ロング・エンゲージメント [DVD]ロング・エンゲージメント [DVD]
◆プチレビュー◆
本来、ジュネ監督は、グロテスクな寓話風な作風が特徴で、オドレイ・トトゥともども「アメリ」の呪縛から解放してやりたいが、この分じゃ当分難しそうだ。

マチルドとマネクは幼なじみの恋人同士。深く愛しあうが、第一次世界大戦が勃発し二人は引き裂かれてしまう。マネクの身を案じながら待つマチルドのもとにある日、悲報が届くが、彼の最期を見たものは誰もいない。「きっと生きている。彼に何かあれば私には判るはず」。不思議な愛の直感はマチルドを壮大な旅へと誘うのだった。

映画の良し悪しを判断する以前に、この映画のわかり難さに触れておきたい。登場人物の多さ、名前の難解さ、時間軸のずれ。ミステリー仕立てなので、人物の把握は必須なのだが、最初に登場する重要人物5人は戦争の最前線にいるため、服はボロボロな上に顔が汚れて見分けがつかない。小物や髪型などで特徴を掴み、とにかくこの5人の区別がつくようにしておくことを、まずはお勧めする。そうしないと、その後の展開に大いに支障をきたしてしまうのだ。

物語はひと言で言うと「思い込み」系の暴走ラブ・ストーリー。だが半分は戦争映画の様相なので、かなり激しい戦闘シーンや残酷描写が平気で登場。ほんわかムードの「アメリ」のノリを期待すると、大きく裏切られる。戦場でマネクに起こった出来事と、彼の生存を信じて旅をするマチルドが紐解くミステリーが複雑にからみあって、真相へと向かう構造だ。幸せな回想場面が激しい戦争場面にサンドイッチされて、メリハリがはっきりついている。

ミステリー形式なので物語の詳細には触れないが、ちょっとした驚きは、大半がフランス人キャストのこの映画に、ジョディ・フォスターが出演していること。重要な役だが特に目立つわけではないこの役に、なぜ米国人オスカー女優が?と思ったが、何でも彼女、ジュネ監督の熱烈なファンなのだそう。

原作はセバスチャン・ジャプリゾの全仏ベスト・セラー小説。全編セピア調のノスタルジックな映像で構成されたジュネ・ワールドは、デジタル撮影技術の高さを窺わせて見応え十分だ。色彩や構図など絵画のような美しさ。細部に徹底的にこだわった極めてジュネ的な恋愛映画の力作である。

□2004年 フランス映画  英語原題「A VERY LONG ENGAGEMENT」
□監督:ジャン=ピエール・ジュネ
□出演:オドレイ・トトゥ、ギャスパー・ウリエル、マリオン・コティヤール、他

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