ニュースの天才 [DVD]ニュースの天才 [DVD]
◆プチレビュー◆
悪事に手を染めるクリステンセンの姿に「スター・ウォーズ」のアナキンがダブる。ダーク・サイドに堕ちるのは本望か。もしやSWの隠れ宣伝映画か?

名門雑誌「ニューリパブリック」の人気ジャーナリスト、スティーブン・グラスは若干25歳の若者。他の一流誌からも執筆の依頼が舞い込む彼の記事は、日常的な話題ながら刺激に富み、見事に読者を魅了していた。しかし、実は彼の記事の多くは、捏造(ねつぞう)記事。そのことは、同僚にも気付かれていなかったが、やがて、他誌の記者により追求を受けることになる…。

クリントン元大統領のおかげで、政治とゴシップがごちゃまぜになってしまった90年代末。合衆国大統領専用機に唯一置かれている政治誌の、実在の人気ジャーナリスト・スティーブン・グラスの栄光と転落を描いた物語が本作だ。

グラスという人物の顕著な特徴は、その幼児性。社内をソックスのまま歩き回り、女性社員に非常にマメマメしく気配りをしながら、甘えてみせる。記事捏造の事実が明るみに出ても彼は「ごめんなさい」と言えば済むと思っている。さらには編集長が自分をかばってくれないことをなじる始末だ。発達した知性と未発達の精神を同時に抱えたグラスを演じるクリステンセンが、実にハマり役だった。

グラスの周囲の女性たちがどこまでも彼をかばおうとするのが、男性の観客には腹立たしいかもしれない。クリステンセンが美形だから?まぁ、それもあるが、実際は彼らにもジャーナリズムの本質から逸脱したところに楽しみを求める気持ちがあったのではなかろうか。実だけではおもしろくない、虚もまじえてしまえ!という気持ち。人間は快楽に弱い。実際90年代末のアメリカは政治さえも娯楽に近かった。そのツケが9.11テロだと思う。

グラスの言い分は「愛されたかった。自分が書いた記事を通して」というもの。愛というオールマイティの言葉が付けば、なんとなく格好がつくあたりが空恐ろしくもある。真実であろうが作り物であろうが、読者というものは刺激を求め、そして必ず飽きる。グラスは一種の犠牲者なのだろう。断じて同情は出来ないが。

□2003年 アメリカ映画  原題「SHATTERED GLASS」
□監督:ビリー・レイ
□出演:ヘイデン・クリステンセン、ピーター・サースガード、クロエ・セヴィニー、他

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