ミリオンダラー・ベイビー [DVD]ミリオンダラー・ベイビー [DVD]
◆プチレビュー◆
イーストウッドの作風は、レオーネ監督と組んだ影響が大きい。「ローハイド」などの“アメリカ的”な俳優が、複雑な魅力の映画を作るところがおもしろい。

LAでさびれたボクシング・ジムを経営するフランキーは、腕はいいが頑固な老トレーナー。ジムには、雑用係で片目の元ボクサーのスクラップもいる。ある日、フランキーの元に31歳のマギーがボクシングのトレーニングを受けたいと訪ねてくる。女は教えないと冷たくはねのけたフランキーだったがマギーはあきらめなかった…。

この映画は、ボクシングを題材としているが、決してスポ根や勝利を追及する物語ではない。極限状態での本当の愛情の意味を観客に問う映画なのだ。世の中の物事や人間を、白黒をつける如く、善と悪にくっきりと分けることはできないことをイーストウッドはよく知っている。

物語のテーマは、老境の孤独な男と、同じくひとりぼっちの女性ボクサーとの深い信頼関係。繊細な愛情がにじみ出る演出で、見事のひと言につきるが、それは、父娘のようなフランキーとマギーを陰で見守るM.フリーマンの存在が胸を打つからだ。カトリックの価値観、アイリッシュの誇り、不人情な家族。劇中には色々な要素が詰まっている。

試合で連勝するマギーに想像を絶する試練が降りかかり、映画はラスト30分でまったく別の物語に変化する。主人公が出した答えには賛否が分かれるだろうが、深い感動は観客が皆、共有するものだ。本当に愛する者の願いのために自ら十字架を背負った人間を、冒頭から控えめに流れるピアノの旋律が優しく包む。慈愛に満ちた傑作だ。

□2004年 アメリカ映画  原題「Million Dollar Baby」
□監督:クリント・イーストウッド
□出演:クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、他

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