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◆プチレビュー◆
実物のハワード・ヒューズはコリン・ファレルとエリック・バナを足して2で割ったような男っぽい顔。晩年の奇人ぶりは相当すごかったらしいが、実際のところは全て謎だ。ヒューズを描いた映画として「メルビンとハワード」がある。

わずか18歳で巨万の富を相続したハワード・ヒューズは、24歳で映画製作に進出。30年代のハリウッド黄金期を背景に、映画作りで成功を収めた。彼が追うもうひとつの夢は、世界最速の飛行機を作ることだったが…。

映画と飛行機。20世紀最大の発明という人も多い。人々の暮らしを精神的かつ実質的に豊かにしてくれたこの2つに人生を賭けた大富豪ハワード・ヒューズは、夢追い人で、その夢を実現できる財力を持った人物だ。同時に稀代の変人として伝説化されている。映画は数ある彼のエピソードの中から夢と挫折の分岐点を抽出している。

まず、映画作り。様々な映画女優と浮名を流したヒューズだが、唯一真剣な相手だったのは、キャサリン・ヘプバーン。つかず離れずの存在としてエヴァ・ガードナーも登場する。「地獄の天使」や「ならず者」など彼が作った映画が劇中に登場する。映画界での華やかな恋模様とともに、検閲で権力と戦う骨太な部分も描かれるので、そちらにも注目してほしい。映画はいつも政治とは不可分なのだ。

一方、飛行機作りの方はというと、こちらも多くの伝説を持つ。生死を彷徨う大事故やパンナムとの争い等、どれもスケールが大きい。映画と同様に彼の前に立ちはだかるのは巨大な権力。ヒューズの精神が少しずつ蝕まれるのは、子供時代のトラウマもあるが、飛行機作りの夢と現実との折り合いがつかなかったことが大きい。映画は彼の最晩年は描かないが、未来を夢想する彼が辿った孤独な運命を、後の人々は皆知っている。

名女優ヘプバーンを素晴らしい演技で再現したケイト・ブランシェットがオスカーを受賞した。残念なのは、またしても監督賞を逃した名匠スコセッシ。NY派のスコセッシらしさが薄かったのが災いしたのか。気の毒でならないが、彼の実力は皆が認めるところだ。たとえ賞を逃しても、堂々とした大作で風格を感じる本作の価値は、何ら下がるものではない。

□2004年 アメリカ映画  原題「The Aviator」
□監督:マーティン・スコセッシ
□出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ブランシェット、ケイト・ベッキンセール、他

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