な音楽は「さぁ、泣いてくださいよ」と言わんばかり。貧しくも幸せに暮らす一家の仲の良い兄弟は、平時も戦時もベタベタと暑苦しい。口の聞けない母親、けなげで美人の兄の婚約者、いつか作ってあげたい革靴にずっと欲しかった万年筆。涙を絞るアイテムが散りばめられて、観客は逃げ場がない。

弟の将来の幸せだけを願う兄は、自分が戦場で手柄を立てて勲章をもらえれば、弟の除隊を認めるという上官の言葉を信じ、無謀に戦い続ける。韓国版「プライベート・ライアン」と呼ばれるほど迫力の戦闘シーンは確かに見応えがあるが、雨あられの銃弾の中を突っ走る兄ジンテに弾がかすりもしないリアリティの無さはどうだ。まるでマンガだとあきれるが、この兄弟の生存率と周囲の人間の死亡率は比例しているので辻褄は案外あっている。誰かの生と誰かの死は必ずリンクしていて、これはこの物語の全編を通して貫かれているルールなのだ。“涙のラスト”までその法則は守られる。

それにしてもこの弟の中身の成長のなさはなんとかならないものか。病弱な高校生だった彼が戦場でいきなり健康になるスピードとは裏腹に、なりふり構わぬ兄の頑張りの動機を聞いてもなお、兵士として人間として頼りないままだ。だからこそ守りがいがあるのかもしれないが、兄が甘やかしすぎというのが正直な感想だろう。韓国の教育問題も案外深刻なのかもしれない。兄弟愛を勘違いしたままの兄と学習能力のない弟。どちらにも肩入れ出来ずに映画を見続けるのはしんどい作業である。

韓国映画お得意のすれ違いの掟は戦場でも効果を発揮して、兄弟は悲劇的に引き裂かれることに。米ソの二大大国の代理戦争と呼ばれた朝鮮戦争は、今もなお深い傷痕を残している。同じ民族同士が戦わねばならない哀しさは、想像して余りあるものだ。泣かせのメロドラマに終わってしまったのは残念だが、あくまでも市井の庶民の目線で描いた点だけは評価できるだろうか。このベタなドラマから平和の尊さという高みにたどり着くには、かなりの集中力を要するとしても。

□2004年 韓国映画  原題「Brotherhood」
□監督:カン・ジェギュ
□出演:チャン・ドンゴン、ウォンビン、イ・ウンジュ、他

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