キング・アーサー [DVD]キング・アーサー [DVD]
◆プチレビュー◆
ぶ厚い氷の湖に敵を誘い溺死させる大迫力のバトルシーンは見応えあり。ランスロット役のヨアン・グリフィスは眉目秀麗なので、今後人気が出そうだ。終盤、女戦士と化すグウィネヴィアの露出度過多の衣装に唖然。

紀元415年。戦乱が続くブリテンで、ローマ軍の司令官アーサーは仲間である“円卓の騎士”とともに最後の任務を遂行する。これで自由の身になるはずが、残忍なサクソン族と戦うことに。さらには、運命の女性グウィネヴィアに出会う…。

例えコうるさい批評家から、くだらない、大味だと口汚く罵られようとも、興行的成功を収めてきっちり周囲を黙らせる。一般大衆の嗜好を単純化して理解し、その要求に明確に答えてみせるのが製作者ジェリー・ブラッカイマーだ。彼の目標はメガヒットを飛ばすこと。判りやすい。だが、今度ばかりは墓穴を掘ったのではなかろうか。

アーサー王伝説といえば、西欧では極めてポピュラーなもの。伝説には様々なものがあり、どれも魅力的な英雄や胸躍るロマンスに満ちている。今回はこのアーサー王伝説を、従来の中世ではなく、文献に基づいてリサーチしぐんと古い5世紀に設定。魔法をはじめファンタジー色はほとんどない。アーサーがローマとブリテンの両方の血を引き、アイデンティティーに悩むなど、新解釈をぶつけてきた。自らの中に眠る救世主としての資質に目覚めるあたり、マトリックスを彷彿とさせるではないか。

だが、西欧ファンタジーの基とも言える物語にチャレンジするというのに、こうまで人物描写がおざなりなのはいかがなものか。アーサーとグウィネヴィアはともかく、円卓の騎士などはほとんど名前の紹介程度だ。おまけに、欧州各国の実力派俳優を揃えたとはいえ、ビッグ・スターがいないので地味な印象は否めない。

日本ではアーサー王伝説は、魔剣エクスカリバーや聖杯伝説など断片的に知られているのが現状なので、本作の新解釈は、伝説を改めて知り頭の中を整理する意味では興味深い。だが、本家イギリスをはじめとする欧州の観客は、はたしてどう感じるか。自らの歴史に深く刻まれた英雄譚へのこの薄っぺらなアプローチを、快く受け止める者は少ないはずだ。

□2004年 アメリカ映画  原題「KING ARTHUR」
□監督:アントワン・フークワ
□出演:クライブ・オーウェン、キーラ・ナイトレイ、ヨアン・グリフィス、他

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