ぼくセザール10歳半 1m39cm スペシャル・エディション [DVD]ぼくセザール10歳半 1m39cm スペシャル・エディション [DVD]
◆プチレビュー◆
セザールの家族はユダヤ系という設定。ステレオタイプではあるが、ケンカしながらも家族の絆が強いユダヤ系一家が上手く表現されている。サラ役の少女は監督の実の娘。我が子を“学校一の美少女”にする親バカが微笑ましい。

ちょっと太めなのが悩みのセザールは10歳半。子供扱いされるのが嫌いなのに、大人はちっとも判ってくれない。セザールのパパが何の仕事をしてるか判らないけど、長い出張に行くと言う。これはきっと“出張”なんかじゃない…!セザールの勘違いは思わぬ誤解を生み、彼はたちまち学校のヒーローになってしまうのだが…。

私たち大人だって、10歳半だった時代があったはずだ。でも、あまりに遠い昔のことなのですっかり忘れてしまっている。映画はカメラをセザールの身長の1m39cmに固定することで、見ている観客も次第に子供の視線を共有する仕掛けになっている。世間を見上げ、天上は大きく高い。大人からは常に見下ろされる。なんだか不愉快?!最初はどこか違和感があるが、この目線だからこそ見えるものもある。

何でも出来る親友モルガンへの劣等感や、あこがれの美少女サラへの恋心など、ほのぼのエピソードが満載。他愛ないことも、子供たちにとっては全てがスペシャルな出来事。前半はセザールの父親が長い出張に行くのを“逮捕”されたと誤解することから起こる珍騒動、後半は親友のモルガンの父親を探しに、地元パリから言葉も通じない英国への冒険の旅。ロンドンではゴダールの映画でお馴染みのアンナ・カリーナが、彼らの“お助けウーマン”として登場するという嬉しいサービス付きだ。

映画はセザールのナレーションで進行するが、これは子供の価値観というより、大人がうやむやにしてしまっている知覚の再現だ。笑いを誘う鋭くも切実なセリフが全てみずみずしい。プクプクした頬のセザールの頭の中では「10歳の女の子に、男は中身だってことを判らせるのは簡単じゃない」なんていうセリフが深刻に横たわっているのだ。

この映画では、誰もが、生意気で不安で背伸びして生きていた10歳半の自分に出会えるはずだ。セザールとサラとモルガン。その後の彼らの成長はどうなるの?久しぶりに続編が見たいと感じる作品である。トリュフォーの「大人は判ってくれない」のポジティブ・バージョンとでも呼びたい楽しい1本だ。

□2003年 フランス映画 原題「MOI CESAR 10ANS1/2 1m39」
□監督:リシャール・ベリ
□出演:ジュール・シトリュク、ジョゼフィーヌ・ベリ、アンナ・カリーナ、他

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