スイミング・プール 無修正版 [DVD]スイミング・プール 無修正版 [DVD]
◆プチレビュー◆
本当は誰もが憧れるイイ女のくせして、嫌味な英国女を演じるランプリングが上手い。ジュリーの食べ残しを夜中にこっそりつまみ食いする図には笑ってしまった。

スランプ気味の英国人女流作家サラは、旧知の出版社の社長の別荘にやってくる。南仏の明るい太陽に気を良くしたサラの前に、社長の娘と名のるジュリーが突然現われ彼女の生活をかき乱した。いらつくサラだが、反面ジュリーに興味も。そんな折、プールサイドで殺人事件が起こる…。

ランプリングvsサニエ。ついに実現したオゾン監督の二人のミューズの共演が嬉しい。お互いに最も得意とする分野を担当し、最大の効果をあげている。嫌味な英国女のサラと奔放で男にだらしがない仏娘のジュリー。しかも、この二人、それぞれお互いのことが気になってたまらないのだ。特にサラの方が。

やりたいときにやりたいことをやる若い娘に最初はとまどいと苛立ちを露にするサラだが、本当は自分と全て正反対のジュリーの姿に感情を逆なでされているだけ。そんなときプールサイドで拾った落し物は、ジュリーのパンティー。部屋に持ち帰った途端にむくむくと創作意欲が沸くあたりが笑える。作家としてのスランプを抜け出すだけでなく、女のうるおいまで復活してしまう唐突さ。嫌悪感より好奇心が勝るとはさすがは作家だ。その後のサラの変貌は驚くほどで、これじゃ事件発生も必須である。

オゾンは作品ごとに違った側面と魅力を披露してくれるが、本作では、四角く切り取られたような青いプールを効果的に配したり、俯瞰を用いて観客と視線を共有するなど、構図の鋭さが光った。南仏を舞台にして全体を開放的に仕立てているのもセンスを感じる。現実と想像の世界の境界線は、時に随分と曖昧になるもの。オゾンは女の性(さが)、嫉妬、秘密などをキーワードにして、登場人物たちを変化させていく。

前半は全く共通点のない女性二人の奇妙な同居生活が主にサラの側から描かれるが、後半は殺人事件が発生し、物語はミステリーへと変貌していく。しかし、この映画が本当のミステリーであることが判るのは、映画の最後の瞬間だ。誰もが「え?」と思だろう。オゾン監督は、観客の数だけ謎解きに幅をもたせることによって、私たちに挑戦している。見終わって誰かに勧めたくなる映画とはこんな作品だ。なぜなら、この映画について誰かと語りたくて仕方ないはずだから。

□2003年 フランス映画  原題「Swimming Pool」
□監督:フランソワ・オゾン
□出演:シャーロット・ランプリング、リュディビーヌ・サニエ、チャールズ・マンス、他

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