キングダム・オブ・ヘブン [DVD]キングダム・オブ・ヘブン [DVD]
◆プチレビュー◆
「ロード・オブ・ザ・リング」のような麗しい姿を期待したオーリーファンには、終始ヒゲ面のむさくるしい様子が納得できないかも。仮面をつけた王を演じるのはエドワード・ノートン。顔は見せずに演技力だけで勝負するところがすごい。

12世紀のフランス。実の父が騎士ゴッドフリーであることを知った鍛冶屋のバリアンは、聖地エルサレムへ戦いの旅に出る。イスラム勢力との争いで危機に瀕した都エルサレムで、王女シビラと恋に落ちるバリアン。やがて内部の反乱者の出現や、聡明な王の死で、バリアンは壮絶な戦いへと身を投じることになる…。

オーリー(オーランド・ブルームの愛称)様初主演作である本作は、彼をヒーローとして持ち上げつつ、監督のリドリー・スコットの力も十分に見せる歴史戦争スペクタクル。映像にこだわる監督だけに戦闘場面の描写は巧みで、激しさと美しさが混じり合った見応えのあるシーンが満載だ。

そもそも十字軍とは、ヨーロッパのキリスト教国が聖戦と称して聖地エルサレムを奪還するために繰り返した遠征のこと。宗教上の対立は現在までも混迷し、平和は未だに築かれていない。だが、僅かな時期とはいえ、キリスト教勢力とイスラム教勢力の双方の王が、共存を試みた時代があったことは驚きだ。

オーランド扮するバリアンは庶民でありながら、エルサレムを守る英雄として成長する。鍛冶屋というのは、当時の最先端技術を有する職業。戦争にも応用できる知識のおかげでラストの篭城戦でバリアンは様々な奇策を編み出すことが出来るわけだ。もっとも一介の庶民が唐突に民を守る指揮官に変貌したり、王女とのとってつけたような恋愛など、映画として不自然な描写もある。階級を超える生き方に目覚めるには時代が少し早すぎる気がするが、エルサレムというカオス(混沌)がそれを許すのか。

リーアム・ニーソンやジェレミー・アイアンズなど実力派俳優が脇を固めて、重厚な歴史大作になったが、今なおきな臭い地域の現状や世界情勢を考えると、皮肉な戦争映画にも見える。指導者になる人間が、平和を目指す名君でも、好戦的な悪漢でも、歴史のうねりの中で結局は戦いに巻き込まれてしまう運命の悲しさが描かれている。

□2005年 アメリカ映画  原題「Kingdom of Heaven」
□監督:リドリー・スコット
□出演:オーランド・ブルーム、エヴァ・グリーン、リーアム・ニーソン、他

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