バッド・エデュケーション [DVD]バッド・エデュケーション [DVD]
◆プチレビュー◆
アルモドバルの半自伝的ドラマだが、巨匠となった今、このタイミングで本作を打ち出すセンスがすごい。女装のガエルが、なぜか「プリティ・ウーマン」の娼婦時代のジュリア・ロバーツに見えてしまって困った。

若くして成功した映画監督エンリケの前に、彼の旧友イグナシオだと名乗る青年が脚本を持って現われる。イグナシオは、エンリケが神学校に通う幼い頃、禁断の愛を交わした親友だ。引き裂かれた幼い愛を思い出すエンリケだが、何かが違う。彼は本当にイグナシオなのか…。

同性愛がメディアに多く描かれ、市民権を得た今日でも、偏見は未だ残る。それでも英国の耽美的な美青年を用いた同性愛映画などは、日本でも相当な人気を博した。しかし、このテーマがラテン諸国、特にアルモドバルの手にかかると、全く趣の異なったものになる。こってりと濃厚な禁断の愛は、なんと神学校を舞台に生まれるのだ。

ガエル・ガルシア・ベルナルはアルモドバル映画は初出演。これにアルモドバル常連のフェレ・マルチネスを組み合わせる。神学校で神父が生徒を愛し、生徒同士もまた愛情を持つという、教会から上映禁止をくらいそうな設定だ。しかも題名は“悪い教育”。カトリックの歪んだ教育を告発するような内容に見えるが、実際はその手の社会性はほとんど見えない。教会擁護はもちろんないが、この映画は、自分たちがこうなったのは教会のせいだというような単純な構造ではない。

イグナシオを名のる青年が書いた脚本に基づいた映画が劇中劇として進行し、物語はミステリー仕立てで進んでいく。本当のイグナシオは誰なのか。遠い寄宿学校時代の事件の真相は何だったのか。次第に明かされていく真実。薄々それを知りながら、事態を見つめ映画を作り続けるエンリケは好奇心に溢れる映画人そのものだ。アルモドバルは、半自伝的だというこの物語に善悪の区別をつけてはいない。登場人物は、快楽と恥辱にまみれながらも皆タフで魅力的だ。

今や世界的な巨匠になってしまった異才アルモドバル。インディーズの魂を持続しながら、メジャーな存在になった稀有な映像作家だ。今回はいつも以上に赤裸々で極彩色の映像に満ちている。彼の作品は、おしゃれなのか悪趣味なのか、きわどいところが魅力。実際は究極の美意識の上に成り立つ第一級のアートなのだ。本作の内容は過激だが、すこぶる美しい作品である。

□2004年 スペイン映画  スペイン語原題「La Mala Educacion」
□監督:ペドロ・アルモドバル
□出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、フェレ・マルチネス、ハビエル・カマラ、他

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