ピーター・セラーズの愛し方~ライフ・イズ・コメディ! [DVD]ピーター・セラーズの愛し方~ライフ・イズ・コメディ! [DVD]
◆プチレビュー◆
ものすごく意外だが、ジェフリー・ラッシュは女装が似合う。おばさん型女装では、ロビン・ウィリアムスに匹敵する素晴らしさだ。ソフィア・ローレン役は少々モノ足りないが、ソフィアみたいな女優は二人といないのでヨシとしよう。

50年代の英国。ラジオ番組出身の俳優ピーター・セラーズは役者として成功するが、家庭生活は破綻をきたす。米国で出演した映画「ピンク・パンサー」が大ヒットするものの、この役はピーター本人には不本意なものだった。母親の影響力や病魔に悩まされながら、派手な生活をやめられないピーターだが…。

俳優ピーター・セラーズ。「ピンク・パンサー」シリーズや「博士の異常な愛情」のドクター・ストレンジラブを演じた名優だ。彼が出演した映画はしっかり記憶にあるが、さて、ピーター・セラーズはどんな顔をしていたか?不思議とピンとこない。だが、この実体の薄さこそがセラーズという俳優の特徴で、本作はそのことをユニークな方法で教えてくれる。

なぜか実在の人物を演じることが多いオスカー俳優ジェフリー・ラッシュが、様々な趣向でセラーズの人生を解説する。セラーズ本人、セラーズが演じた役柄、時には語り部として妻や母親にまでなりきってみせる。複雑な語り口は、ますますセラーズを霧の中に包んでしまうかのよう。とまどいを覚えるが、自分自身を他人の目を通してしか語れないセラーズという人物を表して上手い演出である。脇を固める俳優陣も実力派揃い。二番目の妻役のシャーリーズ・セロンが華やかだ。

どんな顔にもなれるというのは役者としては諸刃の剣。何でもこなせるが、本人の印象は薄れるばかりだ。意に沿わぬクルーゾー警部役に甘んじながら、長年温めた企画「チャンス」を映画化したのは、セラーズのただひとつの意思表示のようでもある。

派手好きでエキセントリック、女好きでマザコンという性格では、人生が波乱万丈なのも無理はない。セラーズに一人三役を演じさせた名匠キューブリックは「彼には自分がない」と表現した。気の毒なことだが、それが長所に転じるのが俳優という職業の不可思議なところ。この映画は、演じることの意味を、ピーター・セラーズという天才喜劇役者を通して検証しようとしている。

□2004年 アメリカ・イギリス合作映画  原題「The Life and Death of Peter Sellers」
□監督:スティーブ・ホプキンス
□出演:ジェフリー・ラッシュ、エミリー・ワトソン、ジョン・リスゴー、他

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