2006年12月10日

ターミナル4

ターミナル DTSスペシャル・エディション
◆プチレビュー◆

キャサゼタ姐さんが珍しくしおらしい役。仏映画「パリ空港の人々」も空港内で暮している人たちをユーモアとペーソスで描いた作品だったが、ハリウッドが作ると同じ素材でも華やかなエンタメ映画になるからさすが。

NYのJFK国際空港に着いたビクターは東欧のクラコウジア人。ある約束を果たすためにアメリカにやってきたが、空港に着いた途端に祖国で政治クーデターが起き、入国できなくなってしまう。帰ることもできない彼は、しかたなく空港で暮し始めるが…。

スピルバーグ作品にしてはこじんまりとした印象の映画だ。だが、映画の舞台となる空港ターミナルをそっくりセットとして建設したというから、やっぱりやることはデカい。本物の有名店舗の出店などでリアルな空間を作り上げた。この映画を見ると、空港というのは、現代社会の縮図だということがよくわかる。

いわゆるグランド・ホテル形式の映画だが、登場人物が多彩で見ていて飽きない。主人公ビクターは、空港の中で暮らすうち、言葉を学び、仕事をみつけ、友人を作り、恋までする。旺盛な生活力は、かつてアメリカにやってきた祖先たちの姿にダブるだろう。規則一点張りの職員たちも、いつしかそんな彼の姿に心が和み、影響されていく。上手く行き過ぎる場面もあるが、それが許せるのは、ビクターが大切に持っている缶の存在だ。アメリカに来た理由はその缶の中に詰まっている。

トム・ハンクスはのっぴきならない状況に陥った一般市民を演じるのが上手い。東欧からの旅行者ビクターは、持てる知恵と本来備わったヒューマンな心で難局を乗り切っていく。観客は、いつの間にかそんな彼の応援団になってしまうだろう。

前向きに努力する主人公ビクターは受身に見えるが、勇気溢れる本物のヒーローだ。スピルバーグ映画はいつも豪華で大仕掛け。みえみえのオスカー狙いの作品もある。誰もが認める巨匠にして世界一のヒットメーカーだが、時々彼が息抜きのように作って見せる、こんな小さくて温かい作品が、私はとても好きだ。

□2004年 アメリカ映画  原題「The Terminal」
監督:スティーブン・スピルバーグ
□出演:トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、スタンリー・トゥッチ、他

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cinemassimo at 15:55 │Comments(0)TrackBack(2)clip!映画レビュー2004 
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